ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

75 / 87
前回の感想が 皆さん彼が好きですね 私も好きです


で、出番が……

「歴代所有者達との対話っすか?」

 

「ああ、そうだ。まぁ、試しにしてみな。……それとこれを渡しておく。白龍皇であるヴァーリの血だ。これを飲むと何か変化があるはずだぜ」

 

アザゼルのアドバイスを受けた一誠は神器の中に意識を潜らせた。ヴァーリの話では彼らは怨念に満ちており、それを力で屈服させて強力な力を得たらしい。

 

「(同じ事が俺に出来るとは思えない。なら、俺は対話で新しい力を得る!)」

 

最近おかしな方向に行きながらも強力な力を得た仲間達。その奇行を見て胃を痛めるリアスや祐斗の為にも自分が強くならなければならない。そう決意を固めた一誠が神器に潜ったその時、突如破裂音が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いらっしゃ~い!』

 

「へ!?」

 

一誠の目の前では怨念など微塵も感じさせない者達がクラッカーを一誠に向けており、『歓迎! 兵藤一誠様』と書かれた垂れ幕まで飾ってあった。

 

「……あの~、つかぬ事をお聞きしますが歴代所有者の方々ですよね?」

 

「ええ、そうよ。詳しい話はアッチでするわ。ケツ龍皇でも観ながら話しましょう」

 

「え? えぇ? どうなってんの!?」

 

一誠は困惑したまま歴代所有者らしき女性に連れられ、パーティ会場へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恨み? ライバルのあんな姿見たらすっかり無くなったわ。馬鹿馬鹿しいもの」

 

「それにお前が今代の白龍皇の弟子になったしな。それが怨念が薄まった要因だと思うぞ」

 

彼らの話ではヴァーリをモデルにした『ケツ龍皇 しりドラゴン』を一誠を通して観た事で憎しみを抱くのが馬鹿馬鹿しくなって怨念から解放されたらしい。

 

「(……先生には絶対黙っておこう)」

 

なお、ドライクが黙っていたのは万が一でもアルビオンに知られない為だ。

 

『うっ、グス。余りにも哀れすぎる。うぉぉぉぉん!!』

 

そんな風に泣かれては文句も言えず、この話題をこれ以上続けたら駄目だと判断した一誠は歴代所有者たちに向き直った。

 

「……頼みがある。仲間を守る為にも新しい『覇龍』が必要なんだ」

 

「……そうね。貴方じゃ『覇龍』を使いこなせずに暴走した挙句に死ぬのがオチよ。それで一回敵を倒しても守った事にはならない。守るなら命だけじゃなくて心も守る必要があるものね」

 

先程一誠を案内した女性が歴代達を代表して答え、周囲の者達もその言葉に頷く。

 

神器に宿る龍の力を解放する技である『覇龍』は強力だが命を削り、今の形態を手に入れる前のヴァーリも膨大な魔力で補う事で何とか使いこなしていた。彼と違って殆ど魔力のない一誠では命を大きく削るしかなく、それでは意味がないと思ったからこそ新しい『覇龍』を創り出そうと此処に来たのだ。

 

「……その目は覚悟を決めた目ね。良いわ、私達が力を貸してあげる。貴方だけの『覇竜』を完成させるわよ!」

 

「はい! よろしくお願いします!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、その前に『劇場版ケツ龍皇 おっぱいドラゴンの逆襲』を観てからね」

 

『グッハァァァァァァァッ!!!』

 

明らかに赤龍帝の鎧をモデルにした敵キャラの名前にドライグはショックを受け、胃が荒れて口から夥しい量の吐血をした。

 

 

 

 

 

「しっかりしろ! ドライグゥゥゥゥゥゥゥゥゥっ!!」

 

「大丈夫よ、魂だけなんだから。じゃあ、会議を始めるわ」

 

瀕死のドライグを置いて会議は続き数時間後、漸く一つの案が出された。

 

 

 

 

 

 

「……コレしかないわね。私達も協力してあげるから試してみなさい」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神器の中から戻った一誠はヴァーリの血を一気に飲み干すと呪文を紡ぎ出す。すると歴代所有者達の声も溢れ出してきた。

 

『我、目覚めるは覇の理を求めし赤龍帝なり』

 

《頑張ろう》 《力を貸すよ》

 

『友を守り、友を支える』

 

《何時だってそうだった》 《傍には皆が居た》

 

『白き友と小なる覇の理を持って、掛け替えの無き宝を守り抜かん!』

 

《何時だって助けてくれた仲間を守り抜こう!》

 

その瞬間、一誠の体は禁手状態である赤い全身鎧に包まれていた。ただ一つ違う所は両腕の籠手の色。右手の籠手は白く、左手の籠手はドス黒い色をしている。

 

「はぁ…はぁ…。出来…た…」

 

「イッセー君!? しっかりして!」

 

