ソードアート・オンライン 黎明の女神   作:eldest

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第30話 星の瞬き

 鈴蘭。スズラン亜科スズラン属の多年草。別名として君影草、谷間の姫百合を持つ。

 春になると白く小さな鈴のような花を咲かせ、フランスではこの花を花嫁に贈る風習があるそうだ――

 

 

 

 五十五層のフィールドは、植物の少ない荒涼とした大地だ。変わり映えのしない風景は見ていて面白いものではなかったが、訓練なのだから仕方が無い。それでも詰まらない時間というわけでもなく、足元を跳ねるイナバの姿に表情を緩ませた。

 ゆったりとした足取りで荒野を進む僕らを数度に渡ってモンスターが阻む。その度にゴドフリーの指揮のもとパーティー戦を行ったのだけれど、ついつい彼の命令に口を挟んでしまい、その度に嫌そうな顔をされた。怒られなかったのは、本人も思うところがあったからだろうか。

 やがて、幾つかの丘陵を越えた時、眼前に灰褐色の岩造りの迷宮区が見えてきた。

 

「よし、ここで一時休憩! ――副団長もそれで宜しいですかな?」

 

 いつの間にやら代理が消えたその呼びかけに戸惑いつつも、無言で頷く。

 高く頭上に昇った太陽は、秋も半ばだというのに、気持ちの良い陽射しを降り注いでいる。

 時刻は既に正午を回り、昼寝には良い頃合いだ。

 

「ん、ん~!」

 

 地面に腰を下ろし、指を組んで大きく伸びをする。膝の上に座らせたイナバも一緒になって身体を一生懸命反らせていたのには思わず笑みが毀れた。

 乾いた風は心地良く、このまま眠ってしまいたい。とはいえ、こんな岩肌の上で仮眠を取るのは、少々勇気が必要だが……。

 そんな僕の姿を見てゴドフリーは溜め息を吐きそうになったようだが、自制心で飲み込んで、代わりに言葉を吐き出した。

 

「では、食料を配布する」

 

 オブジェクト化された五つの革袋のうち、一つをこちらに向かって放り投げた。両手で包むように受け取り、何の気無しに開けて中身を確認する。中に入っていたのは、何の変哲も無い水の入った瓶とNPCショップで売っている固焼きパンだった。――少なくとも、見る限りは、だが。

 思わずマジマジと見詰めていたからか、同じように包みを受け取ったルシアが苦笑を浮かべて話しかけてきた。

 

「あはは……ごめんねー。うちの経理すっごいケチだからさ、食費まで削ってやがんの」

「そう言うなって。ダイゼンさんなりに経費削減の為に頑張ってるんだろうからさ」

 

 そうは言いながらも、バルバドスも不満を持っているのは言葉の端から読み取れる。しかし、一概に不満とはいっても、ルシアとバルバドスでは矛先が違う。だが、それを指摘するのは余計なお世話、というものだろう。何より、今は“この状況”を打破する方が先決だ。

 

「いえ、実は……わたし、今日お弁当作って来てまして。こんなことになるとは思っていなかったので、自分の分だけなんですけど……」

 

 困り顔でそう切り出すと、僅かにたじろぐような音が耳に入る。

 

「どうした?」

「ああ、いえ……何でも無いです」

 

 音の主はクラディールだ。だが、今は努めて無視を決め込む。

 対して、ルシアとバルバドスはそもそも関心が無いのか――単純に耳に入っていないのかもしれないが――そちらに見向きもせず、共に食い付いてきた。

 

「ホントに!? 見せてもらって良い!?」

「ティンクルさんのお弁当なら期待出来るね」

「ソレ、どういう意味だコラ」

「ああ、いや……」

 

 ルシアに半眼で睨まれ、明後日の方向を向くバルバドス。事情は何と無く察しが付くけれど、触らぬ神に祟りなし、だ。代わりに、ストレージを開いて小さめのランチボックスを実体化させる。

 

「あまり期待されても困るんですけど……」

 

 苦い笑みを浮かべそう前置きしつつ、ボックスの蓋を開ける。

 ……というか、本当に期待されても困るのだ。《料理スキル》は確かに完全習得(コンプ)してはいるが、所詮弁当、しかも男が作った料理なのだから。

 だのに、そんな内心を裏切るように――

 

