ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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連投です! この作品とは関係ないけど恋姫で思ったんですが、袁紹って鎧着てるぶん、他の武将より賢く見える気が 軽装すぎるだろ他の奴ら


家がぁ、家がぁ~

「何故だっ!? なぜ悪魔との戦争を起こさん! 天使ともだ! 貴様の息子を殺したのは天使共だろうがっ!!」

 

「……何度も言わせるな、コカビエル。俺は二度と戦争を起こす気はない」

 

「俺は納得がいかん! 何故、グリシアを殺されて黙っていなければならんのだ!? あの子はお前にとっても……」

 

仲間に押さえ付けられながらも暴れ続けるコカビエルに背を向け、アザゼルは言い放つ。机の下に隠された拳は耐える様に震え、強く握り締められた為に血が滲んでいる。泣き叫ぶコカビエルの声は固く閉じられた扉に阻まれ、最後まで聞こえる事は無かったが、何時までもアザゼルの耳に残っていた……

 

 

 

 

 

「……飲み物とお茶請けです」

 

「ん」

 

ミラが乱暴にお茶とお菓子をおいた先に居るのは黒髪の少女。全面が大きく開いた服を着た少女の名はオーフィス。その正体は、この世界で最強と呼ばれるドラゴンである。もっとも、彼女より上に位置するドラゴンが戦わない存在であるからだが……

 

「ミラ。私の取って置きの、激辛ハバネロミートパイと超凝縮濃厚青汁、知りませんか? 二人分残っていたのですが……」

 

「あ、ゼノンさんがイリナとかいう奴の食料として、一人分持って行きましたよ。流石に餓死されては仕事が失敗になるからって言ってました。もう一人分はアイツが来ましたので出しました」

 

ミラが不機嫌そうに頬を膨らまして睨んだ先では、常人ならのたうち回る程の辛さを持つミートパイに齧り付き、気絶するほど不味い青汁を水の様に飲むオーフィスの姿があった。その光景を見て、柳は嘆息を吐く

 

「ミラ。嫌がらせに私の好物を使わないでください。それと、オーフィスに喧嘩を売っては駄目ですよ」

 

「え~、柳さん、アイツに甘すぎませんか? ハッ! まさか、ロリっ娘ドラゴン枠が私では不満なんですか!? 妹ポジションを私とアイツで交換させようとしているんですね!? ……そうだ、アイツを殺せば良いだけですね! 死ねやぁぁぁぁぁっ!!」

 

「……受けて立つ」

 

ミラがオーフィスに飛びかかり、オーフィスも反撃した事で喧嘩が始まる。一見すると少女同士のたわいもない喧嘩だが、余波で部屋の中がどんどん壊れていく。今はお互いに手加減しているが、もし本気になったらこんな物では済まない。柳は軽い頭痛を覚えた

 

「……だから喧嘩を売らないでって言いましたのに。全く、毎回、毎回! ゼノンさん!」

 

「任せておけ」

 

家中に拳の音が響き渡り、家が少し傾いた頃、居間では正座さされたミラとオーフィスの姿があった。体中、先ほどの喧嘩で傷だらけであり、頭には大きなタンコブがある。……本来、この世界の存在では、無限の存在たるオーフィスにダメージを与えられても、傷を残すことはできない。だが、ミラとゼノンが与えた攻撃はオーフィスに傷を残していた

 

「……痛い」

 

「痛いのは今月の家計ですよ。修理代にお金が飛んでいくんですから。……ヴァーリに任せましょうか? 彼、何回もやっているので家の修理得意ですし。それにしても、毎回、毎回、喧嘩して! オーフィス! 頼み事をしに来たのなら下手に出る! ミラ! 喧嘩売らないでって言いましたよね? ……来月のお小遣い半額」

 

「そ、そんな~」

 

「我、今日は帰る」

 

頭痛を覚え、頭を押さえる柳に対し、オーフィスは転移をしようとした。しかし、その体をゼノンが掴む。反対の手には掃除道具が握られていた……

 

「掃除していけ。貴様らが散らかしたのだろうが。……終わったら甘い菓子を出してやる」

 

「ミラもですよ。……綺麗にできたら来月のお小遣いに、何時もの額の三割を付け足します」

 

「やる(やります!)」

 

その後数分に渡り、家中の掃除をする少女の姿をしたドラゴン達の姿があった。今は掃除が終わり、オーフィスはケーキを食べ、ミラは夜食の準備をし始めている

 

「……柳はミラに甘すぎだ。それならば、もう少し羽衣と我に甘くしても良いのではないか?」

 

「例えばどんな風にですか?」

 

「勿論、我らを押し倒し、欲望のままに……」

 

「それで、オーフィス。今日も何時もの頼みですか?」

 

