ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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勇者が魔王の間に入ると、魔王が赤ちゃん言葉で猫を可愛がっていて、気まずい空気が流れる。そんな変な夢を見ました……


流石に腹が立ったので仕返しをしました

聖剣計画。聖剣の適合者を作り出す為のその計画の為、大勢の子供達が集められた

 

「あら、貴方が新しい子? 仲良くしましょう」

 

「……私の両親はね、悪魔に殺されたの。だから、お墓の前で誓ったんだ。絶対に復讐してやるって……」

 

「実はね、私には君くらいの弟がいるの。あの子は戦いの才能があったからエクソシストの訓練を受けてるけど、何時かきっと姉弟で暮らすんだ」

 

彼らは信じていた。自分達は聖剣を使えると、特別な存在になれると……。だが、その思いは狂気によって踏みにじられる。計画が失敗と見るや、研究者達は彼らを処分しようとした

 

「逃げて! 貴方だけでも生き延びるの!」

 

たった一人、逃げ出せた少年が聞いたのは

 

「ほんの少しでいいから、最後にあの子に会いたかったな……」

 

自分を逃がしてくれた少女の悲しげな言葉だった

 

 

少年は誓う。たとえ刺し違えてでも復讐を果たしてみせると。それが自分を逃がしてくれた仲間の願いとは、かけ離れたものであるとは知らずに……

 

 

 

 

 

「明日小テストをやるぞ。点数悪い奴は補習だから、ちゃんと勉強しておくように」

 

「えぇ~!!」

 

クラス中から不満の声が上がる。教師がその声を無視して教室から出て行った後、一誠が直行したのは柳の机だった。あまり成績の良くない一誠では補習になるのは目に見えている。それゆえに成績の良い友人を頼る事にしたのだが

 

「柳! 勉強教えて……ぐへっ!?」

 

「エロ兵藤、邪魔よ! 神田君! 勉強教えて!!」

 

クラス内の女子に押しのけられ、その勢いに吹き飛ばされた。もっとも、彼女らのスカートの中を覗けてご満悦だったが……

 

「白! 縞パン! おおっ! あの子なんて黒じゃねぇか!」

 

 

 

 

「あの、皆さん。勉強を教えるのはいいですが、覗かれていますよ。スカートの中」

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!! 何してんのよ。この、変態!」

 

「おいこら、柳! バラすなって!」

 

一誠は慌てて逃げ出し、女子たちは勉強も忘れ、彼を追いかけていった。取り残された柳はいそいそと昼食の用意を始める

 

「……助かりましたね。さ、今の内にお昼に行きましょう」

 

柳は一誠を囮にして女子達を躱すと、弁当を持って教室から出て行った。彼が校舎から出た頃、一誠の悲鳴が辺りに木霊したが、柳に気にした様子はなかった……

 

 

 

 

「うふふ。今日も良い天気ですわね」

 

「……ええ」

 

数分後、朱乃と一緒に食事を摂る柳の姿があった。柳は朱乃を避けたつもりだったのだが、向かった先に既に待ち伏せされており、断る訳にもいかないので、結局一緒に食事を摂ることになったのだが、先程から朱乃は柳の直ぐ傍に座っていた。少し動いただけで体が触れ合うほどに……

 

「あの~、朱乃先輩? 少し引っ付き過ぎじゃないですか? 誰かに見られたら誤解されますよ」

 

何とか離れようとする柳だったが、朱乃は更に密着してくる。その時の様子は柳をからかって楽しんでいる様だった

 

「大丈夫ですわ。柳さんとなら誤解されても構いませんし。……それとも、私とでは嫌かしら? しくしく」

 

「……騙されませんよ。昔、朱乃先輩の泣き真似に何回騙された事か……」

 

柳は嘆息を吐きながらそう言う。思い出すは幼少の頃、彼は朱乃の泣き真似に何度も騙されてきた。それゆえに今回は騙されなかったようだ。朱乃はそれを見て何処か懐かしいような、つまらない様な表情を浮かべた

 

「むぅ、その事は覚えているのに約束の事は忘れてしまったのですね。ほら、私が野犬に襲われて、貴方が助けてくれた時、私からお願いしたじゃないですか。……それにしても、まだ先輩が付くのですね。昔みたいに朱乃ちゃんで宜しいですよ?」

 

「いや、高校生にもなって、ちゃん付は厳しいですよ。……そろそろ時間ですね。次は移動教室なので先に失礼させて頂きます」

 

その場をあとにする柳の背中を見守ったあと、朱乃はポツリと呟く

 

「うふふ。絶対に思い出させてみせますわ。女の子にとって初恋の王子様は何時までも特別なのですわよ。 ! ……殺気を感じたような。気のせい、ですわよね……?」

 

朱乃は背筋に薄ら寒い物を感じながらもその場をあとにする。木の上から、その背中を殺意に満ちた目で睨んでいる少女の姿があったが、誰も気づく事はなかった……

 

「あの女、絶対殺す……」

 

 

 

 

「えへへ~♪ 柳さんとデート♪」

 

「まずはフライパンですね。……羽衣さんをぶっ叩いて曲がりましたからね……」

 

