ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター22『かつてと今です!』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター22『かつてと今です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森林地帯を突破しようとしたアズミ隊を退けた大洗連合部隊だったが………

 

高地に陣取っていた黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊が………

 

謎の長距離砲撃を受ける。

 

甚大な被害を出し、高地からの撤退を決めた両部隊だが………

 

マシントラブルにより、カチューシャが遅れ、追撃して来た大学選抜部隊に集中攻撃を受ける………

 

カチューシャを救う為に、クラーラ、ニーナ、アリーナ、ノンナ、デミトリ、ピョートル、マーティンが………

 

自分達の身を盾に殿を務めようとする。

 

自分の為に自ら犠牲になろうとするノンナ達に、カチューシャの涙の叫びが木霊した時………

 

ボンプル校のヤイカが現れた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高地から続く斜面………

 

「ヤイカ………」

 

「如何にも………我が名はヤイカ」

 

驚きを露わにしているカチューシャに、ヤイカは薔薇を携えながらそう言う。

 

「私達に助けられるのは屈辱かしら?」

 

そんなカチューシャに向かって、ヤイカはそう挑発する。

 

「! な………」

 

何かを言おうとしたカチューシャだったが、突然思い留まった様子を見せる。

 

「………ありがとう。ノンナ達を助けてくれて」

 

すると突然、ヤイカに向かって頭を下げながら感謝を現した。

 

「………!?」

 

今度はヤイカの方が驚きを露わにする。

 

「………貴方、本当にあの小さな暴君?」

 

「失礼ね! 私だってお礼くらい言えるわよ!!」

 

思わずそう問い質すヤイカに、カチューシャはそう怒鳴る。

 

と、そこで………

 

「「「キャアアアアァァァァァーーーーーーッ!?」」」

 

ヤイカとカチューシャの前に、砲撃を受けた7TPが転がって来て、白旗を上げる。

 

「喰らえっ!!」

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

荷台にM2重機関銃の機銃架を取り付けて在ったジープからも掃射が行われ、ボンプル歩兵達が薙ぎ払われる。

 

「………やはり装備の差は歴然ね」

 

「冷静に言ってる場合っ!? 助けに来てくれたんじゃないのっ!?」

 

まるで他人事の様にそう言うヤイカを見て、カチューシャがそうツッコミを入れる。

 

「落ち着きなさい、田舎者。少々悔しさは有るけど………私達は『前座』よ」

 

だがヤイカは、薔薇を携えながら落ち着いた様子でそう言い放つ。

 

「? 『前座』?」

 

「そう………『真打ち』は別よ」

 

首を傾げるカチューシャに、ヤイカがそう言った瞬間………

 

その目の前に、ウシュカのTKSが横滑りしながら停止した。

 

「!!」

 

カチューシャは驚きを露わにする。

 

そのTKSにではなく………

 

TKSの戦闘室の上に、仁王立ちしている人物………

 

ラハティ L-39 対戦車銃を2丁拳銃の様に構えている陣の姿に!

 

「陣っ!!」

 

「!!」

 

カチューシャの声が挙がった瞬間に陣は発砲!

 

「! 履帯損傷っ!!」

 

「!? 照準器がっ!?」

 

「わあっ!? 覗き窓がやられたぁっ! 視界不良で操縦出来ませんっ!!」

 

放たれた20ミリ弾は、履帯や照準器、覗き窓と言った戦車の弱点を的確に捉える。

 

「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」

 

更に歩兵が喰らえばまるで人形の様にブッ飛び、他数名の歩兵を巻き添えに、勢い余って斜面を転がり落ちて行く。

 

「クソッ! 調子に乗るなっ!!」

 

と、装甲車の陰に隠れていた大学選抜歩兵の1人が、身を隠したまま狙撃仕様のスプリングフィールドM1903小銃で陣を狙う。

 

スコープの照準の中心に、陣の頭が重なる。

 

「喰ら………」

 

え、と言って引き金を引くよりも早く銃声が鳴り響いたかと思うと、大学選抜歩兵の頭に衝撃が走った!

