ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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今回は5巻プロローグ かなり短いです

柳の禁手について少しだけ触れます


冥界合宿のヘルキャット
旅行が楽しみです


「柳さん。一緒にお昼に行きませんか?」

 

「ええ、行きましょう」

 

もうすぐ夏休みという事も有って、学生達の気が緩む頃、駒王学園の教室では柳とアーシアが仲良く昼食に行く姿があった。当然、それに嫉妬する男達の姿も見られたが……。

 

「くそっ! せっかく転校してきた美少女と直ぐに仲良くなりやがってっ! やっぱり男は顔なのかっ!?」

 

「聞いた話じゃ、隣のクラスに転校してきた銀髪のイケメンがゼノヴィアさんにアプローチをかけられているらしいぞ」

 

そんな話をしているのは変態三人組の二人、松田と元浜だ。日頃の変態行動のせいで全くモテない二人は、転校してきたばかりのアーシアと直ぐに仲良くしている柳に対し、殺意の篭った嫉妬の念を送っていた。しかし、普段なら変態三人組の最後の一人、一誠も嫉妬の念を送っているはずなのに、当の本人は悩み事でもあるのか、椅子に座ってボンヤリとしていた。

 

(朱乃さん、最近元気ないな。やっぱ、アザゼル先生から聞いたことが原因だよな。仲間なんだし力になりたいけど、複雑な問題だしな)

 

彼の悩みは朱乃の事だった。アザゼルから話を聞いた後、朱乃はすっかり塞ぎ込み、今は表面上は明るく振舞ってはいるが、その笑顔にはどこか影が差している。リアスは、励ます様に柳を説得できないかと、友人であるヴァーリやライザーに相談するも、

 

「止めておいた方が良い。彼奴は中々頑固な所があるからな。多分俺の説得も聞かないだろう」

 

「……難しいだろうな。リアス、言っておくが力ずくで説得なんて考えるなよ? 従者の怒りを買った時、それが悪魔が亡びる時だ……」

 

ライザーの話はリアスには信じきれない所もあったが、仲の良い二人にそこまで言われては説得は難しいと判断し、様子を見守る事にした。従者の力を知る者達からすれば、それが最優の選択だと思っただろう。

 

 

 

一誠が思い悩んでいるその頃、柳とアーシアは中庭で弁当を広げ、仲良く談笑していた。

 

「へぇ、アーシアさんも料理できるようになったんですね。グリゴリで習ったのですか?」

 

「はい。言葉や一般常識と一緒に教えて頂きました。それに料理はアナさんに習った……」

 

そこまで言葉を続けた時、先程まで明るかったアーシアの表情が急に曇り出す。彼女にとって初めての同性の友人であったアナスタシアの裏切りは心に深い傷を付ける物だった。知らなかったとは言え地雷を踏んでしまった事に慌てていた時、向こうの方からヴァーリが近づいて来た。何やら慌てた様子で……。

 

「柳っ! 少しの間、匿ってくれっ!」

 

「どうしました?」

 

「説明は後だっ! 頼むから禁手を使ってくれ、彼女が来るっ! 貞操の危機なんだ。早くしてくれっ!」

 

「……まぁ、大体の状況は察しました。でも、言っておきますが彼らに喧嘩は売らないでくださいね? 彼らが慕って下さっているのは彼方側の私であって、此方の私ではありませんから、後で五月蝿いんですよ。……禁手化(バランス・ブレイク) 反英雄の(カタストロフィー・オブ・)大墳墓(ナイトメア・パンデモニウム)っ!」

 

柳が禁手を使った瞬間、ヴァーリの姿は何処に消え、残ったのは静寂だけだった。目の前に居た人物が急に消えた事にアーシアは混乱する。

 

「あれ!? ヴァーリさんは? それに、どうしてあんなに慌てていたのでしょうか?」

 

「私の禁手で匿いました。……逃げていた理由はすぐに分かりますよ」

 

アーシアの問いに答えた柳は疲れたような視線をヴァーリが走って来た方向に向ける。その方向にアーシアが振り返ると、ゼノヴィアが走って近づいてきた。手にゴムでできた製品を持っている。

 

「む、邪魔したか? 済まないが、ヴァーリを見なかったか? 女子トイレに連れ込んでコレを使おうとしたら逃げられてしまってな……」

 

「……学校でなんて事をしようとしているんですか。彼の行った方向なら教えますので、それを仕舞ってください」

 

「あの、柳さん。ゼノヴィアさんが持っている物ってなんでしょうか?」

 

「ああ、これかい? これは避に……」

 

「ヴァーリならあっちに行きました。それと、純情なアーシアさんに教えないでください。どうせ顔を真っ赤にして、しばらく行動できなくなってしまいますから……」

 

「そうか! 助かったよ」

 

柳の嘘を信じたゼノヴィアは見当違いな方角に走って行き、柳はそんな彼女を呆れた様な目で見つめていた。

 

 

 

 

「あの~、柳さん? あれは結局……」

 

「知らなくて宜しいっ!」

 

「……はい」

 

その後、どうしても気になったアーシアはリアスに尋ね、その使い方を聞いた途端、顔を真っ赤にしてしばらく使い物にならなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

「おい、柳。冥界に行くぞ。お前もついて来……スイマセンでした。どうか話を聞いてくださいませんか?」

 

夏休みになり、宿題も早々に終わらした柳が従者達と寛いでいる所に突如やってきたアザゼルは言葉を言い終わる前に従者に囲まれ、今は床に額を擦りつけている。どうやら行き成り来て要件を言い出した事にご立腹らしい。柳は従者達を宥め、アザゼルに話しかけた。

 

「……夏休みはゼノンさんが持つ異世界とライザーの領地で過ごす予定だったんですが……。ああ、禁手の実験の件ですか?」

 

「おうっ! それの次いでに、イベントを開こうと思ってな。三すくみの交流も兼ねてんだよ。俺が総督を退任するまではまだ日があるからな。それまでにやりたい事をやりつくそうと思ってな」

 

「……ちなみに貴方の次の総督はシェムハザ様だとして、副総統は誰ですか?」

 

柳の質問にアザゼルは気まずそうに目を逸らし、柳はその行動で自分の予想が当たった事を悟る。

 

「……バラキエルだ。実力や人望的にあいつが一番って声が上がったんだ」

 

「さて、もうグリゴリとのお付き合いは終わりですね。子供の姿への擬態に気づかず、人を食うようなハグレ悪魔の同情を誘う話に、あっさり騙される様な方が副総統ではねぇ。……冗談ですよ。仕事にはできるだけ私情は挟みません。……多分」

 

「……ホント、お願いします。お前の従者は怖いからな。それで、冥界への行き方なんだが、お前はどうするんだ? やっぱ、転移か?」

 

「いえ、たまには列車で行こうと思います。せっかくの旅行ですし、旅行は目的地への移動も楽しまなくてははなりませんからね」

 

 




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おまけは明日追加予定  バルバトス式訓練法とは!?

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