二人の吸血鬼に恋した転生者   作:gbliht

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題名はこの話を見れば、意味がわかると思います。

それと、後半注意です。多分、砂糖吐きますよ。

では、第二十話をどうぞ。


第二十話 十六夜の月の夜に咲く

Side 鏡夜

 

「すう~、すう~」

 

「・・・寝てしまったか」

 

俺は女の子が泣き止むまで背中を撫でていたのだが、安心したのかいつの間にか女の子は眠っていた。

 

俺は眠った女の子を、ベットに寝かせ、椅子に座り直した。

 

「・・・・・・ここに、居たのね」

 

「・・・レミリアお嬢様、どうしてここに」

 

不意に扉の方から声がした。俺は声のした方を、首だけを動かして見ると、そこにはレミリアお嬢様が立っていた。

 

「夕食の時間になっても来ないから、探しにきたのよ」

 

レミリアお嬢様はそう言うと、部屋の中に入り俺の膝の上に座った。

 

「話は美鈴から聞いたわ・・・この子が例の子なのね」

 

レミリアお嬢様はそう言うと、女の子の頭を優しく撫でた。

 

「レミリアお嬢様、もしこの子が住む場所も無く、家に帰りたくないと言った時は・・・」

 

「駄目よ・・・」

 

俺はレミリアお嬢様の言葉を聞いた瞬間、俺は落ち込んでしまった。

 

しかし、それは俺の早とちりで、レミリアお嬢様の話には続きがあった。

 

「・・・って、昔の私は言っただろうけど、今は違うわ」

 

「それじゃあ」

 

「ええ、別に構わないわ・・・けど、それは彼女に聞いて、彼女がそうしたいといった時だけよ」

 

「・・・ありがとうございます」

 

俺はレミリアお嬢様に感謝しながら、レミリアお嬢様の事を後ろから抱きしめた。

 

「ちょっ! 鏡夜!」

 

レミリアお嬢様は赤面して慌てるが、数秒もしないうちに大人しくなった。

 

「う、う~ん」

 

そんな事をしていると、女の子が目を覚ました。

 

「おはよう」

 

「あ、おはよう・・・ございます?」

 

俺が女の子に挨拶すると、女の子は首を傾げながら返してくれた。

 

「どうした?」

 

「あの、貴方は?」

 

女の子は恐る恐る、レミリアお嬢様を指差しながら言った。

 

「う~ん、名乗ってもいいのだけれど、それだと他の人の紹介をするのが面倒ね」

 

「そうですね」

 

レミリアお嬢様がそう言うと、女の子はどういうことかわからず困惑していた。

 

「今、皆は食堂にいるわね・・・じゃあ、そこで自己紹介をしましょう」

 

レミリアお嬢様はそう言うと、俺の膝の上から降りて、女の子の前に手を差し出した。

 

「ほら、立てる?」

 

「あ・・・はい」

 

女の子は戸惑いながらも、レミリアお嬢様の手を握った。

 

「あっ!」

 

「おっと!」

 

ベットから降りて、立った女の子がよろけた為俺はすぐさま女の子の胴体を支えた。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「いえいえ、どういたしまして」

 

「鏡夜、危ないからもう片方の手を握ってあげて」

 

「はい」

 

俺は余っている方の腕を優しく握った。

 

「じゃあ、食堂に行きましょうか」

 

「はい」

 

「は・・・い」

 

そして、俺とレミリアお嬢様は女の子の歩幅に合わせて食堂に向かった。

 

 

 

「まるで、お父さんとお母さんと歩いているみたい」

 

食堂に向かっている途中、不意に女の子がそんな事を言った。

 

「お父さんとお母さんみたいか・・・」

 

「・・・まあ、間違ってはいないかしら」

 

「? どういうことですか?」

 

俺とレミリアお嬢様がそんな事を言うと、女の子は不思議そうな顔で俺の事を見た。

 

「実はね・・・君の隣にいる人は私の妻なんだよ」

 

「えっ!?」

 

俺が優しく言うと、女の子は勢いよくレミリアお嬢様の顔を見た。

 

「どうしたの?」

 

「い、いえ・・・その・・・本当ですか?」

 

「ええ、本当よ」

 

「そ、そうなんですか」

 

そんな会話をしている内に、食堂に着いた。

 

 

 

Side 女の子

 

(私と同じ位なのにもうお母さんなんだ)

 

私は鏡夜さんの言葉を聞いた後、そんな事を思いながら歩いていた。

 

そして、そんな事を考えている内に二人がある扉の前で止まった。

 

「ここですか?」

 

「そうよ」

 

女の人はそう言うと、扉を開けた。扉の向こうには先ほど話した美鈴さんと、美鈴さんと一緒にいた女性。そして、見知らぬ女の子と二人の女性が椅子に座っていた。

 

「お~おはよ~」

 

「お、おはようございます」

 

私は女性の一人が挨拶してくれたので、緊張しながらもなんとか返した。

 

「さて」

 

私の手を握っていた女の人は、手を離して女の子の隣に座った。

 

