ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター20『最強の戦乙女よ、いざ舞えです!』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター20『最強の戦乙女よ、いざ舞えです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に開始された島田流率いる大学選抜チームと大洗連合部隊の試合………

 

黒森峰機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊が高地を奪取した中………

 

森林地帯を進んでいたサンダース&カーネル機甲部隊、知波単機甲部隊、西部機甲部隊がアズミ隊と接敵。

 

アズミ隊は3部隊を突破し、高地の黒森峰とプラウダ&ツァーリを脅かそうとする。

 

だが、その前に………

 

『地獄姉妹』が立ちはだかった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガフロート艦上………

 

森林地帯………

 

「イイイサアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

クロエの独特の掛け声と共に、猛スピードでアズミ隊の戦車部隊へと突っ込んで行くヘルキャット。

 

「く、来るわよっ!!」

 

戦車部隊員の1人がそう声を挙げた瞬間にヘルキャットが発砲!

 

砲弾は1輌のパーシングの防盾の下部に命中し、ショットトラップして車体上部に命中!

 

そのパーシングは白旗を上げる。

 

「撃て! 撃てぇっ!!」

 

別の戦車部隊員から声が挙がると、パーシングとチャーフィー達が一斉に砲撃する。

 

「フッ………」

 

だが、クロエが不敵に笑った瞬間………

 

ヘルキャットは右側の履帯をロック!

 

途端にヘルキャットは独楽の様に回転!

 

向きが変わった事で、パーシングとチャーフィー達の砲弾は全て外れる。

 

「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」

 

「イイイサアアアアアァァァァァァーーーーーーーッ!!」

 

大学選抜戦車部隊員達が仰天の声を挙げる中、クロエはヘルキャットを回転させたまま、アズミ戦車部隊の中へと突っ込む!

 

そして、近場に居たチャーフィーを撃ち抜く!

 

そこから180度回転したかと思うと、反対側に居たパーシングの車体側面を撃ち抜く!

 

そのまま回転を続けながら次々に発砲すると言う離れ業を披露するヘルキャット。

 

「しっかり装填しなさい! しそこなったら、朝までコースよっ!!」

 

「ヒイイッ!!」

 

クロエが装填手に何やら意味深な激を飛ばしながら、ヘルキャットは回転しながらの発砲を続ける。

 

「マズイッ! 歩兵部隊前進っ!! あの駆逐戦車を排除してっ!!」

 

「「「「「「「「「「了解っ!!」」」」」」」」」」

 

そこでアズミの慌てた指示が飛び、後方に居た歩兵部隊が車輌ごと前に出る。

 

と、次の瞬間!!

 

1輌の兵員輸送用トラックに榴弾が命中し、爆発!

 

「「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」

 

乗っていた10数名の大学選抜歩兵部隊員達が、炎に包まれた状態で飛び出して来て、そのまま戦死判定となる。

 

「!?」

 

アズミが榴弾が飛んで来た方向を確認すると、そこには………

 

「…………」

 

『頑張る女の子の美しい笑顔』を浮かべたしずかが、砲門から硝煙が立ち上っているテケから姿を見せて、威風堂々と存在していた。

 

「この様な大戦(おおいくさ)に参加出来るとは感無量………武人の本懐を遂げんっ!!」

 

「!? ひゃうっ!?」

 

そう吠えて、何時もより強めに鈴に足で指示を出すと、鈴が艶めかしい声を挙げ、テケが大学選抜歩兵部隊の中へと突っ込んで行く!!

 

「向こうも突っ込んで来たぞっ!!」

 

「ハッ! 所詮は豆戦車だろうに!! すぐにスクラップにしてやるぜ!!」

 

それを見たアズミ隊の歩兵部隊副隊長である『星叫(せいきょう)』が、バズーカを構えてテケの前に躍り出ようとする。

 

「星叫、待てっ! 奴はタンカスロン参加者だ! 迂闊に手を出すなっ!!」

 

そんな星叫を、アズミ隊随伴歩兵部隊長である『刃海 泰亭(はかい たいてい)』が制する。

 

「だから何だって言うんですか? あんな戦車とは名ばかりの屑鉄なんて恐るるに足りませんよ!」

 

だが、星叫はその忠告を無視してテケに向かって行った。

 

「あの馬鹿者めっ!!」

 

そんな星叫に向かって、泰亭は吐き捨てる様に言い放つ。

 

突っ込んで来るテケの前に立ちはだかり、バズーカを構える星叫。

 

(ふふ、回避しようとしたところへブチ込んでやるぜ!)

