ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター8『エキシビションマッチ、決着です!』

『劇場版 ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース ~炎のさだめ~』

 

チャプター8『エキシビションマッチ、決着です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エキシビションマッチも、いよいよ終幕の時が訪れようとしていた………

 

アクアワールド・大洗の駐車場へと逃げ込み、大洗・知波単連合に対し優位に立ったかに見えたグロリアーナ・プラウダ連合であったが………

 

そこへ絹代達と黒森峰・サンダース連合が乱入!

 

その隙を衝いて、アクアワールド・大洗の駐車場に突入した大洗・知波単連合………

 

戦いは、3勢力が入り乱れた乱戦となる………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクアワールド・大洗の駐車場………

 

「俺は攻撃を行う!」

 

「バンザーイッ!!」

 

「注意しろっ!!」

 

「射撃せよっ!!」

 

「敵の潜水艦を発見!」

 

「「「「「「「「「「駄目だっ!!」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「ネガティブッ!!」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「ニェットッ!!」」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「ナインッ!!」」」」」」」」」」

 

駐車場内は3勢力の歩兵達が入り乱れ、接近戦を主とした大乱戦となっていた。

 

その中で、元より部隊規模で不利であった大洗・知波単連合であったが、接近戦を得意とする者達が多数居り、戦局を掴み始めていた。

 

 

 

 

 

「イヤーッ!!」

 

小太郎のニンジャシャウトと共に、右腕が鞭の様に撓り、複数のスリケンが投擲される!

 

「甘いっ!!」

 

「ソイヤッ!!」

 

しかし、蜂一と泥川がブレードトンファーと小太刀を振るうと、全て叩き落される。

 

「ぬうっ!………」

 

その光景に唸りながら構えを取る。

 

「葉隠 小太郎………決勝戦の借りを返させてもらうぞ」

 

「2対1は黒森峰の精神に反するでござるが、貴殿が相手となれば、相応の対応を執らねばならないでござるからな」

 

蜂一と泥川は、小太郎に向かって一気に駆け出す。

 

「!!」

 

小太郎が身構えたその瞬間!

 

「龍・鉄・拳っ!!」

 

そう言う声が響いたかと思うと、駐車場に地割れが走った!!

 

「!? ぬおっ!?」

 

「何とっ!?」

 

地割れが目の前に広がり、思わず足を止める蜂一と泥川。

 

「!………」

 

小太郎も驚きながら、地割れが走って来た方向を見やると………

 

「葉隠くん、加勢するよ………」

 

地面に向かって拳を振り降ろした姿勢を執っていた拳龍の姿が在った。

 

「杷木先輩! 忝いっ!!」

 

「あの男………」

 

「クレオパトラ&スフィンクス機甲部隊の試合で見たでござる。空手道場の息子とは聞いていたけど、ココまでとは………」

 

小太郎が感謝し、蜂一と泥川は地割れを起こした拳龍に若干戦慄していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チェストオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!」

 

「キエエエエエエエエェェェェェェェェェーーーーーーーーーーッ!!」

 

気合の叫びと共に剱と月人は斬り結ぶ。

 

「フハハハハハハハッ! 我が世の春はまだ続くううううううぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーっ!!」

 

「! ぬうっ!!」

 

やがて月人が相変わらずハイテンションな様子で、剱を無理矢理押し返し、弾き飛ばす!!

 

「絶好調であるっ!!」

 

お馴染みの台詞と共に、弾き飛ばした剱目掛けて突きを繰り出す!

 

「!!」

 

しかし、剱が身構えるよりも早く、鋏状のサーベルが現れ、月人の刃を挟んで受け止めた!

 

「!? ぬうっ!?」

 

「…………」

 

受け止めた鋏状のサーベルを持った顋は、そのまま月人の刀を圧し折ろうとする。

 

が!!

 

「笑止っ!!」

 

何と月人は鋏状のサーベルに挟まれたまま刀を、顋ごと振り回す!

