ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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終わり方が強引でしたので書き直しました 今度は大丈夫だったら良いなぁ


選択をさせました

楽しい時間は過ぎ、時刻は夕暮れ。学生達が帰路につく中、柳とアーシアは公園に来ていた

 

「柳さん。今日はありがとうございました。こんなに楽しかった日は初めてです」

 

そう言って微笑むアーシアの手には、クレーンゲームの賞品のヌイグルミが抱かれている。昼間、ゲームセンターに行った際に柳が取ったものだ。アーシアに対し、柳は微笑み返して言った

 

「私も楽しかったですよ。学校を休んで一日中遊び回って、おかげで気が晴れました。それに、アーシアさんと遊んでいると、妹と遊んでいるような気がして、嬉しかったです」

 

「それは良かったですね。……私、夢があるんです。友達を沢山作って、今日みたいに遊んだりして。おかげで今日は友達が出来たな気がしました。有り難うございます」

 

礼を述べながら頭を下げるアーシアに対し、柳は少し寂しそうにため息をついた

 

「やれやれ、私の中では貴女は友達の積もりだったのですが、思い過ごしだった様ですね」

 

「……私、日本語も話せませんし、迷惑をおかけしますよ」

 

「それなら私が勉強にお付き合いしますよ。それに、友達っていうのは迷惑を掛け合うものです」

 

「……本当に、友達だと思って良いんですね?」

 

恐る恐る尋ねるアーシアに対し、柳は笑顔で手を差し出した

 

「ええ、もちろんです。さっ、友情の握手といきましょう」

 

「はい!」

 

アーシアは涙を拭い、笑顔で柳の手を取ろうとした。しかし……

 

 

 

 

 

「アーシア。やっと見つけたわ。さぁ、帰りましょ。貴女は今夜の儀式に必要なのよ」

 

「レイ、ナーレ様……」

 

黒い羽を羽ばたかせ舞い降りてきた女の姿を見た途端、その手が止まった

 

「……アーシアさん。お知り合いですか?……っ!」

 

柳がレイナーレと呼ばれた女の方を見た途端、その足元に光の槍が刺さる。その光景を見て、アーシアは思わず悲鳴を上げてしまった

 

「柳さん!レイナーレ様、私なら大人しく付いて行きますから、柳さんに手を出さないでください!」

 

その必死な姿を見たレイナーレは一瞬、面食らったような顔つきになったが、直ぐに口元を歪めながら柳の方を見る

 

「へぇ、良かったわね、貴方。本当なら目撃者は殺しておくのだけど、アーシアに免じて見逃してあげるわ。彼女に感謝しなさい。さ、行きましょ」

 

レイナーレはアーシアを抱き抱えると、空高く飛んで行く

 

「アーシアさん!」

 

手を伸ばして自分の名前を呼ぶ柳に向かい、アーシアは涙を流しながら叫ぶ

 

「柳さん!私を友達って言ってくださって有難う御座いました!私、本当に嬉しかったです!」

 

そう言って消えていくアーシアの姿を柳はずっと見ていた。その姿が見えなくなるまでずっと……

 

 

 

 

しばし公園で立ち尽くしていた柳だったが、突如、茂みの方を振り返った

 

「三人とも、早く出てきてください」

 

「ほぅ、良く分かったの」

 

茂みの中から出てきた羽衣は感心した様に微笑んでいる。その後からミラとゼノンが続いて出てきた

 

「仙術を使えば分かりますよ。私に仙術を教えてくださったのは羽衣さんでしょう。……では、今晩の打ち合わせと行きましょう」

 

「面倒くさい。纏めて吹き飛ばせば良い」

 

ゼノンはアクビをしながら答え、

 

「賛成です!あの羽虫は柳さんに攻撃しようとしたんですよ。私に殺らせてください」

 

ミラは膨大な殺気を滲ませながら、ねだって来た。そんな二人の姿を見て、柳は呆れた様にため息をつく

 

「駄目ですよ。アーシアさんだって居ますし、あまり大暴れすると悪魔に目をつけられます。……ここは私にお任せ下さい」

 

柳はそう言って携帯を取り出した……

 

 

 

 

 

「部長!アーシアを助けに行かせてください!あの子は俺を助けてくれたんですよ!」

 

「お願いします!私に払える対価なら、何でもお支払いしますから」

 

その日の夜、リアスと柳は、ソファー向かい合っていた。柳からの知らせを受けた一誠は、柳と共にアーシア救出をリアスに頼むが、リアスは首を横に振るだけだった

 

