転生とか憑依したらさっさとマトリフから指導を受けるのがテンプレと、暇らしくたまに脳内に話し掛けてくる神もどきのいかりや長介竜が言っていたのでマトリフのエロジジイに会いに行く事にした。お前何回何人この世界に転生させて遊んでんだよと突っ込んだら、「だって話完結しないほうが圧倒的に多いし」と意味不明な事を言われた。
それはさておき、パプニカ王国の海岸沿いを散歩する事、二時間。ちょうど散策にも飽きてきた所でバルジ島がよく見える岬でそれらしい洞窟を見つけた。そういや島を目印に探したほうが早かったかと、とりあえず外から声を掛けると迷惑そうな顔をした人相の悪い鬼作さんみたいな顔をしたマトリフが鼻をほじりながらのっそりと出てきた。実にエロそうな顔をしているというのがポップの感想である。
「なんだ? 何のようだ」
不審者であるポップをじろりと睨み付けるマトリフ。だがもともとそんな対応されるだろうなと思っていたポップは、特に気にせずにエロそうなジジイに話をする事にした。
「凄い魔法使いがいるって聞いたから会いに来たんだけど」
「けっ、パプニカの城の奴に聞いたのか? 出て行け」
別にパプニカの人間に聞いた訳では無いが、否定するのもおかしいので塩対応に困ったくらいの反応をしたふりをするポップ。正直、ポップはすでに面倒臭くなっているので、結構帰りたくなっているのだが僧侶系の呪文の契約は原作でもマトリフの元でしていたので現在契約していない。とりあえずそれだけでもやっときたいポップは懐から一冊の本を取り出し、そっとマトリフの前に差し出した。
「……つまらないものですが」
「これは……!?」
目の前に差し出された本を一瞥し、ポップをギロリと睨み付けるマトリフ。
「てめえ、俺を誰だと思っていやがる……」
「いらない?」
「……けっ、入れ」
さっと差し出したエッチな本を奪いとったマトリフは洞窟の中に入るようポップに促した。やっぱエロじじいやんけ。扱いやすいわ。城でエロ本の購入代金の請求でテンパっているだろうマリンの犠牲は無駄じゃなかったと思うポップはクズで間違いない。
とりあえず洞窟に入ったポップは、適当にエッチな本の代償にと話し、雑に壁際に積んであった呪文の契約の書を片っ端から使わせて貰い契約していった。マトリフは一通り終わるまで何も言わずにポップが契約し終わるのをエッチな本を鼻の下を伸ばしながら眺めて待っていた。そして一通り終えただろうタイミングでマトリフが声を掛けた。
「てめえは魔法使いだろう? 何故僧侶の呪文の契約の書を使う?」
「だって使えるかも知れないだろう?」
「なんだ、賢者にでもなりたいってのか」
「いやー、賢者とか偉そうな名前は嫌かな」
「……ほう」
「ま、使えるかはわかんないけど契約しといて損は無いだろ?」
「ふん、変わった小僧だ。で? 契約は終わったのか?」
「大体は……一通り終わったかな?」
「その中には俺のオリジナルの呪文もあっただろう? 教えて欲しいか?」
「教えてくれるの?」
「さー? どうしよっかなー?」
また鼻をほじりながら言うマトリフ。どんだけ鼻ほじるねん。そのままブスっと奥まで差して出血多量で死ねとポップは思いながら、原作でそこまで活躍してなかったが、重力を操るというロマンを感じるベタンを使ってみたいと考える。重力を操る。かっこいい。このジジイが作り出したとはとても思えない。思えばメドローアもめっちゃかっこいい。何故呪文はセンス抜群のくせに呪われたベルトみたいな装備を作ってしまうのか。
……そういえば呪われたベルトって着替える時とか風呂の時とかもベルトだけは付けとかなきゃいけないのかね?
絶対付けたくないわ。
「……エッチな本が欲しいのか?」
「~~♪」
口笛を吹くマトリフ。当たりのようだ。分かりやすいな死ね。そしてポップは考える。このジジイの思い通りに動くのは嫌だと。口笛を吹いたその口の先に偶然爆弾岩が降ってきて爆弾岩とキスした直後にメガンテくらって死ね。……まぁ、思考回路が単純なエロじじいというほうがコントロールしやすいかなともポップは考えたが。
「モシャス」
「おお!?」
モシャスでパプニカのミニスカ痴女賢者(ポップの主観)マリンに変化したポップ。もうお分かりだろう。これなら元手はタダですむ。が、こいつはジジイに自分がそんな事をするなんて気持ち悪く無いのだろうか。何も考えてないというのが正解なのだろう。
「教えてくれるならパフパフしてあげよっかな~♪」
「てめえは……!」
「センスはなかなかだが、如何せん魔力が足りねえな。ま、この俺が鍛えてやるんだ。一流の魔法使いにしてやるよ」
「ぐへぇぇぇ……」
とりあえず素質を見てやると言われた後、浜辺で原作のように魔力放出対決が行われ、挙げ句海にぶっ飛ばされたポップ。鼻に詰めたティッシュが真っ赤に染まったマトリフは、トベルーラで空中にプカプカ浮かび、海に浮かぶポップを見下ろしながら下品な笑顔でそう言った。
これはやばい。どげんかせんといかんと東国原が宮崎県知事になった時並みの決意を命の危険を感じたポップは固めた。
どげんもならんかった。
改めてタグ見ると地雷臭が凄い。正直、タグ見ただけで読みたくなくなるレベル。地雷回避する為のものだろうから用途としてはあってるのだろう。読んで下さる方に感謝。