ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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お久しぶりの投稿です 魔法使いは一段落着いたのでラスボスを頑張ります

とりあえず早めに書いたので短めです


月光校舎のエクスカリバー
友人は強くなりたいようです


「うぉぉぉおおおおおおおおおおっ!!!」

 

山中に一誠の叫び声が響き渡る。一誠は目の前にいる白い鎧の男に殴りかかり

 

「甘い!」

 

「ぐぇっ!」

 

反対に殴り飛ばされ、木を数本へし折りながら飛んでいった。岩にぶつかり、ようやく止まった一誠は痛そうに腰を押さえながら元の場所に戻ってきた。既に彼の全身には無数の傷が見られ、顔はアザだらけだ。それでも、彼の目からは闘志が感じられた

 

「先生! もう一回お願いします」

 

そう言って一誠は再び戦闘態勢を取るが、白い鎧の男、ヴァーリはヤレヤレと肩をすくめる。一誠とは違い、彼にこれ以上続ける気はないようだ

 

「今日は此処まで。続きは来週だ」

 

「まだ、俺はやれます!」

 

「兵藤。休むのも修行の内だと言っただろう?」

 

「……はい」

 

一誠は渋々といった様子で構えを解き、ヴァーリはそれを見て盛大な溜め息をついた。なぜ、この二人が山奥で修行しているのか。それは、ゲームが終わった数日後に遡る……

 

「やぁ、一誠くん。お久しぶりですね」

 

指揮者(コンダクター)か。何か用か?」

 

いつもの通り悪魔の仕事を終え、帰路についていた一誠の前に仕事着の柳が現れる。共に修行し、戦っただけあり、一誠は警戒心もなしに近づいて行った。すると、柳は二枚の紙を取り出す

 

「これは?」

 

「請求書です。リング、壊したでしょう? あれって貴重品なのですよ」

 

請求書に書かれていた値段は一誠が下僕悪魔として貰っている給料など雀の涙にも満たないほどの金額だった。高校生の身にしてとんでもない負債を背負い込んだ事に対し、一誠が絶望して、ふと裏を見ると

 

『バカが見る。冗談に決まってるじゃないですか』

 

一誠は思わず殴りかかるも、初めて会った時の様に投げ飛ばされてしまった

 

「いや~、すみません。本当に渡したかったのは2枚目だけです。……貴方の師匠からですよ」

 

「先生からの!?」

 

一誠が慌ててもう一枚の書類を見ると、そこには魔方陣と共に、『強くなりたければ修行をつけてやる。日曜日の正午に転移しろ。魔力はいらない』、そう書いてあった……

 

 

 

 

「なんで先生は俺にまだ特訓をしてくれるんすか?」

 

傷が引くまでの間、一誠とヴァーリは座って話をしていた。そんな中、一誠の口から、ふと、そんな疑問が出てきた。ゲーム前の修行は友人である指揮者(コンダクター)に頼まれてと聞いていたが、引き続きこうやって特訓してくれる理由が分からない。今回は赤白対決に興味がないと言っていたし、強くして戦いたいとも違うだろう。一誠はそう考えていた

 

 

「なに、ただの気まぐれさ。……同じ変なあだ名を付けられた仲間だしな」

 

「変なあだ名? なんでしたっけ?」

 

一誠の思い当たる節がないといった表情の一誠に対し、ヴァーリは兜の下で驚愕の顔をする。自分の思い違いであってくれと願いつつ、彼は一誠に尋ねた

 

「い、いや、ほら。乳龍帝やケツ龍皇とか……」

 

「呼ばれてないっすけど?」

 

「じゃ、じゃ、好みの服装からとって。裸エプロン皇、みたいのは流石に呼ばれてるだろ?」

 

「……呼ばれたんっすか?」

 

「……ああ。しかも、初恋の相手に」

 

二人の間に気まずい空気が流れる中、ヴァーリの鎧の宝玉が光り

 

『ヴァーリや。飯はまだかのう?』

 