「おお……!」

「…………っ!」

 

 有声無声の差は有れど、ほぼ同時に上がる感嘆の声。だが、純粋に感心するような眼差しを向けるバルバドスとは異なり、ルシアの表情には悔しさが滲んでいるように見えるのは、決して僕の気のせいでは有るまい。

 予想外の反応に戸惑っていると、バルバドスが更なる追い撃ちをかけてくる。

 

「予想はしてたけど、やっぱりティンクルさんのお弁当って凄く女の子らしいね」

 

 ピシリ、と何かが音をたててひび割れる。

 笑みで歪めた口元を引き攣らせつつも、最後の希望を込めてルシアに尋ねる。

 

「そ、そうですかね……? ルシアはどう思――」

「玉子焼きにブロッコリーとカリフラワー……え? 何これ? ……たこさんウィンナー?」

「え? ……ああ、はい。でも、そのウィンナーはわたしが作ったんじゃなくて、出店を開いてたプレイヤーさんから買ったんですけど……」

 

 ルシアから発せられる異様な圧力に気圧され、思わず敬語になってしまう。しかし、ルシアの声のトーンは一層低くなる。

 

「で、その下に敷いてあるのはレタス? ……このハムで巻かれた丸いのは?」

「え~と、それは俵おにぎりです。……海苔がどうしても手に入らなかったので、火で少し炙ったハムで巻いてみました」

「なるほどねー」

 

 最後に力無くそう言ったルシアの瞳は、生気を失ってしまったかのように光沢を失ってどこか虚ろだ。

 そして、そんな彼女にバルバドスがあけっらかんとした口調で止めを刺す。

 

「ルシアには、いつの日かこんなお弁当作ってほしいなぁ」

「あはは……そうね、気が向いたらね」

 

 ルシアの乾いた笑いが、何も無い荒野に虚しく響く。釣られて笑ってしまいそうになるが、自分まで傷心に引き摺られると収拾が付かなくなりかねない、と何とか思い留まった。

 そもそも、こんな話題を二人に振ったのは、当たり前だがお互いが傷付く為ではない。

 そう思い直して、僕は革袋から固焼きパンを取り出した。

 

「――そういうことなので、良かったらバルバドスさん、このパン貰ってくれませんか? 流石に両方は食べきれませんし、お若い男性でしたら、そのパン一つでは足りないでしょう?」

 

 そう、僕の目的はこの固焼きパンのリリース――延いては、悪意を向ける者を炙り出すことだった。

 あまり知られてはいないことだが、例えば麻痺毒であれば酢酸系の刺激臭……といった具合に、SAOの毒物には僅かではあるものの総じて固有の“ニオイ”がある。つまり、食物に含ませられている場合、食物本来の匂いか否かが解れば口に入れてしまう前に気が付くことが出来る、というわけだ。

 そして、僕は先ほど革袋を開けた瞬間、固焼きパンの香ばしい匂いに混じって微かな刺激臭がするのを嗅ぎ取っていた。

 もっとも、その僅かなニオイに気が付けたのは、《料理スキル》完全習得の副産物として身に付いた嗅覚と……悔しいが、事前に茅場の忠告を受けていたお蔭だった。――だから、バルバドスが今回の件に無関係であるならば、この毒入りパンを問題無く受け取るはずだ。

 

「それもそうだね。じゃあ、ありがたく頂戴するよ」

 

 そう言って、バルバドスは特に警戒するでもなく、僕の手から固焼きパンをヒョイと掴み取った。

 ……これで、バルバドスは白。――恋人が毒入りパンを受け取るのを見て何の反応も示さないことから、同じくルシアも白。

 二人が白であったことに内心安堵しながら、小さく息を漏らす。

 兎にも角にも、これで容疑者は二人にまで絞り込めた。が、この中に毒物を混入させた犯人がいない可能性もある。この支給品を用意したのが僕の知らない第三者、という場合も考えられるからだ。……しかし、その可能性をこの場で考えるのはナンセンスだろう。

