ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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色々と成長したようです

父の事は聞くな。それが母が病で亡くなった母が何度も言っていた事だった。自分が生まれてから一度も会ったことのない父親の事など興味もなかったが、少しだけもしかしたらっと思う人物は居たが。新聞でよく見かける人物。自分と同年代の彼は自分にソックリで、母が若い頃、彼の父に仕えていた事がその理由だ。もっとも、例え其れが当たっていても自分には関わりのない事。そう思っていた。そして、ある日……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もしもし。アジュカ・ベルゼブブです」

 

アジュカ・ベルゼブブは緊張した面持ちで電話に出る。画面に表示されている通話先は神田家。彼らと関わりのある者達の内、賢い者達は彼らを敵に回す事と死ぬ事は同義語だと認識しており、アジュカはその賢い者達の中に入る。だからこそ、急にかけられてきた電話に冷や汗を流しながら出た。

 

「柳です。早速ですが貴方の身内のディオドラ、何とかなりません?」

 

「かっ、彼が何かしでかしましたか!? まさか、この前のイベントの時の発言が……」

 

最悪な事に受話器から聞こえて来る柳の声は明らかに不機嫌で、アジュカは背中を冷たいものが流れ落ちるのを感じた。普段、彼は相手に敬称をつける。そんな彼が敬称をつけず、あまつさえ怒りを覚えていた。思い起こすのはイベントの際のディオドラの発言。あれは明らかに柳を馬鹿にしたものだった。思わず魔王としての立場も忘れ、敬語になる。だが、事態は彼の予想以上に最悪だった。

 

「ああ、そんな事もありましたね。思い出したら腹が立ってきましたよ。まぁ、それは置いておいて。家に居候しているグリゴリのアーシアさんが彼からストーカー行為を受けているんですよ。今日も商品券やら大型の家具やら送ってきて……自重させてください。アーシアさんは本当に嫌がっていますので。それに、名乗って直ぐに求婚って冥界ではどんな教育をしているんですか?」

 

「彼には私からよ~く言っておきますので平にご容赦を」

 

もう、アイツ追放しようかな、っと考えつつもアジュカは柳の怒りを鎮めようとする。柳も彼には責任は大してないと分かっているのかそれ程しつこく追求する事はなかった。そして、彼は本題へ話を移す。

 

「それで、彼って聖女や教会関係者ばかり集めて眷属や愛人にしてますが、アーシアさんもそういう扱いにする気でしょうね。……言っておきますが、彼女は既に私の身内です。ミラ以外は彼女を少しは気に入ったみたいですし、彼が妙な真似をした時は巻き添えがどれだけ出るか分かりませんよ」

 

「……肝に銘じておきます」

 

「あっ、それと彼がイベントの時に使ったドーピングからはオーフィスの力を感じましたよ。じゃあ、これでっ!」

 

柳は要件を言い切ると電話を切る。

 

「えっ!? ちょっ、……切れた。しかし、最後の言葉が気になるな。探ってみるか」

 

受話器を戻したアジュカはすぐさまサーゼクスに連絡を取ると対策を練りだした。主に柳たちの機嫌を損ねた時の為に。従者達に比べれば旧魔王とかどうでも良かった。いくらなんでも危険度が違いすぎるから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして!転校してきました、紫藤イリナです。皆よろしくね」

 

そして次の日、謎の少女、イリナが柳の居るクラスに転校してきた。一誠は彼女を見て呟く。

 

「……ああ、顔見たら思い出した。一応幼なじみだったっけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセーくん。おっひさ~! ゼノヴィアも久しぶり! 立場的に複雑だけど、元気で良かったわ!」

 

「ああ、久しぶりだな、イリナ。まだ教会に所属しているなんて驚きだよ。ああ、十字架でダメージ受けてるから離れてくれるかい?」

 

昼休みになって漸く一誠達と話す時間ができたイリナは一誠達との再会を喜んでいた。しかし、彼女は知らない。彼らが自分の事をすっかり忘れていたという事を……。そして、相棒であったゼノヴィアが天界を憎んでいる事など知らず、神やミカエル達に祈りを捧げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫藤イリナさん。貴方の来校を歓迎するわね」

 

 

そして、放課後になりイリナはオカルト研究部の部室に招待された。部屋にはグレモリー眷属だけでなく、グリゴリのメンバーも集合して彼女を歓迎している。もっとも、休日なのに呼び出されたフリードは不満げにしていたが。何とか仲直りできたのか隣に朱乃が立っており、彼の腕に自分の胸を密着させていた。

