……ワンパンマンのガロウが呼ばれるかどうかを無視して四次聖杯戦争に呼ばれるとしたら、やっぱどの陣営が良いかな? 正義の味方を目指して挫折した関係で切嗣? 兄貴分としてウェイバー?
優雅と麻婆と先生と龍ちゃんは上手くいかなそう 叔父さんはどうだろう?
「あ、あれ? 俺、どうして?」
「イッセー君、目を覚ましたのね! 痛あっ!?」
ロキとの決戦前日、一誠は病院のベットの中で目を覚ます。ずっと彼の様子を見ていたイリナは慌てて飛びつき、互いの頭をぶつけてしまった。二人は暫く頭を押さえて呻き、ようやく復活した頃には気不味い沈黙が流れていた。
「……ごめん」
「いや、気にしなくて良いって。……心配かけてゴメン」
一誠は漸く自分がなぜ病院に運ばれているのか思い出した。先代所有者達と協力し新たな覇龍を会得したのは良いが、その過程での疲労で倒れてしまったのだ。時計を見ると倒れた時間から丸一日が経っており、イリナの目の下には軽いクマがあった。
「……もしかして看病していてくれたのか?」
「当たり前でしょ、幼馴染なんだから。……あまり心配かけないでね。ひゃっ!? イ、イッセー君!」
イリナは一誠に心配をかけまいと笑顔を作る。その笑顔を見た一誠は勇気を出し、イリナの手を取った。
「……なぁ、イリナ。……俺は君が好きだ。友達としてではなく、一人の女の子として君が好きなんだ」
「へ? えぇぇぇぇぇぇぇっ!? あっ、堕ちる。堕ちゃぅぅぅぅぅぅ!」
その瞬間、イリナの顔は真っ赤に染まり、羽は黒く点滅しだした。
「落ち着け。ほら、深呼吸。吸って~」
「は~」
「もっと吸って~」
「は~~」
「もっともっと吸って~」
「は~……がふっ!? げほっ、げほっ! 何やらせるのよ!?」
「……ゴメン。照れくさくってつい。……今すぐ返事をくれなくて良い。ただ、俺の気持ちを知っていて貰いたかったんだ。なぁ、クリスマスの思い出を覚えているか?」
「……うん」
それから暫くの間、一誠とイリナは初々しく甘酸っぱい空気を醸し出していた。
「……入りづらいな」
「……入りづらいわね」
お見舞いに来ていたヴァーリとリアスはドアの向こうから聴こえてくる会話を聞いて入るのを躊躇い、
「じゃあ、俺は入るわ」
「あんたスゲェな!?」
アザゼルは躊躇ゼロで入っていった。二人は入る勇気がなく、仕方なく自動飯場機の前の椅子で時間を潰す事にした。
「それで相談って何かしら? ヴァーリ」
ヴァーリは何やら話したい事があったらしく、リアスに缶コーヒーを渡すと神妙な面持ちで隣に座った。
「此処に来る前、ゼノヴィアから改めて告白された。俺の子が欲しいんじゃなく、俺の傍に居たいそうだ。小猫やレイヴェルも同じだと言ってきた。……なぁ、俺はどうしたら良い? 俺はずっとアナが好きだった。でも、思いを伝える前に彼奴には恋人ができて……。正直諦めようかという気持ちと諦めたくない気持ちがぶつかっているんだ」
「む、難しい話ね。……でも先に言っておくわ。中途半端な気持ちであの子達の気持ちに応えとしたらダメよ。そんな事、私が絶対に許さない」
「……そうだな。もう少し考えてみるよ。……所で主なら風呂場に突入したり、ベットに入り込んできたり、食事に薬を混ぜるのをやめさせてくれないかい?」
「……御免なさい。私から注意しておくわ」
そしてその日の夜、フリードは一人海辺で黄昏ていた。懐からタバコを取り出し火をつけようとした時、突如横から取り上げられ、代わりに飲み物の缶が差し出される。
「タバコは辞めておけ。……少し話をしないか? 朱乃の事だ」
「……バラキエルの旦那じゃないっすか。別に良いっすよ」
フリードは立ち上げると二人で近くのベンチまで歩いて行った。バラキエルはドシリと座ると真面目な顔つきで口を開いた。
「あ~、どうなんだ? 朱乃と付き合っているんだろう?」
「……まぁ、互いに付き合ってくれとかは言ってないんすけど、殆ど恋人みたいなもんっすね」
フリードは缶を一気に傾けると中身を飲み干す。放り投げた缶は放物線を描いてゴミ箱に入っていった。フリードの言葉を聞いたバラキエルは安心と諦めが入り混じった顔をフリードに向けた。
「……なぁ、フリード。私と朱乃の関係が破綻した理由は知っているな?」
「……まぁ、コカビエルの旦那から聴いたっすよ。アンタへの恨みを持つ奴らに殺されたんだろ。それも急な仕事で居るはずだった時間に居なかったから」
「ああ、そうだ。あの子は私を責めて拒絶したよ。……あの子の事を頼めるか? 私の代わりに守って欲しい」
バラキエルはフリードの頭を下げる。フリードはその姿を驚いたように見ていたが、次第に怒りの表情を見せ、彼の胸ぐらを掴んだ。
