虚無とギアス   作:ドカン

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実家

 

 馬車の窓からは、どこまでも続くかと思えるような田園が広がっていた。実りはじめた麦達が、わずかに首をかしげていた。

「わぁ……、わたし、こんな遠くまで来たの初めてです」

 シエスタがそういって窓の外の風景を眺めている。ルルーシュも同じように、牧歌的な光景に目を細めていた。

 ルルーシュたちは、ルイズの実家であるラ・ヴァリエール家へと向かっているところだ。後ろの馬車には、ルイズとエレオノールの姉妹が乗っている。

 エレオノールのもとにヴァリエール公爵から、取り急ぎ実家に来るように手紙が来たからだ。トリスタニア中の窓をガラス窓に変えるような事業をいきなり娘たちが始めたのだ、当然の対応であろう。

「ルルーシュさん。なんでルイズ様たちとご一緒の馬車に乗らないんですか? エレオノール様とも仲がいいのに」

「あれは仕事のつきあいだからね。仕事を離れた今、俺はただの従者にすぎない。エレオノール様は公私をきっちり分ける方だ」

「あはは、どっちが私事なのかわかりませんね」

 シエスタは今、ルイズが侍女として雇っていた。経営者と学生の二重生活を支えてくれている。給金はモット伯のところほどではないがかなり高い。ルイズはもっと出そうとしたのだが、当のシエスタが遠慮して受け取らなかった。

「これからルイズ様のご実家に行くんですね。楽しみです」

 呪いによって記憶を封じられた少女は、無邪気に窓の向こうを眺めていた。手や肌の傷は水の秘薬を使って治してあるが、あのぼろぼろの姿を見たルルーシュは痛ましさを感じずにいられない。

 だが、ルルーシュは顔にはださない。優しい仮面を身につけ心を隠す。それがルルーシュの生き方だった。

 

 後方の馬車には、ルイズとエレオノールの姉妹が乗っていた。最近はルイズとエレオノールはよく会っているので、以前のようにルイズが縮こまってしまうことはなかった。無論、絶対的な力関係はそのままだったが。

「やっぱり妻子持ちはトリスタニアから動きたがらないわね。かといって独り者だけで選ぶのも偏りが出るし……」

「お姉さま。ラ・ロシェールはどうでしょう? トリスタニアへの定期便がありますし、将来的に輸出を考えても中々いいんじゃないでしょうか」

「ガラスは重いし壊れやすいから、長距離の輸送は面倒なのよ。だからわざわざ新工場を造ろうとしているわけでしょう? あなた、自分の石けんのことばかり考えてない?」

「い、いいえ! そんなことありません」

「でも、ラ・ロシェールというのはいいかもしれないわね。あそこの窓を全てガラスで埋め尽くせば、他国からのお客にトリステインの豊かさを見せつけることが出来るわ」

「あ……なるほど。そういう意味でも、流通の要所に進出するのは有用かもしれませんね」

 話す内容はほとんどこの手のことばかりだった。いちおう公爵家の令嬢というとびきりの淑女のはずだが、話している内容は豪商の密談である。淑女としてどうなんだろうと思わないでもなかったが、ルイズは苦手だった長姉とたくさん話せるようになったのはうれしかった。

 やがて実家であるラ・ヴァリエールの邸宅が見えてきた頃、ルイズが言った。

「今さらですけど……お父様はすごいひとなんですね」

「何を言うのよ、急に」

「だって、わたしたちの工場でもまだ二百人ちょっとなのに、わたしはみんなに助けてもらってやっとです。お父様はそれよりずうっとたくさんの人の上に立ってるんですもの」

「……そうね。お父様から見れば、わたくしたちがしていることなど、ままごと程度のことなんでしょうね」

 公爵家の権威とルルーシュの入れ知恵で市場を蹂躙しているルイズたちと、貴族社会という魑魅魍魎の跋扈する舞台で立ち回っている父親とでは、格というものがまるで違う。ルイズもエレオノールも、人を使うようになって改めて、父親の偉大さを知ったような気がしていた。

