Angel Beats!~ちょ、俺まだ死んでないんだけどオオオオオオオオ!!~ 作:日暮れ
私も気合い入れて頑張ります!
直井回完結です!
……ここは、どこだ?
僕は気付くと、大きな木が立派に立つ広い庭の中にいた。
……? この木……どこかで……
途端、何となく見慣れた顔が僕の顔を心配そうに覗きこんできた。これは……僕?
地面に倒れてる僕を見下ろす僕。
――あぁそうか、僕は夢を見てるんだ。
生前――僕の過去……思い出したくもない、昔の記憶――
★
陶芸の名手の家に生まれてしまった――僕と、双子の弟……
僕は他人よりも……弟よりも才能があり、後継ぎとして名を世間に轟かせた。
弟は惨めにも引きこもり、ずっとゲームをして過ごす日々……親からも誰からも期待されずに、無意味に過ごす人生……
その日、僕と弟は一緒に木登りをして遊んだ……
突然景色がひっくり返り、僕の体を激しい痛みが走る。
――木の枝が不自然にゆれた。僕ら二人はあそこから落ちたんだ。
隣で弟が血を流していた。岩に全身を打ちつけ死んでしまったのだ……
『死んだのはお前だ』
僕は生きているはずなのに、目の前に広がる空はそう言っていた。
――弟が死に、僕はしばらくの間入院生活をしていた。
不自然だったのは弟の死を嘆く人がとても多かったこと。
あんな出来そこないで引きこもりの弟が死んで悲しむ人がこんなにいたとは……
退院してすぐ、僕は厳しい修行を強いられた。
世間にはリハビリということになっているらしい。なんでそんなウソを吐くんだろう。
「恥を知れ!! こんなもの作ってきおって!!」
父の怒声を聞く毎日。
こんなはずじゃなかったはずだ……どうして?
これじゃまるで………………
修業は苛烈を極めた。どんなにやっても事故の前の僕の実力が出せない。
昔の自分がひどく遠く感じた。
これじゃまるで…………
展覧会で入賞を果たした。
今までの僕からは考えられないほどにひどい結果。こんな展覧会で入賞程度なんて……
それでも……
「……何だ? お前――」
「――泣いているのか?」
それでも、涙が止まらなかった。
こんな、こんな結果に終わって……残念としか言いようがないのに……!!
何で、こんなに……喜んで、涙まで流している?
これじゃまるで……
まるで僕の弟みたいじゃないか……!!
『死んだのはお前だ』
そう、空が告げていた。
あの時死んだのは本当に僕だったのか……?
では僕とは誰だ?
僕は自分の作った作品の裏に刻まれた文字を読む。
……健人。そうだ、僕の名前は直井健人。
あの出来そこないの弟の名前は、直井……文人。
父が床に伏せた。
回復の見込みはないらしい。もう
僕に陶芸を教えることはもちろん、僕を叱ることもなくなった……
食事を与えると、優しげに微笑むのだった――
どうして? どうしてこうもうまくいかない?
あの頃の調子が戻らないままのこんな腕じゃ……工房は持てないし、独り立ちもできない……
ずっとこの人の世話をしていく人生なの……?
…………ねぇ!!! 神様!!!!
――どうして――――
★
目をあけると、真っ黒な画用紙に白い砂をちりばめたような見事な夜空が広がっていた。
僕は、グラウンドに横たわっていた。
夢から覚めたんだ……ここは…………――――!?
突然頬に痛みを感じる。何だ、何が!? つねられている? 一体誰に
「……………………」
「…………何をしてるんだ貴様」
目が慣れて、ぼんやりとだか少しずつ僕の頬をつねってる奴の顔を見ることができた。
死んだ魚の目に、銀髪天然パーマ……
その男は、僕と目があったと同時に、不敵な笑みを浮かべた。
「放せ!! 僕は神だぞ!! 何を……――ッ!!」
抵抗しようと体を動かすと、さっきの比じゃないくらいの痛みが体をめぐった。
「おいあんま動くんじゃねーよ。誰に殴られたと思ってんの?」
その男は全く詫びれる様子もなくぶっきらぼうにそう言った。
そしてなおも男は僕をバカにするように口を動かし続ける。
「……新世界の神になるっつー夢を踏みにじられた感想は?」
「誰がいつ名前を書いたら四十秒で人を殺せるノートなんか使った? 目指しているものが違う。僕の夢はそんなものでは……」
「もーちょいだったのになー。あそこでGが出てこなけりゃこんなことには」
「おい話を聞けというかGって何だLならともかくGって誰だ!?
