後、若干文字数が少ないです。
では、第十八話をどうぞ。
Side鏡夜
さて、プレゼントを皆に渡してから数日が経った。あの後、皆に渡したプレゼントの効果を伝えるのを忘れてしまった為、食堂に皆を集めて伝えておいた。
その効果は、身につけている人に合わせて大きさが変わるのと、絶対に壊れなく劣化にしないというものだ。
まあ、普通は無理だがそこは魔法と加工で頑張ったら出来た。
そして、現在。休憩中の俺はパチュリー様から魔法を教わっていた。
「成程、こうですね」
「そうよ・・・で、ここをこうしてこうなるの。わかった?」
「わかりました」
そんな感じで教わること数分。パチュリー様が休憩しましょと言ってきた。
「そうですね・・・じゃあ、紅茶を持ってきますね」
「ええ、お願い」
俺は厨房に行って、紅茶を図書館に持ってくる。図書館に入ると、何故か小悪魔がいなかった。
「? パチュリー様、小悪魔は?」
「大事な話があるから、少し席を外してもらったわ」
「そうですか」
俺は紅茶をテーブルの上に置いて座る。すると、パチュリー様が俺の隣に椅子を持ってきて座った。
「して、大事な話とはなんでしょうか?」
「・・・ねえ、貴方のことが好きな女の子がいたらどうする?」
「一体何を・・・」
「いいから、答えて」
俺はしばし考えながら、慎重に話していく。
「・・・そうですね、自分の事を愛してくれる女の子がいるならば、私もその子を愛しましょう」
「レミィやフランもいるのに?」
「お嬢様達は特別です・・・お嬢様達は愛するとかの次元ではなく、更にその上、言葉にできないような存在ですから」
「そう・・・・・・レミィやフランと同じことを言ってるわ」
「?」
パチュリー様は俺の答えを聞くと、下を向いてボソッと何か言った。俺はどうしてそんな事を聞いたのか気になり、聞いてみた。
「パチュリー様、どうしてこんな事を聞いたのですか?」
「・・・わからない?」
パチュリー様は顔を真っ赤にして言ってくる。
「わからないですね」
俺はふふっと笑いながら言った。すると、パチュリー様は頬を膨らませた。
「意地悪なのね」
「いえ、誤解かもしれないので」
「・・・・・・いいわ、何であんな事を聞いたか教えてあげる」
そう言うと、パチュリー様は顔を真っ赤にしてすうっと息を吸い、吐いた。
「さっきの女の子は・・・私よ」
「なるほど」
「ここまで言えばわかるでしょ・・・・・・私、パチュリー・ノーレッジは貴方のことが好きです」
パチュリー様は顔を真っ赤にして、真っ直ぐこちらを見ながら言ってきた。俺もパチュリー様を正面から見て答える。
「・・・わかりました。この時成鏡夜、貴方の事を愛しましょう」
そう言うと、パチュリー様は唇を近づけてくる。俺はキスしていいのかわからず戸惑ってしまう。
「レミィやフランに聞いたけど、別にいいそうよ・・・まあ、一番は私達だって言ってたけどね」
俺の心中を察したのか、パチュリー様はそんな事を言ってきた。
「そうですか・・・じゃあいいですね」
そして、俺とパチュリー様はキスした。
(最近キスしてばっかりだな俺)
などと考えていると、いきなり図書館の扉が勢いよく開かれた
「パチュリー様ばっかりずるいです!!」
「小悪魔!?」
図書館の扉を勢いよく開けて、入ってきたのは小悪魔だった。小悪魔は俺の正面に立ち、抱きついてきた。
「鏡夜、私も貴方のことが好きです!!」
「お、おう」
曖昧な感じで返事を返すと、小悪魔はいきなり俺の唇を奪ってきた。
「むぐ!?」
「ん~~~っ!」
「こ、小悪魔!?」
小悪魔はしばらくの間、俺にキスし続けた後ようやく唇を離した。
「鏡夜、私のことも愛してくださいね」
「あ・・・ああ、いいよ」
俺が小悪魔にそう言うと、小悪魔は満足そうに頷いて図書館を出て行った。
「・・・まあ、私と小悪魔をこれからもよろしくね」
