ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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昔読んだ漫画で印象に残ったセリフ カードゲームの漫画で主人公が新しいデッキを試すためにプレイヤーの為に作られた施設に通信して対戦してくれと知り合いに頼んだとき

「そろそろ辞めないと親がうるさいんだ」 ですよね~(笑)

ちなみに主人公の親はカードの大会のために月単位で海外に行き、大会後に負けて失踪した(笑)


黒幕っぽいのが出てきました

神田柳はどこか歪んでいる。それが彼と付き合いの深い者達が抱く印象である。

 

 彼は種族を問わず、多くの者と友人になっている。だが、それだけだ。友人である兵藤一誠が堕天使に殺されそうになっていた時も、彼はそれを無視した。目の前にいるオーフィスを殺せば禍の団が瓦解し、友人達が危険な目に遭わなくて済むと分かっていても殺そうとも思わない。ゼノンの力なら容易い事だと分かっているのに……。

 

友人である事と味方である事は別。本当に大切なのは従者三人だけ。自分に影響がなければたとえ友人であっても、気が向かなければ助けない。それが彼の考えである。

 

 

だから、従者が望めば生まれ育った世界すら簡単に捨てられるのだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしてもこの街は平和だな。とても悪魔が自分達の領地としているとは思えない」

 

「いや、テロリストの貴方が言いますか? それで、何の用ですか? 貴方と一緒に居る所を見られたら、後で面倒なんですよ」

 

もっともその面倒とは、うるさい連中を脅すなり物理的に話せなくするなりしなくてはいけない、という事であったが、三大勢力と彼が『味方』であると思い込んでいる曹操は仲間から密通を疑われ、精神的に辛い思いをする、という事だと判断した。

 

「……すまない俺のせいで。最近少し疲れててね。偵察がてらに散歩に来たら、君を見かけたので近づいたのだが……」

 

そう言って嘆息を吐く曹操の顔はやつれ、中間管理職特有の哀愁が漂っていた。よく見ると目の周りにはクマができ、寝不足なのか目は充血していた。

 

「……愚痴くらいならお聞きしますよ。まぁ、私の分も聞いて頂きますが」

 

柳は彼を気の合う知人程度には認識していた為、気まぐれを起こして話を聞く事にし、曹操は嬉しそうに近づいてくる。この時柳は思った。彼は友人が少ないのだろうか?、と。

 

「すまないな。俺は一応リーダーだから弱い部分は見せられないんだ。英雄派は俺が保護した者達が殆どだ。だからこそ俺は彼らの前では強いままで居なくちゃいけない。俺以外の幹部ときたらジークはヤンデレだし、ヘラクレスは元々の魂の持ち主に精神を侵されてるし、レオナルドがカテレアにべったりなのは子供だから仕方ないとして、問題はジャンヌだ。彼奴の言うことばかり聞いて、俺の言う事なんて聞きやしない。……有難う、話したら気が楽になったよ」

 

「私の所も同じですよ。まぁ、それが彼女たちの個性であり、私が惹かれた所なんですけどね。……でも、最近は夜這いが酷くて……。力の差がありすぎて抵抗できませんし。まぁ、する気はないんですけどね」

 

「やれやれ、愚痴と思いきや惚気かい? ……っ!」

 

柳の愚痴に見せかけた惚気話に曹操が苦笑した時、辺りを霧が覆い、魔術師の格好をした青年が現れた。彼を見た途端、曹操は警戒しだし、手には黄昏の聖槍を出現させている。しかし、最強の神滅具を向けられているにも関わらず、彼には少しも怯えて様子がなかった。

 

「何しに来た、ゲオルク!」

 

「貴様には用はない。下がっていろ、曹操。さて、初めまして、神田柳。今日は君をスカウトに来た。我々と共に三大勢力を皆殺しにする気はないかね? 当然、報酬は用意する。君が望むだけの財宝や美女を与えよう。女性の好みはどの様なものかね? 君の望む美女を用意しようじゃないか!」

 

「……美女をそれだけ押してくるって、貴方達にも好色だと思われているんですね。……お断りします。羽衣さん。何時までタヌキ寝入りをしている気ですか?」

 

「ちっ! 気付いていて、んくっ!?」

 

羽衣は柳の呼びかけに名残惜しそうにしながらも膝枕を止めて起き上がり、急に柳に抱き寄せられたかと思うと口付けをされる。行き成りの事で驚いた様子だった羽衣だったが、すぐに柳の首に手を回して貪るかの様に柳の唇に吸い付く。そして、羽衣が満足気な様子を見せるなり柳は唇を離し、ゲオルクの方に向き直った。