次の休みの日。ゼノヴィア達の監視をゼノンと羽衣に任せ、柳はミラと出かけていた。少し前にした約束通り柳と一緒に街に出かけていた。迷子にならない様にと差し出された手を握た上で腕に抱きつき、ミラは本当に嬉しそうだ。最近、柳の周囲には朱乃を始めとし、女性が増えてきた。しかも、裏と表、両方で関わっている。その事に嫉妬を募らせている気づいていた柳はこうして不満を解消させる事にしたのだった

 

ちなみに、羽衣を叩いた理由は柳がした悪戯に対し、彼女が興奮して押し倒してしまい、それを止めるために行った、というものだ。ちなみにこの後、柳は正座で説教を受ける事となった……

 

 

「う~ん、これが良いですかね? 焦げ付きにくく、洗いやすいってありますが……」

 

「そっちより、この大きめの方が良いですよ。二人ともよく食べますから。……私と柳さんばかりに家事押し付けているくせに、味にも煩いし……」

 

二人はその後も買い物を続け、荷物を提げて街中を歩いていた

 

「ミラ。ご飯食べたら服でも買いに行きましょう。好きなのを買ってあげますよ」

 

「えっ、悪いですよ。柳さんのお金でしょう? 私も貯金がありますし……」

 

「遠慮しなくて良いですよ。ミラには特にお世話になっていますし、プレゼントしたいなぁっと思ってたんです」

 

「じゃ、じゃあ、行きましょう!」

 

柳の言葉に嬉しそうに微笑んだミラは腕に抱きつく力を更に強め、鼻歌を歌いだす。柳がそれを慈しむように眺めていると、携帯が突如鳴り、見ると、羽衣からメールが届いていた

 

『この先に馬鹿共が居る』

 

「……は?」

 

内容が理解できず、固まっていた柳が、ふと前を見るとエクソシストの二人が居た。その後ろには訳のわからない絵がある。二人は通行人に向かって

 

 

 

 

「えー、迷える子羊にお恵みを~」

 

「どうか、天の父に代わって哀れな私達にお慈悲をぉぉぉぉ!!」

 

物乞いをしていた。その後、口論をし始め、内容から察するに、片方の栗色の少女、イリナが経費を使い込んで絵を買い、食費すら、ままならないそうだ

 

「……柳さん。何であんなアホを補佐しなくちゃいけないんですか? 私達が取り戻したほうが早いですし、あのまま餓死なり、警察にご厄介なりして貰いませんか?」

 

「……一度受けた仕事ですし、そういう訳にも行きませんよ。……仕方ありませんね。お久しぶりです、お二人共」

 

柳は素知らぬふりして二人に近付いていった。その後ろではミラが頬を膨らまし、拗ねていた

 

「折角のデートが……。あの女共、絶対に食い殺す!」

 

 

 

 

「うまい!日本の食事は本当にうまいな!」

 

「これよ!これが故郷の味よ!」

 

数十分後、近くのファミレスではテーブルいっぱいに空き皿が置かれ、それでも料理を貪り食う二人の姿があった。その様子に柳は呆然とし、ミラは不機嫌そうな顔をしながらジャンボパフェをつついていた。二人はそのあとも食べ続け、ようやく満足したのか箸を置いた

 

「いやぁ~、異教徒の国も捨てたものではないな。君の様な親切な者が居るのだから」

 

「おお、主よ。この親切な方に祝福を! そっちの子は妹さん? お名前は何て言うのかな?」

 

「……ふん!」

 

友好的に話しかけるも、ミラはそっぽを向き、いかにも不機嫌です、と言いたそうな様子だ。柳は後が怖いと思いつつも、嗜めるふりをする

 

「ミラ。そんな態度をとっては駄目ですよ? すみません、人見知りが激しい子なので……」

 

「気にしなくて良い。其のくらいで神はお怒りにならないさ」

 

「ハハハ。それは助かります。……おや、私の友人が来た様ですね」

 

柳が振り返った先には、一誠と生徒会の一員である匙の姿があった。匙は柳の姿を訝しげに見ている。彼のことを一般人と思っているので、なんでエクソシストと一緒に居るのかと考えているのであろう

 

「なんで柳が彼女らと居るんだ? はっ! まさかナンパ!? 隣の将来有望そうな子も……光源氏?」

 

「……頭痛がしてきました。イッセー、ここの支払いはお願いしますよ。彼女らが食べた食事代ですが、貴方には代金分くらいのお金を貸していましたしね」

 

「え、おい、ちょっ!」

 

柳は一誠の抗議も聞かず、店を出ていく。ミラもそのあとに続こうとしたか、ふと立ち止まり、ゼノヴィアの方を見ると

 

「べーっだ!」

 

「! おいっ! ちょっと待て!」

 

舌を出し、ゼノヴィアが思わず立ち上がる前に出て行った……

 

「此処は奢るから頼みを聞いてくれないか? お金無いんだろ?」

 

「……要件を言え」

 

ゼノヴィアは渋々と話を聞く態度をとり、一誠は話を始めた……

 

 

 

 

 

 

「柳さん。本格的にアイツ等殺したくなったんですけど。……駄目ですか?」

 

「そんな上目遣いでおねだりしても駄目ですよ。彼女らがしていた会話は録音していますから、天界に送っておきましょう」

 

「柳さん。流石です! よっ! この悪逆非道の鬼畜外道!」

 

「……それ、褒めてます?」

 

そう言いつつも、柳は満更でもない顔をしていた……




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