「勿論ですよ」
そう言って、再びパチュリー様に魔法を教わり始めた。
そんなことがあってから半年が経った。パチュリー様と小悪魔に告白はされたがそれ以外は特に何もなく平和に暮らしていた。
そんなある日の夜、俺は暇だったので夜風を浴びるために外に出ていた。
「ふ~今日も疲れたな」
俺は背伸びをして、空に浮かんでいる月を眺める。季節は秋になりかけいて、少し肌寒い。
月を眺めていると、急に落下する感覚に襲われた。
「これは・・・紫ちゃんのスキマか・・・ってことは」
俺は何の抵抗もせず、そのまま落下していく。そして落下すること数分。突然、スキマの外に投げ出されて、太陽が出ている空に出た。
すぐさま、霊力で翼を出してその場で羽ばたき滞空する。
「これが例の世界か・・・」
「そうよ」
俺が呟くと後ろから紫ちゃんの声が聞こえた。俺は後ろを見ると、そこには上半身だけをスキマから出した紫ちゃんがいた。
「全く、呼ぶなら事前に連絡してくれればいいのに」
「ごめんなさいね。でも、伝えないで呼んだほうが驚くと思って」
「まあ、驚いたけど」
紫ちゃんは両手を前で合わせて、片目を瞑ってごめんねと言ってくる。俺は苦笑いを浮かべながら空からこの世界を見渡す。
神社や集落、大きな湖や山やひまわり畑などがありとても自然豊かな世界だった。
「いい世界だね」
「でしょう~」
紫ちゃんは胸を張って得意げに言ってくる。俺は笑顔で紫ちゃんに近寄って頭を撫でた。
「うん、よく頑張りました」
「ふあっ!」
紫ちゃんは頭を撫でられた瞬間、顔を真っ赤にした。
「で、どうしてここに呼んだの?」
「この世界を見てもらいたかっただけよ」
頭を撫でるのをやめると、紫ちゃんはいつもの表情に戻った。俺は紫ちゃんに、何故この世界に連れてきたのか聞くと、俺に見せたかっただけらしい。
「じゃあ、この世界を案内してよ」
「いいわよ、ついてきて」
紫ちゃんはスキマから出ると、日傘をさしながら神社のある方に飛んでいった。俺もすぐさま翼を羽ばたかせて紫ちゃんの後追った。
「そういえば、俺の方では夜だったけど、どうしてこっちは太陽が出てるの?」
「それはね、あっちの世界とこっちの世界では時間の流れが違うからよ・・・そうね、丁度真反対かしらね」
「そうなんだ」
そんな話をしながら飛んでいると、神社についた。
俺は翼を消して、神社の境内に降りる。すると、そこには紅白の巫女服を着て箒を持った少女が驚いた表情で俺の事を見ていた。
紫ちゃんは少女の隣に降りると手を挙げながら女の子に話しかけた。
「はあ~い、霊夢」
「・・・紫、誰そいつ?」
女の子は明らかに警戒しながらこちらを指差してきた。俺は苦笑いを浮かべつつ、少女の前に膝を付いて目線を合わせた。
「初めまして、私は紫ちゃんの友達の時成鏡夜っていいます」
俺は少女に右腕を差し出すが、少女はサッと紫ちゃんの後ろに隠れてしまった。
「ごめんなさいね、鏡夜。この子人見知りなのよ」
「そうなんだ」
少女は紫ちゃんの後ろに隠れてこちらをジッと見てくる。
「ほら、霊夢。この人が例の鏡夜よ」
「この人が・・・鏡夜?」
「そう」
紫ちゃんがそう言うと、少女はゆっくりと紫ちゃんの後ろから出てきた。少女は紫ちゃんの後ろから出てくると、俺の顔をマジマジと見てくる。
「この人が、紫の師匠なの?」
「そうよ」
「紫ちゃん、この子にも俺が師匠だって言ってるの?」
「ええ、そうよ」
紫ちゃんがそう言うと、さっきの少女は俺の顔を見るのをやめて正面に立った。
「えっと、私の名前は博麗霊夢です・・・さっきはいきなり隠れてしまってすみません」
そう言うと、少女は右手を差し出してくる。俺は笑顔で少女の手を優しく握る。
「よくできました」
紫ちゃんはそう言うと、少女こと霊夢ちゃんの頭を撫で始めた。
「ちょっと、やめてよ、紫」
