東方幻想奮闘記(仮)   作:はんちゃん

1 / 5
これは私の自己満小説です。


彼の日常

俺の名前は伊吹和真。人間である。

 

「和馬、5時までには帰ってくるんだぞ!母さんたちはいつもの場所で宴会してるから帰ってきたら其処に来なさい」

「は~い」

 

親の名前は伊吹萃香。鬼である。

 

「天狗や河童に迷惑かけるんじゃないぞ!!」

「は~い」

 

姉の名前は星熊勇儀。鬼である。

 

「楽しんでくるんじゃぞ」

「はい!」

 

 小母様の名前は知らない。他の鬼からは大将と呼ばれている。世間的には鬼神。もちろん鬼である。

もう一度言おう。俺の名前は伊吹和真。人間である。そして、転生者である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ◇

 

 

 

 

 

 お気に入りの場所。それは人間…いや、人間じゃなくても誰もが持っている場所。それは心安らぐ唯一の場所。伊吹和真。人間でありながら鬼の子供の彼は鬼の集落から離れた場所の川で一人…いや、人ではない人の形をした妖怪と二人大きな岩に腰をかけていた。

 

 

 

 どうして転生したのかは分からない。変な上も下も分からない白い空間で神様を名乗ってるやつに会っているわけでもないし、スキマを見たわけでもない。ごく一般的な高校生だったはずだ。

 

「あやや?また考え事ですか。最近それ多いですよね」

「それ?」

「真剣な顔をしてため息をつくことです」

 

射命丸文。

 鴉天狗で俺の親友の一人。年の差はかなりあるけど友情の前では年なんて関係ないと俺は思う。

 

「どうしたんですか?とても人間の6歳児がする顔とは思えませんよ?」

「いや、何で生まれてきたんだろうって」

 

 何で俺は東方の世界に生まれてきたんだろう。何故ゲームの世界なんだ?転生って言うのは自分の世界に生まれて、育って、死んで、そして元の世界に生まれるとかそんな感じだと思っていたのだけれど…まぁ、あくまで予想だったしそれに、今は楽しいから転生には感謝してるからいいんだが、やっぱり何故この世界に生まれたのかを考えてしまう。

 

「もしかして自分はいらない子だとか思ってませんか?」

「そういうのじゃなくて、なんていうか…哲学?」

「そういうことでしたか。そんな事どうでもいいじゃないですか。バカに生きたほうがもっと人生楽しめますよ。人間なんてたった100年しか生きられないんですから。もっとバカに生きましょう」

「バカに、ねぇ…。文は毎日が楽しそうだよね」

「和真さん…バカに生きたほうが人生楽しいって言ったのは貴方ですよ?忘れましたか?」

 

 ……あれは1年前の出来事だ。

 

「覚えてるよ。あの後母さんにすごい怒られたんだから忘れる筈がないよ」

 

 何を思い出したのか和真の目には涙が溜まっていた。その顔をどこか懐かしむように文は微笑みながら彼の顔を見ていた。

 

 

 

 

 

            ◇

 

 

 

「お姉さん何してるの?」

 

 当時の和真は5歳ごろに前世の記憶を思い出し状況整理に戸惑っていた頃だった。そこで鬼の集落の近くで射命丸文が木の上でボーっとしているのを見つけ彼は話しかけてみた。

 

「人間の子供…ああ、鬼に拾われた子ですか。貴方には関係のないことです」

 

 当時の文は真面目で天狗としてのプライドが高く人間を嫌っていてキツイ性格だった。

 彼は興味本位で…いや、ただ友達になりたかっただけなのかも知れないが彼女に話かけてしまったのだ。

 

「人間が馴れ馴れしく話しかけないで。さっさと私の前から消えなさい。食らうわよ」

 

 射命丸が口を開いたと同時に殺気にもにた圧力が和真のしかかって来た。彼は精神が肉体に引っ張られているせいかすぐに泣いてしまい、彼の泣き声を聞きつけ文字通り飛んできた母さんにより文は鬼の集落付近には近づかぬようお説教されてしまったのだ。