「大丈夫、皆優しいからね。それと、これから自己紹介するから頑張ってね」

 

私がどうすればいいか戸惑っていると、鏡夜さんが耳元でそう言った。そして、鏡夜さんは私の手をゆっくり引いて、椅子に座らせてくれた。

 

「さて、皆。女の子が起きたから自己紹介といきましょう」

 

「じゃあ~私から~」

 

そう言うと、美鈴さんと一緒にいた人が立ち上がった。

 

「私はカロ、よろしくね~」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

私はすぐに立ち上がって頭を下げる。すると、カロさんは微笑みながら椅子に座った。

 

「じゃあ、次は私がいきますね」

 

そして、今度は美鈴さんが立ち上がった。

 

「さっきもしたけど、私は紅美鈴。よろしくね」

 

「は、はい。よろしくお願いします」

 

「次は私達かしら」

 

美鈴さが座ったあと、今度は女性二人が立ち上がった。

 

「私はこの紅魔館の図書館に住んでいる、魔女のパチュリー・ノーレッジよ」

 

「そして、同じく図書館に住んでいる小悪魔だよ! よろしくね」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

(え? 小悪魔? 魔女?)

 

私は内心、二人が魔女と悪魔だったことに驚いた。

 

「まあ次は私かな」

 

今度は、私と同じくらいの女の子が立ち上がった。

 

「私はフランドール・スカーレット。ここの館の主の妹よ。よろしくね」

 

「よ、よろしくお願いします・・・館の主の妹さん・・・ですか?」

 

「そうよ」

 

館の主と聞いて、鏡夜さんを見るが、鏡夜さんは首を横に振った。

 

「違う違う、鏡夜じゃなくてこっちのお姉様」

 

フランドールさんがそう言って指差したのは、さっきまで私の手を握っていてくれた、女の人だった。

 

女の人はゆったりと立ち上がると、優しく微笑んでくれた。

 

「最後に、私がこの館の主のレミリア・スカーレット。よろしくね」

 

「は、はい! よろしくお願いします」

 

私はそう言って、レミリアさんに頭を下げた。

 

「よくできました」

 

鏡夜さんがそう言うと、私の頭を撫でてくれた。私は鏡夜さんに頭を撫でられていると、とても安心できた。

 

そして、鏡夜さんが頭を撫でるのをやめると、真剣な表情になった。

 

「さて、一つ聞きたいことがあるんだけどいい?」

 

「はい」

 

私がそう言うと、鏡夜さんはゆっくりと息を吸い、吐き出した。

 

「それじゃあ、聞くけど・・・君は、家に帰りたい? それとも、ここに残りたい?」

 

「それは・・・」

 

「別に、家に帰りたいって言うなら、家まで送るし。もし、ここに残りたいって言うなら皆は家族として、君を迎え入れるよ」

 

「少し・・・考えさせてください」

 

「いいよ」

 

そう言って、私はしばらく考え始めた。

 

(できれば、お父さんやお母さんの元に帰りたい・・・でも、私が帰ってもまたどうせ捨てられるだけだ・・・)

 

そして、しばらく考えた私は皆に向かって話始めた。

 

「・・・・・・ここに、居させてください」

 

「いいのかい?」

 

「はい!」

 

鏡夜さんは確認してくるが、私の決心はもう決まっていた。

 

「そう・・・じゃあ、これから君は、この紅魔館全員の家族だ」

 

そうして、私は紅魔館の家族として迎え入れられた。

 

 

 

「そういえば、貴方、名前は?」

 

自己紹介が終わり、一息ついた時、レミリアさんが私の名前は聞いてきた。

 

「名前は・・・答えたくありません」

 

「あら? どうして?」

 

「前の家族の事を・・・思い出したくないのです」

 

「そう・・・」

 

私がそう言うと、皆暗くなってしまった。私はこの雰囲気をどうすればいいか分からず、戸惑ってしまう。

 

「あ、あの・・・」

 

「ああごめんね」

 

「い、いえ」

 

「・・・ねえ、レミィと鏡夜が名前を付けてあげればいいじゃない」

 

パチュリーさんがそう言うと、皆はまた明るくなってくれた。

 

「・・・それでいい?」

 

「はい、お願いします」

 

「そうね・・・」

 

皆は私の名前がどうなるのか気になるのか、レミリアさんを見ていた。一方のレミリアさんは椅子を後ろに傾かせて、窓の外を見ていた。ちなみに、外は晴れていて、月が出ていた。

 

「・・・今日は・・・十六夜の月ね」

 

レミリアさんはボソッと何かを言ったあと、椅子を思いっきり戻した。

 

「決めたわ! 貴方は十六夜!」

 

「はい!」

 

別に私は十六夜でもいいのだけども、内心は、せっかくだから鏡夜さんにも名前をつけて欲しかった。

 

「それだと、少ないんじゃない? お姉様」

 

「そう? ・・・じゃあ、名前は鏡夜にお願いするわ」

 

「わかりました」

 

私の願いが通じたのか、鏡夜さんが名前をつけてくれるみたいだ。

 