 

「この通り、美女には不足していないので」

 

「……そうか。なら、今日の所は帰るとしよう。次は色よい返事をいただけるよう期待している。曹操、貴様も帰るぞ」

 

「……だそうだ。また機会があったら話そう。じゃあね」

 

柳の返答にゲオルクはある程度予測していたのか、対して残念そうな様子も見せずに去っていく。柳がふと空を見れば夕暮れ近く。そろそろ帰らなくてはミラが不機嫌になって宥めるのが大変だと判断した柳は立ち上がろうとし、腕を羽衣に掴まれて引き戻される。そしてそのまま胸に顔を押し付けさせられた。

 

「……寒くなったの」

 

「いや、貴方はこの程度の寒さなら平気でしょうに。私も最近は平気になってきましたし」

 

既に夏も過ぎて時刻は夕方。本来なら肌寒く感じる気温だが、既に人外になりつつある柳や大妖怪である羽衣が寒さを感じるはずもない。だが、羽衣は柳に密着し、言葉とは裏腹に服を脱ぎ始める。

 

「人払いの術は掛けた。さぁ、互いの肌で温め合おうぞ!」

 

「いや、そろそろ帰らなければいけませんって! 今晩じっくりお相手しますから!」

 

柳はそう言って羽衣を引き剥がそうとするも叶わず、強制的に胸を揉まされる。彼女の柔らかい胸に柳の指がズムズムと埋没していき、胸はその形を変えていく。そして、柳の人差し指が先端に触れて沈んだ時、

 

「ぁん……」

 

羽衣の口から艶めかしい吐息が漏れ、その体が崩れ落ちて二人の体が密着した。

 

「今夜相手をしてくるるとは言ったが……前借りしても別に構わんのじゃろう? んむっ」

 

羽衣の問いに柳は返事の代わりに頭を抱き寄せて深い口付けをする。そして、しばらくの間、人払いの術で誰も立ち入らぬ公園に二人が絡み合う音が響く。柳に好色の汚名を否定する資格はなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い! 何時までデートを続けているんですか!」

 

一方その頃、神田家ではミラが不機嫌な顔をして玄関で腕組をして立っていた。彼女の体からは邪気が溢れ出し、玄関に飾っている草花が枯れだし、庭まで溢れ出した邪気は柳の家庭菜園を完全に死滅させる。ゼノンがすぐに結界を張らなければ街全体が邪気に侵され、種族を問わず住民全ての精神が崩壊していたかもしれない。

 

「あ、あの~、ミラちゃん?」

 

「放っておけ。ああなったら、柳にしか止められん」

 

ミラの様子に怯えて涙目になりながらもアーシアは何とか宥めようとする。だが、ゼノンはそれを止めた。もし彼女が止めなければアーシアは無残に食い殺されていたからだ。もしそうなれば柳が悲しむし、その原因となった事でミラも悲しむ。そんな理由からゼノンはアーシアを助けた。確かに彼女の事は気に入ったが、命を助けるかどうかは気分次第。柳や彼女らにとって、家族以外はその程度の存在。仲良くやっているように見えても、ただ、家族以外の存在に多少の優劣が有るに過ぎないのだ。

 

「ただいま帰りました」

 

「すまん。少々野暮用でな」

 

少々窶れた様子の柳と肌をツヤツヤさせた羽衣の様子を見たゼノンは何があったかを悟って嘆息を吐き、ミラは不機嫌そうに近づいていくも、柳に軽く頭を撫でられただけで機嫌を直し、そのまま背中に飛びつくと柳に背負われたままリビングへと入っていった。それを見て羽衣、ゼノン、アーシアは呟く。

 

「……チョロイのぅ」

 

「ミラは柳に甘すぎる」

 

「ちょ、ちょろ甘?」

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し遡り、ヴァーリがアザゼルと帰っていた時、彼は機嫌が良さそうにしていた。鼻歌まで歌う程だ。

 

「なんだ、ヴァーリ。随分とご機嫌じゃないか」

 

「ああ、帰る時にゼノヴィアと小猫が抱きついてきてな。その時に偶然尻に触れてしまったんだが……やはり素晴らしい感触だ。一誠は胸に拘っているが、やはり尻こそ真理だよ」

 

「……アルビオン、強く生きろよ」

 

『なぁに、ヴァーリくらいの若者なら仕方ないわい。それを見守るのも年寄りの楽しみじゃて。ふぉっふぉっふぉ』

 

