ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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フェイトゼロ、ランサー自害の所まで見ました 切嗣が外道ww 


魔王神が不機嫌です

戦争とは無縁の幸福な日々。其れはあっさりと終わりを告げた。焼け落ちる村、響き渡る断末魔。そして、貴族とおぼしき者達にによって捕らえられた妻子の悲鳴。

 

「おとなしく言うことを聞けば妻と子供は返してやる。もし逃げ出せば……分かっているな?」

 

そして、その日から彼の地獄の日々が始まる。毎日の様に目に入る死体の山と、聞こえて来る兵達の断末魔。時には暗殺者に命を狙われた事もあった。今まで争いとは無縁の生活を送ってきた彼にとって、それは発狂してもおかしくない物であり、狂わずに居れたのは、再び妻子と共に暮らす、という希望にすがりついていたからだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ、リアスとディオドラのゲーム当日。アーシアは新総督のシェムハザのお供の名目で柳と共に観覧席に居た。当然其処は魔王や大天使、さらには北欧の主神であるオーディンが居るVIP席であり、所詮下っ端に過ぎないアーシアが居るには場所違いだろう。居るだけでプレッシャーを感じるほどだ。だが、それ以上に彼女は強いプレッシャーをゼノンから感じていた。

 

「や、柳さん。ゼノンさんがとても不機嫌なのですが、何故でしょう!?」

 

その日のゼノンは明らかに不機嫌で、周囲の者達は身を刺すような威圧感に冷や汗を流しながらもこれ以上刺激しないようにと、見て見ぬふりをしていた。本音を言うなら今すぐこの部屋から出たいが、立場があるからそれができない、彼らがそんな思いに苦しんでいる中、呑気な三人が居た。

 

 

 

 

 

 

「柳さん。私の新作料理です。はい、あ~ん♪」

 

「うん! 此れは美味しいですね」

 

「ほれ、柳。茶を飲むがよい」

 

ミラはそう言って重箱の中の料理を箸で摘んで柳に差し出す。柳もそれを素直に口に入れる。彼が飲み込んだのを見計らって羽衣はお茶を差し出し、自分も重箱に箸を伸ばす。まるで三人だけピクニックにでも来ているようだ。

 

「ああ、ゼノンさんですね。今は話し掛けない方が良いですよ。私達以外は殺されかねませんから。……ディオドラが裏切り者だっていう証拠が見つかったらしくって、あの人、自分の目の前で裏切りが行われるのが嫌いなんですよ。私は家に残ったらどうかと言ったのですが、どうしても行くと言い張りまして。まぁ、自分の知らない所で行われた裏切りは気にしませんがね」

 

「それならリアスさん達が危ないのでは?」

 

「あっ、彼女らは囮です」

 

「は、はぁ……って、囮!? 私、そんな事聞いていませんよ!?」」

 

「まぁ、貴女は下っ端ですし。それに、事前に漏れるのを避ける為に数名の上層部しか知らないんですよ。イッセー達も知りませんが、魔王様達が仕掛けをしていますので安全でしょう。神仏クラスでもない限り破れない術式を使い、彼らを再転移で呼び戻すらしいですよ」

 

 

『それでは只今よりリアス・グレモリー様とディオドラ・アスタロト様のゲームを開始いたします』

 

観覧席の者達が固唾を呑んで見守る中、裏切り者をあぶりだす為のゲームが開始される。既にリアス達の安全は確保され、魔王達の手で裏切り者を始末するだけ。神仏クラスの術者が手を加えない限り計画は揺るがない。そう、神仏クラスの術者が居なければ……。

 

 

 

ゲーム会場に移動したリアス達が到着したのは柱が並ぶ広い場所だった。後方には幾つも並んだ神殿の入り口がある。

 

「……おかしいわね」

 