「駄目よ!あのシスターの救出は認められないわ。それに柳君。貴方の想像以上に悪魔と堕天使の関係は険悪なの。とても貴方に支払いきれる対価じゃ済まないわ。……話は終わりよ。私は用があるから出掛けてくるわ。くれぐれも言っておくけど、あの子にはもう関わらない事」

 

リアスはそう言うと、朱乃を連れ、部室から出て行った。しばし呆然としていた一誠達だったが、一誠は柳の方を見て叫ぶ

 

「柳!こうなったら俺達だけで助けに行くぞ!」

 

「……イッセー。本当に宜しいのですか?リアス先輩の命令に逆らって」

 

「そうだけよ、助けて貰っておいて見捨てるなんてできねえよ。それに、その儀式ってのも嫌な予感がするしな」

 

「そうですね。急ぎましょう!」

 

二人が部室から出ていこうとした時、突如、佑斗と小猫が立ちふさがった

 

 

 

「待ってくれ。僕も行くよ。個人的に教会関係者や堕天使は嫌いだからね」

 

「……私も行きます」

 

柳はその言葉を聞き二人に近づいて行き……

 

「……有難う御座いま、っ!?」

 

「ごめんよ」

 

佑斗から首への一撃をくらい、その場に倒れ伏した

 

「柳!? 木場! なんで柳を!?」

 

「彼は人間だ。連れて行っても堕天使に殺されるだけだよ。……友人を死なせたくはないだろ?」

 

「……そうだな。待ってろ、柳。アーシアは俺達が助けてくる!」

 

「……運んでおきますね」

 

気絶した柳をソファーに寝かせ、今度こそ一誠は部室から出て行く

 

 

 

部室から誰も居なくなった後、気絶していたはずの柳はムクリと起き上がり、痛そうに首を鳴らしていた

 

「やれやれ、乱暴ですね。まぁ、私の事を思っての行動なのでしょうが。……ミラが居なくて良かったです」

 

佑斗が柳に手を出した事を、もしミラが知れば、最悪、悪魔が全滅しかねない。その為、こうなる事を予測していた柳はミラを置いてきていたのだ

 

「まぁ、悪魔は支払いが悪いですから別に全滅しても良いですが、イッセーも一応友人なのと、バランスが崩れますからね。さて、ゼノンさん達は上手くやっていて下さるでしょうか……」

 

柳は倒れた時についたホコリを払いながら部室を出て行った

 

 

 

 

「……それで、何の御用かしら?指揮者(コンダクター)さん」

 

先程部室を出て行ったリアスと朱乃はフードを被った人物に対し、警戒心を表に出して対峙していた。朱乃の手からは雷か迸っていて、怪しい動きを見せたら直ぐに撃てる様になっている。しかし、フードの人物は一切気にした様子もなく、淡々と告げた

 

「否。我は指揮者(コンダクター)ではない。我は指揮者(コンダクター)の従者の一人だ。貴様らにこの書類を見せに来た」

 

「……拝見させてもらうわ。……これは!」

 

リアスは警戒しながらも書類を受け取り、それを読んだ途端、その表情に怒りが現れる

 

「部長。それは?」

 

「この町にいる堕天使達の追放を証明する書類よ。どうやら組織に黙って好き勝手やってたらしいわ。……よくも私の領地で好き勝手やってくれたわね。もう、遠慮はいらない、消し飛ばしてあげるわ!」

 

「そうか。では、我はここで帰らせてもらう。この町は一応、貴様の領地となっているから義理として教えに来ただけだ。我々も奴らに用があるからな」

 

「待ちなさ……消えた!?」

 

リアスの制止を無視し、フードの人物は闇に溶けるように消えていった……

 

 

 

 

今は使われなくなった町外れの廃教会。その地下室にて儀式が行われようとしていた。アーシアの持つ、本来は癒せないはずの悪魔や堕天使までも癒す事のできる神器聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)を奪うための儀式だ

 

「ふふふ、ありがとうね、アーシア。貴女のお陰で私は至高の堕天使になれる。そうすればアザゼル様やシェムハザ様達に愛して頂ける。ああ、なんて素晴らしいのかしら」

 

神器を奪われたものは死んでしまう。その事を知りながらも、この儀式を進めている堕天使レイナーレはそのような事等、気にしていない。彼女はただ、神器を手に入れた後に待つ、華々しい人生を夢想するだけだった。既に自分が追放されている等と夢にもみず……

 