 

 ルイズの実家は屋敷というよりも城といった方が正しい規模だった。先日訪れたモット伯の屋敷などは比べものにならない。さすがのルルーシュも、この規模の城には舌を巻いていた。

 屋敷に入ると、何十人もの使用人達が一斉に頭を垂れてエレオノールとルイズを出迎えた。さっと侍女が二人にとりつき、髪を直し、服の乱れを整えた。

「お帰りなさいませ。エレオノール様、ルイズ様」

「ジェローム、お父様は?」

 家令にエレオノールが聞いた。

「バルコニーでお待ちになっております」

 ルイズたちは家令に案内されてバルコニーへと向かった。シエスタは召使いの控え室に向かわされたが、ルルーシュはエレオノールが有無を言わせず引っ張ってきた。

 バルコニーには三人の人物がまっていた。説明がなくとも、ルイズの両親と、もう一人いるという姉だとルルーシュには分かった。

「戻ったか、エレオノール、ルイズ」

 公爵は渋みがかかったバリトンで娘達を迎えた。年の頃は五十過ぎ。ブロンドの髪と髭には白くなり始めているが、モノクル越しに光る眼光には年齢をまるで感じさせない鋭さがあった。

「ただいま戻りました。お父様」

 二人の姉妹が公爵に近寄り交互に接吻をした。

「二人とも、トリスタニアで何をやっているのかしら。ここのところ、社交の場であなたたちの話題が出ない日はありませんよ」

 そう言ったのはルイズたちの母親である公爵夫人だった。ルイズは母親に似たのだろう。公爵夫人はあでやかな桃色のブロンドを結い上げ、鳶色の瞳で娘達を見ていた。

 両親ともに娘達を深く愛しているのが伝わってきた。大貴族は、ともすれば子育てを人任せにして、親子の情というものが薄くなりがちである。この親子は貴族という格式の中でもしっかりと愛情をはぐくんできたのだろう。

 ルルーシュの心の中に、ほんのわずかな羨望がわき上がった。今更そんな感情があったのかと、思わず自嘲する。そんなルルーシュの気分を吹き飛ばすかのように、明るい声が上がった。

「ほんとにもう、二人だけで楽しそうにしちゃって。今日はたっぷりとお話を聞かせてもらいますよ」

 ルイズのもう一人の姉であった。名前はたしかカトレア。ルイズに聞いていたとおり、優しげな雰囲気の女性である。桃色の髪と鳶色の瞳はルイズとそっくりだった。

「それで、こちらの方はどちらの恋人なのかしら? お姉さま? それともルイズ?」

 次女が突然言い出した爆弾発言に、その場にいた全員がぽかんと口をあけた。直後、長女と三女がまっ赤になって言い返す。

「なぁにを言ってるのカトレア! わたくしがこんなのと恋仲になるなどありえないでしょう!」

「ちい姉様! これはわたしの使い魔です。そういうのじゃあありません!」

 これとかこんなのとか、おまえらずいぶんな言いぐさだな。そう思いつつも、穏やかな従者の笑みを貼り付けて一礼する。

「お二人の仰せの通りです。私ごときが恐れ多いお話です」

「あらそう。ごめんなさいね。わたし、すぐに間違えるの。気にしないでね」

 カトレアはコロコロと楽しそうに笑った。そして、ルルーシュにだけくすりと悪戯っぽい笑みを見せた。

(……?)

