ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター21『推参です!』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター21『推参です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森林地帯のサンダース&カーネル機甲部隊、知波単機甲部隊、西部機甲部隊を突破し………

 

高地の黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊を脅かそうとしたアズミ隊は………

 

地獄姉妹とレッドショルダー3人衆を中心としたメンバーの活躍で阻まれた。

 

しかし………

 

愛里寿は即座に、代わる作戦である『C作戦』を発動させる。

 

果たして、『C作戦』とは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガフロート艦・湿原地帯………

 

「華さん! 11時方向っ!!」

 

「了解しましたっ!!」

 

みほの指示の方向に発砲する華。

 

前に出過ぎていたチャーフィーが真面に喰らい、白旗を上げる。

 

「…………」

 

更に弘樹が、八九式重擲弾筒で八九式榴弾を曲射。

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」」」

 

八九式榴弾は、大学選抜歩兵部隊が構築していた塹壕の中に正確に着弾し、数名の大学選抜歩兵を纏めて吹き飛ばす。

 

『みほさん! 敵増援を確認っ!!』

 

「!!」

 

とそこで、オレンジペコからそう通信が入り、みほが双眼鏡を構えると、現在相対しているルミ隊の後方から、中隊規模の新たな部隊が向かって来ているのを確認する。

 

「沙織さん! 救援要請をっ!!」

 

「了解! コチラは大洗機甲部隊! 現在、湿地帯にて敵と交戦中! 敵増援が接近して来ています! 救援をお願いしますっ!!」

 

みほの指示が飛ぶと、即座に沙織が近くに居る味方に救援要請を出す。

 

『こちら竪琴クメン機甲部隊! 了解しました!! 5分で到着しますっ!!』

 

『ナイトウィッチ&ハロウィンよ。すぐに向かうわ。後4分だけ持ち堪えて』

 

すると、最も近くに居た竪琴クメン機甲部隊とナイトウィッチ&ハロウィン機甲部隊が答える。

 

「黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊にも火力支援を!!」

 

「黒森峰機甲部隊並びにプラウダ&ツァーリ機甲部隊へ! 火力支援、願います!!」

 

更にみほは、高地に陣取っている黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊にも火力支援要請を出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊が陣取る高地………

 

「了解した。火力支援を開始する」

 

「ミホーシャ達を援護するわよ! 蹴り落としてやる!!」

 

まほが了解の返事を返すと、カチューシャ達プラウダ&ツァーリ機甲部隊はすぐに動き始める。

 

「用意は良いっ!?」

 

「準備完了です!」

 

「射点に付きました!」

 

カチューシャが呼び掛けると、小梅達の黒森峰機甲部隊からも返事が返って来る。

 

「マホーシャ! 良いわねっ!?」

 

「攻撃を許可する」

 

「スーッ………撃」

 

カチューシャが大きく息を吸い込み、発砲命令を下そうとした瞬間………

 

巨大な爆発が発生!!

 

立ち上った爆煙が、遠方からも肉眼で確認で来る程のモノだった。

 

「弾着っ!?」

 

「何なのよーっ!?」

 

「如何したっ!?」

 

デミトリとカチューシャが声を挙げると、まほがすぐに状況を確認する。

 

「コチラ黒森峰! 上方から砲撃っ!! 敵の長距離攻撃と思われるっ!! 全部隊、注意せよっ!!」

 

すぐさま都草が、まほへの報告と共に、大洗連合の全部隊に警告を送る。

 

その直後………

 

同規模の爆発が高地地点で次々に発生!!

 

高地の地形が、文字通り変わり始める………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湿原地帯………

 

「!? アレはっ!?………」

 

「まさかっ!? 艦砲射撃っ!?」

 

湿原地帯からその爆発の様子を確認したみほとオレンジペコが思わずそう言う。

 

『コチラ呉艦隊の新代。現在、洋上に敵艦の姿は見えない』

 

だがそこで、それを否定する護からの通信が入る。

 

「と言う事は、野戦砲、或いは自走砲でしょうか?」

 

「けど、あんな威力の自走砲なんてあるのかっ!?」

 

飛彗が推察すると、海音がそう問い質す。

 

「!? まさかっ!?」

 