 

「おい、少し離れろ。胸が当たってんぞ」

 

「うふふ、当てているのですわ。貴方が望むならこの前の続きだってして差し上げますわよ?」

 

照れているのか顔を赤らめるフリードに対し、朱乃はあくまで何時ものペースを崩さない。二人がそうやっていちゃついている中、アザゼルはイリナに話しかけた。

 

「そういや、お前って『聖書の神』の死は知っているんだろう?」

 

余りに直球な質問に焦る面々だったが、当のイリナは冷静に答える。

 

「もちろんです。堕天使の総督様。安心して、二人とも。私はすでに知っているわ」

 

イリナがそう返事をした時、突如拍手の音が鳴り響く。拍手をしていたのはゼノヴィア。彼女は嬉しそうにイリナに近付いて行く。ただ、その体からは邪気があふれ出し、小猫は思わず近くにいたヴァーリの背中に隠れる様に抱きついた。

 

「ははははは! 随分と平気そうだな、イリナ! やはり君も天界に見切りをつけたか!」

 

「な、何を言ってるの!? ゼノヴィア。貴女、少し変よ」

 

ゼノヴィアの狂気じみた様子に思わず尻餅をついたイリナは怯えた様子で後ずさるが、ゼノヴィアはジワジワと彼女に近づき、ついに壁際まで追い詰めた。

 

「変? 何を言ってるんだ。とっくに死んだ奴なんかの為に私達は人生を棒に振ったんだ。天界を恨まず、誰を恨めと……」

 

「其処までだ、ゼノヴィア」

 

「あっ、ヴァー……きゅう」

 

ヴァーリはゼノヴィアを後ろから抱きしめると彼女を気絶させ、ソフォーにそっと寝かせて上着をかける。そして、一誠がイリナに近づいて手を差し出した。

 

「大丈夫か? ゼノヴィアも天界が絡まないと良い奴なんだけど……」

 

「ええ、大丈夫よ、ありがとう。きっと主が亡くなっていたというショックでおかしくなったのね。可哀想に……」

 

実際はミラにボコられた事によって邪気に心身を蝕まれたのだが、それを知っているのは柳達だけであった。ようやく落ち着いたイリナは突如祈りのポーズを始める。すると彼女の体が発光し、その背中から天使の羽が生えていた。

 

「お前さん、天使化したのか? 理論的なものは出来てると聞いていたが……」

 

その後、イリナやアザゼルから『天使化』や『御使い(ブレイブ・セイント)』について説明がされた。悪魔の駒のような物で、チェスの駒でなく、トランプのカードで転生するという物だ。イリナのカードはミカエルの『A』らしい。そして話も一段落し、合流した生徒会メンバーとイリナの歓迎会が開かれた。

 

 

 

 

 

 

そして、数日後の事である。次のゲームの相手がディオドラと知らされたリアス達は部室でミーティングを行っていた。部室内にはヴァーリやアーシアも同席しており、他の若手悪魔のゲームの様子を観ている。若手悪魔最強であるサイラオーグの戦いはまさに圧倒的であり、肉体一つで敵の王を倒していた。その様子にオカ研メンバーが気圧される中、ヴァーリだけは退屈そうに其れを眺めている。以前の彼ならサイラオーグに興味を持っただろう。だが、圧倒的な壁を知っている彼にとって、今のサイラオーグでは興味の対象にはなり得なかった。

 

「(せめて、あのステッキを……いや、あんなのを振り回す大男なんて、いくら強くても戦いたくないな)」

 

ヴァーリが自分の獲得した賞品を棚に上げてそんな事を考えていた時、部室内に見慣れぬ魔方陣が出現し、ディオドラが現れた。

 

「やぁ、こんにちわ。アーシアに会いに来ました」

 

「……丁度良かったです」

 

ディオドラの登場にアザゼルとヴァーリが不快そうな顔をした時、アーシアが彼に近づいていく。思わず嬉しそうな顔をするディオドラだったが、彼女の口から不意に発せられたのは予想もしていなかった言葉だった。

 

「単刀直入にお聞きします。私が教会を追放される事になった一件。あれは貴方が私を陥れる為に仕組んだ事だったのですか?」

 

「おっ、おい! どういう事だよ!?」

 

アーシアの言葉に一誠達の間に動揺が走り、その事を疑っていたアザゼルとヴァーリは殺気を強める。そして言葉の主であるアーシアはディオドラを真っ直ぐに見つめていた。それに対し、ディオドラは