 

 バルコニーでお茶を囲みながら、ルイズとエレオノールは自分たちの事業のことを家族に説明した。ルルーシュは口をださず、黙ってルイズの後ろに控えていた。

「なるほど、それぞれがやるべきことを限定して全体として動くわけか」

 分業についての公爵の理解は速かった。ルイズがさすがですね、と言うと、戦場では当たり前のことだ、という答えが返ってきた。

「しかし、安く造って平民に売るとは考えたものだな」

「塵も積もれば山となるというものです」

「ふむ。それを考えたのが、そこにいるルイズの従者、というわけだな」

 急に自分に話題が向けられ、ルルーシュはエレオノールに一瞬目をやる。エレオノールはふてぶてしく笑ってこちらを見ていた。

「隠さずともよい。娘達をよく助けてくれているようだな。儂からも礼を言おう」

「……もったいなきお言葉でございます」

「そう警戒するな。今はお主をどうこうしようとは思わん。事実、ルイズによく仕えてくれているようだ。この子が儂の前で、こんなに落ち着いてものを話せるようになったのはお主のおかげであろう」

 そう言って豪快に笑い飛ばす。ルイズはまっ赤になって縮こまってしまった。

「お嬢様が自分で考え、悩んだ結果でございます。失礼ですが公爵閣下。子供というのは親が見ていないところで成長しているものですよ」

 そう言ってにこやかにほほえむ。親子五人と従者一人を加えた茶会は、和やかに進んでいった。

「これはまだ正式な話ではないが……」

 そう言って公爵が切り出してきた話は、姫殿下が工場へ視察に来るという話だった。王城で姫殿下本人から内々に聞いたらしい。

「ほ、本当ですか!」

 ルイズは飛び上がらんばかりに喜んだ。エレオノールも珍しく素直な笑みを見せている。ルルーシュはというと、王族の視察に対して、まず打算しか浮かばない自分に苦笑していた。

 実際、王族の視察というのはただの社会見学ではない。王族が来たという事実は、『のれん』に箔をつけることになる。のれんの値段だけは、手に入れようと思って手に入るものではない。もちろん、良いことばかりではないのだが、この和やかな席ではあえて考えようとは思わなかった。

 

 晩餐会に出席したあと、ルルーシュはあてがわれた部屋で休んでいた。

 ルイズが言付けたのか、それともはじめからなのかは分からないが、それなりに上等な部屋だった。食事も、シエスタと一緒にとったが賄いのようなものではなくちゃんとしたものが出て、ワインも付いていた。

「さて……」

 ルルーシュはルイズの実家に行くと聞かされたとき、有無を言わさず公爵家に取り込まれるのではないかと危惧していた。ここのところ、久しぶりに人を使う楽しさを思い出し、つい調子に乗ってしまっていた。その手腕がエレオノールから公爵に伝われば、自分は公爵家のカードとして扱われるだろうと覚悟していた。ルルーシュは、エレオノールがそういう判断ができる女だと評価していた。

 事実、公爵はルルーシュのことをエレオノールからよく聞いていたようである。だが、今のところ公爵はルルーシュに対して何かを要求するわけではなかった。思っていたよりも、公爵は懐の深い人物なのかもしれない。

 だが、娘の手前大人しくしていたという可能性もある。滞在中になにかのアクションがある可能性は十分に考えられるだろう。

(考えられるのは地位と女だな。子飼いの貴族の令嬢あたりをあてがってくるかもしれん。さて、どうしたものか……)

 人を籠絡するのにもっとも手っ取り早い手段は金と女である。とくに女という鎖は、金という鎖よりも断ち切りにくい。もちろん鎖の根本をしっかり握っていないといけないのだが。ルルーシュ自身は、かつてギアスという人心を操る手段を持っていたため、あまり縁のない手段ではあった。だが、その有用性はよく理解していた。自分自身、女が原因で腹心の一人に裏切られたこともあった。

 さて、女性の扱いというのはルルーシュにとっては不得手な部類に入る。パーティなどの場で紹介されてしまったら、うまくあしらう自信がなかった。

 ルイズに相談したものかどうか悩んでいると、部屋の扉を叩く音が聞こえてきた。

「……はい」

 自分で開けないところから、相手を貴人だと察して扉に手をかけた。ルルーシュの予想は良いものから、エレオノール・公爵自身・公爵の命でやってきた貴族の令嬢の順だった。ルイズなら自分で扉を開けるか扉の前でやかましくがなり立てるので除外。だが、そこに居たのはルルーシュの予想を裏切る人物だった。