 犯人の目星は付いている。だが、現時点では確証も無い。――ならば、狂言を演じてみせるのも一つの手か。

 結論を下すと同時、革袋の中身のもう一方――瓶詰めの水を取り出して、コルクを飛ばす。それが合図であったかのように、ルシアも同じように瓶の栓を抜いて一口飲み下し、バルバドスはパンに齧り付いた。そして、こちらの雑談を眺めていたゴドフリーも、口にパンを運ぶ。

 そんな彼らを尻目に、瓶に口を付け、傾ける。それこそ、毒の満ちた杯を呷るような気分で。

 冷たい液体が、乾いた喉を潤す。そして、程無く全身の力を抜き、その場に崩れ落ちる。倒れた拍子に手から瓶がすり抜け落ちて、破砕音と共に光の破片となって消滅した。

 音は続く。どさり、どさりと。

 瓶の割れる音。呻き声。そして、場違いな甲高い笑い声。

 

「クハッ! ヒャッ! ヒャハハハハ!!」

 

 堪え切れないと言わんばかりに天を仰いで哄笑したのは、言うに及ばずクラディールだった。

 状況を確かめようと首を動かすと、至近距離で目が合った。地面にうつ伏せで倒れる僕の顔を心配そうに見詰める赤い瞳だ。しかしよくよく見れば、小さな身体を小刻みに震わせている。

 ……当たり前だ。本来、《ラグー・ラビット》はとても臆病なモンスターなのだから。

 それでも、逃げ出さずにこの場に留まっているのは……僕に従属する《使い魔》だからだ――などという浪漫の欠片も無いことは、露程も思わずに。

 

「大丈夫だよ」

 

 クラディールには聞こえないように小さく、それでも安心させるように呟く。すると、言葉を理解したわけではないだろうが、イナバの震えは治まった。それどころか、主人の危機を察してかスタンピングでもって意思表示をしている。

 大丈夫、と口では言ったものの、状況はあまり芳しくない。

 事前に装備しておいた《姫百合の腕輪》の耐性スキルのお蔭で身体に痺れは無い。何時でも動けるし、戦闘になってこちらが負けることは、十中八九無いと言って良い。しかし、残り一つの可能性として、身動きの取れない彼らを人質に使われでもすれば、もはやこちらに打つ手は無くなる。……だから、一瞬のうちに制圧し、無力化する必要がある。

 

「ど……どういうことだ……この水を用意したのは……クラディール……お前……」

「隊長!! 速く《解毒結晶》を!!」

 

 バルバドスの悲鳴に近い叫び声にゴドフリーはハッとした表情になり、腰に付けたパックに手を伸ばす――がしかし、麻痺毒のせいもあって、彼の動きはあまりにも鈍重だった。

 

「ヒャ――――ッ!!」

 

 奇声と共に岩の上から飛び降りたクラディールは、ようやく掴んだ結晶ごとゴドフリーの左手を蹴り飛ばした。握力が減退した手から、結晶は当然の如く零れ落ちる。クラディールはそれを拾い上げ、更にゴドフリーのパックからまでも結晶を抜き取ろうし――しかし、その数に鼻白み、パックその物を遠くの岩陰に向かって放り投げた。

 ゴドフリーのHPバーは、既に今の蹴りによって僅かではあるが減少している。そして、それによってクラディールのカラーカーソルは、犯罪者であることを示すオレンジに。

 

「クラディール!! あんた自分が何をしてるのか解っているの!?」

 

 恐怖を押し殺し、気丈に問い質すルシア。だが、この手の手合いにソレは逆効果にしかならない。

 

「うるせぇクソ尼ァ!! 次はてめぇの番だ。……ああ、でも安心しろよ。すぐにお前の彼氏も同じ処に送ってやるからよぉ!」

 

 捉え違いの無いその言葉に、ルシアは悲鳴を上げる。そして、その悲鳴をまるで美酒でも飲むかのような歓喜の表情で聴き入るクラディール。

 狂気に歪むその顔が、幼い頃の霞みかけた記憶の澱を掬い上げようとするかのようで……。

 

「ゴドフリーさんよぉ……あんたにも色々言ってやりたいことはあるけどなぁ……前菜で腹一杯になっちまっても困るしよぉ」

 

 剣が引き抜かれる音。再度の悲鳴。

 