 

「!?………」

 

振り回された顋は、やがてすっぽ抜ける様に月人の刀から鋏状のサーベルを放した。

 

「………!!」

 

そのまま空中で体勢を整えて着地を決める。

 

「人類が万物の霊長と自負するのであれば、文明の灯を恐れるべきではない!」

 

テンションが上がり過ぎたのか、若干訳が分からない事を言い始める月人。

 

「…………」

 

顋はそんな月人の様子を気にする様子も見せず、再び鋏状のサーベルを構えて襲い掛かろうとする。

 

「せえやっ!!」

 

だがそこで隆太が乱入!

 

顋に空中回し蹴りを喰らわせた!!

 

「!?………」

 

ブッ飛ばされ、地面を転がる顋。

 

「お前倒すけど良いよね? 答えは聞かないけど」

 

そんな顋に向かって、隆太はブレイクダンスの様に踊り、最後にステップを決めながらそう言い放った。

 

「…………」

 

顋はやや憮然とした顔を見せると、無言のまま隆太に向かって行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライダアアアアアァァァァァァーーーーーーーブレエエエエエェェェェェェーーーーーーーイクッ!!」

 

「ブバアッ!?」

 

叫びと共に、ウイリーさせていたバイク前輪をカーネル歩兵の1人に叩き込む弦一朗。

 

「チイッ! アイツが文月 弦一郎かっ!?」

 

「データじゃみてたが、実際に会ってみて恐ろしさが分かるぜっ!!」

 

その弦一朗に姿を見て、ジェイとボブがそう言い合う。

 

「だが、コレ以上は好きにはさせんぞ! ボブ! 奴の注意を引け! その間に俺が仕留めるっ!!」

 

そこでジェイが、ウィンチェスターM70を構え、ボブにそう呼び掛ける。

 

「任せろっ!!」

 

それを受けてボブは、自身の乗ったバイクを、弦一朗に向かって疾走させた!

 

「文月 弦一郎っ! 俺が相手だっ!!」

 

「おっ! タイマンかっ!? 望むところだぜっ!!」

 

単独で向かって来たボブを見て、タイマンだと思い込む弦一朗。

 

両者は激しいバイクアクションを展開し始める。

 

(馬鹿め! 戦場で態々タイマンなどするか! ジェイッ! 良く狙えよっ!!)

 

だが、ボブはハナからタイマンなどする積りは無く、弦一郎をジェイの射線へ誘導しているに過ぎない。

 

(へへ、勝手に勘違いしやがって、ちょろいもんだぜ………)

 

そのジェイは、スコープに弦一朗の姿が重なるタイミングを見計らう。

 

(ココだ! その顔をフッ飛ばしてやるっ!!)

 

そして遂にスコープに弦一朗の顔が重なり、引き金を引こうとした瞬間………

 

突然、ジェイの構えていたウィンチェスターM70がバラバラになった!!

 

「!? なっ!?………!? がはっ!?」

 

驚いたジェイの眉間に銃弾が命中!

 

ジェイは仰向けに倒れ、呆気無く戦死判定となった。

 

「!? ジェイッ!?」

 

「? 何だ?」

 

突然戦死判定となったジェイの姿に動揺するボブと、何が起こったのか分からず首を傾げる弦一朗。

 

「………そのスタンスを卑怯と言う積りは無いが、今度から狙撃の時は自分も狙われてると思う事だな」

 

ジェイを戦死判定させた者………アクアワールド大洗の屋上に陣取っていたシメオンが、銃口から煙の上がっているモシン・ナガンを手にそう言い放つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チイッ!!」

 

義炉太が舌打ちしながら、右手のワルサーGew43半自動小銃を構えたが………

 

その瞬間に、ワルサーGew43半自動小銃に矢が飛び込み、詰まらせる。

 

「!!」

 

義炉太は驚きながらもすぐにワルサーGew43半自動小銃を捨て、MP40に持ち替える。

 

「やれやれ、ニンジャくんにリベンジしたいと思っていたのに、先を越されてしまったよ………悪いが君が代わりに相手をしてくれるかな?」

 

右手にロングボウ、左手にクレイモアを握ったジャスパーが、義炉太に向かってそう言い放つ。

 

「人を代用品扱いするとは良い度胸だな………」

 

「それはどうも失礼。だが、そう思うんなら………私をもっと危険な目に遭わせてくれたまえ」

 

不機嫌そうにそう言う義炉太だったが、ジャスパーは狂気の笑みを浮かべてそう返す。

 

