皆と無人島で暮らし始めて既に2年の月日が経った。
俺はこの時代の住人ではなかったが、まだこの時代に留まり続けていた。というのも俺、そして一学の二人は、呪いの受けている吉良が死なない限り元の世界に戻る事はできない。吉良はすでに60を超える老体だがまだ元気らしい。先日訪ねてきた一学が「まだ全然元気にしていて、当分死にそうじゃないわね」と言っていた。
その言葉にほっとする自分がいた。吉良の死によって呪いが解けてしまえば、俺たちは元の時代に強制的に戻ってしまう、その事実が恐ろしかった。この時代で60を超える人など極希であり、元気だといってもいつ亡くなってもおかしくない。ただこの時代に留まりたいならば、呪いを誰かに感染させてしまえばいい。だがそんな方法で留まれば悔恨を残すことになる。昔では考えられなかった事だが、今は一日でも吉良に長生きをして欲しかった・・・・・・
ここに移り住んだ当時は、いつか自分の時代に帰るつもりだった。そしてそれは皆にも伝えていることだった。しかし今ではこのままこの世界で一生を過ごしたいと思っていた。
それは、ご城代達4人と・・・・・・関係を持ってしまった為だった。
最初は4人で誰が伴侶にふさわしいかと事あるごとに争っていたが、俺は誰も選ばずにいた。いずれ元の時代に帰る事を考えていることを理由にして答えを出すことを先延ばしにしていた。そんな俺の煮え切らない態度に4人は強硬手段に出てきた。求められるのが嫌なわけじゃない。むしろ一度は恋した彼女たちに心を寄せられる事にうれしささえ感じていた。
あからさまな誘いを除いて・・・・・・3人とも・・・・・・ご城代に騙されてるよ・・・・・・ご城代が後ろで笑ってるのに気づいて! 誰か間違ってるって、騙されてるって教えてあげて! 可哀想で俺からは言えない!
まさか3人の行動は油断を誘うためだったのだろうか・・・・・・今自分が置かれているこの状況はまさにまな板の上の鯉。
乱れた着物で俺に迫り、必死で欲望と闘う俺を嘲笑うかのように、妖艶に笑う美女が目の前にいた。
自身の身を持って、大石内蔵助という人間が底の知れぬ女性だったことを思い知らされていた。
恐らくは夕餉に何か仕込んでいたのだろう。もしかしたら以前、三村さんの持っていた塩を使った媚薬だったのかもしれない。そういえば夕餉の前、すれ違った三村さんが妙に笑顔で俺を見ていたような・・・・・・共に戦った同士だが、切り捨ててやろうかと少し思ってしまったのはしょうがないことだろう。
夕方家に戻ろうとする俺に、将監さんが今夜はご馳走すると話しかけられたのが始まりだった。ここに移り住んでからは、誰かの家で食べる事がよくあったため、特に気にも留めず招待に与った。
将監さんの屋敷には先客がおり、ご城代と萱野さん、それに不破さんがいた。ご城代の姿に少し警戒してしまうが、特に珍しい光景でもなかったのでそのまま夕餉に与った。
ふと気づけば、ご城代を除く3人の姿がなかった。途中誰か一人いない事はあっても、流石に家主である将監さんまでもがいなくなっていた事におかしいと気づくべきだった。以前の失敗からあまり飲まないようにしていたお酒を今日は珍しく飲んでいたのもあって思考が鈍っていたのかもしれない。
妙に体の一部が熱くなり、何かおかしい? と気づくが時すでに遅く、次の瞬間にはご城代に押し倒されていた。
必死に抵抗するも、熱く滾る欲望と、あの日を思い起こされる彼女の姿に、理性という堤防はあっけなく決壊した。
まるであの夜を再現のするかのようにお互いを求め合った。それは貪り合うかのように甘く激しいひと時だった。
2度目の折、安兵衛さんに恋をする前・・・・・・ご城代への恋は終わったものだと思っていた。だが、俺はこの人のことをまだ愛していたのだと思い知らされた。
ここで終わっていればご城代を伴侶に選んでいたかもしれなかった・・・・・・が、夜は終わらなかった。
3度目の情事の最中、突然の来訪者によって俺とご城代の二人きりの逢引は終を告げた。
来訪者は堀部安兵衛、大石主税、矢頭右衛門七の3人。いずれも怒りを抑えきれないといった表情を浮かべたまま家に上がり込んできた。