 アリストテレス曰く――

 善き人は自愛的でなくてはならぬ。何故なら彼は、自愛的であることによって、諸々の麗しき事柄をなして自らも利益を享受するのみならず、他の人々をも利するからである。

 だが、悪しき人は自愛的であってはならない。何故なら彼は、そうであることによって、諸々の劣悪な情念に従って自己にも隣り人にも害悪を与えるに至るからだ。

 

 クラディールに関しては、問うまでも無いだろう。

 そして……自分自信が善人なのか悪人なのか、それは僕には解らない。でも、少なくとも――――――僕は、やはり自分のことが嫌いだ。

 

 もはや、一刻の猶予も無い。手段を選ぶことも叶わない。

 この一年弱、無駄だとは何処かで思いつつも、対ヒースクリフ戦を想定して幾つかの戦略を立ててきた。そして昨晩、ソレは無駄な努力では無くなった。

 だから、手の内は最後まで隠しておきたかった。武器ならばいざ知らず、戦術や戦略というものは、対策を取られれば使い物にならなくなるのだから。

 だが、ここで使わずに彼らを見殺しにする選択肢など……僕の中に、初めから存在しない。故に――

 

「サッサと死ねや」

 

 狂犬は、目の前の餌にご執心だ。だから、背後で人が立つ気配にも気が付かない。そもそも、その可能性すらも頭の中には無いようだ。

 誰かが声を発する前に、一言。……小さく、低く。

 

羽化せよ(キャスト・オフ)

 

 システムが音声を認識すると同時、鎧という名の蛹の殻が衝撃音と共に爆ぜ、破片の一つ一つ、大きなモノから小さなモノまでが、弾丸となって飛散した。そして、錘が外れ軽くなった身体は、錨を上げた船のように、ほんの僅かに浮き上がる。

 流石にクラディールもその音には気が付いた。振り返り、自分の(まなこ)に迫るそれを視認して、咄嗟に弾き落とそうと剣を振り下ろした。

 その行為は、人間ならば誰しもが持つ防衛本能から起こったものだ。しかし、結果として、そんなことをする必要は端から無かった。何故ならば、この無数の破片全てが、殺傷能力を持たない只のゲーム上の演出なのだから。

 だからと言って、同情などするわけが無い。同じく、この隙を逃す理由も、当然ながら無い。

 クラディールとの距離は、凡そ三メートルというところ。

 

「《ラビット・フッド》」

『プゥ!』

 

 両足を若草色の光が包むのを見届けぬまま、柄に右手を走らせ、一歩大きく前へと踏み出す。

 その一歩で、クラディールの眼前に現出する。相手にしてみれば、まるで瞬間移動でもしたかのように見えたかもしれない。

 遅れて巻き起こる轟音、烈風。巻き上げられ、乱れる長髪。

 

「な、き――」

「…………!!」

 

 無言の気合いと共に、居合一閃。クラディールの騎士剣を宙へと跳ね上げる。そして、間髪入れずに胴を目がけて蹴り込んだ。

 本来であれば、《体術スキル》を取っていないプレイヤーが鎧を身に纏ったプレイヤーに蹴りを入れたところで、然してダメージを与えられはしない。それは、今の僕でも同じこと。但し――

 

「ガハッ……!!」

 

 異常なまでの【AGI】から齎される暴力的なまでの速度は、威力は伴わずとも純粋な衝撃となって相手を襲う。

 吹き飛ぶ体躯。再び開ける間合い。

 クラディールの姿を目で追いながら、落下してきた騎士剣の柄を左手で掴み取り《武器強奪(スナッチ)》する。この瞬間、システムはイレギュラー装備状態と認識し、ソードスキルは使用不能となる。

 それに加えて、スピード特化ビルドの弊害。【STR】優先のキリトとは違い、《月華》などの武装を問題無く装備出来る程度にしか【STR】を上げていない僕では、二刀――それも、片方は両手剣だ――を満足に振るうことは出来ない。……只、今回に限っては、満足に振るう必要などは無い。

 思い切り、地面を――正確には、靴と地面の間の空気を蹴り付けた。

 地面との接触が消滅した身体は限界を無視し、一瞬で超音速まで加速する。

 

 そして、The twinkle of the stars(星の瞬き)程の刹那。

 

