ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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仲が良さそうで何よりです

魔王主催のパーティ会場では参加者の注目を集めている者達が居た。魔王サーゼクスとレヴィアタンの妹達とその眷属。その中でも赤龍帝を宿す一誠が注目を集めている。

 

「うっひょ~! 美人ばっかだぜ! おっ! あの娘、巨乳だ!」

 

その奇行による、悪い意味での注目も集めていたが……。

 

そして、続いてはヴァーリ。前魔王ルシファーの末裔であり、白龍皇を宿す男だ。堕天使側に所属してはいるものの、同盟中なので彼もこのパーティに参加していた。もっとも、上層部の思惑から招待されたという事もあるが。そんな理由からか、彼は居心地の悪さを感じていた。

 

 

「ねぇ、アレがケツ龍皇? 確か、フェニックス家の長女のお尻を鷲掴みにしたとか……」

 

「いくら美形でも変態じゃね~。お父様はお近づきになれって言ってたけど……」

 

居心地の悪さの理由が利用しようとする視線のせいだったら良かっただろう。確かにそんな視線はある。だが、実際は呼ばれたくないアダ名での変態扱いが居心地の悪さの理由。彼の胃はキリキリ痛み、既に何時も感じるアルビオンの反応が無くなっている。誰もが彼を遠巻きにする中、彼に近づく者達が居た。

 

「やぁ、ヴァーリ。居心地が悪そうだな。私と会場を抜け出して茂みの奥で子を作らないかい?」

 

「会って行き成りそれかい!? やぁ、ゼノヴィア。……へぇ、そのドレス、似合うじゃないか」

 

ゼノヴィアの着ているドレス姿を見てヴァーリは感嘆の声を漏らす。ゼノヴィアが纏っているドレスは露出は少なく、上品な物だ。とても普段の彼女からは想像できない姿にヴァーリが見惚れる中、咳払いの音が聞こえてきた。音のした方を見ると其処に居たのはレイヴェル。炎を司るフェニックス家に相応しい上品な赤のドレスを身に纏っていて、とても可愛らしい。ヴァーリはそんな彼女にほほ笑みかけた。

 

「あ~、ヴァーリ様? 誰かお忘れでは?」

 

「やぁ、レイヴェルか。君も似合ってるな。とても可愛らしいよ」

 

「あら、お上手ですこと。女性の扱いに慣れていますわね。誰かから教わりました?」

 

ヴァーリの褒め言葉に顔を真っ赤にしながらも、レイヴェルは余裕を見せながらそう尋ねる。それに対しヴァーリは憂いの入り交じった態度で答えた。

 

「ああ、昔、女の子がおしゃれしていたら素直に褒めろ、と姉の様でもあり、初恋の相手でもあった相手に言われてね」

 

「……そうですか。その様子では、聞いてはいけない事の様ですわね。申し訳ございません」

 

「いやいや、気にしなくて良いよ。ゼノヴィア、何を見ているんだい?」

 

「ああ、向こうの方で何やら妙な光景が繰り広げられていてね。……料理の山?」

 

ゼノヴィアの視線の先には数メートルの高さに積み上げられた料理の山が何個もあり、それが次々と消えていっていく。その皿の周りには貴族の子息達が集まり、その中心にはミラが居た。

 

 

 

 

「はむはむはむ。もぐもぐもぐ。もきゅもきゅもきゅ」

 

「ほら、ミラちゃん。こっちのお肉食べる?」

 

「このお菓子も美味しいわよ」

 

ミラが口の中に料理を詰め込み、すぐに飲み込んでは次の料理を詰め込めていく様子は、頬袋に餌を詰め込むハムスターを彷彿させ、小動物可愛さを醸し出しており、その様子見たさに子供達は彼女の元にに料理を持って行く。そして、子供達の中でも一番甲斐甲斐しく彼女の世話をしている子供が居た。

 

「ミラさん。はい、お飲み物です。あ、サラダも持ってきましたよ」

 

その子の名はミリキャス・グレモリー。サーゼクスの息子であり、次期次期グレモリー家当主であり、時期魔王との呼び声も高い存在だ。そんな彼は幸せそうな顔でミラの世話を焼いていた。彼がミラを見つめる顔にはほんのり赤みが差していて、まるで恋する相手を見つめている様だ。そんな中、ダンスの時間が近づいている事を知らせるアナウンスが流れ、それを聞いた彼は勇気を振り絞ってミラに話しかけた。

 

「あ、あの! 今から一緒に踊りませんか?」

 

 

 

 

 

「あ、面倒くさいので嫌です」

 

「そ、そうですか……」

 

もっとも、その勇気は無駄に終わったが……。

 

 

 

 

 

 

別のテーブルでは羽衣とゼノンが注目を集めていた。二人共、白い肌によく映える漆黒のドレスを身に纏い。ゼノンは胸元を、羽衣は深いスリットによって足を大きく露出させたドレスを着ており、何とも言い表せない色気を放っていた。故に彼女達の周囲には男性達が集まり、彼女達をダンスに誘おうとしていたがお互い牽制し合って誘えず、ただ遠くから眺めるだけだった。なお、彼女達はそんな彼らなど気にした様子もなく飲み比べに興じていた。彼女らが飲んでいるのは冥界産の高級ワイン。ひと樽だけで目の飛び出る価格のする、魔王主催のパーティに相応しい一品だ。そして、彼女達はそんなワインを樽で飲んでいた。