「こんばんは。ちょっとお話をしたいのだけど、いいかしら?」

「……カトレア様?」

 そこにいたのは、ルイズの下の姉であるカトレア嬢であった。従者などを付けている様子はなく、居たのは本人だけであった。

 この瞬間、ルルーシュの中で公爵の評価が最低にまで下がった。これが、部下の令嬢をあてがってきただけなら、ルルーシュは迷惑に思いつつも公爵に悪い心証を持つことはなかっただろう。だが、家族を駆け引きのカードにすることは、ルルーシュがもっとも嫌うことの一つだった。

 名のある家に生まれた娘なら、その身が政略の駒となるのは当たり前のことだ。極論を言えば、公人には私事など存在しない。それは理解している。このカトレアもまた、それを理解しているのだからここにいるのだろう。それでも、ルルーシュは胸の中で遠い昔の激情が蘇ってくるのを感じていた。

「何か御用でしょうか、こんな夜更けに」

 微笑んで一礼する。胸中を完全に隠した仮面の笑顔。

「あ、その……誤解しないでね? 夜に殿方のお部屋に一人で来ては仕方のないことかもしれないけど……」

 カトレアはやや顔を赤らめて言った。

「あなたはお父様のことを色々と警戒しているようだけど、わたしはそういうつもりじゃあないわ。ただちょっと、お話がしたいだけ」

 心を読んだような物言いに、ルルーシュの仮面が思わずゆがむ。顔に本音を出すほど自分は安い役者ではないはずだ。その様子を見て、カトレアがあわてて言った。

「ごめんなさいね。わたし、ちょっと人より聡いところがあって……、あまり気分の良い物ではないわよね」

「い、いえ……では、その」

 ルルーシュの言をカトレアがひきつぐ。

「ええ、ここに来たのはわたしの意志よ。お父様もヴァリエール家も関係ないわ。もちろん、あなたと“どうこう”なる気もないから、安心して」

 コロコロと笑いながらそう言う貴婦人を前に、さすがのルルーシュも顔を引きつらせた。

 

「まことに申し訳ありませんでした……」

「いいのよ。いくら主人の実家だからって、いきなりこんな要塞みたいなところに連れてこられては警戒してもしかたないわ。それに、貴方は何も言っていないんだし、わたしが勝手にあれこれ話しただけよ」

「そう言って頂けると助かります」

「あら? それじゃあわたしがまるで、はしたないことを急に言い出す変な人みたいじゃない?」

「え……あの……」

「うふふふ」

 ルルーシュとカトレアは、昼間来たバルコニーに来ていた。カトレアはルルーシュや自分の部屋でも構わないと言っていたが、ルルーシュの『懸念』を察してくれ、バルコニーで話すことになった。

 ルルーシュはこの、カトレアという女性がどうにも苦手だった。他の二人の姉妹と違い、ペースがつかめず翻弄されぱなっしだった。その理由にはなんとなく気づいてはいたが、あえて意識しないようにしていた。

「それで、お話とはなんでしょうか」

「貴方のことが知りたいと思って。お昼に聞いたみたいな難しいお話じゃなくて、貴方自身のことを聞かせて下さらない?」

「さて、私ごときの話がカトレア様に愉しんで頂けるのでしょうか?」

「貴方はわたしたちとは、色々な意味で違うもの。考え方? ううん、それだけじゃない。在り方そのものが違うのかしら?」

「……本当に察しの良いお方だ」

 ルルーシュは感服したように肩をすくませた。

「不思議な人。おじいさんみたいに達観してると思えば、見た目通りの男の子みたいにムキになったり……あなたのいたところではみんなそうなのかしら?」

「耳が痛いですね……私がいつまで経っても子供なだけです」

「うふふ。そうみたいね」

 自分の方がずいぶん年上のはずなのに、ルルーシュは年上の女性にたしなめられているような気分だった。まあルルーシュにとっては、いや男にとって女というのは年に関係なく理解の出来ない生き物なのだろうけど。