アルビオンの声が響いた。そのボケた老人のようなセリフに一誠は固まり、ヴァーリは涙している。そして、

 

『しっかりしろ、白いの! 何があった!?』

 

宿命のライバルの異変を感じ取ったドライグの声が響いた。ヴァーリは体を震わせながら答える。その声は心なしか涙ぐんでいた

 

「ス、ストレスでボケっちゃったんだ。くっ! や……指揮者(コンダクター)さえ俺の性癖を広めなければこんな事に!」

 

『飯はまだかのう? ……はっ! 俺は一体何を!?』

 

『何でもない。何でも無いからゆっくり休め』

 

アルビオンに対する、ドライグの優しい言葉がヴァーリの心を更に激しく抉ったのであった……

 

 

 

 

 

 

「ほら、見て。こんなに無邪気に笑っているわ。私、この子達には平和な一生を送って欲しいの」

 

「……」

 

「だからね、――――」

 

 

 

「……夢か。この期に及んであの時の夢を見るなんてな。……すまん。もう、俺は止まるわけには行かないんだ」

 

ローブを着た男性は悲しそうな声でそう呟いた。彼の目の前には3本の剣が有り、どれも神聖なオーラを放っていた……

 

 

 

 

「……柳さん。天界から仕事の依頼です。面倒くさい内容のがきましたよ」

 

「こらこら、そんな事を言ったらダメですよ。お仕事なのですから」

 

ミラは何時もの様に依頼のチェックをし、それを柳に伝える。依頼内容が気に入らないのかどこか不機嫌なミラだったが、柳が発言をたしなめる時に頭に手を置いた事ですぐに笑顔になった。柳はミラから渡された仕事の依頼書を見て

 

「……これは、これは。主不在の組織も大変ですね」

 

そう呟いた。依頼書にはこう書かれている

 

『グリゴリの幹部コカビエルに奪われたエクスカリバー奪還の任務を受けたエクソシストの補助を依頼します。ただし、緊急時以外では補助があるのに気付かれない様にお願いします』

 

「エクスカリバー? 我の所有物の中にもあったな。この世界にもあるのか?」

 

ゼノンの手には神々しい光を放つ剣が無造作に握られていた。その扱いの軽さに柳は苦笑しつつ尋ねる

 

「それ、どうやって入手しましたか?」

 

「武器屋で売っていたが? 5割引で買ったが、そんなに貴重な物なのか?」

 

「……あ、うん。教会関係者には絶対に言わないでくださいね」

 

「? 分かった」

 

ゼノンは理解できていない様子で頷く。柳はそんな彼女の様子を見て、聖剣が悪魔の店で普通に売られているなんて知ったら、発狂するんだろなぁ、っと思っていた……

 

 

 

駒王学園では、球技大会が行われていた。柳は部活には所属しておらず、出場するのはクラス対抗の球技のみ。彼の学年は野球になっており、柳はピッチャーを任されていた

 

「きゃー、神田せんぱーい。頑張ってー」

 

「木場きゅ~ん! すてきー」

 

応援をしている女子の声援はバッターボックスに居る祐斗と柳に集中していた。祐斗が王子様系なら、柳は優しいお兄さん系として、主に一年生を中心に人気があった。仲間の筈のクラスメイト、特に友人の一誠からも突き刺さるような嫉妬の視線を柳に送る中、第一投目が投げられた

 

「ストライク、バッターアウト!」

 

祐斗と柳の勝負は柳の圧勝。祐斗はバットをボールに掠らせもできなかった。しかし、それは勝負とは言えない内容だったからだ。最近、祐斗は心此処にあらずといった様子で、打順が回ってきた時も、一度もバットを振らなかった。それは部対向戦のドッチボールの時も続いていた

 

 

誰もが彼の異変に首をかしげる中、柳は彼の瞳にある物を感じていた。それはかって、柳が囚われていた物……

 

「憎悪と悲しみ。……復讐か何かですかね?」

 

特に興味がないといった様子で柳は呟き、家に帰っていった……




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