ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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魔法使いは執筆中 今週末は執筆できないので今頑張ります


乾いた笑いをあげました

アーシアを助けた翌日の放課後。柳は旧校舎に呼び出された。向かった先はオカルト研究部の部室。一誠に案内された先では、既に他のメンバーが揃っている。何故か、入って来た途端、朱乃が柳の姿をジッと見ていた

 

「ようこそ、神田柳君。昨日は置き去りにしてしまってごめんなさいね」

 

ソファーに座るように促され、座った柳の正面に座っていたリアスから、まず、発せられたのは謝罪の言葉だった

 

「いえいえ、お気になさらずに。私も彼女もこうやって無事ですから」

 

柳はあくまで柔かな態度を崩さず対応し、リアスはホッと一息を付いた

 

「そう言って貰えると助かるわ。私の下僕を助けて貰ったのに見捨てる形になっちゃったから。……ところで、どうやって逃げ延びたのかしら?」

 

「え? 普通にアーシアさんの手を引いて逃げましたよ?誰も追って来ませんでしたし」

 

その言葉に、リアスは少々疑いを残しながらも納得し、本題へ入った

 

「それで、私達の事なんだけど。単刀直入に言うわよ。私達は悪魔なの」

 

そう言った途端、リアスの背中に悪魔の羽が出現する

 

「部長!?柳は一般人なんっすよ!なんで教えるんっすか!?」

 

悪魔に転生した自分とは違い、目の前の友人は人間で、今まで悪魔などの事を知らなかったはずだ。教えるという事は、彼を巻き込みかねない。その為に抗議したのだが

 

「いえ、ここまで巻き込んでしまった以上、私達には彼に教える義務があるわ。それに、彼は悪魔を見た事があるの」

 

 

しかし、リアスは首を振り、古い記事の切り抜き、それは柳が家族を失った事件の記事だった

 

「……ッ!」

 

その記事を見た途端、柳の顔が歪んだ。拳が握りこまれ、プルプルと震えている

 

「悪いとは思ったけど、貴方の過去を調べさせて貰ったわ。嫌な事を思い出させてごめんなさい。でも、こうするのが手っ取り早かったから。貴方はこの日見たはずよ。異形の化物を。そいつの正体は悪魔なの」

 

「……ずっと、夢か幻覚かと思っていましたよ。襲われた直後の記憶がなく、気づいたら病院でしたから。でも、昨日の光景を居て確信しました。悪魔は居るんですね。……一つ聞いて良いでしょうか?」

 

「何かしら?」

 

「私の家族を食らった化物、アレは貴方達と同じ悪魔なのですよね。貴女達も人を喰らうのですか?」

 

「私達はそんな事はしないわ!そんな事をするのは、一部の欲望に囚われた愚か者だけよ!・・・・・・ごめんなさい。つい熱くなったわ」

 

リアスは思わず立ち上がり、机を強く叩いた後、正気に戻った

 

「いえ、私の発言がいけませんでした。申し訳ございません」

 

「いえ、貴方からすれば悪魔はご家族の仇ですもの、気にしなくたって良いわ。……それにしても、堕天使の加護がある悪魔祓いを不意打ちとはいえ倒し、堕天使の追跡から女の子を連れて逃げ切った。態度も良好ね」

 

リアスの柳を見る目に興味が宿り、ある提案をしてきた

 

「ねぇ、神田君」

 

「柳でいいですよ。グレモリー先輩」

 

「そう、じゃあ柳くん。私の下僕にならない?」

 

「スミマセンがそんな趣味ありませんので。いえ、他人の趣味を否定する気はありませんよ?ただ、私には合わないだけで。・・・・・・はっ!まさかオカ研って!」

 

柳はそう言って警戒した顔つきでリアスから距離を取る。内心では爆笑しているが、顔では警戒と恐怖を装っていた。その態度に一瞬ポカンっとしたリアスだったが、急に真っ赤になった

 

「ち、違うわよ!そう言う意味じゃないわ。下僕ってのは眷属悪魔の事よ!」

 

「眷属悪魔、ですか?」

 

「そうよ!この、悪魔の駒(イーヴィルピース)を使ったのよ!……ごめんなさい。つい、取り乱しちゃったわね」

 

その後、リアスによる説明が始まった。悪魔の数が戦争によって激減した事。それを補うために、他種族を悪魔にする技術を開発した事。レーティングゲームという試合が人気な事。やり方しだいでは領地持ちのだってなれる事、等を説明する