 力任せに振るわれる二刀。斬り飛ばされる両の手首より先。

 遅れて巻き起こる衝撃波(ソニックブーム)。轟く轟音。

 更に遅れ、手首より噴出する赤いライトエフェクト、破砕音。

 

「……? う、腕……俺の腕がァァァァァァァァ!!!」

 

 呆けたような顔が、事態を飲み込むと同時に、恐怖と苦渋に歪む。

 

「良い顔になったな、クラディール。愉悦に染まった顔よりも、その方がお前に似合っているよ」

 

 何の感情も籠らない声で、そう口にする。

 人形よりも人形らしい表情。他人に恐怖を与えるとは露程も思えない少女のような美貌が、言いようの無い恐怖をクラディールに与えている。それを無理やり言葉にするとすれば、生理的嫌悪感からくる恐怖、と言えるかもしれない。

 

「わ、解った!! 解ったよ!! 俺が悪かった!!」

 

 手首より先を無くした両腕を庇うようにして、地面に這いつくばるクラディール。

 

「も、もうギルドは辞める! あんたの前にも、あの女の前にも二度と現れねぇよ!! だから――」

 

 あの女とは、勿論アスナのことだろう。

 しかし、何の反応も示さないこちらに、到頭クラディールは懇願の悲鳴を発した。

 

「ひぃぃぃぃっ! 殺さないでくれ!! 死に、死にたくねぇ――――っ!!」

「ふっ……ふふふっ」

 

 だが、返ってきたのは赦しでも罵倒でもなく、この状況では余りに不自然な笑い声だった。

 堪え切れずに漏れ出たようなその声は、少女のように可憐だ。だが、だからこそ、余りにも不吉だった。

 

「もういいよ、クラディール。さっきも言ったけれど、伝わらなかったようだから……今度は解りやすく言うね」

 

 そして、笑みと共に告げる。

 

「お前の猿芝居は見飽きた」

 

 その一言は、クラディールの表情を凍り付かせるのには十分過ぎた。

 

「や、止めろ……止めてくれェェェェェェェェェェェェ!!!」

 

 一層憐れな程の、一際甲高い悲鳴。

 それでも、全く心に響かないのは、僕がこの男の言動を全く信用していないからに他ならない。

 しかし、僕は別にサディストではない。だから、まな板の鯉が幾らのたうち回ろうと、心が動かされることも無い。

 

「安心してよ、殺したりはしないから。――ハンムラビ王もタリオの法で言っている。目には目を、歯には歯を、ってね。殺人の未遂犯を死刑にするわけにはいかないよね」

 

 それは、命の保証と同義の発言だった。にも拘わらず、クラディールの顔に笑みは浮かばない。……当然のことではあるが。

 

「……ああ。誤解があるといけないから注釈しておくけど、所謂ハンムラビ法典は、同害報復を要請しているわけではないんだ。正確には、無限報復禁じるのが目的で、その結果の同害報復だ。……そういう意味では、ハンムラビ法典は案外過激じゃないんだよ。『これで終わりにしてやる』ってことだからね」

 

 そこまで言って、ニコリと微笑む。

 

「だから、選ばせてあげるよ――」

 

 天使のような、悪魔の笑顔で。

 

「ダルマになるのと牢獄送り……どっちが良い?」




 ↓キャスト・オフ後はこんな感じです。


【挿絵表示】


 お解りの通り、中に着ているパーカーが見えてしまってますね。
 銀妖精の鎧の正体は、馬鹿(ひと)には見えない妖精の衣だった、というわけです。

 描写的にティンクルが異常に強く思うかもしれませんが、【STR】に必要最低限しか振られていないことから解る通り、一撃一撃が重くありません。手数で補うタイプですね(クリティカルを狙うのも可)。
 また、少し前の話で【VIT】に殆ど振られていないとあったと思いますが、これが理由です。所謂、当たらなければどうということはない、ってやつです。

 あーあと、鈴蘭には猛毒があります。
 フグが自分の毒で死なないように、装備者に毒の耐性を与えるわけですね。

 本文の補完は以上です!

 感想募集してます!ティンクルさん可愛い(*´ω`*)、またはティンクルさん怖い(´・ω・`)だけでも結構です(笑)

 次回は、クラディールさんがぁぁぁぁ!(悲鳴)

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