本当にお願いします!
言彦と八坂探索の為、柳達は京都の町中を歩いていた。
「ふむ、やはりこの町並みは良いのぅ。。ゼノン、妾達が暮らす世界にもこの様な町を作らせてはくれぬか?」
元の世界では京都で妖怪達を従えていた羽衣狐こと羽衣は懐かしそうに町の風景を眺めながら歩いていた。それに対し既に移り住む異世界を手中に納めているゼノンはクレープを食べながら微笑む。その口元にはクリームが付いていた。
「当然だ。我を誰だと思っている? 魔王神たる我の夫である柳の愛人である貴様等二人の領地も用意してある。貴様は京都を思わせる風情のある町の中央に日本屋敷を用意し、ミラには湖畔の中央に花畑に囲まれた屋敷を建ててあるぞ」
「ああ、そうやって挑発するようなこと言わないでください。後で鎮めるの私なんですから」
柳はゼノンの口元についたクリームを指で取るとどうしようか迷いだす。甘いものが嫌いなので舐める訳にも行かず、かといってティッシュは拭った手側のポケットに入っているからだ。だが、ゼノンは何を思ったかその手を取ると躊躇せずに指を口に含んだ。其の儘クリームを舐めとってなお口に含み続け、舌を絡めながら二人に挑発するような視線を送っていた。
「……さて、世界の王は貴様じゃから妾達が愛人呼ばわりされるのは仕方ないとしよう。じゃが、まるで別々に暮らす様に聞こえるが?」
羽衣は納得した様な事を言っているが顔は納得していないことが明らかで、腕を組みながらゼノンを見据えるが帰ってきたのは余裕の笑みであった。
「心配せずともハネムーンの間だけだ。我に二人の愛の結晶が宿れば今の様に一緒に暮らせばいい。じゃが、新婚二人っきりの気分は味わいたいからな。まあ、数日置きに通わせるから安心しろ」
ゼノンは挑発するような視線を送り、羽衣は冷笑を浮かべながら禍々しい妖気を放出する。まさにそこの場は一触即発と化していた。
「あ、あの、柳さん。私なら大丈夫ですから。あの、たまに会いに来て下されば。でも、その分可愛がって欲しいかもです……」
「はいはい、大丈夫ですから。今のノリだけで話しているだけですから不安そうな顔をしないでください」
その間にミラが健気さを装い漁夫の利を狙う。柳は騙されているのか騙されたふりをしているだけなのかにっこり笑うとそっとミラの手を握り占めた。
「有難うございます! 大好きです、柳さん!」
ミラは未だに喧嘩している二人に舌を出しつつも柳に抱きつく。そのまま背中によじ登って首にそっと手を回した。柳も特に抵抗せずにミラにしがみつかせたまま支えようともせずに歩き出し、漸く気付いた二人はしてやられた事に気付いて歯を食いしばるも直様柳の横に歩み寄って並んで歩き出した。
「さて、柳。我は少々疲れた。もたれ掛からせて貰うぞ」
「妾もじゃ。……まさか、嫌とは言わぬよな?」
有無を言わせぬ雰囲気の二人は笑みを浮かべながら柳の両腕に抱きつく。そのまま自慢の胸を腕に強く当てる。その感触に思わず顔が緩みそうになった柳だが、今度は首に掛かる力が増した。
「……柳さん? そんなに大きい胸が良いんですか? ふふふ、なら、これでどうでしょう」
精神を病んでそうな笑い声を出すミラから感じる重さが増え、背中に当たる感触が平面から立体へと変化する。先程まで子供の姿をとっていたミラは大人形態へと変身していた。
「……ああ、やっぱり良い感触ですね。……お二人のも最高ですよ?」
平然ととんでもない事を呟く柳だが、直ぐに冷や汗が頬を流れる。両の耳は不満そうな二人の指でしっかりと掴まれていた。
「……良かったな。ミラだけに感想を言おうものなら……くくく。所で羽衣よ。探知はどうなっている?」