そろそろ儀式が始まるという時間。万が一にでも邪魔が入らない為、地下室には大勢のハグレ悪魔祓いが集結していた。更に、地下室の入口にはフリードを置き、教会周辺には二人の堕天使が配備されている

 

「それにしても、ドーナシークは何処に行ったのかしら?まさか、悪魔に?ま、いいわ……っ!?」

 

レイナーレがそう呟き、いよいよ儀式を行おうとした途端、突如轟音と共に地下室が大きく揺れた

 

「な、何!?まさか、悪魔が襲撃してきたの!?」

 

 

 

「いや、我らの仲間の仕業じゃ。まぁ、奴も悪魔には変わりないがのぅ。それにしても、陽動のつもりじゃったが、既に此所までの数が居ったか」

 

「堕天使レイナーレですね?今大人しく殺されるのなら、痛くないように殺してあげますよ」

 

突如、地下室に現れ殺気を送ってくるフードの二人に気づいたレイナーレは、自らも光の槍を出し、部下達に指示を出した

 

「何をやっているの!神聖な儀式を邪魔する奴らをさっさと殺しなさい!」

 

「はっ!」

 

各々、光の剣や銃を抜き、二人に襲い掛かるハグレ悪魔祓いを見て、片方のフードが肩をすくめる

 

「ふぅ~、警告はしましたよ?まぁ、彼らには言っていませんし、楽に殺してあげてください」

 

「了解した」

 

そう言ってもう片方のフードは懐から鉄扇を取り出す。すると、みるみる内に巨大化し、

 

二尾の鉄扇(にびのてっせん)

 

それを振るった瞬間、ハグレ悪魔祓い達の姿が消え、そこには血溜りだけが残されていた

 

「本当なら生肝を喰らっておる所を……。今度代わりに精気を吸わせてもらうぞ?」

 

ハグレ悪魔祓いを瞬殺したフード……羽衣はそう文句を言う。ただ、その表情からは不満は感じられず、相手をからかっていると言う感じだ

 

「……お手柔らかにお願いします」

 

 

 

「ア、アンタ達何者よ!?何が目的なの!?」

 

レイナーレは一瞬で手下達が殺された事に恐怖し、腰を抜かした彼女の手からは光の槍が消え去っていた。フードの人物は腰を抜かしたまま後退りをするレイナーレに近づき、剣を向けて告げた

 

「私ですか?私は指揮者(コンダクター)と呼ばれています」

 

「あ、貴方が指揮者(コンダクター)!?私に何の恨みがあってこんな事を!?こんな事して、堕天使を敵に回す気!?」

 

「この襲撃の理由は貴女の下らない企みが気に入らないからです。それと、貴女を殺したって問題ありませんよ?ほら」

 

「そ、そんな!」

 

そう言って指揮者(コンダクター)……柳は例の書類を見せる。その書類を見たレイナーレの顔が絶望に染まり

 

「さて、私は言いましたよね?抵抗しなければ楽に殺してあげますって。貴女は抵抗しましたから苦しんで死んでください」

 

「っく!こんな所で!……きゃああああああああ!?」

 

柳は飛んで逃げようとしたレイナーレの羽を切り落とし、床に這いつくばったその背中を踏みつける

 

「何方へ行かれるのですか?逃しませんよ」

 

再び柳は剣を振り下ろし、暫しの間、地下室にはレイナーレの絶叫が響き渡った

 

 

 

 

 

「よし!教会についたぞ!」

 

「待ってくれ、ここに図面がある。堕天使達はおそらく聖堂の地下に居るはずだ」

 

教会につくなり、正面から突撃しようとした一誠だったが、佑斗に引き止められ思いとどまる

 

そして、三人が教会へ侵入しようとしたその時、教会の敷地に突如フード姿の人物が現れ

 

「あいつ誰だ?この前の指揮者(コンダクター)ってのと同じ格好だけど。……って、何する気だよ!」

 

突如、その両手に込められた魔力で教会を吹き飛ばした。殆ど吹き飛ばされた教会の側には堕天使が転がっており、どうやら先程の攻撃で死んでいるようだ。舞い上がった土煙が晴れた先にはむき出しになった聖堂があったフードの人物はそれを見ると無言で消え去った。その光景を三人はしばらく呆然と見ていた

 

「……嘘だろ?って、ボゥっとしている場合じゃねぇ!アーシアを助けるぞ!」

 

我に返った一誠は聖堂にある地下室への扉を目指し、走り出した

 

 

 

 

