最近おかしい事に気が付いた。ていうか気付かないふりに限界がきた。俺、今やメドローア三発撃てる魔法力にクロコダイン並みの耐久力、更に近接では武神流まで使いこなし、プロレスだって超人並みに出来る。
なのに、だ。バランとフレイザードちゃんが凄すぎてチート感がまったく無い。周りのほうが更にチートってどういう事。異世界転生物としてどうなの。それに加え、最近近接でボカロ親衛隊のミク、リン、レンに負け、師匠とやってた魔法力放出勝負でゆかりとルカに負けた。どういう事なの。ボカロ達から苦笑いされたんだけどどうなってんの? くそ。なんて世の中だ。家出してやる!
「はい、ポップさんお弁当です」
「……アリガトウメルル」
家出しようとしたらメルルから笑顔でお弁当渡されました。行動読まれ過ぎ草生えるわ。……ふ、ふん。家出はしてやるんだからね! メルルに手を振られながら見送られてKOP城の外に出ると、何故かそこにはバランがいた。
「……ほう、ポップもくるか。まあいい」
は? 何が? って聞こうとしたらバランのルーラに巻き込まれました。突然過ぎてひゃああああって裏声で言っちゃった。
それでなんか森のなかに着地したはいいんだけど。えっ、ここどこなの。帰っていい? あ、家出したんだった。帰れない。はわわ、これは孔明の罠なのですね? 孔メルルなかなかやりおるわ。勝てた事ないわベッドでも。
「……ディーノ」
「……父さん、なんでここに!」
「ふん、こっちに帰ってくるんだ」
「嫌だ!」
着地した先にはダイ君がいて、相変わらず意思の疎通が不器用過ぎる会話をしている。なーにこれ? 超面倒臭いのに巻き込まれた感があるんですが。あ、そういやバランに優勝の商品希望あるか聞いたらダイ君の居場所って言われたから、しょーがないからメルルに占ってもらってバランに言ってって言ったな。その結果かーっておい、バトルおっ始めやがった。
「いいから帰ってくるんだ!」
「嫌だ!」
……もうね、色々言いたい事あるけどさ。とりあえずダイ君のしちゃって連れて帰ろ? そして街並み見て魔物と人間が一緒にいるのみたら納得してくれるって。ダイ君的にも理想な街だろ。なんで山籠りして一人で修行してたか分からないけどさーとか考えながら二人の戦いを見てるんだけど。
あれ? おかしくない? 竜魔人化こそしてないけど、バランガチってるように見えるんだけど。あ、バランがギガブレイク撃った。ダイ君がライデインストラッシュをアバンストラッシュクロスにして二重ライデインストラッシュで受け止めた。ダイ君すげえ。やっぱ戦闘の天才だわ。ん? ていうか何あの剣。ダイの剣なんてフラグまったく無いはずだよね? なんで竜の騎士の力にあの剣ついていけるの? ……この森、もしかしてロンベルクの工房のある森か? いつどうやって知り合ったのかな? もう分からない事だらけだよ。もう家出やめる。おうち帰っていい? バランはよダイ君寝かせろや。
「くっ、もう手加減はせんぞ!」
「やめえええい!」
バランが竜魔人化しそうだったから、とりあえずバランの頭に空手チョップを入れて止めた。ノーダメージだろ、そんなに睨まないで超怖いんですが。
「ポップ、貴様……!」
「もうね、いいからちょっと任せてくれない? そしてダイ君や、話聞いてくれない?」
「嫌だ! 魔王軍は悪い奴だ!」
誰だよ純粋なダイ君に変な刷り込みした奴はよー。大体モンスターに育てられてその考えおかしいだろうがよー。……しゃーない。
「……ほれ、同じアバンの使徒の話ならどうだ?」
「そっそれはアバンのしるし! まさかポップも!?」
おー通じた通じた。アバンの指導ちゃんと一週間受けてんだもんなダイ君。これ一応捨てずにとっといて良かったぜ。
「……そ。俺の話でもいいし、何ならアバン先生の所に一緒に話しにいく? つーかそれがいいな。俺から話するよりそれがいいわ。よし、バランも行くぞ。それがいい」
そうだ。ダイ君に指導してハドラーに襲われた時のアバン先生ならともかく、今のアバン先生ならダイ君を完璧に説得出来るに違いない。アバン先生の状況もあの時とはまったく違うし。いやー持つべきは使える先生だわ。呪いのベルトくれた師匠なんていらんかったんや。猛虎破砕拳はお世話になってます。というわけでダイ君とバラン両方拉致って一度カールに飛び、アバン先生にダイ君説得してもらった後にKOPに飛んで街の様子を見させてダイ君に納得してもらった。……簡単にすんで良かったぜ。ギガブレイク受け止める子とかマジ怖いわ。ていうか絶対俺より強いわ。さすが主人公だぜ。バランにも超感謝された。ここぞとばかりにちゃんと恩を売りつける事は忘れなかった。バランにはやってもらいたい事があるからね。