 

「……なんでその事を、ハッ! い。今のは違う! 誤解だよ、アーシア」

 

思わず零してしまった言葉を誤魔化そうとするが時すでに遅し。その明らかに動揺した姿は肯定を示していた。その様子を見たアーシアは涙を翻そうになるがグッと堪え、ディオドラをまっすぐ見つめる。

 

「貴方を癒した事で私は教会を追放され、日本に流れ着きました。そして、多くの友達ができ、……柳さんと出会いました。だから、貴方を助けた事は後悔していません。でも、貴方は嫌いです! だから、もう二度と私の前に現れないでください!」

 

「ア、アーシア。話を聞いて……」

 

アーシアはそう言うとディオドラに背を向け、離れようとする。ディオドラは慌てて肩に手を伸ばそうとしたが、横から伸びてきた手に掴まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

「其処までだ、虫螻。その小娘は我の未来の夫のお気に入りなのでな。……とっとと去らんと殺すぞ」

 

「ひ、ひぃっ! お、お前はっ! か、帰ります!」

 

突如現れたゼノンに威圧されたディオドラは怯えた様子で帰って行く。その様子を見て見下すように鼻で笑ったゼノンだったが、アーシアに近づき、初めて彼女に笑みを向けた。

 

「単に守られるだけの小娘かと思いきや……。中々だったぞ、アーシア」

 

「ゼノンさん。今私の名前を……。あれ? なんでゼノンさんがいらっしゃるんですか?」

 

「羽衣の奴が急に放課後デートをしたくなったと連絡してきた。だから我が柳の代わりに迎えに来たのだ。……行くぞ、アーシア」

 

「は、はい!」

 

アーシアが返事をした瞬間二人の体は光に包まれ、次の瞬間には消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、柳は羽衣とデートを楽しんでいた。近所の公園を散歩し、貸しボートに乗るといった普通のデートではあったが二人は楽しそうだ。

 

「ふむ、こういうのも悪くない。一応学生の真似事はやっておったが、京妖怪の王の頃はこの様な楽しみは知らなかったからな」

 

「ああ、それでもう一度高校に行きたいって言ったんですね。しかも、女子高に」

 

「本当ならお主と同じ学校が良かったのじゃが……二人に反対されての。他の男が寄ってこぬように女子高を選んだという訳じゃ。少し休むか?」

 

ボートを終えた後、散策を続けていた羽衣は近くのベンチを指し示す。柳は特に疲れていなかったが、判っているはずの彼女が言い出したと言う事は何か理由が有るのだろうと思い、素直に座る事にした。

 

「もう少し端に座れ」

 

「はぁ、端に座れと言われるのなら従いますが……羽衣さん?」

 

柳が羽衣のいう通りに端に座ると彼女は柳の太ももに頭を乗せる形に寝転んだ。

 

「うむ! 膝枕とは良い物じゃな。……柳よ、お主は大学には行く気なのじゃろ? 妾も今度こそはお主と同じ学校に行くぞ! そして、いつの日かお主の子を……」

 

楽しそうに未来の予定を話していた羽衣であったが、途中で寝息を立て出す。柳はそんな彼女の髪を優しく撫で、起こさないように小さな声で話しかけた。

 

「ええ、大学を卒業したらこの世界を捨てて四人で異世界に行きましょう。まぁ、許可して下さるなら友人たちも招待したいですね。……愛していますよ、羽衣さん」

 

柳はそう言って何度も彼女の髪を撫でる。その度に羽衣は気持ちよさそうに声を漏らしていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お邪魔だったかな?」

 

「いえ、お気になさらず。お久しぶりですね、曹操」

 

後ろの茂みから出てきた曹操は気まずそうな顔で柳に近づいてきた……。




本編に関係ないが思いついたことが フェイトゼロのサーヴァントが

衛宮 ワンパンマン セイバーならぬセイヴァー

ウェイバー サンレッド ライダー (一期のOP) サンシュート的な設定であごヒゲがマスターでアーチャーでも良し もしくはランサーとしてサキューンがケイネスに

雁屋 ボーボボ バーサーカー  又は ところ天の助かドンパッチ 暴走状態ヘッポコ丸

龍之介 トランセイザー キャスター (ドラマCDの設定準拠)

だったらどうなっただろうか 残りはそのまま 絶対カオス 真面目なやつほど苦労する


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