口では嫌がっているが、霊夢ちゃんの顔は嬉しそうだった。
「ね~鏡夜はどこから来たの?」
霊夢ちゃんと自己紹介してから数分が経った。あの後、俺達は神社の中にある母屋の縁側で喋っていた。
ちなみに霊夢ちゃんは俺に馴れたのか、気軽に話かけてきてくれた。
「ん~なんて言えばいいのかな・・・こことは違う世界・・・かな」
「そうね」
「どう言う事?」
俺は霊夢ちゃんに説明した。すると、俺の説明でわかったのかうんうん頷いていた。
「・・・・・・ってこと、わかった?」
「うん、わかんない!」
「ですよね~」
まあ、霊夢ちゃんが理解できる筈もなく、俺はその場でガクッと肩を落とした。
「そんなことより、遊ぼ!」
「いいよ、何して遊ぶ?」
「じゃあね~肩車!」
「いいぞ!」
俺は縁側から外に出ると、屈んだ。そして、霊夢ちゃんもこちらに近寄って俺の肩に乗っかってきた。
「しっかり掴まってね」
「は~い」
俺はグッと足に力を込めて立ち上がる。
「おお~高い!!」
霊夢ちゃんは、俺が立ち上がると肩の上で喜び始めた。
「鏡夜! 次は別の遊びで遊ぼう!」
「いいよ」
俺は霊夢ちゃんを地面に降ろして別の遊びを始めた。
「今日は楽しかった!」
「それは良かった」
一通り、霊夢ちゃんと遊び終わった俺は、縁側で霊夢ちゃんと一緒にくつろいでいた。
「お疲れ様、鏡夜」
俺と霊夢ちゃんが縁側でくつろいでいると、紫ちゃんがお盆にお茶を乗せて持ってきてくれた。
「ありがとう、紫ちゃん」
俺はお茶を受け取ると、一気に飲み干す。そして、ポケットに入っている時計を見た。
時刻は三時程。この世界に来てから三時間程が経った。
「そろそろ、帰らなきゃな」
「え~もう帰っちゃうの?」
霊夢ちゃんは涙目になりながら言ってくるが、俺は霊夢ちゃんの頭を撫でて笑顔でごめんねといった。
「・・・わかった」
霊夢ちゃんは渋々といった感じで頷いてくれた。
俺は霊夢ちゃんが頷いたのを確認すると、紫ちゃんを呼んだ。
「紫ちゃん、そろそろ帰らないといけないから、スキマを開いて」
「わかったわ」
紫ちゃんは目の前で腕を振ると、人が通れるくらいのスキマが出来た。
「じゃあね、霊夢ちゃん。また、今度ね」
「うん! またいつか遊ぼうね」
俺は霊夢ちゃんに手を振って、スキマの中に入った。
「よっと」
スキマから出るとそこは、俺があっちの世界に行く前にいた、屋根の上だった。
「どうだった私が作った世界は?」
「良かったよ」
俺がそう言うと紫ちゃんは満足そうに頷いていた。
「・・・そういえば、あの世界の名前って何?」
「そうね・・・幻想郷よ」
「・・・今、考えたの?」
「どうかしらね」
俺が呆れながら突っ込むと、紫ちゃんは胡散臭い笑を浮かべた。
「まあいっか」
「で、鏡夜はいつ幻想郷に来てくれるの?」
「う~ん、お嬢様達が行くって言った時かな」
「そう」
紫ちゃんは何故か、残念そうな感じで俯いた。俯いている紫ちゃんの頭を、俺は苦笑いを浮かべながら撫でた。
「そう落ち込まないの。案外すぐに行くかもよ?」
「そうかしら」
頭を撫でられた紫ちゃんは笑顔で顔をあげた。
「・・・じゃあ鏡夜。私もそろそろ帰らないといけないから」
「そっか、じゃあね紫ちゃん。今度は幻想郷に行くときに呼ぶよ」
「そ、楽しみにしてるわ・・・じゃあね」
「ああ、じゃあね」
紫ちゃんはスキマを開いて手を振りながらスキマに入って行った。俺もスキマが閉じるまで手を振って紫ちゃんを見送った。
「・・・・・・さてっと」
俺は一息ついて空を見上げると・・・
「鏡夜~来て~」
レミリアお嬢様の声が聞こえた。
「お嬢様がお呼び・・・いや、私の妻がお呼びか」
俺は屋根から飛び降り、すぐさま霊力の翼を出してレミリアお嬢様の元に向かった。
いかがでしたか?
次回はあのキャラが独自設定で出てきます
感想、誤字報告、お待ちしております。