色々やった幹部からは話を聞いて可哀想だから和解。あまり動いてない雑魚兵士は事情を聞かずにあべしっ! てな時点でねぇ・・・・・・
「……う~ん。拙いわねぇ」
アナスタシアは冷や汗を流しながら呟く。彼女の隣にはヴァーリしかおらず、目の前にはフェンリルの姿があった。神殺しの牙を持つ大狼は二人を標的と認識して牙を剥き出し唸り声を上げる。それに対しアナスタシアは複数の神器を出現させ、ヴァーリは禁手を発動した。
「……アナスタシア。極覇龍の力なら彼奴の力を上回る。少し時間を稼いでくれ」
「女の子に時間稼ぎをしろって? アンタ、相変わらずヘタレねぇ。そんなんだからアタシを他の男に取られるのよぅ」
「ぐはっ! ……き、気付いていたのか?」
「当たり前じゃない。アンタの事、少しも異性として見てなかったから無視してたんだけどね」
「ひでぶっ!?」
ヴァーリは口からダクダクと血を流しながらも極覇龍を発動させる準備に掛かる。
『ヴァーリ!
「ああ、アンタの切り札って制限時間が短いんだっけ? んじゃ、アタシが隙を作ってあげるわっ!
アナスタシアの手に出現した数個の人形が輝き出し、その場に複数の人物が現れる。それはこの場に居ないはずの者達だった。
「んじゃまっ! 行くわよ、お祖父ちゃん達! それとついでにジーク!」
「やれやれ、久し振りの外出が戦闘とはな。いや、正確には外出ではないか」
「まっ、可愛い孫娘の前だ。ここは俺のほうが活躍させてもらうぜ!」
「……ボクはフリードと共闘したかった。まあ、友達の為だから仕方ないか。それと、後で殴る」
現れた二人はアナスタシアと共にフェンリルに向かって行き、フェンリルも同時に飛び掛る。フェンリルの爪と魔剣グラムがぶつかり合い、アザゼルとコカビエルの光の剣は毛皮の表面に少しく傷を付けた程度で砕け散った。アナスタシアが振り下ろしたハンマーは躱され、そのままフェンリルの前足で蹴り飛ばされた。
「ぐっ! 我……」
『早まるなヴァーリっ! 奴を倒したければ機会を伺うんだっ!!』
「イッセー君っ!」
イリナの視線の先ではフェンリルの子であるハティの爪によって一誠の体が切り裂かれていた。ハティは一誠に宿るドライグの危険性を野生の本能で察知し、禁手を発動させる瞬間を狙って攻撃を行なってて阻害する。一誠が今まで強敵と奮戦できたのは倍加があってこそ。それがない彼の実力は下級悪魔クラスでしかない。
「くっ!」
「イリナ、よせっ!!」
イリナは光の槍を手にしてハティへと向かっていく。だがイリナ程度の動きでは簡単に避けられ、無防備になったイリナに向かって爪が振るわれる。爪が肉に食い込む音と共に鮮血が飛び散った。
「イ、イッセー君……。イヤァァァァァァァッ!!」
イリナの顔が血で染まる。イリナの目の前にはハティの爪で胴体を貫かれた一誠の姿があった。腹部を深々と貫かれ重傷を負う一誠。だが、その顔は勝機を確信した顔だった。
「……捕まえたぜ」
『グ、グルっ!?』
一誠はハティの前足を掴むと引き抜かれない様に全力でしがみつく。傷口からは血が溢れ口からも大量に吐血する。それでも一誠の腕の力は衰えなかった。ハティも一誠から感じる力に恐怖を感じ始めた
『我、目覚めるは覇の理を求めし赤龍帝なり』
《頑張ろう》 《力を貸すよ》
『友を守り、友を支える』
《何時だってそうだった》 《傍には皆が居た》
『白き友と小なる覇の理を持って、掛け替えの無き宝を守り抜かん!』
《何時だって助けてくれた仲間を守り抜こう!》
「
一誠の籠手が白く染まると数秒間だけ一誠から二天龍クラスの力が発せられ、数センチまでに絞られ放たれた魔力がハティの眉間を撃ち抜き脳漿を周囲に飛び散らせた。一誠の籠手は直ぐに赤に戻り一誠から放たれる力が元に戻る。
「イッセー君っ! 早くフェニックスの涙をっ!」
イリナは慌てて一誠に駆け寄るとフェニックスの涙を飲ませる。一誠の傷が塞がっていった。
「っと、直ぐに皆の所に……ぐっ!」
『無理をするな相棒。瞬間的とは言え覇龍を使ったのだ。少し休め』
「滅びろっ!」
「甘いわね♪」
リアスは突如現れた少女によって追い込まれていた。少女は聖剣でリアスの滅びの魔力を切り裂くとリアスの周囲から聖剣を出現させる。辛うじて直撃は避けたものの掠った部分からは焼けるような痛みを感じる。次第に動きも悪くなっていった。
「ねぇ、貴女。婚約者が居るそうだけど抱いて貰ってる?」
「な、何言ってるのよっ!? ま、まだに決まってるじゃないっ!」
「……ふ~ん。どう見ても男慣れしてる様に見えるんだけどなぁ。……ねぇ、知ってる? 昔あった魔女裁判ではね、神聖とされていた処女を処刑する為に犯してたのよ。……貴女に分かる? 幼い頃から男に陵辱される記憶がある女の気持ち」
少女は自分の体を抱き抱えるようにしながら震える。心なしか彼女の体は震えていた。
「でもね、あの人は約束してくれたの。忌々しい前世の記憶を完全に消去してくれるってね。……さぁ、掛かって来なさいリアス・グレモリー! 私の名はジャンヌ! 聖処女ジャンヌ・ダルクの魂を引く者よっ!」
ジャンヌの周囲に無数の聖剣が現れ、それと同時に出現した騎士達が聖剣を手にした。
「禁手っ!」
「そう。これはゲオルクが私にくれた二つ目の”聖剣創造”の禁手、
数に押されリアスは徐々に押され始める。聖剣は悪魔の弱点であり一撃でもマトモに喰らえば致命傷となり、リアスは必死に騎士を迎撃するが躱しきれずに体勢を崩す。その隙を狙って騎士達が押し寄せた。リアスは思わず目を瞑り騎士達がリゼルに襲いかかる瞬間、騎士達は何者かによって吹き飛ばされる。リアスの隣には一人の男性がいた。
「……大丈夫か、リアス? 援軍に来た。もう安心しろ」
「サ、サイラオーグっ!」
サイラオーグはリアスに手を貸して起き上がらせるとジャンヌを見据え懐に手を入れる。彼の手には夏休みにあったイベントで手に入れたファンシーなステッキが握られていた。
「ラブリー♥ マジカル♪ ソサェティー✩」
「あ、私も貰った物が有るんだった。……え~と」
現実逃避したリアスが携帯電話を使うと緑のペンギンもどきが現れた。
「待たせたなっ! 38代目地球勇者プリニーカーチス見参っ!!」
「……さて、これからどうしようかしら? 取り敢えずケーキバイキングにでも……」
リアスの現実逃避は終わらない……。
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