ゼノンの世迷言を無視し、柳はオーフィスの前に座る。オーフィスはケーキを食べる手を止め、静かに頷いた

 

「我、次元の狭間手に入れる。ゼノン達が居ればグレートレッド倒せる。協力して」

 

「……あくまで我達(・・)なんじゃな。帰れ、お主に協力する事は何もない。……それとも、我と戦うか? なんなら次元の狭間ごと吹き飛ばしてやっても良いのだぞ?」

 

先程までと違い、ゼノンの瞳は赤く輝き、禍々しいオーラが体中から溢れ出している。それをみたオーフィスも先程までと違い、僅かではあったが感情を見せる。恐怖という感情を……

 

「分かった。でも、我、諦めない。また来る」

 

「何度来ても一緒だ。……だが、茶菓子くらいなら出してやる」

 

その時のゼノンの瞳は優しいものとなっており、禍々しいオーラも消え去っていた……

 

 

 

 

 

 

「……ゼノンさんってオーフィスに甘いですよね」

 

「……何。昔、配下にアレくらいの者が居ただけだ。敵に回ったら容赦なく殺すから安心しろ。それに、余波で世界が壊れてもお前らは異世界に逃がしてやる」

 

「安心できない言葉が満載なんですけどっ!?」

 

 

 

その夜、一誠は悩んでいた。自分は弱い、それが彼の悩みだ。悪魔になってから、彼は勝ったと自信を持って言える経験がなかった。ライザー戦では朱乃がトドメを刺すか、相手の特攻に耐え切っただけ。フリードとの戦いでも殆ど役に立っていない。本当に自分は強くなれるのか? 守りたい相手を守れるのか?、そんな暗い思いが彼の心を侵していた……

 

 

「……なぁ、ドライク。俺って強くなれるのかなぁ」

 

『お前はよくやっている。白いのとの訓練で、確実に強くなっているさ』

 

「……サンキュ」

 

一誠がそう礼を言った時、突如携帯が鳴り出す。発信先はリアスからだった。一誠が電話に出ると、慌てた様子のリアスの声が聞こえてきた

 

「イッセー、今すぐ學校に向かって! コカビエルが宣戦布告して来たわ!」

 

「は、はい! 今すぐ向かいます!」

 

一誠は慌てて家から飛び出し、学校へ向かう。到着した先では、校門でリアスと話す、生徒会長こと、ソーナの姿があった。何か言い争いをしていた様だが、朱乃がそれを止めたようだ

 

「とりあえず、サーゼクス様にはご連絡致しました。後、一時間ほどで援軍がこられます」 

 

「朱乃」

 

「リアス!もう事態は私達の手に余ります。貴方は自分の領地で起きた事だから自力で解決したいのでしょうけど、そんな事を言ってられる自体ではないわ。―――――魔王の力を借りましょう」

 

どうやらリアスは自分の力で解決したかった様だが、ソーナや朱乃はそれに反対している様だ。その後ろでは小猫と祐斗が立っており、単独行動をさせない為か、祐斗の腰には紐が括りつけられており、その先端を子猫が持っていた

 

「……まるで犬だな」

 

「……放っておいてくれ」

 

この時、一誠は初めて祐斗に憐れみのこもった瞳を向けた

 

 

 

 

 

一誠達が校庭に入ると、校庭一面に魔方陣が描かれ、その中心で三本のエクスカリバーが浮いている。そして、その端にはフリードと初老の男。そして、ローブを着た男が居た。祐斗はエクスカリバーに憎悪の瞳を向けたあと、初老の男を睨む

 

「貴様がバルパーか。僕は聖剣計画の生き残りだ。仲間の恨み、晴らさせてもらうよ」

 

「……バッカじゃねえの?」

 

祐斗の言葉を否定したのはまたしてもフリードだった。睨んでくる祐斗に対し、彼も不機嫌そうに言葉を続ける

 

「皆の恨み? ハッ! 死んだ奴は何も残しやしねえ。テメェは自分の醜い復讐心を死んだ奴を理由にして誤魔化そうとしているだけだろうが! 寂しいよぉ~、傍に居てよ~、ってか? そんなん、全部自分の為なんじゃねえか!! そんな下らねぇ事の為にあの人を、姉さんを利用すんじゃねえ!!」

 

「姉さん? ……まさか、君のお姉さんも聖剣計画の……。なら、なんでバルパーと一緒に居る。それになんでエクスカリバーを使うんだ!?」

 

フリードの言葉に動揺し、必死に問いかける祐斗に対し、フリードは見下したかの様な笑を向ける。その瞳は狂気に染まっていた

 

「……そんなん、復讐の為に決まってんじゃねえか。俺から両親を奪った悪魔、姉さんを奪った教会の奴らに復讐する為なら、何だって利用してやるよ。言っておくが、俺は死んだ奴らの為にじゃねえ、自分の為に復讐するんだ。俺から全てを奪った奴らが、俺から奪ったのとおなじものを持っているのが気に食わねえんだよっ!」