 

「がっ!?………」

 

大学選抜歩兵は倒れ込み、そのまま戦死判定となる。

 

「ぐあっ!?」

 

「ぎゃっ!?」

 

更に2発、3発と銃声が鳴り響いたかと思うと、次々と大学選抜歩兵達が戦死判定となって倒れて行く。

 

「! 狙撃手が居るぞっ!?」

 

「クソッ! 何処だっ!?」

 

狙撃だと気付いた大学選抜歩兵達は、双眼鏡等も使って周囲を見回す。

 

しかし、ちょっと前から降り出した雨のせいで視界は悪く、狙撃手の姿は見つけられない。

 

「がばっ!?」

 

だが、またも銃声が響いたかと思うと、大学選抜歩兵が1人、倒れる。

 

「クッ! この雨の中でコレだけ正確に狙って来ているだと!?」

 

「まさか………『白い死神』か!?」

 

大学選抜歩兵達はその狙撃手の腕に戦慄し、それが『白い死神』ではないかと推察する。

 

「…………」

 

その推察は当たっており、1キロ離れた稜線の上でギリースーツを被って伏せ撃ちの姿勢となっているシメオンの姿が在った。

 

「クソッ! 前は如何なってるんだっ!?」

 

「雨で見えないぞ!」

 

と、追撃部隊の最後尾に居たジープの運転席と機銃架に居た大学選抜歩兵達が状況が摑めずにそう言う。

 

すると………

 

機銃架の大学選抜歩兵の後ろに、ヌーッと影が立ち上がる。

 

「…………」

 

それは右手に抜き身の英霊を携えた弘樹だった。

 

「………うん?」

 

漸く機銃架の大学選抜歩兵が気配に気づいて振り返った瞬間!!

 

「!!」

 

弘樹は英霊を片手で袈裟懸けに振り降ろす!

 

「!? ギャアアッ!?」

 

「!? 如何したっ!?」

 

「!!」

 

戦死判定となった機銃架の大学選抜歩兵の悲鳴に、運転席の大学選抜歩兵が振り返った時には、弘樹は機銃架のM2重機関銃に取り付き、トリガーに指を掛けていた!

 

「! うわっ!?」

 

運転席の大学選抜歩兵は脱出しようとしたが、粗零距離から50口径12.7ミリ弾を浴びせられ、戦死判定となる。

 

「!? 何だっ!?」

 

「如何したっ!?」

 

その発砲音で、他の大学選抜歩兵達が一斉に反応すると………

 

「!!」

 

弘樹はその大学選抜歩兵達に向かって、M2重機関銃を掃射し始めた!!

 

「!? うわあっ!?」

 

「ぎゃああああっ!?」

 

次々に戦死判定にされ、斜面を転がり落ちて行く大学選抜歩兵達。

 

更に装甲が皆無なジープや兵員輸送用トラックにも弾丸が叩き込まれ、蜂の巣にされた後に爆発して行く!

 

「コイツッ!!」

 

「このぉっ!!」

 

大学選抜歩兵側も、弘樹に向かって小銃や機関銃を発砲して反撃する。

 

しかし、取り付けられていた防盾に阻まれ、弘樹にまで弾丸が通らない。

 

「!!」

 

逆に、その発砲のマズルフラッシュを確認した弘樹は、即座にその方向にM2重機関銃を向け発砲!

 

「ぐぎゃあっ!?」

 

「あばああっ!?」

 

次々と薙ぎ払われる大学選抜歩兵。

 

後に、この場に居た大学選抜歩兵の1人は、弘樹の背後に『頭にバンダナを巻いたベトナム帰還兵』の姿が見えたと証言している。

 

「クソッ! 手がつけられねえっ!!」

 

「下がって! 私がやるわっ!!」

 

するとそこで、1輌のパーシングが、弘樹の方に砲塔を旋回させる。

 

「!!」

 

パーシングに狙われている事に気づいた弘樹が、僅かに目を見開く。

 

「捉えましたっ!!」

 

そこでパーシングの砲手が、照準器内に弘樹を捉えたと報告する。

 

「撃てっ!!」

 

即座に車長が命令を下す。

 

だが、次の瞬間!!

 

パーシングはエンジン部に砲弾の直撃を受け、爆発!

 

白旗を上げた!!

 

「なっ!?」

 

「砲撃っ!? 一体何処からっ!?」

 

大学選抜歩兵達が驚きの声を挙げた瞬間………

 

レシプロ機のエンジン音が聞こえて来た。

 

「「「「「!?」」」」」

 

そして、大学選抜部隊の眼前を掠める様に、G-1型のスツーカが、信じられない低空をこれまた信じられない低速で飛行しながら旋回して行った!