その怒りの表情に血の気が引いていく。誰も選べないといった態度をとっていたにもかかわらず、彼女達の知らぬうちに大石内蔵助という女性と愛しあっていたのだ。裏切られたと思い切られても文句は言えない。せめて誰かを選んでいれば・・・・・・
・・・・・・あれ? 誰を選んでも同じような光景しか想像できないな(汗)
すでに安兵衛さんは刀に手をかけ、いつ抜刀してもおかしくないように見えた。対する俺とご城代は共に一糸まとわぬ裸であり、当然帯刀などしていない。このままでは俺の上に乗っているご城代が一太刀のもとに切られてしまうかもしれない。責任は俺にある。だからそれだけは避けようと声をかけようとするも当のご城代に俺の言葉は遮られた。
とんでもない言葉によって。
「遅かったの、お主ら・・・・・・もう始めておるぞ?」
「・・・・・・え?」
「・・・・・・ご城代が、予定よりも、早かった、だけです」
安兵衛さんが刀に手をかけたまま、怒りを滲ませた声で答える。
「まぁまず私が一番乗りというのは前持って決まっていたことじゃからな。別におかしくはあるまい?」
「・・・・・・は?」
「ですが母上・・・・・・そうは言いつつも、ここは娘の私に譲るのが親として・・・・・・」
「何を言っておる。恋に子も親もあるはずもなかろう? それにもうすでに右衛門七は直刃に抱かれておるではないか」
自分に振られると思っていなかった右衛門七は3人の視線を受けて怯みつつも反撃する。無い胸を張りながら。
「そ・そうです! 最後に直刃しゃんが恋したのはこの右衛門七です! 私達すでに男女の仲・・・・・・よって伴侶となるのはすでに決まっているのです!」
自信満々に勝利宣言をする右衛門七だが、ご城代はにやりと笑みを浮かべてとんでもないことを言い始めた。
「ほほ~、男女の仲になれば伴侶となるなら私も直刃と夫婦じゃな。直刃も私を愛していると先程までこの身が溶けそうなほどに囁いてくれたぞ」
「はっ!?」
いや確かに囁きましたが今言うことじゃないですよね!? というかどうなってるのこの状況!?
「直刃ぁ・・・・・・本当か?」
安兵衛さんの矛先が私に向く。見事な動きで刀が鞘から引き抜かれる。
「ちょっ! か・刀しまってください!!」
彼女の腰から抜かれた刀に腰を浮かし、後ずさりしようと試みる。すると私の上で未だ繋がったままの女性は素早く首に手を回し、このような状況にもかかわらず未だ硬度を維持し続ける愚息が、蜜壺から抜けないように更に密着してきた。
「あっ・・・・・・んん・・・・・・」
「!?」
こ・こんな状況で何してるんですかご城代!? 火に油注いでるんですけど!! 俺の愚息も人のこと言えないけど!!
「・・・・・・」
目の端に、主税が無表情のまま刀を抜く姿が見えた。その横には笑顔で槍を構える右衛門七も見えたきがする。
俺死んだ。
「ふふふ・・・・・・この状況でも硬さを失わぬお主はなかなかの大物じゃのぉ。皆、そろそろ殺気を収めぬか。怒りは分からんでもないが約束は約束じゃ」
もう殺されると覚悟した俺をよそにご城代は3人に声をかける。
「「「・・・・・・」」」
すると怒り自体はあるものの鞘に刀を収め、俺を射殺さんと放たれていた殺気は随分と薄れていった。
「見せられるだけでは不公平ですので我らも加えさせていただきます。それにその様子からしてすでに複数回直刃と体を重ねたのでしょう? すぐに変わってください」
「え~まだ3度目を始めたばかりじゃぞぉ・・・・・・」
「母上!」「「ご城代!」」
え? 何? 何が起きてんの?
「しょうがないのぉ」
そう言うと名残惜しげにしつつも首に回していた手を解き、自身を貫いていたモノを引き抜いた。
引き抜かれたそれを見て、3人は顔を赤らめる。だが目を離そうとしなかった。それどころか安兵衛さんに至っては、
「直刃・・・・・・俺はお前のそれから・・・・・・毒を・・・・・・」
と言ってうっとり見つめていた。
だけでなく、そっと近寄り、身につけていた着物を脱ぐと、それを手に取りゆっくりと口に含んだ。
アレに夢中になった安兵衛さんからの責めに耐えている中、ご城代からこれが一体どういう状況なのか説明をされた。
曰く、このままでは埒があかないから4人とも娶ればいいじゃない。世間体とか無いし。直刃なら平等に愛してくれるじゃろ。というわけらしい。
ナニソレ オレノ イシハ?