「気迫は本物だな………オイ! 来流矢っ!! お前も手伝えっ!!」

 

その気迫に、ジャスパーの強さが本物だと感じ取った義炉太は、傍に居た来流矢に救援を求めたが………

 

『やる気が出ねえ』

 

先程まで来流矢がいた筈の場所には、そう書かれた紙切れが残されていただけだった。

 

「! アイツはぁーっ!!」

 

それを見た義炉太は、真っ赤になって怒りの咆哮を挙げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、弘樹は………

 

「…………」

 

右手に四式自動小銃、左手にM1911Aを握り、緊迫した様子を見せている弘樹。

 

「まさかこんなにも早く再戦の機会に恵まれるとはね」

 

「思ってもみなかったな………」

 

その弘樹の前には、都草とジョーイが立ちはだかっている。

 

何と強敵だった歩兵2人が纏めてやって来たのである。

 

「…………」

 

だが、それで怖気づく弘樹ではない。

 

既に身体は臨戦態勢にあり、何時でも戦闘が行える状態だった。

 

「「…………」」

 

そしてそれは都草とジョーイも同じである。

 

出来れば都草もジョーイも、弘樹は1対1で戦いたいと言うのが本音である。

 

しかし、部隊の勝利を優先する為………

 

何より、弘樹の強さは身を持って知っている為、正直2対1でも不安を感じていた。

 

「「「…………」」」

 

弘樹と都草・ジョーイの緊迫した睨み合いが続く………

 

とそこで………

 

「うおっ!?」

 

弘樹の傍に、声を挙げながら1人の歩兵が転がって来た!

 

「!………」

 

すぐさま左手のM1911Aをその歩兵に向けた弘樹だったが………

 

「馬鹿野郎! 俺だっ!!」

 

転がって来たのは白狼だった。

 

「神狩 白狼………何をしている?」

 

「見りゃ分かるだろ! 厄介な事になってんだっ!!」

 

弘樹が問い質すと、白狼はそう言いながら立ち上がる。

 

するとそこで………

 

「むっ! 舩坂 弘樹か………」

 

「御取込み中のところ、どうも申し訳ありません」

 

そう言う台詞と共に、デミトリとティムが姿を見せた。

 

「………確かに厄介な様だな」

 

「だろう?」

 

デミトリとティムの姿を見て、弘樹は納得が行った様な顔となる。

 

そして、弘樹と白狼は、お互いの相手に対峙している状態で背中合わせとなる。

 

「すまんが手は貸せん。自力で何とかしてくれ」

 

「言われるまでもねえ。と言うか、最初から手を借りる気はねえよ」

 

そしてそう言い合うと、互いの相手に向かって行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、乱戦を繰り広げる歩兵部隊と同様に………

 

戦車部隊も大乱戦となっていた。

 

「右側面へ回り込んで下さいっ!!」

 

みほの指示でチャーチルに向かって突撃するⅣ号。

 

「アッサム様!」

 

「クッ!」

 

チャーチルはⅣ号目掛けて発砲したが躱され、右側面に回り込まれそうになる。

 

「させません」

 

しかしそこで、Ⅳ号の車体正面を掠る様にIS-2の砲弾が通り過ぎ、その衝撃でⅣ号は一瞬弾かれる。

 

その間にチャーチルは逃げに入る。

 

すぐに体勢を整え、それを追うⅣ号。

 

だが、逃げに入ったチャーチルのすぐ目の前に砲弾が着弾。

 

「!?」

 

「…………」

 

オレンジペコが砲弾が飛んで来た方向を確認すると、自分達の方へ向かって来るまほのティーガーⅠの姿が目に入る。

 

「! 西住 まほっ!!」

 

「このタイミングでっ!?」

 

「………!」

 

オレンジペコとアッサムが驚きの声を挙げる中、ノンナが素早くティーガーⅠを狙い、IS-2の122ミリ砲弾を発砲する!