 

下手をすれば斜面に激突しかねない飛行である。

 

「! 敵機だっ!?」

 

「馬鹿なっ!? 制空権はまだ拮抗状態の筈だぞっ!?」

 

敵機の襲来を受けた大学選抜部隊が浮足立つ。

 

「ちょっ! 隊長っ!! 近い! 斜面が近いですっ!! 墜落したら如何するんですかっ!?」

 

「安心しろ! 今回は全力出撃だ! 基地へ帰れば幾らでも予備機が有るっ!!」

 

「そう言う事じゃないんですっ!!」

 

「煩いぞ、ガーデルマンッ!!」

 

それは御存じ、ハンネスのスツーカだった。

 

如何やら、単機での超低空飛行で戦場へ侵入して来た様だ。

 

相変わらず気が狂っているとしか思えない行為である。

 

ハンネスのスツーカはそのまま、失速寸前の速度のまま斜面に添う様に旋回しつつ、大学選抜戦車部隊に37ミリ砲を叩き込んで行く。

 

「「「「「キャアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」」」」」

 

「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

狙撃、機関銃掃射、空襲のトリプルパンチにより、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される。

 

「うわぁ………」

 

「ヘイヘに舩坂軍曹、そしてルーデルの子孫達に一斉に襲われるって、一体何の罰ゲームだよ………」

 

その光景を見て、ピョートルとマーティンが大学選抜部隊に同情する。

 

「…………」

 

カチューシャも、唖然となって声も出せない様子だった。

 

「…………」

 

するとそこで、何時の間にかカチューシャのT-34-85の上に上って居た陣が、カチューシャの肩を指でトントンとする。

 

「! 陣!」

 

「…………」

 

カチューシャがそれで我に返ると、陣は親指で、背後の道を指し示した。

 

如何やら撤退するなら今だと言っている様だ。

 

「! 撤退するわよっ!!」

 

「「! ダーッ!!」」

 

「「! 了解っ!!」」

 

そこでカチューシャが声を挙げ、ノンナとクラーラ、ニーナとアリーナ達は一斉に撤退する。

 

「我々も下がるぞっ! 急げっ!!」

 

更に、デミトリが呼び掛けると、ツァーリ歩兵部隊も撤退して行く。

 

「もう良いわね………我々も撤退よ!」

 

「了解!」

 

ヤイカ達、ボンプル機甲部隊も後退する。

 

「………頃合いか」

 

それを確認したシメオンも、雨の中に溶ける様に撤退して行った。

 

「………!」

 

M2重機関銃の弾を撃ち尽くした弘樹も、ジープの荷台から飛び降りる。

 

「絢爛舞踏っ!!」

 

「せめてお前だけでもっ!!」

 

とそこで、辛うじて生き残っていた大学選抜歩兵達が、弘樹を狙おうとする。

 

「!………」

 

腰のホルスターのM1911A1を抜く弘樹だったが………

 

「弘樹ーっ! 摑まれーっ!!」

 

その瞬間に、ハンネスのスツーカが、更に低い高度で迫って来た!!

 

「「「「!? うわあっ!?」」」

 

余りの低空の為、スツーカの固定脚が当たりそうになり、慌てて伏せる大学選抜歩兵達。

 

「!!」

 

すると、そこで何と!!

 

弘樹が目の前に迫って来たスツーカの固定脚に向かって跳躍し、跳び付いた!!

 

「!? なあっ!?」

 

それを目撃した大学選抜歩兵の1人が仰天の声を挙げる中、ハンネスのスツーカは、弘樹を足にしがみ付かせたまま離脱して行く。

 

ルパン並みの逃走術だ。

 

「な、何て奴だ………」

 

「コチラ高地追撃部隊。敵の襲撃に遭い、被害甚大。一時後退します」

 

『了解した。先に後退したアズミ隊と合流せよ』

 

「了解」

 

壊滅状態となった追撃部隊は、愛里寿へと報告を入れると、一旦補給地点まで後退を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

湿原地帯で戦闘中の大洗機甲部隊&グロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊は………

 

「みぽりん! 黒森峰とプラウダ&ツァーリ、損害は出したけど撤退に成功したって! まほさん達やカチューシャさん達も無事だよ!」

 

「ほっ………ありがとう、弘樹くん。皆さん」

 

沙織からの報告を聞き、みほは安堵の息を吐きながら、救援に向かった弘樹達へ感謝する。

 

「突然舩坂殿がシメオン殿と浅間殿を連れて離脱した時には驚きましたよ」

 

「西住さんは分かっていた様だがな………」

 

弘樹達がカチューシャ達の救援に向かった時の事を思い出し、そう言い合う優花里と麻子。

 