 

しかしすぐには撃たず、回避しようとしたところへブチ当てようと待ち構える。

 

だが………

 

「…………」

 

しずかは『頑張る女の子の美しい笑顔』を浮かべたまま、回避運動を取る様子も見せず、星叫に突撃する!

 

「な、何ぃっ!? 突っ込んで来やがったっ!?」

 

そんな事をしてくるとは欠片も思っていなかった星叫が慌ててバズーカを放り出し、横っ飛びする様に回避する。

 

投げ出されたバズーカは、テケに踏み潰されてペシャンコになる。

 

「参るっ!!」

 

そこでしずかは榴弾を発砲!

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

固まっていた大学選抜歩兵部隊員達数名が、纏めて吹き飛ばされる!

 

「まだだっ!!」

 

小口径砲の利点を生かし、素早く装填を済ませ砲塔を別方向へ向けると再び発砲。

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

2発目の榴弾がM3ハーフトラックの荷台に命中すると、そのままM3ハーフトラックを爆散させ、搭乗していた大学選抜歩兵部隊員達を戦死判定させる。

 

「クソッ! 調子に乗るなぁっ!!」

 

「たかが豆戦車に総崩れとあっては大学選抜チームに存在意義は無いっ!!」

 

しかし、そこは腐っても島田流の教えを受けている大学選抜チーム。

 

数名の大学選抜歩兵達が手榴弾を放ったかと思うと、辺り一面に煙が立ち込める。

 

「むっ!?」

 

「あら? 煙幕?」

 

しずかとクロエが声を挙げ、テケとヘルキャットがお互いに衝突する事を考えて停止する。

 

「エンジン音が止まった! 停止しているぞっ!!」

 

「位置は………そこだなっ!!」

 

だが、大学選抜歩兵部隊員達は、煙幕を張る前の両者の位置から未来位置を割り出し、一斉にその場所へと武器を向ける。

 

「終わりだっ!!」

 

そして引き金が引かれようとした、正にその瞬間!!

 

そのヘルキャットとテケが居ると思われる場所から無数の『銃弾』が飛んで来た!!

 

「!? 伏せろぉっ!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「「「「「うわあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

泰亭の声で大学選抜歩兵部隊員達が伏せるが、反応の遅れた数名が蜂の巣にされる。

 

直後に、煙幕が揺らめき、3つの赤い点が煙幕の中で激しく動き回る。

 

「お姫さんばっかに良い恰好はさせないぜ」

 

そう言いながら、フリーガーファウストを発射するグレゴルー。

 

「「「「「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

ロケット弾が大学選抜歩兵部隊員達の中へ降り注ぎ、大学選抜歩兵部隊員が宙に舞う。

 

「野郎っ!!」

 

反撃にと、小銃や機関銃を煙幕の中で蠢く赤に向かって発砲する大学選抜歩兵部隊員達。

 

「ケッ! こんなもん、裸のマヌケにしか効きゃしねえ!」

 

だが、ムーザはそう言いながら巧みに銃弾の隙間を縫う様にして接近し、MP40の弾をばら撒いた!!

 

「「「「「わああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」」

 

またも蜂の巣にされた大学選抜歩兵部隊員達が量産される。

 

「如何したのっ!? 何が起こってるのっ!?」

 

煙幕の為、随伴歩兵部隊の状況が掴めていない1輌のパーシングの車長が、埒が明かないとハッチを開けて自ら車外を確認する。

 

すると、すぐ近くに歩兵らしき影を認める。

 

「あ、貴方! 如何したの!? 状況はっ!?」

 

味方の歩兵だと思い、状況を問い質すパーシングの車長。

 

「そうだな………取り敢えず、お前さんは撃破ってところか?」

 

「えっ………?」

 

そんな声が返って来て、パーシングの車長が困惑すると、風が吹いて煙幕が流れ………

 

その歩兵が、パンツァーシュレックを構えたバイマンであった事が明らかになる。

 

「!? ヤバ………」

 

パーシングの車長が言い切る前に、バイマンはパンツァーシュレックを発射!