順番はサイコロ賭博で決めたらしい。右衛門七はすでに抱かれているという理由で最後に回されたらしかったが・・・・・・
「まぁ誰かを選んでおってもいずれはこうなっておったじゃろうがのぉ」
それに俺は答えることができない。なぜなら物理的に口を塞がれていたからだった。
「ん・・・・・・んぁ・・・・・・直刃ぁ」
今度は娘である主税が首に手を回し、俺との口吸いに酔いしれていた。
「直刃しゃん・・・・・・」
手は主税と右衛門七の股間に伸ばされており、二人は擦り付けるように体を寄せる。残されたご城代は、背中に抱きつき俺の尻に手を伸ばしていた。
「ほぉれ・・・・・・もっと頑張れ」
「んん! ん!? ん!」
アッーーーーーーーーーー!!!
一度は恋し愛した女性との逢引・・・・・・もう触れることも、会うことも叶わぬと、悲しい別れを繰り返し、絶望に打ちひしがれた。
二度と叶うことはないと思っていた彼女達との秘め事・・・・・・幾度も体を重ね、お互いのぬくもりを求め合う。失った時間を埋めるかのように・・・・・・
あの時とは違い複数同時に関係を持つという不義理な行為だったが、それでも幸せだった。
また彼女達と共に在れる日々に、途方もないほどの幸せを感じることができた。
こんな毎日が続けばいいと心から思った。
と、心底思えたのは途中までだったかもしれない。
俺は休む間もなく体を重ねた。
俺は
俺だけが
終わる・まで・不眠不休で・俺・だけ・が!
朝方まではまだ元気だったと思う。だが、さすがに疲労の色が濃くあらわれ休息をご城代に願い出た・・・・・・が、
「ご城代・・・・・・そろそろ休みましょう・・・・・・」
「何を言う。まだこれからじゃ。以前の私とは朝まで愛し合ったのじゃろう?まだまだ大丈夫じゃ」
「いえ・・・・・・あの時とは色々違って・・・・・・それに仕事も・・・・・・」
「そんなもの、萱野と数右衛門にやらせればいいじゃろ」
ひでぇ!
「さぁ、まだまだ続けるぞ」
安兵衛さんに願い出た・・・・・・
「もう毒は大丈夫ですから・・・・・・休みませんか?」
「あむ・・・・・・れろ・・・・・・はぁ、んん・・・・・・ぴちゃ」
・・・・・・聞いてない!
主税さんに嘆願した。
「・・・・・・そろそろ終わろう・・・・・・」
「母上とどちらが気持ちいい? なぁ直刃・・・・・・私はお前が求めてくれればどんな事でもするぞ?」
恍惚とした表情を浮かべてこいつも話聞いちゃいねぇ! 今終わろうって求めたよね!?
右衛門七に助けを・・・・・・
「ほれほれ、今まで以上にかわいがってやるぞ~右衛門七はかわいいのぉ。ここか?ここがええのか?」
「や、駄目です。ご城代・・・・・・そんなに胸を、はぁ・・・・・・ん! も、もう右衛門七は・・・・・・」
助けを求めてる側だった!
俺が解放されたのは昼も過ぎた頃だった。解放といっても死ぬように眠らせてもらっただけだったが。
昼になり、屋敷に戻ってきた将監さんによって止められなければ俺は死んでいたかもしれない・・・・・・
将監さんまじ天使 結婚しよ
「そのままでは今晩立たないのではないか? 少し休ませてやれ。ついでに精力のつくものを夕餉に用意してやろう」
将監さんまじ鬼畜 離婚しよ
そういえば元々彼女に夕餉に誘われてから始まったことだった。なんという鬼。悪鬼羅刹。
「・・・・・・とてもとても効くものを用意してやろう。それはもうねむれなくなるほどのを、な」
凄みのある笑顔で言われ俺は眠るように意識を失った。決して恐ろしさに失神したわけではない。
目を覚ますと寝る前と部屋が変わっていた。どうやらご城代の屋敷に移ったらしい。まぁ将監さんの屋敷に居座ったままじゃ迷惑ですよね。
そして右に顔を向けると笑顔全開なご城代と主税、反対側には安兵衛さんと右衛門七。枕元には精力が漲りそうな内容の食事。マムシづくし、ウナギ、スッポンなどなど・・・・・・
それからしばらくの間、俺に日の光をまともに浴びた記憶はなかった・・・・・・
全然エロくない><だから18じゃない><