 

「……もう、その辺にしておけ。……初めましてかな、グレモリー家の娘よ。忌々しい兄君に似て美しい紅髪だ。見ていると反吐が出そうだよ」

 

フリードの言葉を止めたローブの男性は静かにリアスに視線を向けた

 

「ごきげんよう、堕ちた天使の幹部―――コカビエル。それと私の名前はリアス・グレモリーよ。お見知りおきを。最後に付け加えさせてもらうなら、グレモリー家と我らが魔王は近いように見えて、遠い存在。この場で政治的なやり取りなど、するだけ時間の無駄よ」

 

「はっはっはっは。最初から交渉など望んでいないさ。ただ、貴様を殺せばサーゼクスも出てくるだろう。そう思っただけだ」

 

「……戦争でも起こす気?」

 

その言葉を聞いた途端、コカビエルの表情が固まり、拳をプルプルと震わせる。リアスが思わず怯む程の鋭い眼光には憎悪が宿っていた

 

「……巫山戯るな。堕天使の子供達を、俺の孫を殺したのは貴様ら悪魔だろうがっ!! なのに、首謀者を差し出したから解決? 納得できるか!! 俺にはアザゼルの考えが分からん。天使との小競り合いで息子を失っておきながら、何故、天使と戦おうとせん!? 孫を殺されて、なぜ悪魔と戦争をしてはならん!? ……いや、フリードの言う通りだな。俺は孫の為じゃない、孫を失った悲しみを癒すために戦争を望んでいるのだ。……だが! それで構わん! もう、俺に戻る道は無いのだからな! さぁ、グレモリーの姫よ! 戦争を止めたくば俺を殺してみせろ! それ以外に道は無い!」

 

「グルルルルルルルルルルルルッ」

 

コカビエルが片手を上げると同時に三つの頭を持つ犬の魔獣ケルベロスが二体現れる。ケルベロス達はリアス達の姿を見た途端、歯を剥き出しにして威嚇をし始めた

 

「此奴等は俺の死んだ孫が可愛がっていた奴らだ。賢い奴らでなぁ。ご主人様が悪魔に殺されたと教えたその日から貴様ら悪魔に敵意を見せる様になったよ。さぁ、三本のエクスカリバーを一つにする為の儀式が終わるまでコイツラと遊んでやってくれ。……行け」

 

「ギャオオオオンッ!!」

 

コカビエルの合図と共に、ケルベロス達はリアス目掛けて飛びかかる。慌てて一誠は神器を発動させるが

 

 

 

「なっ!? 神器が発動しない!?」

 

一誠の左腕に現れた籠手は黙り込み、その力を発動させなかった……

 

 

 

 

 

 

 

「……其処で何をしている?」

 

孫達の墓参りに来たコカビエルの目の前にはボロボロの少年が座り込んでいた。体中傷だらけで血が溢れ出し、このままでは死にそうだ。そして、その少年は神父服を着ており、その傍には壊れたエクソシストの武器があった

 

「貴様、エクソシストだな。悪魔にでもやられたか? 死ぬなら他所で死ね。そこは俺の娘とその夫。そして孫の墓だ」

 

コカビエルの問いに少年は血を吐きながら自嘲気味に笑い出す。その瞳には生きる気力が残っていなかった

 

「カッカッカ、これは同僚にやられたんだよ。くっだらねえ計画の為に姉さんが死んでよ、その死を馬鹿にした奴らをぶっ殺したら囲まれちまった。挙げ句の果てに、『死んだのは信仰が足りないせいだ。貴様も信仰心が足りんからその様な事になったのだ』、だとよ。……確かに俺は糞神への信仰より優先してたもんがあったよ。ただ、姉さんに会いたくて頑張ってきたんだ。なぁ、教えてくれよ。それがいけない事なのか? 家族と一緒に居たいってのがそんなに罪なのかよ!? ……あ~、もう、どうでも良いや。このまま死んじまえ」

 

「……そうか。その命捨てるのか。ならば」

 

コカビエルはそう言うと少年を担ぎ上げ、元来た道を歩き出した

 

「おい、こら、離しやがれ! 俺をどうする気だっ!?」

 

「治療をするだけだ。どうせ貴様は命を捨てたのだろう? なら、その命、拾った俺の物だ。俺の物をどうしようが俺の勝手だろう?」

 

「……あ~、そうっすか。どうぞご勝手に」

 

「貴様、名前はなんというのだ」

 

「……フリードだ」

 

「そうか、良い名だな」

 

「っち。調子狂いやがるぜ……」

 

悪態を付きながらもフリードは微かに微笑んでいる。それを担ぐコカビエルもまた微笑みを浮かべていた……




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