白義蒼仁~浅井長政伝~   作:楽一

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私歴史上(戦国時代)人物で一番好きな人物です。ただ展開は完全オリジナルです。


序章

序章 

 

 

 その日オレこと浅井(あさい)良一(りょういち)は確かに事故にあった。

 

 そして救急車に運ばれていたオレは意識がだんだん遠くなって終(しま)いにはもう二度とこの景色を見ることが無いと思っていた。

爺ちゃんから教わっていた剣術や武術、弓術ともお別れ。墓には享年16と書かれるんだろうな~、と思っていた。

 

 だが、そう思っていたときに再び眼覚めるとそこには何にもないただ真っ白な世界が広がっていた。そしてオレもなぜか真っ白な服を着ていた。そして目の前には同じ顔をオレと同じ身長の人がいた。ていうかも一人のオレがいた! なにこれ!? いわゆるドッペルゲンガー!?

 

 

 

――違ぇよ、バカが。それよりお前、生きたいか?

 

 

 

 するともう一人のオレがオレにバカ呼ばわりした後、そう言った。

 

 

 

『なんだ?』

 

 

 

――もう一度聞く。お前に問おう。生きたいか?

 

 

 

『あぁ! 無論だ! オレは生きたい!』

 

 

 

――・・・そうか。なら生きろ。そしてお前が知る歴史を変えてみろ。

 

 

 

『歴史?』

 

 

 

――だがお前が向かう世界はお前の知る世界ではない。

 

 

 

『どういうことだ?』

 

 

 

――お前の知る言葉で言うなれば異世界、もしくはパラレルワールドとでもいっておこう。

 

 

 

『はぁ!?』

 

 

 

――お前が生きたいならそこにお前をつれて行こう

 

 

 

 そういってオレを指差すオレ。

 

 

 

『生きられるんだよな?』

 

 

 

――無論だ。

 

 

 

『なら生きたい!』

 

 

 

――そうか。一つだけ言っておこう。ならお前の力で歴史を変えてみろ。

 

 

 

『どういう意味だ』

 

 

 

――言ったはずだ。お前がこれから生きる世界は異世界。ならその世界をどうするのもお前次第。

 

 

 

『そうか。なら変えてやるよ! その世界と言うのを!』

 

 

 

 オレがそういうと、もう一人のオレがニカッと笑い。

 

 

 

――それでこそお前だ。なら行け。お前の進むべき道を。

 

 

 

 もう一人のオレが指差す方向には一つの扉があった。

 

 

 

 オレはそこへ向かうとゆっくりその扉を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてオレが目を覚めると見知らぬ天井があった。

 

「・・・・・」

 

 その天井はオレの実家の近くにある復元された城の天井とよく似ていた。

 

「あぁ、あぁ」

 

 それにオレは声が発せられない。さっきから赤ん坊が泣くような声しか出ない。

 

「でかしたぞ! 小野(おの)! 男(お)の子じゃ! 儂に後次ができたわい!」

 

「はい。おめでとうございます」

 

 小野? どちらさん? というか男の子? オレは16歳のバリバリ現役の高校生ですぜ? 教えてやりますか。

 

「オギャーオギャーオギャー」

 

・・・・あっれ~? 声がでねぇ!?

 

「はっはっはは。元気のよい男児よ! そうでなくてはならぬ。お前は将来近江浅井家をしょってたつ子なのじゃからな!」

 

 待て。今なんつった? 近江? 浅井家? それにこのおっちゃん平成の世になんでちょんまげ? コスプレっすか? いい年こいて。んで、その隣のお嬢さん。オレと結婚し直しませんか? そこのおっさんよりオレの方が絶対良いって!

 

「お前の名は、そうじゃな。お前の名前は猿(さる)夜叉(やしゃ)丸(まる)じゃ!」

 

「あらあら、そんな大層な名を?」

 

「あぁ。ようやくできた子じゃ! そう簡単に死んでもらっては困る! それにこの瞳! 何とも輝かしい! なんとまっすぐな! この子は将来大物に! 天下を取る!」

 

「まぁまぁ、期待が大きいですわね」

 

「うむ!」

 

 こうやってオレは新たな命を手に入れた。

 

 幼名猿夜叉丸。

 

 のちに浅井長政と名乗ることになる戦国時代の武将だ。だが、この時オレはそんなことを知る由もなかった。

 

 


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