 

「それで、悪魔になる気はある?」

 

コマを見せてそう尋ねるリアスに対し、柳は静かに首を振った

 

「いえ、お誘いは有難いのですが、お断りさせていただきます。私は平穏が好きですので、レーティングゲームの様な争いが人気になるような悪魔社会に適応する自信がありません。お誘いいただき、ありがとうございました」

 

「……そう。無理強いはしないわ。言っておくけど、私達が悪魔だって事は黙っておいてね」

 

「はい、分かっていますよ。それに、言っても誰も信じませんよ。では、これで」

 

そう言って柳は頭を下げ、部室を出ていこうとした手が、突如掴まれた

 

 

 

 

「まだ何かありましたか?姫島先輩」

 

怪訝そうに尋ねる柳に対し、朱乃は懐かしそうに話しかけた

 

「うふふ。苗字を変えていないのに、まだ分かりませんか?やっ君。昔、一緒に遊んだ仲じゃないですか」

 

「……まさか、朱乃ちゃん?神社に住んでた。何処かで会った気がしてたんですよ。懐かしいですね」

 

「ええ、部長。昔よく遊んだ友達ですわ。……彼家族が亡くなったあの日から会っていませんが」

 

そう言って朱乃は顔を俯ける

 

「……そう。ねぇ、柳。再会を祝して私達と、どこかに遊びに行かない?今日が駄目なら明日でも良いわよ」

 

「すみません。家事をしなければいけないので今日は此処で失礼します。それに、明日は学校を休む予定ですので……」

 

そう言って柳は部室を後にした……

 

 

 

「上手く騙せたようですね。私が指揮者(コンダクター)だという事がバレれば、平穏が遠ざかります。……まさかとは思っていましたが、本当に彼女だったとは。残念ですが、素直に喜べませんね。彼女の父親の甘さのせいで私の家族が死んだのですから……」

 

学校帰りにそう厳しい顔つきで帰り、やがて家にたどり着いた

 

 

「さて、そろそろ書類が届く頃ですが……あれ?」

 

家に入ろうとした柳の目に入ってきたのは、再び無残に壊された家庭菜園だった。先日、ヴァーリが羽衣に勝負を仕掛け、無残に負けた時に壊されたばかりだったが、再び壊されている。しかも、今度は全壊だ

 

「ははははは。私が苦労して育てた野菜達が……」

 

柳は乾いた笑いを上げながら家に入る。その背中には哀愁が漂っていた

 

 

 

「ほれ、窓の桟にホコリが残っておるぞ。ちゃんと掃除せい」

 

「あ~、もう、床より先に天井を掃除しなきゃ駄目ですよ。ホコリが落ちて二度手間じゃないですか」

 

部屋に入ると、顔を腫らしたヴァーリが三角巾を頭に巻き、掃除をしていた。あまり掃除に慣れていない為か、なかなか片付けない。そんな彼に対し、羽衣とミラが厳しく指摘をしていた

 

「っく!こうなったら、禁手(バランス・ブレイク)白龍皇(ディバイン・)の鎧(ディバイディング・スケイルメイル)!!」

 

ヴァーリの体が全身鎧に覆われ、力が跳ね上がる

 

「よし!これで楽に……お帰り」

 

「……只今帰りました」

 

得意げな声を出していたヴァーリだったが、柳と目が合い気不味い空気が流れた

 

 

 

「違うんだ、違うんだ!」

 

『ははははは。白龍皇とまで呼ばれた俺の力で掃除をするとはな』

 

禁手を解いたヴァーリは床に突っ伏し、彼の神器に封印されているドラゴン……アルビオンは乾いた笑いを発して落ち込んでいた

 

「まぁまぁ、落ち着いて。それで、何があったんですか?」

 

二人が落ち着くのを待ち,柳は事情を聞き出した。ヴァーリによると、レイナーレ達の追放を示す書類を届けに来たついでに、また羽衣に勝負を仕掛け、奥の手を使用したがボコスコにやられてしまったらしい。なお、流石に手加減は出来なかったらしく、菜園の破壊に繋がったという事だ

 

「それで、勝負を仕掛けておいて負けたのだから、罰として家中の掃除をしろと。……済まない。君が隠していた本を見つけた所に彼女らが入ってきて、見つかってしまった」

 

「成程。柳はこう言った服装が好みか。今度、着てやっても良いぞ」

 

「柳さん。不潔です!」

 