 その後、罪悪感がこみ上げ謝ろうと天狗の里の付近に足を踏み入れた彼なのだが、人間を見下した目でしか見ない天狗達は彼をどうにかして追い出そうと試行錯誤していた。しかし、彼は人間だが天狗達が恐れている鬼の子。それも四天王とも呼ばれる伊吹萃香の子なのだ。だから考えるだけ無駄だと判断しゴミを見るかのような目で彼を見るしかしなかった。

 彼はその視線に気づいたのか少し歩く足が速くなった。歩くこと3分。彼は文の姿を見つけ話し掛けた。

 

「お姉さん」

「……何」

「さっきはごめんなさい」

「……」

 

射命丸は答えようとしなかった。

 

 

 

 

            ◇

 

 

 

「あの時の文ってひどかったよね」

 

 彼はクスクスと笑い文の方を見る。

 

「そうですねぇ、あの時の私は流されるがままでしたからね。天狗として生まれたから天狗のプライドを守って、周りの天狗が人間が嫌いだから私も嫌いになってっていう感じでしたから。社会は人を変えるんです。人じゃないですけどね」

 

クスクスと彼女は笑う。

 

「今の文は?」

 

 彼は少し暗い表情で文に聞く。自分の生み出してしまった結果に後悔しているのか先ほどまでの明るさが消えていた。それはとても6歳の子供には似合わぬ表情で何を言いたいのか悟った文はしゃがみ彼と同じ目線で話す。

 

「・・・和真のお陰で変われたのよ」

「それはいいことだったのかな?」

 

 今にも泣き出しそうな顔をして彼は俯いてしまう。

 

「少なくとも私にはいいことだったわよ?確かに今じゃ地位もないし出世も難しいけれど、代わりに『生きる』ということを理解でき、毎日を楽しく過ごせている。あの頃の私じゃ考えられなかった生活ね」

 

 彼女は彼を安心させるように優しく撫でる。

 

「・・・でも俺がやったことって文の未来を「この話はもうやめ!もうそろそろ椛も仕事終わる頃ですし!何時もの場所に行きますよ!」・・・うん」

 

 そして彼女は笑い、彼を肩に乗せる。

 

「それにもう過ぎたことです。どうあがいたって時間は元には戻らないんです。だから私たちは今をバカに生きていきましょう」

「うん!」

 

 彼は彼女の笑みにつられ、涙で頬を濡らしながら笑顔になる。

 

「にとりも行きますよ」

「え!?」

「ばれてたか。なんか深刻そうな話だったし出てこれなかったよ」

 

 にとりと呼ばれた少女は川から上がってきた。少女は川から上がって来たはずなのだが濡れてはおらず、地面に水の後をつけることなく文達に近づいていった。

 

「にとり…いつからいたの?」

「過去の話を始めたぐらいからかな」

「まぁ、知られて困ることじゃないからいいんだけどさ…って!まさかさっきまでの俺の顔を…」

「ばっちり!カメラにも収めておいたよ!」

 

 にとりは親指を立て笑顔で答えた。

 

「最悪だ…」

「まあ和真も子供なんだからいいじゃないか!大人になったらそうは泣けないんだから今のうちに泣いとけばいいよ!」

「そういうもんかな」

「そういうもんさ。ところでさっきの話の続き聞かせてよ!」

「私も興味ありますね」

「うわっ!!」

 

 和真の後ろには犬走椛が仁王立ちしていた。そして肩車してくれている文にはでかいたんこぶができていた。……俺に気づかれず殴るとはさすが天狗。速い。

 

「約束の時間に来ないから心配してきてみれば…」

「ごめんなさい」

「あはは、ごめんごめん」

 

ドゴンという鈍い音が辺りに響いた。

 

「ひゅい!!謝ったじゃないか~」

「反省の色が見えなかったので」

「ところで椛お姉さん」

「ん?」

「さっきの興味あるって…」

「文様との過去のことです。噂では知っていますがやはりこういうのは本人から聞いたほうが確実ですからね」

「まぁ、いいけ「駄目です!!」……どうしたの急に?」

 

 話を始めようとした瞬間文が口を挟めてきた。なんか話してまずいことでもあったのかな?