「十六夜ちゃん、どんな名前がいい?」

 

「鏡夜さんが考えたのなら、何でも嬉しいです」

 

「そう?」

 

鏡夜さんはそう言うと、考え始めた。私はワクワクしながら、鏡夜さんの言葉を待った。

 

「十六夜の夜に咲く可憐な花」

 

「?」

 

鏡夜さんは突然、ボソッと何かを言った。そのあと、何かを呟いたあと、一人で頷き、話し始めた。

 

「咲く・・・何かどうかな?」

 

「いいですね!」

 

「でも鏡夜、あと一つ欲しいと思うよ」

 

「そう? ・・・じゃあ、鏡夜の夜を入れて・・・咲夜・・・なんてどうかな?」

 

私は咲夜と言われた瞬間、私は感動した。前の名前も良かったけど、鏡夜さんが考えてくれた名前は、なんていうか響きが好きだった。

 

「咲夜・・・咲夜・・・」

 

私は繰り返し、鏡夜さんにつけてもらった名前を呼ぶ。そして、自分の名前を読んでいるうちに、自然と笑顔になってきた。

 

「気に入ってもらえたかな?」

 

「はい! ありがとうございます! レミリアさんも、ありがとうございます!」

 

そして、私は立ち上がって、鏡夜さんとレミリアさんに頭を下げて、皆の方を向いた。

 

「十六夜咲夜です! 皆さんこれからお願いします!」

 

 

 

Side 鏡夜

 

「ふ~良かった」

 

俺はお嬢様達がいつも紅茶を飲んでいる部屋でくつろいでいた。

 

「お疲れ様、鏡夜」

 

「フランお嬢様」

 

俺がくつろいでいると、お風呂上がりのフランお嬢様がきた。ちなみに、咲夜ちゃんは美鈴とカロと一緒にお風呂に入っている。

 

そして、フランお嬢様を見た俺は、一瞬固まってしまった。

 

何故か? それは、フランお嬢様の髪は濡れており、そのおかげで髪が月の光を反射させてキラキラと光り輝いているのだ。

 

そして、服装は薄い服を着ているため、体にぴったりとくっついている。そのため、フランお嬢様の体が薄らと見えているのだ。

 

要するに、すごく可愛かった。

 

「よいしょっと!」

 

そんな事を考えていると、フランお嬢様が俺の片方の膝の上に乗ってきた。

 

「今日は沢山のことがあったね」

 

「そうですね~」

 

本当に今日は色々なことがあって疲れた。等と考えていると、フランお嬢様は後頭部を俺の胸に押し付けてきた。その瞬間、フランお嬢様の甘い匂いが俺の鼻を擽った。

 

そして、フランお嬢様の髪は濡れているのだが、そんな事は気にせず、二人で月を見続けた。

 

数分程、そうした後、俺はなんとなくフランお嬢様に言った。

 

「・・・フランお嬢様、今日も可愛いですね」

 

俺がそう言うと、フランお嬢様は顔をこちらに向けてニコッと笑った。

 

「・・・鏡夜も格好良いよ」

 

フランお嬢様はそう言うと、俺の口にキスしてきた。

 

(・・・久しぶりに、ゆったりした時間を過ごせるな)

 

「鏡~夜!」

 

そんな事を考えていると、今度はレミリアお嬢様が入ってきた。

 

まあ、またもや俺は固まってしまったよ。

 

レミリアお嬢様の髪は濡れており、こっちはキラキラと光っているのではなく。透き通っていた感じだった。

 

そして、こちらも薄着を着ているため、よく見れば体が透けて見える。

 

「あら? フランもいたの?」

 

「うん」

 

レミリアお嬢様は俺に近寄てくると、余っている方の膝の上に乗った。

 

「はふ~やっぱり、鏡夜の膝の上は落ち着くわ~」

 

「だよね~」

 

レミリアお嬢様はそう言うと、フランお嬢様と同様に俺の胸に後頭部をのせてきた。そしてレミリアお嬢様も甘い匂いを放っており、俺の鼻を擽った。

 

「鏡夜、抱きしめて~」

 

「私もね」

 

「わかりました」

 

俺は言われた通りにお嬢様達をギュッと抱きしめた。すると、お嬢様達はこちらに体を向けて抱きついてきた。

 

「は~本当に、可愛すぎですよ。お嬢様」

 

「「鏡夜もかっこよすぎだよ!」」

 

お嬢様達はそう言うと、俺に思いっきり抱きついてきた。

 

「「鏡夜、温めて」」

 

俺は一旦お嬢様達を離して、上着を脱いで二人に掛けてから再び抱きしめた。

 

「「鏡夜、暖かい」」

 

お嬢様達は頬を少し赤くして、上目遣いで言ってきた。

 

「あ~もう~可愛すぎです!」

 

俺はそのまま、ギュッと二人を抱きしめて、夜を過ごした。

 




あ~砂糖吐きそう・・・

次回の更新は家の事情により遅くなるかもしれません。まあ、来週中にはあげますけどね

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