羽衣がニヤニヤしながら見せつけた本はコスプレ物の大人の本だった。隣のミラは頬を膨らませ、少し怒っている

 

「ぜひ、お願いします!……ではなく、見ないでくださいよ」

 

そう言って悲痛な声を上げる柳の肩をヴァーリがポンっと叩く

 

「大変だな。……俺は尻が良いと思うぞ」

 

その時のヴァーリの顔は良い笑顔だった。しかし、その笑顔を見た時、柳からプッチンと何かが切れた音がした

 

「誰のせいだと思っているんですか!」

 

「うわっ!落ち着け!俺が悪かった!」

 

柳が振り下ろした龍殺しの力を持つ剣を、なんとか白刃取りしたヴァーリは、龍殺しの力による痛みに耐えながらも柳を宥める。暫しそうしていると、やっと柳は落ち着いて剣を収めた

 

「今度から私の家の掃除をする時は、気を付けてください」

 

「分かった。……またするの、確定なんだね」

 

ヴァーリは大きくため息をついた……

 

 

「あれ?ゼノンさんは寝ているとして、アーシアさんは?」

 

「彼女なら、ヴァーリさんが来ましたので気絶させました。あっ、殺気を送って気絶させましたから大丈夫ですよ」

 

「……ミラの殺気は常人には強すぎますから注意してくださいね。ショック死したらイッセー達への説明が厄介ですから」

 

「ミラ……さんもだけど、君も君だね……」

 

「ヴァーリさん?何、サボっているんですか?トイレ掃除がまだですよ」

 

「……分かったよ」

 

柳はトボトボと歩いていくヴァーリの背中を見て、今度会ったら優しくしてあげようと思った柳だったが、

 

「柳さんも。この本の事で、じ~っくりお話しましょう」

 

ミラが柳の秘蔵本を引き裂きながら、威圧感を感じる笑いで近寄ってきたのを見て、辞めたのだった……

 

 

 

 

「全く!柳さんったら!」

 

ミラの説教で憔悴しきった柳をリビングに残し、夕飯の準備をしだしたミラは、未だ不機嫌だった

 

「まぁ、そう言ってやるな。柳とて年頃の男ぞ。あのくらいの本は見る。おぉ、今日は唐揚げか」

 

「あっ、つまみ食いはダメです!」

 

「厳しいのぅ」

 

摘み食いをしようとしてミラに叩かれた手を摩りながら、羽衣は楽しそうに笑った

 

「しかし、お主も変わったのぅ。いや、妾もじゃが。昔のお主は自分以外に存在価値はないと思っておったのにのぅ。……最初は仮初の好意じゃった。しかし、我らの力の前に偽りの好意が消え去った今でも、こうして柳のそばに居るのじゃからな」

 

「もう!昔の事は言わないでください!……はい。昔の私は自分以外の存在を否定していました。でも、今では羽衣さんやゼノンさん。そして、柳さんには存在価値があると思えます。……他の人にはまだ感じませんが」

 

そう顔を赤らめて言うミラを楽しそうに見ていた羽衣はまだ寝ているゼノンと、気絶しているアーシアを起に行った。

 

 

その手にしっかりと唐揚げを隠し持ちながら……

 

 

 

 

「柳さん遅いですね。私、起こしてきます」

 

次の日、何時もなら学校に行く為に起きてくる柳が起きないのを心配したミラは起しに行こうとしたが

 

「待て。今日はあの日だ」

 

「あっ……」

 

徹夜でゲームをしていた為に朝からリビングに居たゼノンによって止められる。今日は三人が柳に初めて会った日。つまり、柳が血の繋がった家族を失った日だった。毎年、この日には気が沈む柳は学校を休み、三人はそっとしておく。自分達と初めて会った記念日に落ち込んでいる事を気にさせない為に……

 

「……しかし、ずっと部屋に閉じこもっておるのも良くないのう。そうじゃ、気分転換に街に出したらどうじゃ?一人では行かんじゃろうから、誰かと一緒に行かせれば良い」

 

「ですが、私達と居たらあの日の事を思い出しませんか?」

 

「奴が居るではないか。アーシア・アルジェントが」

 

アーシアに白羽の矢を立てた三人は、早速アーシアに柳を連れ出すように言いに行ったのだった……




さて、アーシアはサブヒロイン候補ですが、朱乃はどうしましょう?


メインヒロイン?……羽衣さんだ!!(笑)

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