「それだと、意味が違わないかい?」
「ボクだからね!!」
「前書きにTIPSなのかい?」
「まずはボクの事!!
と、言ってもTIPSにするほどのものじゃない!!」
「言い切るんだ」
「群雲琢磨が“本編内の狂言回し”なら、ボクは“本編外の狂言回し”なのさ!!」
「琢磨は主演でもあるからね。
狂言回しの役割が“内側による”事もある。
僕との情報戦なんかは、その側面が強いね」
「対し、ボクは“純粋に外側”なんだ!
つまり、読んでもらっている人達に向けられているわけだね!!」
「だから【ハジヶえ・ザ・キョウゲンマワシ】なのかい?」
「そう言う事だね。
元々“ボクポジションのキャラ”を造る予定だったのに!!」
「よりにもよって「ハイテンションなキュゥべえを書いてみよう」とかおかしな事を思い付いちゃった訳だね」
「それが意外に好評だったが故に、ボク【ハジヶえ】が定着しちゃったわけさ!
つまり、読者はボクとケーヤクしたって事だね!!」
「そのりくつはおかしいよ?」
「なら、改めてケーヤクしよう!!
今ならソウルジェムを破壊する為の万力も付けてあげるよ!!」
SIDE out
「織莉子!! おりこおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ナイフで地面に固定されていたキリカが叫ぶ。悲痛にまみれたその声が、空間を震わせる。
対し、ウィキッドはどこまでも自然体。宝石をひとつ、壊しただけの事。
痛む心なんて無い。或いは、痛くないと思い込み、自分の魂を護っているだけなのかもしれないが。
「【
キリカに刺さったナイフが操作される。それは、力を込めて足掻くからこそ、逆に抜けなくなっている事に気付いていないキリカの体を持ち上げる。
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
キリカの咆哮。それは“痛み”によるものではない。ウィキッドに対する“憎しみ”によるものだ。
その声を聞きながら、ウィキッドはナイフを操作し、キリカを今度は壁に張り付ける。
位置が変わっても、動けない事に変わりは無い。憎悪に顔を歪ませ、キリカがウィキッドを睨みつける。
「【う~ん】【便利だねぇ】」
対するウィキッドは、自分の編み出した【魔法】の出来栄えに満足し、うんうんと頷いている。
どこまでも自然体。それは、異常な空間の中で、より一層の異常となって映る。
「【さて】【呉キリカ】」
壁に張り付けにしたキリカに、ウィキッドが向き直る。
「殺す! お前だけは絶対に殺してやるぅッ!!」
「【勘違いするな】【オレが】【お前を】【殺すんだよ】」
殲滅屍の【戯言】が、キリカを標的に据える。
「【勘違いしてるっぽいから】【教えておいてやる】【オレの“目的”は】」
咥えていた電子タバコを右手に持ち、その先をキリカに向けて。
「【お前だよ】【黒い魔法少女狩り】」
その言葉が、キリカを沈黙へと誘う。倒れたままのほむらも、状況の転換についていけていない。
ただ一人、この【
「【解るか?】【ここに白い魔女がいなければ】【彼女が死ぬ事はなかった】」
残酷な現実。それを招いた残酷な事実。ウィキッドはこう言っているのだ。
ウィキッドは的確に、キリカの心、その中核を穿つ。
「【オレがここに来た“目的”は】【千歳ゆまの敵討ちなんだから】」
全てが一点に収束していく。
キリカがゆまを殺した。その一点から一転した状況。
杏子の魔女化。二人の
傷付いたキリカの
切っ掛けは、キリカがゆまと戦った事。その仮定と結果が、この状況への道標。
「【そうそう】【ナマモノ】【キュゥべえは興味津々だったよ】【魔法少女でありながら】【魔女結界を生み出したお前の事】」
結界が張れるぐらい
「【だから】【とっとと魔女に成って】【オレに殺されろや】」
次の瞬間、ウィキッドの表情が一変する。自然体だったウィキッドの“中”から“群雲琢磨”が顔を出す。
「仲間を殺されて、そのまま相手を放置なんて、自分の為にならんだろう」
黒い左目の込められたのは“怒り”。それは誰に対するものか。
殺したキリカか。殺されたゆまか。手が届かなかった杏子か。蚊帳の外だったマミか。誘導した沙々か。嗾けた織莉子か。
或いは、群雲琢磨自身か。
「殺してやる! お前だけは絶対に! このオレが!! 群雲琢磨がなぁッ!!!!」
「ウィキッドオオオオオオオオオオォォォォォォォォォぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
弾けた空間。魔女誕生の産声を上げるかの如く。
キリカの腰の後ろに、
その為に邪魔だった“以前の肉体”を、刺さるナイフごと跳ね飛ばして。
左腰の<
「ジャマァ!」
まるで、これが最初の攻撃であるかのように飛来する“前キリカの肉体”を、勢い良く蹴り飛ばし、一気に魔女へと距離を詰める。
(あぁ。そうか)
不意に、群雲は辿り着く。自分を吹き飛ばそうとする衝撃を、それ以上の速度で進みながら。
まるで、ゆまとの模擬戦を再現しているかのような状況で。
(オレの時間“だけ”が“加速”しているのか)
まるで、ゆまが導いたかのように。群雲は“Lv3”を認識した。
それは<
それは<
肉体に負荷を掛けない代わりに、魔力を消費する加速行動。
時間操作系Lv“3”を、群雲は遂に認識した。
生まれ、形作られている“最中”の魔女に、群雲は回転させたトンファーで殴り飛ばす。
変身中のヒーローに攻撃するかのような、その非道。しかしこれは“正義が必ず勝つ舞台”ではない。
“魔”を冠するモノ同士の、邪気まみれの泥仕合なのである
改めて。魔人群雲琢磨が開幕を告げる。きっと、本人は望んでいないだろう、無意味で無価値な仇討ちを。
「では、闘劇をはじめよう」
次回予告
たとえ、ゆまが望んでいなくても
たとえ、ゆまが望んでいないとわかっていても
その魔人は止まらない
なぜならその目的は間違いなく
魔人の為に遂行される
なぜならそれを
魔人は確かに望んでる
百五十八章 神風
TIPS 有頂天孵卵器ハジヶえ★ウザス
前書きで終わるかと思ったかい? ザマぁ!!
今回はLv3ではないよ? ザマぁ!!
今回の注目は『
百四十一章&百四十二章でのTIPSを覚えているかい?
たくちゃんの“電気”は“自身の肉体が持つ細胞発電能力の応用である”と言う事!
<
『
これをたくちゃんは“自分の周りに操作可能な磁気を発生させる”と思っている
また勘違いだよ、さすがのいぶつぅ♪
正確には“電気を全力で応用できるようにする為の準備”だね!
その気になれば磁力だけに留まらないだろう!!
欠点は、肉体に掛かる負荷の大きさが、これまでの非では無い事!
要は、外側内側を含めた全身をフル稼働しているようなものだからね!
道具は直せば良いという考えの下、その負荷をある程度無視しているけど、今度は肉体の修理に使用する魔力が増えていく事になる!!
結果として“消費の大きいLv2”であると勘違いしているわけさ!!
さあ!! 次のTIPSを早めてほしいなら、ボクとケーヤク!!
今なら、ソウルジェムを装着出来るボールペンも付けちゃうよ!!!