「戦闘を中止して黒森峰・プラウダ&ツァーリに合流しますか?」

 

「その前に、頭上からの砲撃を何とかしないと………」

 

華が新たにパーシングを1輌撃破しながら問うと、みほはそう返す。

 

「西住殿! 敵の砲撃の正体は恐らく『カール』です!!」

 

すると優花里が、次弾を装填しながらそう言って来た。

 

「『カール』?………!? って、コレッ!?」

 

優花里の言葉に、自走砲のカタログを見ていた沙織が、『カール』………

 

『カール自走臼砲』のページを発見し、思わず声を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『カール自走臼砲』………

 

ナチス・ドイツが、フランスのマジノ要塞線への攻撃手段として開発した自走砲である。

 

自走砲と名付けられているものの、最高速は10キロ程度しかなく、自走能力は主に砲の旋回サポートとしての面が強い。

 

また、臼砲の名の通りに射程は短く、運用には多くの人員を必要とする扱い辛い兵器であった。

 

だが、60センチ或いは54センチの砲門から放たれる2トン、1トン以上の砲弾の威力は絶大である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それだけじゃありません。恐らく『列車砲』………それも『80㎝列車砲』も居ます」

 

「『80㎝列車砲』!?」

 

更に優花里がそう言ったのを聞き、沙織が今度は列車砲のカタログを引っ張り出し、『80㎝列車砲』のページを見てまたもや驚愕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『80㎝列車砲』………

 

黒森峰が決勝戦で投入した怪物戦車『P-1500 モンスター』の搭載主砲の元となった兵器である。

 

コチラもマジノ要塞線の攻略を目的に開発されたが………

 

カールですら扱い辛いと言うのに、それ以上の巨大な砲を持つ存在は最早真面に扱える代物ではなかった………

 

だが、現在まで抜かれていない世界最大のカノン砲の威力は凄まじい事は間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オノレェーッ!!」

 

「帝国のクロスム=ウェルシの速度罪多き肉体【コルプス】に霊魂【スピーリトゥス】を閉ざすなら!(訳:このクロムウェルの速度なら)」

 

とそこで、ローズヒップのクルセイダーと車長・今日子、砲手・早苗、操縦手・唯、装填手・静香、通信手・郁恵の編制のクロムウェルが、自慢の速度で敵陣へ斬り込もうとする。

 

しかし、その目の前に上空からの砲撃が次々に着弾!

 

2輌の車体が一瞬浮かび上がる。

 

「ローズヒップさん、戻って下さい」

 

「今日子ちゃん! 無茶しないでっ!!」

 

その2人をすぐに呼び戻すオレンジペコと沙織。

 

「………コチラ西住総司令。アンツィオ&ピッツァ機甲部隊、応答願います」

 

と、みほはアンツィオ&ピッツァ機甲部隊へと通信を繋げた。

 

『アンツィオ&ピッツァだ。如何した、西住 みほ?』

 

総隊長であるアンチョビからすぐに返事が返って繰る。

 

「お力をお借りしたいんです。アンツィオのCV33部隊を偵察に出してもらえますか?」

 

『成程。CV33なら小型で小回りも利き、速度も有るから強行偵察にはうってつけだな………撃破されても大した損害じゃないしな』

 

「! そ、そんな積りは!………」

 

アンチョビがそんな事を言い、みほは慌ててそんな積りは無いと言おうとするが………

 

『冗談だ。只のイタリアンジョークだ』

 

「………ほっ」

 

すぐにアンチョビがそう返して来て、みほは安堵の息を吐いた。

 

『兎に角、強行偵察なら任せておけ。オイ、私にも1輌CV33を回せっ!!』

 

「お願いします、アンチョビさん」

 

そして無線先からアンチョビがP40からCV33に乗り換えている様子を聞きながら、みほは通信を終えた。

 

(けど、本当にカールと列車砲?………まだ他に………何か有る気がする)

 

その直後に、そんな予感を感じるみほだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

 

 

見えてる世界は全てじゃない………

 

 

 

 

 

見えない『モノ』も居るんだ………

 

 

 

 

 

ほら………

 

 

 

 

 

君の後ろの暗闇に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、大学選抜チームとの戦いを終え………

 

島田 愛里寿が大洗から去った後に起こった出来事………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『幽霊戦車』………?」

 

「そうなの! まるで幽霊みたいに、幾ら撃っても砲弾が擦り抜けちゃって、なのに相手の砲撃は物陰に隠れてても絶対に当たるって言う戦車の噂だよ!!」

 