 

「なんかまずいことでもあったかな?」

「いえ、そういうわけではないですが。萃香さんに来月の鬼の宴会に誘われていまして」

 

 母さんが文を誘うなんて珍しいな。てっきり文のこと嫌いかと思っていたのだけれど……何かあったのかな?しかも鬼の宴会に誘うなんてどうかしているんじゃないか?天狗や河童は鬼を恐れているというのに。

 

「鬼の宴会に混じるとか…文、生きて帰ってきなよ」

「それと過去の話何か関係あるのですか?」

 

 そういえば鬼を一番恐れているのはにとりだったよね。鬼の名前を聞いた瞬間に方がビクっと反応したのを見逃さなかったよ。

 

「それがにとりも椛も誘われてるんですよ」

「「え・・・」」

「しかもその日の宴会場所は鬼の大将の家なんです」

「「え・・・」」

「ななななな、なんで!?」

「いくら文様が一人が嫌だからって私たちを巻き込まないでください!!」

 

 う~ん、俺的には皆が来てくれるのは嬉しいのだけれどその皆がものすごい嫌がってるし無理して来なくてもいいのに。しかも誘われただけなのだから断ればよかったんじゃないのか?

 

「萃香さんが和真の友達は強制参加だからと拳を鳴らしながら仰っておりました。たぶん鬼の皆さんが遊んでいる時の和真さんの話を友達から聞きたいのでしょう」

「ちょっと遺書書いてくる」

「ちょっと修行してくる」

 

 にとりは遺書を書きに川に戻り、椛は鬼に対抗するためか山を登っていった。なんというかドンマイって奴だな。もし俺が逆の立場だったら死ぬね。

 

「あやや、思わぬ形でお開きになってしまいましたね」

「そうだね。にとり達にとって今の話が相当ショックだったのか、過去の話結局できなかった」

「そうそう。その過去の話なんですが宴会の時に話そうと思っていたんですよ」

「納得した」

「では私も帰りますね。こんな感じでお開きにしてすいません」

「いいよ。また文たちが暇な日遊ぼうね」

「はい!」

 

 文は肩から俺を降ろして空を飛び、自分の家があるであろう方向に飛んでいった。俺も空飛んでみたいな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

              ◇

 

 

 

 彼女らが帰った後和真は木に囲まれ周りには大きな岩がある場所にいた。その場所は親も友達も知らない彼だけの秘密の場所。

 

「幻術結界も張ったし。さて、今日も頑張るか!」

 

 彼はその場で目を瞑る。するとだんだん彼の顔が険しくなる。彼の体から赤いオーラが噴出するように溢れ出てくる。

 

「界王拳ッッ!!!」

 

 彼は修行をしていた。修行動機は『せっかくバトル系の世界に来たんだからいろんな技を使ってみたい』ということで1年前から修行をしている。

 

「3倍…よ、4…4倍!!」

 

 彼が今行っている技は界王拳というドラゴンボールというアニメの技で『俺も男だし界王拳ッ!!とか叫んで戦ってみたい』ということで修行している。界王拳自体は修行初めて2ヶ月目で会得しているが3倍までにしか倍率を上げれなかったので上げる修行をしている。

 

「くっ…プハッ」

 

 プシュゥという風船の空気が抜けるような音を出しながら赤いオーラは消えていった。

 

「うっし!4倍まで出来るようになった!!」

 

 

