目を覚ます。
すぐ横、目と鼻の先に直刃の顔がある。
そうか、いつもと同じ。
直刃と共に寝て起きて、いつも通りの毎日を迎えただけ。
朝の道場で、共に稽古に励む。
直刃は初めから強かった。
だが、俺と稽古を始めると、更に強くなっていった。
あいつには才能があった。努力もしていた。
だから、強くなった。
そんなあいつを、俺はずっと隣で見てきた。
いつからだろうか･･････毎晩、あいつが竹刀を振っている姿を見ることが、私の日課になっていた。
毎晩、毎晩･･････あいつを見続けた。
気を抜くと、一本取られそうなほど強くなっていた。
それが自分の事のようにうれしかった。
稽古の後は、連れ立って風呂に行く。
未だ混浴に慣れない様子に、思わず笑みがこぼれる。
今更、お互いの裸など珍しいものでもないであろうに。
だが、直刃が俺以外の裸を目に移す事に、少しムッとしてしまう。
混浴であればどうしてもそういったことがある事は分かってはいても、それを許すことができない。
まさか自分が、これほど嫉妬深い女だと知らなかった。
もし、直刃に恋をしなければ、きっと知ることは無かった。
風呂の後、いつもの店で食事をする。
俺の横には直刃がいて、孫太夫や新六、郡兵衛と他愛のない話をしながら過ごす。
あてもなく、特に何かするでもなく、街を共に歩いて回る。
隣で連れ添うように･･････
夜になれば、直刃と愛し合う。
こんなに毎日していたら、すぐに子供が出来てしまうんじゃないか？
少し気が早いですよ。けど、安兵衛さんとの子供が出来たら･･････うれしいです。
俺は･･････お前と会うまで、女としての幸せが掴めるなんて、思ってもいなかった。今の俺は、凄く幸せだ･･････直刃は今、幸せか？
聞くまでもないでしょう？
お前の口から、聞きたいんだ･･････
とても、幸せですよ。俺は安兵衛さんが、大好きですから。
安兵衛さんは、子供が出来たら親バカになりそうですね。
否定できないな･･････直刃は違うのか？
いえ、きっと俺もなります。安兵衛さんとの子供なんですから。
お前に似て、強くなってくれると俺はうれしい
俺は安兵衛さんに似てかわいくなってほしいです
か、かわいいなんて恥ずかしいだろ
かわいいですよ安兵衛さん
直刃･･････
腕の中にいる直刃を、強く抱きしめる。
愛する男の熱を肌で感じる為に。
私は直刃に会うことで、女としての幸せも掴むことができた。
後は･･････
後？
気が付くと、
腕の中に先程まで感じていた熱は無く、
手には、
俺の手には血に濡れた羽織だけが残っていた。
すぐ･･････は･･････？
そうだ･･････あの日･･････直刃は、俺を助けるために･･････
これは、夢･･････直刃はもう、いない。
どこにも･･････いない。
だが、夢の中でさえ、また俺は直刃を失わなければならないのか！？
夢なのだろう！？ 夢の中でまで、俺を･･････
俺を置いて行かないでくれ！！
また、夢を見ている。
初めて直刃に会った、あの宿にいる。
隣には、あの日と同じように郡兵衛が座っていた。
なぜ、こんな場所の夢をみているのか･･････
こんな意味のない夢ならば、直刃のいない夢ならば、早く覚めて欲しいと思った。
安兵衛さん
そういえば、初めてここで話しかけられたんだったな･･････直刃、に
直刃？
掛けられた声に振り向くと、私を見つめている直刃と目があう。
すぐ･･････は･･････？
もし･･････再び俺達が出会って、お互い好き合ったら･･････
そのとき、俺と･･････一生、連れ添ってくれますか？
それは、私が直刃に言った言葉
これは、夢だと･･････夢だと分かっている。
それでもは･･････私は、
ああ･･････一生、連れ添ってやる
せめて
せめて夢の中でだけでも･･････
共に歩いて行きたい
安兵衛さんに一番力が入っているのは否定しない！
安兵衛さんまじヒロイン どストライク
あのエンディングは何度見ても泣ける 泣いてしまう
そいえば原作は１日２食と書かれていた記憶があるけど、この時代、既に３食だったはずだけど。私の記憶違いかな？