ChuSingra46+1の妄想小話   作:berdysh

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ちなみに右衛門七はありません! な、ないんだからね!


夢の中だけでも 大石主税

 あの人は私を恨んでいるだろうか?

 

 

 私が直刃殿を嫌いだからでしょうか

 

――大好きです

 

 私は一度たりとも直刃殿を好きになったことはありません

 

――あなたに助けてもらったあの日から、一度たりともあなたを想わない日はありませんでした

 

 

 酷いこと言ってしまった。

 

 それでも、私はあの人に生きていて欲しかった。

 

 無事元の世界に帰って欲しかった。

 

 うまく言えただろうか・・・・・・言えたとしたら、随分と嘘が上手になったと思う。

 

 けれど、口にする言葉は私の心を引き裂いた。

 

 嘘です、愛しています。と言って泣いてあの人にすがりたかった。

 

 本当はあなたには生きていて欲しい。

 

 だから・・・・・・、私は・・・・・・

 

 

 私の叫びをあの人に聞いて欲しい。

 

 私の、本当の想いを知ってほしい。

 

 

 

 元の世界に戻ったとき、私を思い出してくれるだろうか・・・・・・

 

 

 二人で見たあの景色を見て、私と過ごした日々をもう一度思い浮かべて貰えるだろうか・・・・・・

 

 

 あの岩に書いた、私とあの人との相合傘を見つけてくれるだろうか・・・・・・

 

 

 

 なぜこれほど希望に縋るのか・・・・・・

 

 最後にあんな事を言わなければ、これほど希望に縋らなくても、あの人はきっと私を忘れなかった。

 

 私が恐れているだけだと、分かっている。

 

 嫌われてしまったのではないかと、恐れている。

 

 自分からあんな事を言い出しておいて嫌いになって欲しくないなんて、身勝手だと知っている。

 

 

 

 だからこれは夢

 

 残酷で、優しい・・・・・・夢

 

 

 母上がいて、私の隣には愛したあの人がいる。

 

 山科の家で、あの幸せだった日々の続きを見ている。

 

 

 萱野殿がいて、時々数右衛門殿が私達に会いに来て、母上にからかわれる。

 

 そんな毎日を繰り返す・・・・・・夢

 

 

 大石内蔵助・・・・・・

 

 赤穂藩の筆頭家老。昼行灯などと暗喩されている・・・・・・私の母上。

 

 

 母上のようになりはたくなかった。

 

――だから努力した・・・・・・

 

 けれど、母上のようになりたかった。

 

――だから認めて欲しかった・・・・・・

 

 

 江戸に行く前夜、私の寝床で語ってくれた母上の言葉は、今までかけてくれたどんな言葉よりも嬉しかった。

 

 例え、どれほど月日が流れようとも、あの日を忘れることは決して無い。

 

 母上は私を大事にしてくれていた・・・・・・

 

 これほどまでに、私を愛してくれていた・・・・・・

 

 

 私を宝だと言ってくれた母上を・・・・・・

 

 

 ・・・・・・私は誇りに思う。

 

 

 

 深見直刃・・・・・・

 

 私が愛して、私を愛してくれた人。

 

 今、直刃殿は私の隣にいる。

 

 これが、夢でも・・・・・・夢だと分かっていても・・・・・・

 

 後ろには母上がいて、私たちを見守ってくれている。

 

 横には直刃殿がいて、私に笑いかけてくれていた。

 

 今見ているのは、直刃殿との祝言の・・・・・・夢

 

 私は、またあの時と同じ姿をしている。

 

 あの時とは違い、今私の隣には、心から愛した人がいる。

 

 

 私の望んでいた夢

 

 

 決して叶わぬ、夢

 

 

 けれど、例えこれが夢だと分かっていても

 

 

 

 せめて

 

 

 せめて夢の中でだけでも・・・・・・

 

 

 

 あなたの横に在りたい




短編みたいなものだけど、1000文字超えるの難しいレベルだ・・・内容が内容だけに
なかり難産だった・・・・・・
主税も好きなんだけどね><;

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