何時まで経っても開始の合図が聞こえて来ない事に対し、リアスは怪訝そうに呟き、他のメンバーも首を傾げる。その時、神殿とは逆方向に大量の魔方陣が出現した。間近での決戦かと思い、戦闘態勢を取ったメンバーだったが、どれもアスタロト家の魔方陣ではない

 

「魔方陣全てに共通点はありませんわ。ただ……」

 

「ええ、全部悪魔。それも、記憶通りなら『禍の団(カオス・ブリゲード)』の旧魔王派閥に傾倒した者たちよ!」

 

リアスの言葉に全員が構えると、空中にディオドラが浮かんでいた。その後ろには映像が映し出されており、そこに映っていたのは

 

「ミリキャス!」

 

そう、空に映っていたのはリアスの甥であり、サーゼクスの息子であるミリキャスの姿だ。彼は怪物の像の様な物に拘束されており、眠っているのか目を閉じてじっとしていた。

 

「やあ、リアス・グレモリー。そして赤龍帝。アーシア・アルジェントはいただくよ。彼女さえ手に入れたらゲームなんてどうでも良い。さっさと『禍の団』に殺されてくれたまえ」

 

「ゲスが! ミリキャスを返しなさい! それに、お兄様が黙っていないわよ!」

 

リアスの叫びに対し、卑劣な笑みを浮かべたディオドラは神殿を指し示す

 

「はははっ! 魔王なんて怖くないさ。奴らは何かこのフィールドに仕掛けをしていたみたいだけど、そんなの禍の団のゲオルクって奴が解除して逆に君達を閉じ込めてるよ。じゃあ、追ってきたかったら神殿の奥まで来てごらん。素敵なものを見せてあげるよ。まぁ、この数の上級悪魔や中級悪魔を相手にできないだろうがね」

 

ディオドラはそう言って神殿の方へ消えていった。

 

 

 

 

 

 

「さて、話は済んだな。偽りの魔王の血縁者よ。貴様にはここで死んでもらう」

 

そう言って一人の上級悪魔が前に出て来て、リアス達に濃厚な殺気を送る。そして、両手に魔力を込めて放とうとした瞬間、本来この空間では地震など起きないはずなのにフィールドが激しく揺れる。そして、リアス達の前に新たな魔方陣が出現した。

 

「くっ! 新手……貴女は柳の従者の……ゼノンだったかしら?」

 

「……黙れ小娘。我は今、非常に機嫌が悪い。柳から貴様らを巻き込むなと言われているが……黙らぬと殺すぞ!」

 

「ひっ!」

 

ゼノンから放たれた殺気によってリアスは腰を抜かし、その場にヘタリ込む。そんな彼女の姿を見てくだらなそうに鼻を鳴らしたゼノンは続いて自分達を取り囲んだ悪魔達を睨みつける。その時に放たれた殺気は先ほどの比ではなく、彼らは青ざめ、中にはあまりの恐怖に心臓が止まって息耐える者まで出始めた。既に彼らからは戦意が失われ、今は少しでもゼノンから離れようと一目散に逃げ出した。だが、

 

 

 

 

 

 

 

 

「クール」

 

ゼノンが唱えたのは冷気系魔法の初歩。しかし、その初歩だけで全ての悪魔が凍りついた。いや、彼らだけでなくフィールド全体が巨大な氷に覆われ、無事なのは神殿とその周辺だけだった。リアス達はゼノンの魔法による急激な温度の低下に苦しみ、全身が凍傷に冒されその場に倒れる。それを見てゼノンは舌打ちをしながらも彼らに手をかざし、癒しの呪文を唱えた。

 

「……ヒール」

 

リアス達を緑の暖かい光が包み、全身を癒していく。それを確認したゼノンは天高く舞い上がった。

 

「我はあの虫螻を殺しに行く。小僧は知らんから、助けたければ貴様らで助けろ」

 

ゼノンはそう言うなり神殿の方に飛んで行き、後にはリアス達が残された。しばらく呆然としていた彼女たちだが、すぐに我に返り、彼女らも神殿へと向かっていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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