「……もう、手遅れか。今代の二天竜は争わない代わりに変態揃いとはな……何しに来た、アナ」

 

「アナスタシア!?」

 

ヴァーリとアルビオンが既に末期な事を嘆いていたアザゼルだったが、急に立ち止まって後ろを振り向く。そこにはアナスタシアとアーサーの姿があった。彼女を見るアザゼルの顔は複雑そうで、そこには孫娘に対する祖父としての感情と、元堕天使総督として裏切り者に対する感情が入り混じっていた。

 

「……ヴァーリ。少し見ない間に随分と変態になって。……久しぶり、お祖父ちゃん。元気そうで良かったわ」

 

「……ああ、お前もな。夜更しとかしてないか? 暗い所で本を読んでいないか? 隣に居る野郎に変なことをされていないか?」

 

「……大丈夫よ。もう子供じゃないんだから、そんなに心配しないでよぅ」

 

アナスタシアもアザゼルに対する態度は複雑そうだ。彼女の肉親はアザゼルとコカビエル以外は既に死んでいる。そして、自分はその肉親を裏切った。会いたい気持ちと合わす顔がないという気持ちが入り混じりった表情をしている。そして、アザゼルの口からはアナスタシアへ祖父としての言葉が溢れ出していった。

 

「……俺は爺ちゃんだ。孫の心配くらいさせろ。それとも、裏切ったくらいで俺の孫を辞められると思ったのかよ?」

 

「……ごめんなさい。裏切ってごめんなさい。お祖父ちゃん達のいう事聞かなくてごめんなさい……」

 

アザゼルの言葉にアナスタシアは子供の様に泣きじゃくり、アザゼルはそっとその体を抱き寄せる。その姿は正しく祖父が孫に向ける慈しみに溢れていた。

 

「……気にすんな。なぁ、アナ。今からでも戻ってこれねえのか? 今なら情報を教える代わりに罪を軽く……」

 

「……できないわ」

 

アナスタシアはそう言って首を横に振るとアザゼルから離れる。そして、彼の目をまっすぐ見つめて口を開いた。

 

「組織の副首領が死者を復活させる方法を知っているの。本人は神器を元に編み出した術って言ってたわ。でも、まだ完成はしてない。私はその完成を手伝う代わりにグリシアとお父さんとお母さんを蘇らせて貰う約束をしたのよ。だから、私は戻れない。……じゃあね。最後に要件を伝えるわ。ディオドラに気をつけて」

 

「おい! アナ……」

 

アザゼルはアナスタシアに手を伸ばすも彼女が転移する方が早く、その手は虚しく空を切った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グレン、必ず俺は魔王の座を取り戻す。だから、安心して眠ってくれ」

 

クルゼレイは日課であるグレンの墓参りを済まし、仕事に戻ろうとした。彼の所属する旧魔王派の最大幹部は彼を含む三人だが、実質的に役割を果たしているのは二人だった。その一人も今日は養子と遊ぶ約束をしており、今日は彼一人で仕事をしなければならない。その事実に彼が少々辟易しながらも歩き出したその時、

 

「……がふっ!?」

 

彼の腹を一本の剣が貫いていた。その剣からは聖なるオーラが溢れ出しており、それが聖剣である事は明らかだ。そして、さらに複数の聖剣が地面がから生えて彼を串刺しにする。クルゼレイは助けを呼ぶ間もなく消滅し、アスモデウスの正当なる血統は今ここで潰えた。すると、彼がいた場所から光る玉が出現し、彼の近くに隠れていたゲオルクへと吸い込まれていく。彼はそれをみて満足げに笑みを浮かべると、隣の女性に話しかけた。

 

「よくやった、ジャンヌ。後で何時もの封印をかけてやろう」

 

「……お願いします」

 

ジャンヌと呼ばれた女性は仲間を殺した事に悲痛そうな目をしながらも、ゲオルクの言葉に安堵した様な表情を浮かべていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~おまけ~ アザゼルたちがシリアス中の二人の様子

 

「やぁ、ちゃんと挨拶をするのは初めてでしたね。私はアナスタシアの恋人のアーサーです。よろしくお願いします」

 

「俺はアナスタシアと幼い頃から一緒に居るヴァーリだ。よろしく。アナスタシアと会ってそんなに経っていないアーサー」

 

「ふふふふふ」

 

「くくくくく」

 

表面上は笑みを浮かべて握手するなど仲良くやっている二人であったが、お互いの手を握る潰さんばかりに手に力を込めていた……。




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