ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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間違えました(笑)

龍の手(トゥワイス・クリティカル)。使用者の力を一定時間倍加するだけの単純な能力であり、神器の中でも有り触れた物で、大した価値はないと思われている。ただ、所有者の本来の力量によっては、話は大きく変わってくる……。

 

 

 

「どうした、どうした! 二天龍の力はその程度かっ!」

 

「あぐっ!!」

 

コカビエルの一撃によって一誠が纏った鎧はヒビ割れ、更に放たれた追撃で完全に砕かれた。直ぐに鎧を修復するものの、制限時間が大きく削がれていく。いくら禁手に至ったといっても、今の一誠では制限時間は30分程。それも、何もしないでだ。力の倍加や鎧の修復により、制限時間は削られていた……。

 

「このままじゃヤベェ!! ドライグ、何か手はないか!?」

 

『最後の手段としてお前の肉体を代償に力を与えれん事もないが……』

 

「構わねえっ! このままだったら、皆やられちまうっ!」

 

 

 

 

 

「させると思うか? 妙な事をされる前に貴様には死んで貰った方が良さそうだな」

 

一誠が仲間の為に肉体を差し出す覚悟を決めた時、既にコカビエルは強大な光の槍を放っていた。避ければ後に居る仲間に当たる。そう判断した一誠は魔力を集中させ、放つ。一誠から放たれた膨大な量の魔力は槍とせめぎ合うも、徐々に押され始め、魔力も勢いが無くなってきた。そして、槍は一誠の目前まで迫まっていた

 

「くそぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 

 

 

 

「待たせたな、兵藤一誠! 俺達でリアスを守るぞ! 炎の巨大弓(バリスタ)!!」

 

「……ほぅ。もう回復するとはな」

 

一誠が限界を迎える瞬間、後部より放たれた炎の矢が光の槍に激突、一誠の魔力と合わさり、光の槍を破壊した。しかし、渾身の一撃を防がれた筈のコカビエルの顔には焦りが見られない。この程度何ともないと言いたい様に……。

 

「ライザー……様。治ったのか!?」

 

「様は付けなくて良い。此処は戦場で俺達は戦友だ。……彼奴を倒す為に力を合わせるぞ。俺達がバラバラに戦っても勝ち目がない」

 

「……ああ、行くぜライザー!! 俺の事はイッセーと呼んでくれ!」

 

ライザーは炎の翼を、一誠はブースターから魔力を噴射してコカビエルに接近する。二人は左右から攻撃を仕掛け、コカビエルは両手足でその攻撃を凌いでいた。

 

「くっ! 二人掛りでもこのザマか。イッセー! 奴の神器の発動時間が過ぎるまで粘れるか!?」

 

「粘れるかじゃねぇ! 粘らないといけねえんだ!!」

 

「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」

 

二人は同時にコカビエルの腕をカチ上げ、その胸部に拳を撃ち込む。ライザーの炎によって肌が焼け、二人の拳によって骨の軋む音がした。二人はチャンスと見て一気にラッシュをかける。コカビエルも羽を使い防御を固めるが防ぎきれず、傷を増やしていった。

 

炎の兵隊(トルーパー)

 

「がっ!!」

 

ライザーの放った炎の分身がコカビエルを取り囲み動きを封じている間に二人は距離を取る。コカビエルが光の槍で分身達をなぎ払った時、二人はコカビエルを挟む様に宙に浮き、魔力を限界まで練り上げていた

 

「炎と風を司るフェニックスの力。その身に確と受けろ!鳳凰天駆(カイザーフェニックス)!!!」

 

ライザーの周囲を豪風と豪炎が舞い、その身を包んでいく。風を取り込み激しく燃え上がった炎は次第に凝縮していき、ライザーを包んだ炎は鳳凰の姿となった。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

『boostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboost!!』

 