するとそこで、優花里が何かを思い出した様な顔になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高地地帯………

 

「姉ちゃん! 今の砲撃で砲兵部隊が全滅だっ!!」

 

「戦車部隊も、SU並びにISU部隊が壊滅状態です」

 

「総隊長! ヤークトパンター部隊が全滅です!!」

 

「高射砲と対空砲火部隊は最早組織的能力を失ったでありますっ!!」

 

漸く爆発が収まったかと思うと、ピョートル、ノンナ、エリカ、久美から次々に甚大な被害報告が挙がる。

 

「全部隊、撤退! 此処に居ては的になるだけだ! 遺憾ながらこの場を放棄するっ!!」

 

コレ以上この場に留まるのは危険だと判断し、まほは撤退を指示。

 

まだ何とか残っていた前方の道を下ろうとしたが、その黒森峰機甲部隊の前に砲弾が叩き込まれて来た!

 

「! 前方の敵、発砲開始っ!!」

 

双眼鏡を構えたエリカが、前方から高地に登って来ていた大学選抜機甲部隊が発砲して来たのを確認する。

 

「後退っ!!」

 

「コッチから行けるわっ!!」

 

まほが指示を飛ばすと、カチューシャがプラウダ&ツァーリ機甲部隊が展開していた方の坂から撤退しようとする。

 

しかし、そのプラウダ&ツァーリ機甲部隊の前にも、別の大学選抜機甲部隊が立ちはだかる。

 

「! 何時の間にっ!?」

 

「マズイッ! 囲まれたぞっ!!」

 

カチューシャとマーティンが思わず声を挙げる。

 

「前方と側面からの半包囲に上空からの謎の砲撃………」

 

地図を手に戦況を確認するまほだが、謎の砲撃が分からなければ手の打ち様が無かった。

 

「このままでは全滅よっ!!」

 

「正面を突破する! 我々が盾となるぞ! 全員続けっ!! 回収し切れない装備は放棄して構わんっ!!」」

 

まほは正面の大学選抜部隊を突破しての撤退を指示。

 

重装甲の黒森峰戦車部隊が盾となって先陣を切り、黒森峰歩兵部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊がその後に続く。

 

直後に、またもや謎の砲撃が再開。

 

撤退している黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊に容赦無く襲い掛かる。

 

「! やられたっ!!」

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

運悪く直撃を貰ってしまった戦車部隊が白旗を上げ、爆風や破片を浴びてしまった歩兵部隊員達も吹き飛ばされ、戦死判定となって転がる。

 

「見て御覧なさい! 私には当たらないわよっ!!」

 

そんな中でも、カチューシャは強がる様にキューポラから姿を曝したまま、謎の砲撃の降って来ている空に向かって拳を突き上げる。

 

「パーシング接近!」

 

「!!」

 

そこで、正面に居た大学選抜部隊と接敵。

 

撤退を阻止しようとパーシングが次々に砲撃を見舞って来る。

 

「突破しろっ!!」

 

だが、黒森峰戦車部隊が自慢の重装甲を活かして強引に突破する。

 

そのまま黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊は、正面に居た大学選抜部隊の脇を擦り抜ける様にして坂を下って行く。

 

しかし………

 

突如として、カチューシャのT-34-85がスピードダウン。

 

隊列から落伍し始める。

 

「!? ちょっと、何やってるのよっ!?」

 

「駆動系に異常っ! さっきの砲撃の衝撃でどっか壊れたみたいです! 速度が上がりませんっ!!」

 

カチューシャが怒鳴ると、操縦手が半分泣きながら報告して来る。

 

当然、遅れ始めているカチューシャ車を、追撃して来ている大学選抜部隊は見逃さない。

 

カチューシャ車を狙って、パーシングが集中的に砲撃を見舞い、随伴している車輌に乗っていた対戦車兵達も、バズーカを放って来る。

 

「何よ、狙い撃ちっ!?」

 

『カチューシャ様が危ないっ!』

 

愚痴る様にカチューシャが叫ぶと、その様子をペリスコープ越しに見ていたクラーラがロシア語で通信する。

 

『全員で突破しましょう』

 

ノンナがロシア語でそう返信するが………

 

『全員は無理ね………私達が囮になります!』

 

クラーラは決意した様な表情になると、そう返した!