 

しかしそこで、別の砲撃音がしたかと思うと、IS-2の砲弾に別の砲弾が命中し、弾かれてしまう。

 

「!?」

 

驚きながらもすぐに自分の砲弾を弾いた砲弾が飛んで来た方向を確認するノンナ。

 

そこには、砲口から発砲煙を上げるファイアフライの姿が在った。

 

「ファイアフライ………」

 

その瞬間、ノンナは確かに、車内のナオミが不敵に笑っている姿を見た。

 

「………やってくれますね」

 

見事に意趣返しをされた事に、ノンナも攻撃的な笑みを浮かべた。

 

「「!!」」

 

そしてそのまま、IS-2とファイアフライは一騎打ちに突入した!

 

お互いに発砲し合いながら、機動戦を展開する。

 

「装甲は向こうが上だ! 足は絶対止めるなっ!!」

 

「向こうの方が小回りが利きます! 動きに注意して回り込まれないで下さいっ!!」

 

自車と相手車両のスペックを比較しながら、得意な面で優位に立とうとする両者。

 

ハイレベルな砲撃戦が繰り広げられる!

 

「クウッ! ノンナが足止めされるなんて………だったら、私が!」

 

「ヘーイ、カチューシャッ!!」

 

ノンナのIS-2が、ナオミのファイアフライと争っているのを見て、自分がみほとまほを仕留めようとするカチューシャだったが、その前にケイが割り込んで来る!

 

「! 邪魔すんじゃないわよっ!!」

 

「そんな事言わずに相手してよ~」

 

立ちはだかったケイにそう怒鳴るカチューシャだったが、ケイはケラケラと笑いながら、カチューシャのT-34-85に向かって発砲する。

 

「キャアッ!? やったわねっ!!」

 

砲弾は砲塔正面の傾斜装甲に当たった為、アッサリと弾かれたが、それに怒ったカチューシャは、すぐさまケイに反撃する。

 

「アハハハッ! 当たらないよ~っ!!」

 

だがケイは即座にシャーマンを発進させて回避すると、更に煽るかの様な言葉を続けた。

 

「鬼さんこちら~」

 

「待ちなさ~いっ!!」

 

そのままケイとカチューシャは、追い駆けっこに突入するのだった。

 

「面白そうね! 私も混ぜなさいっ!!」

 

更にそこへ、絹代も参戦するのだった。

 

「西住総隊長を援護するわよ!」

 

「「「「了解っ!!」」」」

 

とそこで、残る大洗・知波単連合のハッピータイガー、八九式、ヘッツァー、クロムウェル、九五式が、みほの援護に向かおうと隊列を整えて、一気に突撃を開始した!

 

だが、その直後!!

 

クロムウェルの側面に砲弾が命中!

 

「「「「「!? きゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!?」」」」」

 

聖子達の悲鳴と共にクロムウェルは横倒しとなり、白旗を上げた!

 

「!?」

 

カレンがすぐにクロムウェルを撃った相手を確認すると………

 

「こんな所まで戦場が移動してたなんて………」

 

やや焦った様子を見せている小梅がキューポラから姿を見せているパンターが、県道108号線を疾走して来ていた。

 

「! パンターッ!? こんな時に!!………撃てっ!!」

 

悪態を吐きながらも、カレンはすぐさま砲塔を旋回させ、パンターに砲撃を見舞う。

 

「! 砲塔左35っ!!」

 

だが、それに対し小梅も、パンターの砲塔を左に35度旋回させ、傾斜をつけた装甲でハッピータイガーの砲弾を受け流す!

 

「!? 次弾装填っ!!」

 

驚きながらも、カレンは次弾装填を急がせる。

 

「突っ込んでっ!!」

 

だがその間に、小梅車は一気にハッピータイガーに突撃!

 

そのまま体当たりをして張り付いた!!

 

「クウッ!! コレじゃ狙えないっ!!」

 

張り付かれてしまった為、小梅車を狙う事が出来ないハッピータイガー。

 

「…………」

 

しかし、その状況は小梅車も同じだった。

 

「赤星さん! 無茶ですよ! 忘れたんですかっ!? コッチはエンジンが悲鳴挙げてるんですよっ!!」

 

小梅車の操縦手が、悲鳴の様に叫ぶが………

 

「持たせてっ!!」

 

「ヒドッ!!」

 

その一言で切って捨てる小梅に、操縦手は涙目になる。

 

「絶対に後ろは見せちゃ駄目よっ!! やられるわっ!!」

 