 

ロケット弾がパーシングに命中し、白旗を上げさせた!

 

「クッ! 損害が広がるばかりだわ!!」

 

「部隊長! この際、多少の犠牲には目を瞑り、強行突破する以外に道は有るまいっ!!」

 

アズミが思わず声に出すと、泰亭がそう進言して来た。

 

「………それしかないわね。全員、損害に構わず前進っ!! 強行突破するわよっ!!」

 

その意見を聞き入れ、アズミ隊は損害無視の強行突破に掛かった!

 

「! 一気に動き出したわよっ!!」

 

「強行突破する積りね! そうはさせないわっ!! 撃て撃てぇっ!!」

 

シロミとカレンがそう言うと、サンダース&カーネル機甲部隊、知波単機甲部隊、西部機甲部隊は一斉砲撃を始める!

 

徹甲弾と榴弾を交互に撃ち出し、戦車・歩兵双方に損害を与える。

 

カレンのハッピータイガー、アハト・アハトを装備した五式中戦車、ナオミのファイアフライがパーシングを撃ち抜き………

 

シロミのイージーエイト、ケイのシャーマン、アリサのM4A1、三式中戦車改、四式中戦車がチャーフィーを撃破し………

 

ミケのスチュワート、絹代を中心としたチハ部隊、ブチのジャンボが榴弾を放ち、歩兵や兵員輸送車を爆散させる。

 

「構わん! 突き進めっ!!」

 

しかし、泰亭がそう声を挙げ、アズミ部隊は損害に構わず前進!

 

多くの撃破車や戦死判定者を出しながらも、そのまま強引にサンダース&カーネル機甲部隊、知波単機甲部隊、西部機甲部隊の脇を擦り抜けて行った!!

 

「おのれっ!!」

 

「逃がすかっ!!」

 

逸早く、知波単戦車部隊の旧砲塔チハの池田車と新砲塔チハの名倉車が追撃しようとしたが………

 

「!? うわっ!?」

 

「ぐわあっ!!」

 

そこは腐っても大学選抜チーム。

 

最後尾に居たパーシングが砲塔を後方へと向けて前進しながらの砲撃で両車を撃破。

 

更に、撃破されたチハで通路が塞がれ、更なる追撃が阻まれる。

 

「チイッ! 突破されたか!?」

 

「チハを急いで回収させろ! すぐに追撃を再開させるんだ!!」

 

ジェイとボブがそう叫び、撃破された池田車と名倉車の回収を急がせようとする。

 

「まあまあ、そう慌てないの」

 

しかしそこで、クロエが何やらノンビリとした様子で通信マイクを手に取りながら言って来た。

 

「総隊長! 何を言っているのです!? このままでは高地の友軍が!!………」

 

と、オセロットがそうクロエに言いかけた瞬間………

 

「………方位24、距離1500って所よ。やっちゃいなさい」

 

『『了解』』

 

クロエが通信マイクに向かってそう言うと、2人の返事が返って来る。

 

そして、風切音が聞こえて来た。

 

「? 何っ?」

 

アズミがそう声を挙げた瞬間………

 

強行突破したアズミ隊の中に、大口径砲弾が着弾!

 

数輌のパーシングとチャーフィーが吹き飛ばされて、地面に叩き付けられると白旗を上げた!!

 

更に続けて、今度は噴射音の様な音が無数に聞こえて来て………

 

ロケット弾が次々にアズミ隊の中へと着弾!!

 

「「「「「「「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!?」」」」」」」」」」

 

戦車部隊も歩兵部隊も纏めて損害を蒙り、悲鳴が響き渡る。

 

「アレって………?」

 

「ウチのT28とシャーマン・カリオペの攻撃だね」

 

「遅れると言うから如何したのかと思えば、こういう事でしたのね………」

 

その光景を見たシロミとミケがそう言い、ブチが納得が行った様な表情となる。

 

「ぬううっ!! よもや長距離攻撃を用意しておるとはっ!!」

 

泰亭が苦々しげにそう言い放った瞬間………

 

その彼の傍にもロケット弾が1発着弾した!!