「さて、彼女をどうしょうか?とりあえず正式にグリゴリに入るなり、悪魔になるなり選ばせないといけませんね」

 

レイナーレの息の根を止めたあと、十字架に貼り付けにされていたアーシアを降ろし、床に寝かせたあと柳は首をかしげた

 

「どちらでもないって選択肢はないのじゃな?」

 

「だってそれじゃあ身寄り頼りがないでしょう?元々教会の孤児院出身だったのが追放されたのですから。今回助けたのは堕天使の行動が気に入らなかったのと、彼女が妹に似ていたからです。今後の生活は自分で決めていただかないと……」

 

柳がそう言った時、突如地下室の扉が開き、一誠達が入ってきた。彼らは柳の姿を見ると警戒を示す

 

「アーシア! って!お前はこの前の!」

 

「ああ、誤解なされないように。私たちはここの堕天使を始末しに来たのですよ。まぁ、詳しい話は外でしましょう。ちょうど貴方の主もいらっしゃった様ですしね」

 

「お、おう」

 

一誠達は柳に言われるがまま外に出る。するとそこにはリアスと朱乃が立っていた

 

「イッセー、小猫、佑斗。どうやら無事のようね。良かったわ。それに、シスターも助けたのね。……貴方も居たの」

 

堕天使の死体を滅したリアスは一誠達の姿を見て安心し、柳の方をチラリと見た

 

「おや、これはリアス・グレモリー様。お久しぶりですね。教会はすみません。陽動のつもりが、やり過ぎたらしくって」

 

睨めつけて来るリアスに対し、柳はあくまで態度を崩さず対応する

 

「……まぁ、良いわ。それで、彼女をどうする気かしら?」

 

「ええ、それで困っているんですよ。とりあえずグリゴリに頼んで保護していただくか、どなたかの眷属悪魔になる事をおすすめしようかと。彼女の神器ならどこも歓迎するでしょうから。……貴女はどうですか?彼女は貴女の下僕を救った恩人でしょう?それに彼女の力は貴重ですよ」

 

その言葉にリアスは暫し考え込み答える

 

「そうね。彼女が悪魔になるって言ったらスカウトしてみるわ。あら、ちょうど起きたみたいよ」

 

「う、う~ん。ここは?あれ、イッセーさん?」

 

目覚めたアーシアは状況あ理解できず首を傾げる。先程まで地下室で十字架に貼り付けにされ、神器を抜かれそうになっていたのだから

 

「ああ、それは私がお助けしました。ああ、お気になさらずに。堕天使退治の序でしたから。アーシアさんでしたよね? 貴女にご提案があります」

 

「え、あ、ありがとうございました。それで、ご提案というのは?」

 

「貴女の今後です。今後暮らしていく為に必要な事です。まず、堕天使の組織である神の子を見張る者(グリゴリ)に所属する事。ああ、言っておきますが今回の事は一部の者の暴走です。本来は貴女の様な身寄りのない神器所有者の保護も行っています。

 もう一つは悪魔になる事です。ちょうど彼処に居らっしゃるリアス・グレモリー様が貴女をスカウトしたいようですよ。彼女の家は情愛が深いとの事です。きっと、貴女を大切にしていただける事でしょう」

 

「ええ、私は自分の眷属を大切にするわ。貴女が望むのなら学校にだって行かせてあげる。友達が欲しかったって聞いたわよ。学校でなら友達ができるかもしれないわ」

 

その言葉にアーシアはしばし考え込む。堕天使には殺されそうになったが、それは一部の者の暴走で、本部には自分と同じような者が居る。もしかしたら友達になれるかもしれない。そして、悪魔になれば学校に行けるという

 今まで教会の教えを守ってきたアーシアにとって、どちらも大きく生活が変わる事になる選択だ。しばし悩むアーシアだったが、

 

「あの、貴方はどちらが良いと思いますか?」

 

選択肢を提示した柳に尋ねる。柳は少し考え込み、口を開いた

 

「私は神の子を見張る者(グリゴリ)をオススメします。私の友人にも神器の為に親に捨てられた方が居ますが、今は幸せだそうですよ。それに、悪魔の世界ではレーティング・ゲームという試合形式の戦いが流行っていますが、貴女は戦いには不向きでしょう?また、悪魔になれば聖書や十字架、聖水といった物でダメージを受けます。貴女にまだ信仰心があるのなら、人間のままで居る事をおすすめします」

 

「……はい」

 

「なら、神の子を見張る者(グリゴリ)に行きますか?私なら今すぐに送って差し上げれますよ。……リアス・グレモリー様もそれで宜しいですね?」

 