イリナは突如鎧を解除して倒れた一誠に慌てて駆け寄る。どうやら精神的な疲労と慣れない事をした反動から

倒れただけらしく何処にも異常は見当たらない。そしてその顔は満足そうな笑みを浮かべていた。その姿を見たイリナはそっと囁く。

 

 

「頑張ったねイッセー君。ちょっと格好良かったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でひゃひゃひゃひゃひゃひゃ! 堕天使も大変だねぇ! まぁ、裏切り者が出て大変なのは他の勢力もだけど」

 

結局、柳は羽衣から投げられた提案に言葉を濁し問題を先送りにした。羽衣も溜め息をついたものの何も言わなかった。そして、苛立ちを抑える為に使い魔の森に向かったミラが戻ってきたので夕食を取ろうとした時にリゼヴィムが土産を持って訪ね、禍の団を裏切って彼の部下になる予定の曹操も部屋の隅で居心地が悪そうにしている。

 

「……何で今頃になって裏切り者が? だいぶ劣勢ですのに」

 

「あれ? 聞いてなかったんだ。ゲオルクがアザゼルの孫を蘇らせたんだよ。んで、他の奴も思うわけよ。『亡くなったあの人に会いたい』ってね♪」

 

三大勢力間の戦争で大切な存在を失った者は多い。故に同盟に反対して離反した者が居た訳だし、死者は戻ってこないから涙を堪えて我慢しよう。そう考えていた者達も少なくない。だが、此処に来て事情が変わった。グリシアの蘇生は一時的なものではなく完全なる蘇生だという事をアザゼル達は幹部内の秘密にしようとするも、その幹部から裏切り者が出たのだ。

 

「……それで瞬く間にその話は広がり、禍の団に着く者が続出した訳だよ。……少々厄介な事になったね」

 

曹操は苦々しげにそう呟く。彼の目的は神器で人生を狂わされる者が出ないように神の残したシステムを改竄し、悪魔や堕天使が人間界に関わらないようにする、という物だ。彼が組織に入ったのも神器所有者の保護を効率よく行い、最終的にオーフィスを滅ぼす為だった。その為に気に食わないゲオルクの下に着いたのだが、此処に来て彼の傘下が急増。その内、彼も消すつもりだった曹操からすれば大誤算だろう。

 

「まぁ、良いじゃん? 何とかなるって。俺っチからすれば異世界侵攻が出来れば良いだけだし?」

 

「ちょっと待て! 俺はこの世界を平和にする手伝いをしてくれるって言うから貴方に着いたんだぞ! 約束を違える気か!?」

 

「分かってるって。そう焦んなよ、曹操ちゃ~ん」

 

ゲオルクはオーフィスだけでなくグレートレッドも倒そうとしており、そんな事になれば世界に大きな影響が出る。故に曹操は世界に影響が出ない方法を探す事を条件にリゼヴィムに協力する事にしたのだ。なのに彼は計画に支障が出そうになっているにも関わらず飄々とした態度を崩さず、それに曹操は苛立ちを募らせていた。そんな時、肉ばかり取るリゼヴィムを壁にめり込ませた羽衣は曹操に尋ねた。

 

「……のぅ。先程から聞いていて思ったのじゃが、曹操は世界を平和にしたいのじゃよな?」

 

「ああ! 人間同士の争いなら兎も角、本来別の世界に居る奴らの干渉で起こる悲劇を無くしたい。それが俺の理想だ」

 

「なら、リゼヴィムが異世界に侵攻する事は止めんのか?」

 

羽衣の疑問は尤もだろう。散々他の世界の者達が干渉してくる事に対して怒りを顕にしておきながら、自分は侵攻の手伝いをすると言うのだ。だが、曹操はその問いに対して平然とした顔で答える。

 

「……遠国で不幸な事が起きても、可哀そうと思ったり、寄付くらいはする人はそれなりに居るけど、現地に行ってボランティア活動する人は多くない。ましてや異世界の住人がどうなろうと、自分の世界の人間が救えればそれで良い。俺は自分が全ての世界の人を救えるほど優秀とは思ってないし、救いたいと思えるほど聖人君子じゃない。それだけの事さ」

 

「……ふむ、実に納得の答えじゃ。なら、その心意気を褒め湛え褒美をやろう。おい、ゼノン。世界に影響を及ぼさず、そこそこ強い、という条件に当て嵌る適当な奴を見繕っておけ」

 

「……面倒だ。今、欲しい課金アイテムが中々出ないで困ってるからな。まぁ、気が向いたら……」

 

「……明日の伽を譲ってやろう」

 

「確か何体か居たな……」

 

ゼノンはそう呟くとグレートレッドの代わりとなる者の選定を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「安心しろ、曹操。貴様らの争いには興味はないが、此処を去ってもたまに遊びに来る予定じゃからの。オンラインゲームの為にも世界への影響は妾達が何とかしてやろう」

 

羽衣はそう言うと盃を一気に煽った。




意見 感想 誤字指摘お待ちしています

眠い……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。