 

「おわあああああっ!!」

 

「刃海歩兵隊長っ!!」

 

泰亭の姿が爆炎の中に消え、大学選抜歩兵部隊員の1人が悲鳴の様な声を挙げる。

 

「クッ! 駄目だわっ!! 撤退っ!! 撤退よっ!!」

 

コレ以上の損害は看過出来ないと、アズミは遂に撤退を決め、運良く生き残っていた僅かなアズミ隊の面々は這う這うの態で引き返し始めた。

 

「コチラ絹代。襲って来た敵は退けたわ。損害はチハ新旧が1輌ずつ。すまないわね」

 

すぐに絹代が、その報告を総司令官であるみほへと送る。

 

『いえ、十分です。ありがとうございます』

 

しかし、みほからはそう言う返事が返って来る。

 

「お礼は良いわ。この戦いはフラッグ車を倒さなくちゃ終わらない………相手を退けても一時凌ぎよ」

 

『分かっています。慎重に前線を上げて行って、愛里寿ちゃんの居る場所まで攻め入りましょう』

 

「了解。コッチも一旦態勢を立て直すわ。交信終了」

 

そう言って通信を切る絹代だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、一時撤退したアズミ隊は………

 

「申し訳ありません、総司令。損害が嵩み過ぎた為、撤退しました」

 

『問題無い………高地の敵に対してはC作戦を発動する。お前は一旦下がって戦力を補充次第、前線に戻れ』

 

「了解しました」

 

愛里寿への報告を行うと、アズミ隊は一旦補給地点へと戻り、戦力の補充を計る。

 

「泰亭はさっきの戦いで倒れた! 今からこの歩兵部隊のニューリーダーは俺様だ!!」

 

そんな中、先程の戦闘で随伴歩兵部隊の部隊長であった泰亭が戦死判定となったと思い込んだ星叫が、新たな部隊長を自称し始める。

 

「皆、俺様に従えっ!!」

 

意気揚々とアズミ部隊の面々にそう言い放つ星叫。

 

と、その次の瞬間!!

 

「この愚か者めがぁっ!!」

 

「!? うわあっ!?」

 

そう言う台詞と共に、星叫の背に蹴りが入れられた。

 

「!? 泰亭!? 馬鹿な! お前は………お前はやられた筈っ!?」

 

それは星叫が戦死判定となったとばかり思い込んでいた泰亭の姿だった。

 

「愚か者め! ワシがあんな事でやられると思っていたのか!? 今までのお前の態度には我慢に我慢を重ねてきたが、もう今日という今日は許さんぞ!!」

 

そう言って、蹴られて倒れたままだった星叫にM1ガーランドを向ける泰亭。

 

「オ、オイ、お前等! ニューリーダーの危機だぞ!! 助けろ!!」

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

慌てて助けを求める星叫だが、アズミ隊の面々は気にも留めず撤退行動を続ける。

 

「おめでたい奴だな、星叫。貴様の様な裏切り者を助ける様な奴が此処にいると思ったのか?」

 

「お、お許し下さい~、泰亭様~」

 

途端に星叫は情けなく命乞いを始めた。

 

「全くお前と言う奴は大馬鹿者もいいところだ! もう良い! 貴様なぞ粛清する気も失せたわっ!!」

 

その姿を見た泰亭は呆れた様にそう言い放ち、星叫から銃口を外した。

 

「オイ、歩兵隊長と副隊長、またやってるぜ」

 

「毎回毎回下剋上を起こそうとする星叫も星叫だが、それを何だかんだで毎回毎回許しちゃう泰亭歩兵隊長も歩兵隊長だよなぁ」

 

一連の流れが日常的な事なのか、2人の様子を見て大学選抜歩兵達がそんな事を呟く。

 

「………ハアアァァァァ~~~~~」

 

そしてアズミも、重々しく溜息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

地獄姉妹に攪乱され、レッドショルダー3人衆に打ちのめされ、最後は3機甲部隊に総攻撃を喰らい、挙句T28とシャーマン・カリオペの長距離攻撃を喰らう………
良いとこ無しですね、アズミ隊(笑)

勿論、復帰後は猛威を振るってくれると思います。
C作戦なるものも控えていますし。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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