 

『! 無茶です、クラーラ。そんな事したら、カチューシャに嫌われますよ』

 

それを聞いたノンナは、僅かに動揺を現しながら止めようとするが………

 

『この状況を打破出来るなら嫌われて結構』

 

覚悟を決めている様子のクラーラは揺るがない。

 

「貴方達! だから日本語で喋りなさいって、何度言ったら分かるの!?」

 

その会話はカチューシャにも聞こえていたが、ロシア語に明るくない彼女は2人が何を言っていたのか分からない。

 

とそこで、クラーラのT-34-85が路肩に寄って停まったかと思うと、カチューシャ車を先に行かせる。

 

「えっ………!?」

 

「カチューシャ様、お先にどうぞ。それでは御機嫌よう」

 

驚くカチューシャに向かって、クラーラは『日本語』でそう言うと、自車を追撃して来る大学選抜部隊へ向かわせた!

 

「何っ!? その流暢な日本語っ!?」

 

「クラーラは日本語が堪能なんです」

 

「先に言いなさいよっ!!………!? 何する気っ!? クラーラッ!? クラーラッ!!」

 

驚くカチューシャに、ノンナからそう通信が入って来て怒鳴るが、すぐにクラーラの行動に疑問を抱く。

 

「カチューシャ様、一緒に戦う事が出来て光栄でした」

 

「クラーラッ!!」

 

『プラウダの為に!!』

 

日本語の別れの言葉の後に、再びロシア語でそう言い放ち、クラーラ車は更に大学選抜部隊へ向かって行く。

 

すると………

 

「クラーラ様にだけ良い恰好はさせねえだっ!!」

 

「カチューシャ様には何時も無茶言われたきただ。でも………カチューシャ様はウチ等の総隊長だべっ!!」

 

KV-2のニーナとアリーナがそう言い合い、クラーラの後に続く様に、カチューシャ車に道を譲り、追撃して来る大学選抜部隊へ向かって行った!!

 

「カーベーたん!?」

 

カチューシャがまた驚きの声を挙げた瞬間、KV-2が被弾し、火花を散らす。

 

「ああっ!?」

 

「まんだまだぁっ!!」

 

「撃てるだけ撃つべっ!!」

 

悲鳴を挙げるカチューシャだが、KV-2はものともせずに152ミリの榴弾を放つ!

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」」」」

 

直撃を受けた大学選抜歩兵部隊の兵員輸送用トラックが爆発し、戦死判定となった大学選抜歩兵達と共に斜面を転がり落ちて行く。

 

「街道上の怪物を舐めんなよぉーっ!!」

 

「クウッ!!」

 

ニーナがそう言った瞬間、カチューシャ車も足を止め、大学選抜部隊に砲撃を始める。

 

「! マズイ! カチューシャ! 逃げて下さいっ!!」

 

「逃げるなんて総隊長じゃないわっ!!」

 

ノンナが撤退の継続を願うが、カチューシャは逃げないと返す。

 

「お願いです」

 

「カチューシャ様!」

 

「姉ちゃんっ!!」

 

「反転しろっ!!」

 

するとそこで、ノンナのIS-2、デミトリ、ピュートル、マーティンを中心とした一部のツァーリ歩兵部隊も反転する。

 

「来ちゃ駄目よっ!! 皆まで失うワケには行かないわっ!!」

 

「貴方はこの試合に必要な方ですっ!!」

 

来るなと叫ぶカチューシャだが、ノンナ達は止まらない。

 

「貴方はウラル山脈より高い理想と、バイカル湖の様に深い思慮を秘めている!」

 

「だから姉ちゃん!」

 

「同志! 早くっ!!」

 

「撤退をっ!!」

 

そしてそのまま、停止していたカチューシャ車の脇を擦り抜け、大学選抜部隊へと突撃する。

 

すぐさまノンナが、122ミリ砲弾を放ち、パーシング1輌を撃破する。

 

「ああっ!?」

 

「カチューシャ………私達が居なくても、貴方は絶対………」

 

ノンナが次の目標を狙おうとしたところ、照準器越しに自車に狙いを定めるパーシングの姿を目撃する。

 

「………勝利します」

 

覚悟を決めたノンナは、そのパーシングと相討ちになろうとする。

 

「駄目! 絶対駄目ぇっ!! 誰かぁっ!! 誰でも良いっ!! ノンナ達を………皆を助けてぇっ!!」

 

カチューシャは泣き叫びながら、助けを求める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………すると!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何を騒いでいるの? 田舎者』

 

「!?」

 

そんな声が通信回線に響いて来て、カチューシャが仰天の様子を見せる。

 

その次の瞬間!!