一誠は最大まで高められた力を右腕に集中させる。あまりの魔力に腕は軋み、鎧脳での部分にはヒビが入りだした。一誠とライザーは同時にコカビエルを睨めつけ、一気に突進して行く。コカビエルが避ける暇もなく二人の攻撃は左右からコカビエルに襲い掛かった。

 

「「これで、終わりだァァァァァァァァァァっ!!!」」

 

「がっ、がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

二人が交差するようにすれ違った瞬間、コカビエルの体に溜まった二人の魔力が交わり、爆発を起こす。コカビエルは炎と龍のオーラに飲み込まれていった……。

 

「はぁはぁ、やったのか?」

 

「……どうやら、そのようだな」

 

その瞬間、一誠の鎧が解除されてその場に倒れ、ライザーも地面に降りて膝をつく。二人共魔力を限界まで使い、既に立ち上がる気力も残っていなかった。慌ててリアス達が駆け寄り、ライザーをリアスが、一誠を祐斗が抱き起こす。

 

「やったね、一誠君!」

 

「……なんでお前なんだよ。部長が良かったぜ」

 

祐斗が視線を向けた先ではリアスとライザーが甘酸っぱい空気を醸し出していた。

 

「ライザー、格好良かったわ。さすが私の婚約者ね。……少し目を瞑って」

 

リアスはそう言うとライザーに顔を近づけて行き……。

 

 

 

 

 

 

「他に人が居るっていうのに大胆ですね。まぁ、相手に目を閉じさせるくらいの恥じらいは……って、羽衣さん! 何で脱いでいるんですか!?」

 

「ふむ、アヤツらに釣られてのぅ。何、大丈夫じゃ。ヴァーリは気絶させておいた。さぁ、しっぽりと楽しもう。それに、お主も口では嫌がっておるが、体は反応しておるぞ」

 

「……そりゃ、まぁ、羽衣さんやゼノンさんは魅力的ですし。私としても反応しない訳には……あの~、ミラさん? なぜ睨んでらっしゃるんでしょうか……?」

 

「どうせ、私は魅力のないお子様体型ですよ。良いです、私が大人になったら羽衣さん以上のナイスバディになってみせますから」

 

「……なれると良いがな。羽衣、次は私だぞ」

 

その時のゼノンは優しい目でミラを見つめていた。まるで、叶わない夢を追いかける者に対する憐憫が混じっているかの様な目を……。

 

「ちっ、分かっておるわ。……その前に搾り取ってやるがのぅ」

 

気絶しているヴァーリを無視し、羽衣は柳の体に手を這わせ、舌を絡めていく。柳もまた深く味わうかの様に舌を絡ませ、胸と腰に手をやる。一瞬驚いた顔を見せた羽衣であったが、直ぐに愉快そうな表情になり、再び唇を重ねた。

 

「ほほぅ。今日は積極的じゃのう。んっ。……ぷはっ! 今日は此処までじゃの。そろそろ奴が動き出す頃じゃ」

 

羽衣が唇を離すと二人の唇の間を唾液がツーと糸を引く。羽衣はそれを舐め取ると、途端につまらなそうに校庭に目をやる。校庭ではコカビエルが居た場所に禍々しいオーラが渦巻いていた。

 

「……ジャガーノート・ドライブですね。あれが奥の手でしょうか?」

 

「じゃろうな。まぁ、あの手度なら瞬殺できるが、面倒くさいのぅ。ゆけ、ヴァーリ」

 

「ヴァーリさんなら寝てますよ」

 

ミラが指さした先では羽衣によって沈められたヴァーリの姿があった……。

 

「……叩き起こせ」

 

「はい♪ えい!!!」

 

ミラの嬉しそうな声と共に結界内に轟音が響き渡り、校舎全体にヒビが入った……。

 

 

 

 

「……ジャガーノート・ドライブ」

 

