ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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多分、この巻のヒロインはミラになると思います(笑)

サブヒロ候補の朱乃の影がががが


誤解されました

学校も終わり、放課後。本来、学生が思い思いに羽を伸ばす自由な時間にも関わらず、柳の心は憂鬱だった。聖剣を取り戻す為に来日したエクソシスト達が今日、リアス達に会いに学校に来るからだ。彼が嘆息を吐きながらトボトボ歩いていると、天界からの資料に記載されていた二人が立っていた

 

「そこの君。すまないが、旧校舎まで案内してくれないか?」

 

「……別に良いですよ」

 

柳に案内を頼んできた二人はローブを着ており、その下にはボンテージの様な服を着ている。そして、二人共何かの包を大切そうに持っている。そう、この二人こそがエクソシストであり、柳達が天界から依頼された護衛任務の対象である

 

柳は、『極秘任務なのに目立つ格好ですね。しかも二人だけって、自殺志願者でしょうか? できるだけ関わりたくないですね』、と思いつつも、不自然にならない程度に話しかける。流石に見知らぬ相手を黙って案内するのは不自然だと思い、一般人を装って話しかける事にしたのだ

 

「此処が旧校舎です。……失礼ですが、ここに何用ですか? 此処はオカルト研究部があるだけですが……」

 

「君には関係ない。此処まで案内してくれた事には感謝するが、私達には関わらないでくれ」

 

「ちょっ、ちょっと、ゼノヴィア! ねぇ、君。案内してくれたのにごめんね~」

 

柳に対し不愛想な返答をした青髪の少女に対し、栗色の髪の少女は慌てて柳に謝ると、自分を置いて先に行こうとする相方を追っていった

 

 

 

 

「ねぇ、柳さん。仕事終わったら、あの女殺して良いですか?」

 

茂みの中から不機嫌そうな顔をしたミラが出てくる。どうやら先程のゼノヴィアという女性の態度が気に入らないらしく手に持った双眼鏡にヒビが入っている。なお、ミラの視力なら双眼鏡など要らないが、本人いわく気分の問題、らしい

 

「駄目ですよ。後々面倒な事になりますから、敵対しない限りは手出し無用です。引き続き見張りをお願いしますね。後で、お弁当を持ってきますから」

 

「……はーい。デートの事も忘れないでくださいね」

 

柳は、不満そうにしながらも強請る様にチラチラと見てくるミラの頭を撫で、家に帰った。ミラはそれを見送ったあと、二人の監視に戻る

 

「……あの女だけじゃないですよ。最近、柳さんにベタベタ付き纏っている、朱乃って女も何時か絶対に殺してやる。あの人のそばに居て良い女は、私以外にはゼノンさんと羽衣さんだけです……」

 

そう呟き、殺気を巻き散らかしながら……

 

 

 

ミラが殺気を撒き散らかしながら監視し、オカルト研究部では教会からの使者とリアス達との険悪な雰囲気での話し合いが行われている中、柳はミラの為にお弁当を作っていた。メインのオカズはハンバーグ。ミラの大好物である。後は蓋をし、蒸し焼きにするだけという頃、匂いに釣られた二人が自室から出てきた

 

「ほほぅ、ハンバーグか。妾の分もあるのだろうな?」

 

「ええ、勿論です。今晩のオカズですからね。……ゼノンさん。ビールは2本までですよ」

 

ゼノンが冷蔵庫から大量のビールを出しているのを見つけた柳は、慌てて駆け寄り冷蔵庫に戻していく。既に一本目を開けたゼノンは残念そうな顔をしながらビールを煽った。どうやら、言う事を聞く気はあるようだ

 

そんな中、柳はふと黙り込み、恐る恐るといった様子で口を開く。何処か不安げな顔をしながら……

 

 

 

「……二人共、本当に何時もすみません。私の仕事にお付き合いいただいて。ミラだって今もやりたくもない見張りなんかしてくれていて……」

 

「……柳?」

 

何時もと様子の違う柳に不信を感じ、羽衣は近づいて行く。彼女が覗き込んだ時の柳の顔はどこか泣きそうで、何時なら誂う彼女でも、今回ばかりはそんな気が起きなかった

 

 

「……三人と違って私は余りにも弱い。今まで生き残れたのだって皆さんが居てくれたからです。たまに不安になるんですよ。皆さんは私が居なくても大丈夫です。でも、私は皆さんが居なかったら何もできない。不安になるんです。私なんて邪魔なだけじゃ……」

 

柳が最後まで言葉を言い切ろうとした瞬間、羽衣の平手打ちにより、その言葉は中断される。柳はその衝撃で吹き飛ばされ、壁にぶつかる。柳が見上げた羽衣の顔は長い間、自分に向けられる事のなかった怒りの表情だった

 

「……言いたい事はそれだけか? よくもまぁ、くだらぬ事をペラペラと」

 

羽衣は柳の胸ぐらを掴み、睨みつけた。其処から発せられる怒りに柳は耐えられず、言葉さえも失う。ゼノンがその様子を退屈そうに見つめる中、羽衣の手が動き……

 

 

 

 

 

 

「そのような事を気にするな。我ら三人は孤独の中からお主に引き上げられた。我が子に裏切られた妾し然り、他の存在を否定して生きてきたミラ然り……」

 

そっと、柳を抱きしめる。まるで、母が幼い我が子を抱くように……。何時の間にか寄って来ていたゼノンもまた、柳を抱きしめた

 

「……そして、全てに裏切られた我然りな」

 

「……ありがとうございます」

 

