ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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失礼な話です。……え? 仕方ない?

「ミラ!? 大丈夫ですか!?」

 

「……はぁ…はぁ…。体が熱いです」

 

それはロキが襲来する少し前の事。先程までオーフィスと小突き合いをやっていたミラだったが、急に顔を赤かくしダルそうにし出す。その息遣いは何処か苦しそうだ。初めて見るミラの弱った様子に柳は狼狽えだした。

 

「ドラゴン風邪か? にしては急に発症したな。おい、とりあえずヴァーリと一誠は離れとけ」

 

ドラゴン特有の病気と判断したアザゼルがヴァーリ達に離れるように指示した時、ミラに更なる異変が起きる。体が痙攣し出し、徐々に発光しだす。そしてオーフィスはその様子を間近でジッと見ていた。

 

「……変わる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「ミ、ミラ!?」

 

やがてミラから放たれる光は馬車の中を包み込んで外に溢れ出す。そしてミラの叫びと光が収まった時、柳の膝の上には幼い少女ではなく柳と同年代の少女が座っていた。身長やスタイルはレイヴェルと同等くらいであり、真っ白な髪の色に左頬に刻まれた刺青のような赤い模様。そして虚ろな真っ赤な目。先程までの少女の姿とはまるで別人のような見た目だった。

 

 

 

 

 

 

「……これは成長によるモノじゃな。コヤツの使っていた人化の術は自分の年齢に合わせた姿になるものじゃったが、コヤツの場合は術が不完全だったせいで急成長したのじゃ」

 

オーディンはそう冷静に考察しながらも視線は成長したミラの体に行っている。服は市販品を着ていたのに急成長したせいで体に合わなくなり、所々はみ出している。

 

「……ロスヴァイセさん。服ありますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……スゲェ食いっぷりだな」

 

アザゼルが呆れたように呟く先では柳の特製弁当をかっ込むミラの姿があった。少し大きめの服を鬱陶しそうにしながらも食べるのを止めない。瞬く間にお重の中身が失くなって行き、全く手を付けていない鳥の唐揚げを除いて十人前はあろかと思われる量が全て彼女の細身の中に入っていった。

 

「これ、我が食べても良い?」

 

オーフィスは可愛らしく小首を傾げると返事を聞く前に唐揚げを口に運ぶ。そして彼女の口に唐揚げが入る直前に柳からの返事が返ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別に構いませんよ。少し辛くしすぎまして……」

 

その瞬間、馬車内がパニックに陥った。

 

「皆の者、逃げるんじゃ!」

 

「……あの柳が、辛すぎる、だと!? おい、アザゼル! 神滅具は十三種類じゃなかったのか!?」

 

「俺もそんな恐ろしいもの初めて聞いたぜ」

 

「……危なかった。でも、コレは貰って行っても良い? これならグレートレッドを倒せる」

 

オーフィスでさえ気絶する程の激辛料理を平気で食べる柳が辛すぎると言った料理。柳の嗜好を知っている物達はミラが本能で避けていたその唐揚げを恐怖の眼差しで見つめる。だが、忘れてはならない。オーフィスでさえも倒せる料理を作れる蕎麦屋のブロr……厳さんも恐ろしいが、 それを美味しそうに食べる柳でさえも気絶させる料理という名の謎の物体をゼノンが作った事を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場面はロキと柳が再開した時に移る。ロキと柳が顔見知りだと知っているオーディンと馬車が揺れた時に唐揚げが口に入って昇天しかけているオーフィス以外のメンバーが唖然とする中、人間の姿にドラゴンの翼を羽ばたかせて飛ぶミラと彼女に背負われた柳が楽しそうに談笑していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘルさんに彼氏が出来たんですか。それは父親として気が気でないでしょう?」

 

「全くだ! あのようなチャラ男など断じて認めん!」

 

「ガウ!」

 

フェンリルも賛同するように吠えながら頷く。どうやらかなり仲が良いようで談笑はその後もしばらく続いた。

 

「ではこの辺で帰らせてもらう。貴様らが護衛ではコチラの命が危ないのでな。息子も友人に向ける牙は持ち合わせてないと言っておるし、貴様らが居ない時に襲撃させてもらう。おお、そうだ! ミラが成長した祝いにアース神族のドレスを送ろう。楽しみにしているが良い。では、さらばだ!」

 

「ガウ~!」

 

とても良い笑顔でロキは去って行き、フェンリルは名残惜しそうにひと鳴きするとその後を追って消えて行った。そして柳がミラと共に馬車に戻るとリアスが食って掛かってくる。

 

 

「ちょ、ちょっと! なんで逃がすのよ!? その子の力なら勝てるはずでしょ!?」

 

「契約で襲撃者と戦うのは貴女達が戦えなくなってからで良いとなっています。ああ、そうそう。私の仕事は今日までですので頑張ってロキさんとフェンリルを倒してください。まぁ、ヴァーリなら行けるでしょう」

 

「あっ、そろそろ今日の就業時間が終わりますね。……柳さん。今日の添い寝は私の番ですよ。……お楽しみに。フフ、フフフフフ」

 

ミラは柳にしなだれかかると耳元で甘えるような声を出して囁く。その瞳は狂気に染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……随分成長したのぅ」

 

「もう、チビッ子だったお前は居ないのだな……」

 

家に帰った二人を出迎えた羽衣とゼノンは驚いたような顔と少々寂しそうな顔をそれぞれ浮かべる。すると、オーフィスがゼノンの服の裾をクイクイっと引っ張って顔を見上げた。

 

「まだ我がいる。これからは柳の膝も我が貰う」

 

その瞬間、オーフィスの鳩尾にミラのつま先が叩き込めれる。思わず膝をついたオーフィスにミラはためらわず追撃を加え、その頭をゲシゲシと踏みつけた。

 

 

「フフ、フフフフフ。柳さんの膝は永遠に私だけの物ですよ。まぁ、産まれてくる子供には譲っても良いかな? キャッ♪ さ、お食事にしましょう。今日は柳さんの膝の上で食べますね」

 

「いや、決定事項ですか? それに其処まで大きくなったら座りづらいのでは?」

 

「大丈夫ですよぉ。ほら」

 

ミラがそう言うと途端に見慣れた少女の姿に戻る。どうやら好きな時に戻れるようだ。

 

「膝に座る時はこの姿でぇ、甘える時は大きい姿になりますねぇ」

 

ミラは再び大きい姿になると正面から抱きつき、胸を押し当てながら柳の耳たぶを甘噛みする。その時の表情は恍惚としており、どこか正気を失っている表情だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アナ。本気で言ってんのか?」

 

「ええ、そうよ。裏切り者が続出して警護の人員が足りないんでしょ? なら、私達が協力するわ。悪神ロキとフェンリルの討伐のね」

 

アザゼルがアパートに帰るとそこにはアナスタシアの姿があった。その後ろには仲間である黒歌と美猴、そしてアーサーの姿が有り、アザゼルは仕方なしにアーサー以外を部屋に通した。




意見 感想 誤字指摘お待ちしています

ミラの成長した時のイメージは…… ヒント 黒 白髪 顔の模様 病んでる

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