「ざっけんなっ! 私の代わり? アイツの父親はアンタだっ! 家族の代わりなんか居てたまるかよ! ……守れる時に守っておけよ。娘守るのは父親の仕事だろ? じゃないと、俺みたいに家族を全部失うぜ?」
それは家族全てを失ったフリードだから言える言葉。両親を悪魔に殺され、姉は聖剣計画の犠牲となって死んだ。もう彼に肉親は残っていない。だからこそ残っている肉親の傍に居ようとしないバラキエルに腹が立たったのだ。
「……此処に来る前にアイツに抱いて欲しいって言われてよ。……ざけんなってんだ。俺が惚れたのはあんな自暴自棄になっている女じゃねぇ。……とりあえず落ち着くまで抱きしめてやったら安心して眠っちまったよ」
「……そうか。すまんな、家族の事を思い出させて。……私もあの子と向き合う時なのだろうな」
「けけ、そうしておけよ。変な意地張って二度と会えなくなったら馬鹿丸出しだぜ?」
「はい、次は脇を洗いますので腕を上げて下さい」
「あっ! ……脇は弱いと言っておろうに」
たっぷり泡立てたスポンジで脇を洗われた羽衣は少々恨みがましそうな顔で柳を睨む。それを見たミラは苦笑し、ゼノンはどうでもよさげに天井を仰ぎ見ていた。此処は神田家の浴室。只今四人で入浴中だ。
「羽衣さんって相変わらず脇が弱いんですね。……やっぱり事の時は其処を責めてます? ふふっ」
「……お主はその姿になると性格が悪くなるのぅ」
大人の姿になれるようになったミラは出来るだけその形態に慣れようとしていたが、性格が悪くなっていた。具体的に言うとドSになり、少々ヤンデレっぽくなるのだ。子供の時は甘えるのが好きだが、この姿の時は相手を虐めるのが好きになっていた。
「……寝てた」
何時の間にかうたた寝をしていたゼノンがグッと背伸びをすると胸が揺れる。思わずその姿を柳が凝視すると、羽衣に抱き寄せられ、顔を胸に埋められた。
「なんじゃ、もう我慢ができなくなったのか? ふふふ、良いじゃろう。この世界を捨てるのを早めるから、子を作るのも早める事になったからのぅ♥」
「……なんだと? 我は聞いておらんぞ、柳?」
「いや、ゼノンさんはネトゲをやってて部屋から出てこなかったから聞いていないだけで今朝……あ、あの時はミラも居ませんでしたね?」
柳が改めて詳しい事を言おうとした時、悍ましい邪気が放たれる。
「ふふ、ふふふふふ。そ~んな大切な事を言い忘れるなんて柳さんは悪い人ですねぇ。いえ、責めてはいませんよ? でも、羽衣さんには言っているなんておかしいですよね? 言ってみれば『俺の子を産んでくれ』って言っているようなもの、いえ、そのまんまですよね? いつ言ってくださっても嬉しくて胸が高鳴り、即座に発情期に突入しちゃいますけど……一度目を聞きたかったなぁ。ほ~んと柳さんって大切な事は羽衣さんが先ですよね。関係を持ったのも最初ですし、私は最後……。まぁ、あの時の私は子供の姿にしかなれませんでしたから仕方ないとは思いますよ? 柳さんはペドフィリアじゃないんですから。まぁ、貴方がどんな性癖でも私は受け入れますが。っというより私たち四人は互いの長所も短所も全て受け入れ合うって関係ですからね。だから、まぁ、順序とかはないと思いますけど……あれ? 後回しになっている私とゼノンさんの共通点を見つけちゃいました。この姿の私とゼノンさんって白髪なんですよね。白髪はお嫌いですか? 妹に似てるって理由や、幼馴染って理由である程度気を許していた二人は綺麗な黒や金色でしたよね。いやいや、貴方が私達を嫌うなんて思っちゃダメですよね。御免なさい。つい、ショックで。お願いしますから嫌わないでください。って、また言っちゃいましたね。私って本当にドジ。これはお仕置きが必要ですね。後でお願いします。それで貴方の子を身篭れば二度美味しいし。あれ?それじゃあお仕置きにならないかな? でも、柳さんはスケベですし、口実なんて要らないけど、シチュエーションで盛り上がるってのも良いと思いますよ? ああ、そういえば私と貴方の子は多分
「取り敢えず改めて言いますね。子供を作るのはこの世界を捨ててからの予定でしたが、捨てるのを早めますからソッチも早めます。……三人とも、正式に私の妻となり子を産んでくださいませんか? 私、三人の子が欲しいです」
「……ミラはスルーか? あぁ、良いぞ。好きなだけ産んでやろう」
「……我も良かろう。今度こそ血を分けた家族を持ち幸せになりたい」
「……それでですね、やっぱり私が一番柳さんを分かっていますから……」
「あ、電話ですね。それも仕事用」
柳はミラをスルーして、というよりスルーしなければ身の危険があると判断して電話に出る。すると幼い少女の声が聞こえてきた。
『柳か!? 頼む、母上と言彦を助けてくだされ!』
それは京都に住む知り合いからのSOSだった……。
意見 感想 誤字
霊感ですが、16巻は二度しか読んでないので読み返し中 ちょっと遅れるかも