「
「
「僕はクールキャラなんだァァァアァァァァァァァァァアァァアァ!!!!!!」
僕の渾身の叫びが静かな空へと響いて消えていく。
男もそれで満足したのか、何も言ってこなかった……
「……僕を殺さなくていいのか?」
「は? 何で殺しても死なねぇゾンビわざわざ殺さねーといけねーんだよ? もう俺の気は済んだしな……」
……しばらくの間、グラウンドを沈黙が包む。さっきまではまるで気にならなかった虫の声がとても間近に聞こえてくるほどに。何だろう、コオロギ……?
「よぉ」
その沈黙を破ったのは、僕の隣にいる教師だった。
「何でんなかったりーことしたんだよ?」
「……愚問だな。僕だけでなく貴様らや他の奴も……神になるためにここに来たんだ。それに気付かずのうのうと生きている貴様らより僕は優秀だった、それだけだろう?」
「違うな」
「……?」
「お前はただ……認めてもらいたかっただけだろう?」
目の前にいる男の一言に激しく心がざわつく。何が――何を言っている?
「お前は、神になって……俺たちに認めてもらいたかっただけだろう? この世界の頂点に立って、誰かに見てもらいたかっただけだろう」
「……何を」
「生徒会に入ってたのだってそうだ。生徒会長の座を奪うために副会長になったっつっても……その肩書はほとんど必要ねぇだろう? てめぇの催眠術を使えばどうとでもなる。」
「見てもらいたかったんだろう? 自分の実力を。生徒会副会長としての自分の頑張りを」
目の前の男は……僕の心にどんどん入ってきた。
何も知らないはずなのに……
「アンタに僕の何がわかる……!!」
「わかんねぇよ、わかりたくもないしな……俺はテメーがキライだから」
ただ――、そう前置きしてその教師は呟いた。
「この俺を手の平で弄んだことだけは褒めてやるよ。」
その言葉は……僕の世界に色をつけた。
「
その言葉は……僕の世界に音をつけた。
僕を認めてくれた。
生まれてから今まで誰にも見られなかった。僕の言葉は兄の言葉。兄は僕だった。
僕にかけられる賞賛の言葉は僕を認めているのではない。兄を認めているのだ。
ずっと、ずっと――認められなかった。
ふと、昔の記憶が頭をよぎる。
ずっとずっと埋もれていた――
――取ったってどうせ、渋柿じゃぞ?
――あっ! やった! にいさんにかった! ……う、うぁあ!!
――あやと!!
――いてて……
――ったく、渋柿ごときで何を……
――だが……文人もやりおる――――
一番聞きたかった言葉――
★
日向「……おい、銀さん……何だよソイツ」
直井「銀時さんお腹は減っていませんか!? 大福とクッキーとパフェ、それにイチゴ牛乳をお持ちしました!! ……はっ!! しまった……これでは虫歯になる可能性がある……!! 食後には歯磨きを、もしくはキシリトールガムを噛んでください!! ところで……おいこの部屋寒くないか!? 冷房ききすぎだこの愚民どもめ! しょうがないですねー銀時さんここはお互いの肌と肌で互いのぬくもりを感じあいましょう!! そうすればお互いのことをもっと知れてグヘヘヘさぁ!! 僕はもう下着一丁でスタンばってます銀時さん僕の胸に飛び込んで」
「知るかァァァァァァァァアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
★―次回予告―
「つーかお前は一応仲間になったってことでいいんだよな?」
直井「はい!! 銀時さんにしてしまった数々の非礼を詫び、銀時さんが望むなら例え神でも仏でも天使でも殺してみせついでに夜のお相手も」
「俺にそーゆう趣味ねーよ!! つーか最後のはただのお前の願望じゃねーか!!!」
直井「まぁいざとなったら催眠術で……」
「おい今おぞましいこと言わなかった!? 嘘だよね嘘だと言ってくれよ直井くん!?」
直井「次回、第十六訓は作者の都合でお休みだ……したがって神である僕と銀時さんの番外編に移行……タイトルは『僕と先生のイケナイ夜』! 刮目して見るがいい……!!」
「お前の人生だって本物だったハズだろォォオォォォォォォォォォォ!!!!」
お楽しみにね!
予告のアレは番外編というの以外ウソですww
一度やってみたかったんですよねー(* ̄∇ ̄)