「りょ、了解っ!!」

 

カレンもそう叫び、ハッピータイガーを小梅車に接触させ続ける。

 

第二次世界大戦中に最強と恐れられたドイツ戦車達が、まるで相撲の様に激しく揉み合う。

 

「コレじゃ援護出来ないっ!!」

 

「くうっ!!」

 

両者がピタリとくっ付いている為、援護する事が出来ずに歯噛みする典子と福田。

 

「初撃破~っ!!」

 

そんな中、ヘッツァーが足を止め、桃がフラッグ車の撃破を試みる。

 

と、その時………

 

「真打ち参上ですわっ!!」

 

そう言う台詞と共に、ローズヒップの黒焦げのクルセイダーが現れた!

 

何と、あの爆発に巻き込まれて、運良くまだ白旗が上がっていなかったのである。

 

自軍フラッグ車を助けようと、アクアワールド大洗の方から回り込もうとしている。

 

「フォイアァッ!!」

 

とそこで、桃の裏返った叫びと共に遂にヘッツァーが発砲!

 

砲弾は物理法則を無視して、アクアワールド大洗の方へと飛び………

 

頭上からⅣ号とティーガーⅠを奇襲しようとしていたクルセイダーに命中!

 

迎撃されたクルセイダーは、フードコート付近へと落ちて、白旗を上げた!!

 

「あ、当たったっ!!」

 

「桃ちゃんが当てたっ!?」

 

「いや、当たったと言うか、敵が当たりに行ったと言うか………」

 

「何にせよ、初撃破だね~。おめでとう河嶋」

 

ありえない奇跡を起こしたヘッツァーの車内では、桃が放心状態となり、柚子が驚愕し、蛍が微妙な顔をし、そして杏がいつもの様に干し芋を齧りながらそう言った。

 

と、その瞬間!!

 

重なった砲撃音と爆発音が鳴り響いた!!

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

その重なった砲撃音と爆発音に、全軍の部隊員達が動きを止め、注目した。

 

その音がした場所には………

 

三角形を描く様に位置取っているⅣ号、チャーチル、ティーガーⅠの姿が在った。

 

3輌全てが、砲門から白煙を上げ、エンジン部を撃ち抜かれて黒煙を上げている。

 

如何やら、Ⅳ号がティーガーⅠ、ティーガーⅠがチャーチル、そしてチャーチルがⅣ号を其々同時に撃破した様である。

 

『大洗・知波単、グロリアーナ・プラウダ、黒森峰・サンダース! 全フラッグ車、走行不能! よって、この試合、引き分けとする!!』

 

上空の銀河から、主審の亜美がその様子を確認し、引き分けによる試合終了のアナウンスを流した。

 

『あ~っと! 引き分けですっ!! まさか三つ巴の戦いで引き分けになるとは、予想だにしませんでした!!』

 

『いや~でも、凄かったですよ。エキシビションマッチとは思えぬ良い試合でしたね』

 

ヒートマン佐々木とDJ田中の締めの言葉の中、観客席の観客達は歓声を挙げている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗町の一角………

 

「はあ~~、引き分けかぁ~………」

 

「そうだね」

 

「やっぱり私達も出れば良かったのに………何で参加しなかったの?」

 

白熱した試合に、やはり自分達も出たかったとアキがミカに向かってそう言う。

 

「出れば良いってもんでもないんじゃないかな?」

 

しかし、ミカは惚けた答えを返す。

 

「ええっ!? 参加する事に意義が有るんじゃないのっ!?」

 

「人生には大切な時が何度か訪れる。でも、今はその時じゃない」

 

抗議するアキだったが、ミカは笑顔を浮かべてそんな事を言い放つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂にエキシビションマッチも決着です。
乱戦の末に引き分けです。
少々駆け足気味の描写だったかも知れませんが、やはり1度戦っている相手だと戦闘の模様が焼き増し気味になってしまうので、このエキシビションマッチは言ってしまえば飽く迄前哨戦ですので、余り長々とやるとグダるかと思い、今回で決着とさせていただきました。

次回は試合後のライブイベントですが………
そこで黒森峰がイメージ回復の為に繰り出した奇策が見れます。
黒森峰の現状と文科省のその後にも少し触れます。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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