 

「……やはり、我は清酒の方が好みだな。これは少々甘い」

 

「ふん、ワインの良さが分からぬとは、無粋な奴め。まぁ、この酒よりは処女の血の方が美味じゃがな。それか、柳の唾液じゃな。キスの時に味わうのが最高じゃ」

 

「ああ、それには同意だ。特に舌を絡め合いながら味わうのが良い」

 

そんなノロケ話に男性達は諦めて離れていく。未だにノロケ話を続ける彼女達の周りには空樽が幾つも転がっており、二人が飲んだ量は明らかに二人の体積を凌駕していた。

 

 

 

 

 

 

「おう、アーシアか。どうだ、休暇は楽しかったか?」

 

「あ、はい! 有難うございました、総督」

 

パーティに参加したアーシアはアザゼルを見つけ、話しかけた。彼の下に移動する際に、話しかけてきた男が居たが、聞こえないふりをしてアザゼルの所に向かうと、苦虫を噛み潰したような顔をして去って行く。彼の背中を睨みつけていたアザゼルは直ぐにアーシアに笑顔を向けた。

 

「なぁに、お前さんが元気になって何よりだ。神器は精神状態に左右されるからな、何かあった時、お前の力は重要だ。……んで、少しは進展したか?」

 

「はい。柳さんに告白しました」

 

「……え? えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

アーシアの言葉を聞いたアザゼルはワインの入ったグラスを取り落とし、会場に響く大声を上げる。周囲の注目に気づいた彼はアーシアを連れて部屋の隅に移動していった。

 

「……よく殺されなかったな。それで、柳は何て答えたんだ?」

 

「はい。私が彼を好きなのは助けて貰ったことによる吊り橋効果に過ぎない。まだ自分の汚い所を見せてないから、これからも友人として傍で自分を見て、それでも好きだと思えたならもう一度告白するように言われました。そうしたら柳さんも答えを出して下さると言っていました」

 

「そうか。まぁ、頑張って彼奴を射止めろや。言っておくが彼奴の周囲は強敵だらけだぜ」

 

「はい、頑張ります!」

 

アザゼルの言葉にアーシアは満面の笑みで答える。その笑顔には一欠片の汚れもなく、それを見たアザゼルの脳裏には幼い頃の孫二人の姿が映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの、柳さん。フリードさん」

 

柳とフリードが話している時、横合いから朱乃が話し掛け、その事に柳の笑顔は固まった。

 

「……何の御用ですか?」

 

「よお、久しぶりだな。……何かあったか? 随分良い顔になったじゃねえか」

 

フリードの指摘通り、朱乃の顔からは数日前の迷いが薄れ、どこか清々しいものとなっている。彼女はふたりを見つめると、頭を下げた。

 

「柳さん。今の私には貴方の友人たる資格はございません。だから、今の私は貴方の友人ではないと思っています」

 

「……それだけを言いに? まぁ、友人を辞めたいと言うのなら構いませんが?」

 

柳の冷たい言葉にも朱乃は傷ついた様子を見せず、真っ直ぐに目を見つめ、口を開いた。

 

「ええ、だから、お願いがあります。今度のゲームで私が雷光を使えたらもう一度私の友達になってくださいませんか?」

 

「まっ、別に良いですよ。お話はそれで終わりですか? じゃあ、私は此処で……」

 

柳は朱乃の言葉に特に反応せず、その場を離れていく。朱乃はそんな彼を追おうともせず、フリードの方に向き直った。

 

「フリードさん。貴方のお陰で勇気が出せました。本当に有難うございました」

 

「……良い顔になったじゃねえか。テメェみたいな美人はそんな顔が一番だと思うぜ」

 

「あら、お上手です事。では、ダンスのお相手にお誘い頂けますか?」

 

「……了解、お姫様ってか?」

 

二人は顔を合わせて笑い合い、踊りだした。そんな中、二人の目に会場から出て行く小猫の姿が映る。

 

「おい、あのガキって、お前ん所の……」

 

「小猫ちゃん? 一体何処へ……」

 

 

 

 

 

「アレは小猫か? 様子が変だな……」

 

そんな中、ヴァーリも彼女の後を追い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、二人共。あの森のいる奴らに気づきましたか? たまには悪魔や仙術使いを食べたくありません?」

 

「ああ、とても美味そうじゃな。男は不味そうじゃが、女の方は良い生肝がとれそうじゃ」

 

「だが、柳の護衛もせねばならん。ここは独り占めじゃな。……最初はグー」

 

「「「じゃんけん、ポン!」」」

 

 




意見 感想 お待ちしています


おまけは纏め終わったので明日か明後日にまとめて投稿致します 多分

内容の水増しとの指摘があったので、コレからは後書きのオマケはやめて長めのを番外編として投稿致します これまでの行為にご気分を悪くされた方々にはここで陳謝させていただきます 申し訳ございませんでした

活動報告にアンケート アンケートの結果による魔法使いの番外編の展開を追加しました

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