ただ闇雲に歩き回っているように見える四人だが、ちゃんと算段があっての行動だ。こうしている間にも仙術に長けた羽衣が言彦と八坂の気配や匂いの残滓を追い、途切れた場所で転移や空間の歪などの痕跡がないかゼオンが調べるのだ。
なお、まだ其処まで仙術が使えない柳とそういうの全く無理なミラは付いてくるだけである。
「……すみません。私にもっと感知能力があれば」
落ち込む柳であったが、突如その顎に羽衣の指が這うように当てられる。顔を上げれば苛虐的で魅力的な笑みが向けられていた。
「……安心せい。代わりにベットの上で良い声で鳴いて貰うからの。ふふふ、今度は貴様は何もするな。ただ妾に全てを任せて……無粋な奴じゃ」
羽衣は言葉を途中で切ると鉄扇を取り出す。四人は黒い霧に囲まれていた。
「……この程度なら世界ごと吹き飛ばせるが、まずは様子見だな」
「お願いしますから世界は吹き飛ばさないで下さいね?」
柳が本気で心配そうな声を出した時、瞬時に視界が切り変わる。何時の間にか隣には羽衣しかおらず、目の前には見知らぬ男と言彦の姿があった。
「やあ、初めまして。私の名はゲオルク。……単刀直入に言おう。私なら完全な形で死者を復活できる。悪魔に殺された家族と会いたくないかい?」
ゲオルクは笑みを浮かべながら手を差し出す。その言葉を聞いた柳は、
「お断りです」
「柳っ!」
断るなり剣をゲオルクの腕に振り下ろした。だが、剣が届くよりも早く羽衣がその体を突き飛ばす。そして、言彦の拳は羽衣の体にめり込み、そのまま周囲の建物をなぎ倒しながら吹き飛ばした。
「……俺は足止めをしてくる」
「ああ、そうしてくれ。彼は生きたままじゃないと此方の命が危ないからね。……九尾の姫君の命が惜しければ下手なことはしない事だ」
ゲオルクの言葉に言彦は無言のままその場を立ち去り、そのままゲオルクの視線は柳に向けられた。
「しかし意外だな。死んだ家族に会いたくないのかい?」
「亡くした家族を求める余りに今の家族を犠牲にしたくないですからね。どうせ私を使って三人を自由に動かす気でしょう。それに……貴方程度に出来るのなら、ゼノンさんや羽衣さんでも出来る方法を探したほうが手っ取り早いですし完璧です。ああ、その程度の事も分からないのですね、ど三流魔術師さん」
柳は挑発すると同時にゲオルクの顎を蹴り砕き、そのまま腹を蹴り飛ばして距離を開ける。だが、ゲオルクの指に出現した指輪から淡い光が放たれると瞬時に怪我が癒された。
「……危ない危ない。夏にやったイベントの映像からして上級悪魔なら倒せる程度の力はあるのか。なら、此方も惜しまずに手札を晒しましょう」
ゲオルクは余裕の笑みを浮かべ指を鳴らす。すると彼の隣に聖なるオーラを放つ槍を持った銀髪の男が出現した……。
「ファイナルアーム!!」
リアスが携帯電話で喚びだした
「嘘でしょっ!? なんでこんなペンギンみたいなのにっ!?」
「熱く燃えたぎる地球勇者魂に不可能はないっ!!」
驚愕するジャンヌに対しプリニーカーチスは答えになってない答えを返す。そしてドラゴンが向かう先にはサイラオーグが可愛らしいバトン片手に立っていた。
「行くぞ! プリティアタァァァァァァッッッッック!!!」
全然プリティじゃないサイラオーグのバトンから新体操のリボンが飛び出し、そのままクルクル回すとその場でサイラオーグは華麗……じゃなく見苦しい舞を踊りだす。そのリボンからは彼が持っていないはずの滅びの魔力が放たれていた。
「……あ〜、お茶が美味しい」
リアスは座布団に座ってお茶を飲みながら
「「勝利っ!」」
可愛らしいバトンを持った
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