「ねえルルーシュさん。お父様も言っていらしたけど、ルイズは貴方のおかげでずいぶんと立派になったわ。一目見て、ここを出られないわたしなんかより、ずっとたくさんのものを見てきたんだなってわかったもの。……つらいこともあったみたいだけど」

「はい。お嬢様は悲しみ、泣き、そして考えてこられました。……できれば、カトレア様が慰めてあげて頂けますか。お嬢様は私の前ではあまり、そういうところを見せようとされないもので」

「あら、意地っ張りなのは変わっていないみたい。ちょっと安心しちゃう」

 その儚げな微笑みに、ルルーシュは妹の面影を見た。遠い遠い場所にいる妹。

「誰のことを思い出しているの?」

「妹のことを。カトレア様にはあまり似ておりませんが、同じように聡い娘でした」

 カトレアがどことなく妹を思い起こさせるためか、それともまるで心を読むようなこの会話のためか、ルルーシュの心は驚くほど素顔に近くなっていた。

「……妹さんのことを言うのに、そんな顔をするのね。いいえ、貴方は自分のことを言うときは、いつもそんな顔をしているわ」

「人は、過去も今もそして未来も、全て合わせて人です。カトレア様にそう見えるということは、私がまだ過去を己のものと出来ていないからでしょう。私の弱さのいたす所です」

「やり直したい過去もままならない今も、不安だらけの未来も、みんな認めることが出来たら、本当に素敵でしょうね。そう考えられる貴方は十分強いと思うわ」

「ありがとうございます。カトレア様のように強い方にいって頂けると自信になります」

「わたしは強くなんかないわ。身体が弱くって何も出来ないから、こうあるしかないだけ」

「……では、優しさと言い換えましょう」

「ふふ、貴方も優しいわね」

 二人は自然と微笑み合った。

 カトレアとの会話は心地よいものだった。わずかな櫓の動きで船を動かす船頭のように、会話の流れをゆったりと操っている。ルイズが慕うのも頷ける。身体のことがなければ、三姉妹のうちで最も政治という舞台に向いているかもしれない。

 そんなことを考えていたとき、ルルーシュはカトレアの様子がおかしいのに気がついた。

「カトレア様? お顔の色が優れませんが」

「あ、ああ。ごめんなさい。夜風に当たったのが悪かったのかしら」

 足下はしっかりしているが、声に力がなかった。身体が弱いとはきいていたのだから、こんな所に連れ出したルルーシュが軽率だった。

「申し訳ありません。お部屋までお送りします」

 手を貸そうとしたが、カトレアはやんわりとそれを断った。強がっているというより、これくらいの不調には慣れているようだった。

「人を呼ばなくても大丈夫ですか?」

 カトレアの部屋の前で、ルルーシュは言った。

「大丈夫よ。いつものことだもの。あの、ルルーシュさん?」

「なんでしょう?」

「今日はお話できて楽しかったわ。いつか、貴方が弱さを自分のものにできるように祈ってるわね」

 おやすみ、といってカトレアは部屋の中に消えていった。

 

 あてがわれた部屋に戻る途中、きょろきょろと何かを探し回っているルイズが居た。

「あ、ルルーシュ、ちい姉様をみなかった? お部屋に居なかったのよ」

「ああ、気分が悪そうだったからお部屋までお送りしてきたところだ」

「はぁ? なんでアンタがちい姉様と一緒にいるのよ」

「お前が聞いてきたんだろうが……、たまたま会って少し立ち話をしただけだ」

 ルイズは訝しげにしていたが、すぐにカトレアの部屋の方に向かって小走りに駆けていった。いつもの学院の制服ではなく、ドレスを着ているので走りにくそうだった。

「やれやれ……」

 


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