 

「突撃(シャルジャー)ッ!!」

 

稜線を超える様に飛びだして来た7TP(単砲塔)と7TP(双砲塔)、TKSを中心とした機甲部隊が、大学選抜部隊に側面から突っ込んだ!!

 

「!? て、敵襲ーっ!?」

 

「馬鹿なっ!? 何処に居やがったんだっ!?」

 

思わぬ奇襲に、大学選抜部隊は浮足立つ。

 

「差し違え上等っ!!」

 

するとそこで、1輌の7TP(単砲塔)が、チャーフィーの側面に体当たりすると同時に砲塔基部へ発砲!

 

重量負けで7TP(単砲塔)からは白旗が上がったが、砲塔基部を撃ち抜かれたチャーフィーも白旗を上げる。

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」

 

更に歩兵の1人が、ノンナを狙っていたが、突然の奇襲で右往左往していたパーシングに向かって火炎瓶を投擲!

 

火炎瓶は見事エンジン部に命中すると忽ち激しい炎を上げた!

 

「ちょっ!? 火がっ!?」

 

「消火器だっ! 急げっ!!」

 

パーシングの乗員が悲鳴を挙げると、大学選抜歩兵達が消火器を持ち寄って消火を計ろうとしたが………

 

「させないわっ!!」

 

7TP(双砲塔)、TKSが、機関銃と機関砲を発砲し、消火器を持った大学選抜歩兵達を薙ぎ払う!

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

武器を消火器に持ち替えてしまった為、大学選抜歩兵達は真面に反撃も出来ず、次々に戦死判定を受ける。

 

炎上していたパーシングも、やがてエンジンが爆発し、白旗を上げた。

 

「喰らえっ!!」

 

更に、稜線の辺りに陣取ったままだった歩兵達が、迫撃砲を放つ。

 

「「「「「「「「「「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

次々に大学選抜歩兵達が吹き飛んで行く。

 

「!?」

 

「アレはッ!?」

 

「な、何だべっ!?」

 

「何が起きたんだっ!?」

 

決死の覚悟で殿を務める積りで居たクラーラ、ノンナ、ニーナ、アリーナは肩透かしを食らい、思わず唖然となる。

 

「アレは………」

 

と、カチューシャが大学選抜部隊を奇襲した機甲部隊に見覚えを感じていると………

 

「昨年の王者プラウダ&ツァーリともあろうものが………随分と無様ね」

 

そう言う台詞と共に、カチューシャ車の横に7TP(単砲塔)が横付けされ、ハッチから姿を曝していた者………

 

『ヤイカ』が薔薇を携えながらそう言い放った。

 

「! ボンプルッ!?」

 

「………まあ、かく言う私も、色々と思い知らされたばかりだけどね」

 

カチューシャが驚きを露わにそう言うと、ヤイカは何処か悟った様子で、遠い目をしながらそう言う。

 

「まあ、それは兎も角………ボンプル校がヤイカ、推参。これより大洗連合に加わるわ」

 

しかし、すぐに『頑張る女の子の素敵な笑顔』を浮かべてそう言い放つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

高地に陣取った黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊に襲い掛かる謎の砲撃。
原作ではカールでしたが、この作品では………

そして劇場版の泣き所………
プラウダの撤退シーンですが………
あのシーンは名シーンですが、ちょっと鬱になるシーンでもあるので、鬱フラグクラッシャーに登場願いました。
意外にも、それはヤイカ。
リボンの武者で犬猿の仲となっている両校ですが、それを超えて救援するってシュチュエーションって堪らないですよね。

しかし、残念ながら彼女達だけでは心許無いのも事実。
次回は『本命』が登場します。
お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
本日は都合により、感想に返信出来るのは夕方以降になるかと。
御了承下さい。

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