ある日、みほは沙織から、ある噂話………『幽霊戦車』について聞かされる。

 

「やめろ、沙織………私への嫌がらせか?」

 

その手の話が苦手な麻子が顔を青くする。

 

「その話なら私も聞いた事があります。けど、流石に有り得ませんよ」

 

「そうですよ、沙織さん」

 

優花里と華も否定的な意見を述べる。

 

 

 

 

 

だが………

 

 

 

 

 

噂は本当だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛里寿ちゃんの大学選抜チームが壊滅っ!?」

 

「しかもそれをやったのは、たった1輌の戦車だって話なんだよね~」

 

杏から齎された突然の悪い知らせに、みほは驚愕する。

 

「愛里寿ちゃんの話だと………相手の戦車は『まるで幽霊みたいに砲弾が擦り抜け、逆に撃って来た砲弾は物陰に隠れてても命中して来た』って事だよ」

 

「!? それって………!?」

 

それは、先日沙織から聞かされた『幽霊戦車』の特徴と一致していた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も、『幽霊戦車』は………

 

黒森峰、プラウダ、アンツィオ、サンダース、グロリアーナと………

 

次々に戦車道のある学校を襲撃………

 

その魔の手は大洗にも迫ろうとしていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「如何しよう………」

 

「幽霊の戦車なんて、対処のしようがありませんよ」

 

流石の軍神みほも、相手が幽霊とあっては打つ手が無かった。

 

「あ、あの………ネットの噂で聞いたんですけど………『鬼太郎』さんに助けてもらうのは如何かな?」

 

するとそこで、ねこにゃーからそんな声が挙がった。

 

「? 『鬼太郎』?」

 

「不可解な事件が起きたら、それは『妖怪』の仕業で、『妖怪ポスト』に手紙を出すと、『ゲゲゲの鬼太郎』がやって来て、妖怪を退治してくれるって」

 

「その妖怪ポストと言うのは何処に在るのですか?」

 

「さ、さあ? そこまでは………」

 

「ああもう! 肝心ところが分からなければ意味が無いではないか!」

 

桃が地団駄を踏みながらそう言う。

 

「? アレ? 紗希………?」

 

そんな中、ウサギさんチームの中で、紗希が居なくなっていた事に気づく梓。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人気の無い路地の奥………

 

そこに、茅葺き屋根の家を模した不気味なポストがポツンと在った。

 

「…………」

 

その前には、手紙を持った紗希が佇んでいる。

 

「………鬼太郎さん、助けて下さい」

 

紗希はそう言って、ポストに手紙を投函するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして遂に………

 

大洗戦車チームの前に、幽霊戦車が現れた!

 

幾ら撃っても砲弾が擦り抜け、逆に隠れていても命中してしまう相手の砲弾を前に、大洗戦車チームは絶体絶命!

 

その時………

 

 

 

 

 

カランコロン………

 

 

 

 

 

何処からともなく、下駄の音が聞こえて来た。

 

 

 

 

 

「!? 貴方はっ!?」

 

「………ゲゲゲの鬼太郎だ」

 

そして現れた、ちゃんちゃんこを来た小柄な少年………『ゲゲゲの鬼太郎』

 

「鬼太郎! アレは幽霊戦車じゃっ!!」

 

その髪の毛の中から現れる『目玉のおやじ』

 

「「「「「「「「「「!? 目玉が喋ったああああああぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~っ!?」」」」」」」」」」

 

目玉の親父の姿に、幽霊戦車以上にビックリしてしまう大洗戦車チームの面々だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガールズ&パンツァー×ゲゲゲの鬼太郎

 

『妖怪大戦車道作戦』

 

公開予定無し!




新話、投稿させていただきました。

前回、救援本命の事を紅茶仮面と予想されている方が多くいましたが、残念ながら違います。
彼女にはもっと美味しい場面で登場して貰う予定です。
その方が彼女らしいので。

しかし、コチラの救援も豪勢です。
特にヘイヘとルーデルの子孫が、ソ連モチーフのプラウダ&ツァーリを助けるのは面白い運命だったんじゃないかと。

次回、謎の砲撃の正体が明らかに。

そして今回はオマケを付けました。
ゲゲゲの鬼太郎の6期が凄く面白くて、鬼太郎熱が再燃してまして。
やろうと思えば、何とでもクロスさせられますよね、鬼太郎って。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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