フレイザードちゃんは頑張った。ポップにパプニカを任せて欲しいと訴え自身の氷炎軍団をパプニカの護衛に使い、パプニカの城で、城下で、必死に頑張った。人と魔族が揉めずに共存出来る環境を作る為、人と魔族が笑って暮らす為。全てはポップに褒めて欲しいが為。少しポップと離れて過ごしていたので、フレイザードちゃんは早くポップに会いたかった。久しぶりのKOP城の中を急ぎタッタッタッタとポップの部屋まで一直線へ駆け出して、ポップの部屋の前につくやいなや、扉をバーンと勢いよく開けた。
「ポップ! パプニカに入植する魔族の件……なんだけ……ど……」
フレイザードちゃんは固まった。フリーズ。目の前の光景が信じられなかった。
「「「「「お父様ー!」」」」」
兵士ミク、騎士リン、城兵レン、僧正ゆかり、女王ルカ。
そう、お分かりだろうか。ボカロがいる。ボカロ達がポップに抱きつきキャッキャしている。ボカロが抱き付くとか犯罪だろうがポップ死ね。その中心でポップは幸せそうに腑抜けている肥溜めに落ちて窒息して死ね。
その時、フレイザードの中で何か弾けた。
「ポップの……馬鹿~ッ!!!」
猛虎破砕拳。フレイザードの拳がポップを打ち抜き、見事ポップの身体を吹き飛ばし天井をぶち抜き更にその上階の天井をもぶち抜き、メルルが包帯を持ち待機していた部屋まで飛んでいった。内臓イカれた。
話は少し遡る。フレイザードちゃんが忙しくなり構ってもらえなくなって寂しくなったポップは、禁呪を使った。ザボエラにパルプンテの書を駒分の数を用意してもらい、ネギとか適当に混ぜながら適当な呪文を唱えた。
「脇をペロペロしたくなる子出てこい脇をペロペロしたらプルプルしちゃう子出てこい脇をペロペロしたくなる子出てこい脇をペロペロしたらプルプルしちゃう子出てこい」
横で禁呪を見守っていたザボエラは言った。「長年生きておるがこんな最低な、最も低俗な呪文を聞いたのは初めてじゃ」と。
ともあれ禁呪はある意味成功、ある意味失敗し、ボカロ軍団が生まれた。オリハルコンどこいった。でもやっぱり当然ポップは狂喜乱舞した。ひゃっほーい。これで幸せ家族完成だぜばんざーいと。ポップは働かなくなった。フレイザードちゃんが頑張って働いてる裏でキャッキャウフフしていた。
そしてぶっ飛ばされて今に至る。完全に自業自得である。ポップは今、フレイザードちゃんの前で土下座している。フレイザードちゃん激おこである。
「ポップ、反省してる!?」
「ハイ、ゴメンナサイ」
「その子達誰!?」
「ハイ、あの、フレイザードちゃんの妹です」
「ミクだよ」
「レンです」
「リンだよー」
「ゆかりです」
「ルカよ」
『貴女がお姉様?』
ボカロ軍団から尋ねられる。この子達に罪は一切無いのは分かっている。フレイザードちゃんはポップを一瞥し、一息吐いた後に笑顔でボカロ達に言った。
「……そうらしいよ、宜しくね? 皆」
『わーい、お姉様だー!』
ボカロ軍団は一斉にフレイザードちゃんに群がった。全員ポップから離れた。ポップ涙目である。
「あ、あれ? 皆? お父様はこっちだよー?」
『弱いお父様より強いお姉様のほうがいー!』
「なんだ……と……」
「じゃあ皆行こうか?」
『はい、お姉様!』
「ちょっと待ってー!!!」
「はぁ、ちゃんと反省してねポップ」
フレイザードちゃんはボカロ軍団を連れてポップの部屋を出た。残当。すれ違いに追加の包帯を持ったメルルが部屋に入っていった。これも全部あの人の計算尽くなんだろうなぁとフレイザードちゃんはため息を吐いた。とりあえずレオナに妹達を紹介しよう。そう思った。
タグにボカロ親衛隊を追加。
ゆかりとリリィとIAとハクで迷った苦悩を分かってくれる人は友達になれると思う。