柳は涙を流しながら、そっと二人を抱き返した。そうして暫し抱き合っていた三人だったが

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと!? 何処をまさぐっているんですか!」

 

「さ~て、何処だろうのぅ♪ ほれ、言ってみい」

 

何時の間にか羽衣の手がうねうねと動き、いやらしい動きで柳の体を触りだした。慌てて離れようとした柳だったが、二人にがっしりと捕まれ逃げられない。結局、何時も通りに押し倒された

 

「羽衣。最初は貴様に譲ってやる。この我が協力してやる事をありがたく思え」

 

「何を言うか。妾なら単独で奪っていた。貴様に感謝する事等、何もない」

 

二人はいがみ合いながらも柳の服を脱がし、自分達も器用に脱いでいく。柳も必死で抵抗するも、当然ながら力及ばず、遂には下着だけにされてしまった。柳は顔を真っ赤にし、顔を背ける。もっとも、二人の姿を横目でしっかりと見てはいたが……

 

「二人共、さっきのシリアスな話は何処行ったんですか!?」

 

「「すまん。抱きついていたら、つい、ムラムラと情欲が湧いてきて!」」

 

状況打破の為に出した質問も通じず、上から伸し掛っている二人は更に体を密着させてくる。柳も既に諦め、『もう、どうでも良いかな。悪い気はしないし』、と受け入れていた。そして、彼が最後まで守っていた腰の布に二人の手が伸びた所で急に止まった

 

 

 

「何か、焦げ臭くないか? ……ハンバーグ!」

 

ゼノンが慌てて飛び退き、コンロに向かうも、既ににハンバーグは焦げている。そろそろお弁当を持っていく時間であり、作り直している時間はない

 

「……どうします? ミラは食べ物に関しては煩いですよ。……こんなの持って行ったら……」

 

「うむ! 妾はちょっと用事を思い出した! 夕食は要らぬぞ」

 

「我も魔界に行ってくる。後は任せた」

 

怒った時のミラの姿を思い出し、三人が震える中、二人は突然思い立った様に出かけた。要するに、柳に全てを押し付けて逃げる気なのだ。何時の間にか着替えた二人は柳が止める間もなく逃げ去り、あとに残ったのはパンツ一丁の柳だけだった……

 

「……とりあえず、服を着ましょう」

 

柳はいそいそと着替えをはじめる。その顔はこれから味わう恐怖に打ち震えていた……

 

 

 

 

「……それで、こんな有様に? 私が一人でゴミ共を見張ってる中、柳さん達は情事の真っ最中ですかぁ~。ふ~ん」

 

「ミ、ミラ。す、すみません。ゆ、許してください」

 

お弁当を渡した時、なんとか誤魔化そうとした柳だったが、ミラは亭主の浮気を見抜く妻のごとく嘘を見抜き、あった事を吐かせた。それを聞いた途端、彼女の目からは光が失われ、澱んだものになっている。そして、柳が恐怖から後ずさりする中、一歩、また一歩と近づいて来る。そして、ついに壁際まで柳を追い詰めたミラは……

 

 

 

 

「じゃあ、頬で良いのでキスしてください」

 

「……へ?」

 

すっかり光が戻り、澄み切った目の満面の笑みでそう言った。柳は一瞬面食らったような顔をしたが、辺りに人目がないのを確認し、腰を屈め、ミラの頬にキスをした。その途端、ミラは真っ赤になり、訳の分からない言葉を口走り出す

 

「はわわわわ、あわわわわ、へ、へぅぅぅぅぅっ」

 

「……何を言ってるのですか? おや、交代の時間のようですね」

 

柳が見つめる先では弁当屋の袋を提げ、バツの悪そうな顔をした羽衣の姿があった。その後ろではスィーツが入ったコンビニ袋を提げたゼノンの姿もある

 

「……お邪魔だったかの?」

 

「……柳がロリコンだったとは。シスコンの気はあったから、妹萌えか?」

 

「違います!」

 

二人は後ずさりをして離れていき、柳が誤解を解くまでミラ一人での監視は続いた……

 

 

 

 

 

とある豪華な部屋で幼い子供が絵を書いていた。クレヨンが紙からはみ出し、床を汚すが、横で見守っている男性に気にした様子はない。しばらくその子を見守っていた男性だが、恐る恐る口を開いた

 

「……なぁ、グリシア。お父さんとお母さんが居なくて寂しくないか?」

 

「ん~ん。寂しくないよ。オジさんやオバさん達が優しくしてくれるし、それに、お姉ちゃんやお爺ちゃん達が居るもん」

 

無垢な笑みでそう答えたグリシアは、再び絵を書くのに夢中になりだす。その後ろで男は涙を流す。決して目の前の相手には悟られぬ様に

 

「……戦争を辞めて良かった。ただ、孫の行く末を見守る。これほど幸せな事はない。……そういえばグリシア。今度、研究所に行くんだったな?」

 

「うん! お姉ちゃんと一緒に行くんだ。神器? っていうのの検査だって」

 

「そうか。向こうに行ったらお姉ちゃんの言う事をちゃんと聞いて、良い子にしているんだぞ」

 

「うん!」

 

男性は願う。目の前の孫の行く末に幸あらん事をと

 

 

 

そして、グリシアが研究所に行った日、男性は部下から報告を受ける。それは、研究所が悪魔の襲撃を受けたというものだった……




意見 感想誤字指摘お待ちしています

しかし、私の所の主人公って少々ネガティブで軽くシスコンだよね なんで?(笑)

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