「私は無理強いはしないわ。まぁ、正式に堕天使の一員になるのなら敵だけど、イッセーを助けてくれた事で見逃してあげる。……柳への説明が面倒ね」

 

「はい。私は神の子を見張る者(グリゴリ)に行きます。最後に柳さんに会いたいのですが……」

 

目の前のフードが柳だとは知らないアーシアはそう頼む。しかし、柳は首を横に振った

 

 

「残念ながら、此所は悪魔の縄張りですから今すぐは難しいです。でも、何時かきっと会えると思いますよ。それと、リアス・グレモリー様にはご苦労をおかけします。……ああ、これはアザゼル総督からです」

 

「これは?」

 

リアスが受け取ったのは一枚の符。中心には魔方陣が描かれている

 

「”とりあえず、今回の侘びだ”そうです。私への依頼に使う通信用の魔方陣なのですが、一回だけ料金を支払うそうですよ。それと、正式な謝罪などは後日らしいです。まぁ、堕天使からのだとは黙っていれば分かりませんから、お気軽にどうぞ。では……」

 

柳はそう言うとアーシアを抱え、移動用魔方陣の中に消えていった……

 

 

 

 

「おう!嬢ちゃんがアーシア・アルジェントか!ヨロシクな!」

 

神の子を見張る者(グリゴリ)の本部へ着いた柳はアーシアを連れ、中に入っていく。到着前に連絡がされていたらしく、しばし案内された客室で待っていると、着物を着た中年が入室し、アーシアに話しかけてきた

 

「よ、宜しくお願いします。あの~、この方は?」

 

「この方はアザゼル総督です」

 

「そうですか。此処のトップの……えぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

驚いて固まっているアーシアを見て、アザゼルは愉快そうに笑った

 

「くっくっく、この嬢ちゃん面白いな。ま、今日から此処を自分の家だと思って良いぜ。後で同年代の奴との顔合わせに連れてってやるから」

 

「あ、有難う御座います!」

 

アザゼルはそう言うと客間から出て行き、今度は他の堕天使が入り、神の子を見張る者(グリゴリ)での注意事項を説明しだした。アーシアがそれを真剣に聞く中、柳は仕事は終わったとばかりに部屋を出て行った

 

 

 

「やあ!今日は従者は居ないのかい?彼女らと戦いたかったんだが」

 

帰ろうとした柳をヴァーリが呼び止め、彼の言葉を聞いた柳は呆れた様にヴァーリを見ている

 

「え~、今まで全然敵う気配すらないのに戦いたいんですか?……まさか、君もドMなのでは!?それと、羽衣は先に帰りました。ここは一応安全ですし、万が一でもバラキエル……様と会いたくないそうで」

 

「そうか、それは残念だ。……それと、俺に対するドМ疑惑は断固否定する!俺は戦闘狂なだけだ!それで、俺のライバルはどうだい?確か君の友人だっただろう。少しは成長したかい?」

 

「あ~、神器がマトモに発動してさえいないようですよ。……でも、もし神器の事を知っても、君の敵じゃないでしょう?まだ目覚めていませんし、今のままでは禁手も遠い。更に上の段階まで進んでいる君には敵いそうもないですね」

 

「……別に構わないよ。アルビオンには悪いが、俺の今の興味は君の従者に向いているからね。ああ、今度君の禁手を発動してくれ。あれは面白いから」

 

「料金しだいですね。無闇に働いていただいたら文句言われるの私なのですから。それより、アーシアさんと会ってきてはどうですか?今日から仲間ですし、戦いが好きな君は何かとお世話になるでしょうしね」

 

「ああ、そうさせてもらうよ。……一つ聞いていいかい?何でわざわざ悪魔を巻き込んだんだ?結局君たちが始末したのに」

 

「ああ、イッセーが知る、一般人の私ならば彼女を見捨てないですからね。そして、イッセーなら助けに行くことは予測できました。だから、ああするしか無かったんですよ。彼だけならともかく、彼を通してグレモリーにまで不審に思われたくはないですから。……まぁ、獲物を譲る気はありませんでしたけど」

 

ヴァーリの問いに対し、柳は心底面倒くさそうにそう言って、帰っていった




さて、今度は大丈夫だったですか?こうやった方が都合が良いことに気づいてアーシアに暫くご退場いただきました 正式な再登場は4巻かな?


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イッセーの弱体化をどうしよう?……彼にご協力いただくか

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