『界王拳』

これは普通の気とは違う界王拳そのものの気を扱う身体強化である。

界王拳のそのものの気とは誰にもあるが、誰にもあるが故に気づかれない気である。界王拳そのものの気を見つけ扱うことは一流の武人でも出来ないことである。

彼は何故使えるのかというと、生前にアニメを何度も見て妄想で何回も練習していたからである。決してすごい才能とかはありません。

 

 

 いや~、これできるまで半年はかかったな。

 

 

「それにしても空が飛べないのは痛いな」

 

 何故飛べないんだ?そういや亀仙人もかめはめ破は使えるのに空飛ぶことは出来なかったよな…。やはり気を纏うだけじゃ駄目なのか。空を飛ぶイメージトレーニングは欠かしたことはないし…今度文に聞いてみるか。いや、しかし俺が修行してるのは内緒にしていることだし…どうしようか。

あれ?なんで内緒にしていたんだっけ?…ああ、そうだ昔母さんに強くなりたいって言ったら『駄目だ、和真は人間の子供だ。強くなんかならなくとも回りに強い鬼や天狗や河童がいるんだ和真が強くなる必要なんてないし絶対にならせはしない』と、くどくど説教されたけど勇儀姉さんが1回だけ修行してくれたんだ。でもすぐに見つかってしまいものすごい怒られてトラウマになりかけたんだ。他の男の鬼は賛同してくれたんだけどな~。

 

「はぁ…」

 

 鬼だから強くなることには賛成してくれると思ったんだけどな。何であそこまで拒否されるんだろう。

 考えていても仕方ない。修行再開するかな。

 

「次はどんな技を覚えようかな」

 

・・・。

 

 行き詰った。

 えっと今覚えている技は…界王拳とかめはめ破…あれ?2つしか覚えていない上にパクリじゃん!!やっべこれ以上パクリ技覚えるのやめよう。界王拳をなるべく使わないようにして……。

 それよりも一番の問題はかめはめ破の名前だな。最終的には『破ァー!!』になっちゃいそうだけど気合入れて撃つときにフルで叫びたいから考えとかないと。

 

 

 

 

 ・・・思いつかねえな。名前は後回しにしてオリジナル技でも考えるか。

 

「おっ!いい技思いついた!!早速修行に…って、もうこんな時間か。そろそろ帰らないと怒られるな」

 

 

 

 

 

           ◇

 

 

 

「ただいま~」

「和真!!!」

「ひゃい!!」

 

 突如空気を振るわせるほどの大声が家中に響く。何事かと星熊勇儀が萃香の元に近づくがすぐにため息をついた。

 

「今何時?」

 

萃香が怒りを隠しきれていない笑顔で和馬に尋ねる。河童の作った時計を横目で見て振るえる声で答える。

 

「…5時」

「何分?」

「…10分」

「家の帰宅時間は?」

「…5時まで…ごめんなさい!」

 

 一瞬の静寂。次に起こる事が分かっているのか和真は涙目になり震えている。勇儀がまぁまぁ、と萃香を宥めるも意味がなく母の怒りは収まらない。

 

「親に心配かけるんじゃない!!!!」

 

 萃香の大声はまたもや家の空気を震わせ、和真を泣かせる。しかし、萃香が言ったように本気で心配しているからこそ本気で怒る。和真もそのことは分かっているのだが、やはり母親は怖いのだ。

 

「ごめんなさい」

「まぁ、もう許してやんな。反省しただろうし!早く宴会に行くよ!」

「まだ言い足りないが…仕方ない」

 

 まだ言うつもりだったのかよ!助かった、本当に助かった。勇儀姉さん本当にありがとう!

 

 和真の先を歩いていた勇儀が振り返り和真に向けてニカッっと笑い親指を立てる。

 

 勇儀姉さんかっけえ!俺、勇儀姉さんみたいな人?になりてえ!!!

 

 

 

 少年はいつか姉の様な強くてかっこいい人になることを誓った。

 

 

 

 




文とのちょっとした過去の話がありますが。この過去のことについて和真は毎日悩んでいます。





こういう駄文が続きます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。