コカビエルの声が響いた瞬間、それまで彼を包んでいた二人の魔力が吹き飛び、代わりに禍々しいオーラが現れる。オーラが晴れた時、異形の怪物がその場に鎮座していた。

 

身長はコカビエルの三倍程。上半身から頭に掛けて黒い鎧に覆われ、頭の両脇から太くて長い角が生えていた。下半身には深い体毛、そして、両手足から鋭い爪が生え、鋭い牙を剥き出しにして一誠達を睨んでいた。

 

「な、なんだよ、あれ!? コカビエルはどこ行ったんだ!?」

 

『アレはジャガーノート・ドライブ。寿命を代償に神器に封じられたドラゴンの力を解放する禁じ手だ。……はっきり言って最悪の事態だ。今のお前等ではアイツには勝てん』

 

「……フリード、逃げろ。今の俺は貴様も巻き添えにしかねん。だから、俺の理性が残っている内に逃げるんだ」

 

そう言って、コカビエルは腕をひと振りする。それだけで空気が震え、地面が割る。そして、ソーナ達が張っていた結界にアッサリと穴が開いた……。

 

「……了解っす。旦那、今度飲みに連れて行ってくれる約束守ってくれよ」

 

「……ああ」

 

フリードはコカビエルにそう言うと、結界に空いた穴から脱出していった。次第にコカビエルの瞳から理性の光が消えていく中、動く者があった。朱乃とゼノヴィアだ。先程までの戦闘によって動けるのはリアスとこの二人だけ。ライザーと一誠は力を使い果たし、祐斗はコカビエルから受けたダメージが大きくて動けない。三人をリアスと小猫が守り、朱乃は魔力を高め雷を作り出し構える。そして、ゼノヴィアはコカビエルへ向かって行き

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアと。我が声に耳を傾けてくれ」

 

その途端、空間が歪み、ゼノヴィアはその歪みから一本の剣を取り出す。その剣からは荒々しくも聖なるオーラが溢れ出していた。

 

「デュランダルの切れ味、その身で味わうといい!!」

 

「雷よっ!!」

 

ぜノヴィアがコカビエル目掛けて高く飛んだ瞬間、その頭部に朱乃の雷が落ちる。雷撃によって生じた煙がコカビエルの視界を奪う中、ゼノヴィアはその頭部目掛けて、デュランダルを振り下ろす

 

「ドリャァァァァァァァァッ!!」

 

莫大な量の聖なるオーラが当たりに溢れだし、剣戟によって生じた振動と爆音が校舎の窓ガラスを割る。そして

 

 

 

 

「ナニカ、ヤッタカ?」

 

「なっ!? が、かぁっ!!」

 

コカビエルは傷一つ付いていなかった。コカビエルは顔の周りを飛ぶ虫を追い払うかの様に手を振り、ゼノヴィアを叩き落とす。骨の折れる音と共に地面に激突したゼノヴィアからは大量の血が溢れ、デュランダルも遥か遠くに飛んでいってしまった。

 

「死ネ」

 

コカビエルは蟻を踏みつぶすかの様に足を持ち上げ、ゼノヴィアめがけて踏み下ろす。リアスや朱乃が止めようと魔力を放つも止まらず、その足は完全に踏み下ろされた。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、何とか間に合ったな。大丈夫かい?」

 

「あ、あぁ。君は?」

 

「俺の名はヴァーリ。歴代最強のケツりゅ……白龍皇だっ!」

 

『ヴァーリや、朝ご飯はまだかのぅ?』

 

 

 

 

「……あやつ、間違えよった。自分でケツ龍皇って……ぷっ、ぷっくくく」

 

「ゼノンさん。デュランダルって家に有りましたよね? 庭の木の枝払いに丁度良いんですよね~。幾らでしたっけ?」

 

「三百万だ。5割引きにさせた」




意見 感想 誤字指摘お待ちしています

コカビーの覇龍時のイメージはぶっちゃけ、ギルガドム・バル……ゲフンゲフン



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