Angel Beats!~ちょ、俺まだ死んでないんだけどオオオオオオオオ!!~   作:日暮れ

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急いで書いたので結構適当な所多いです。

それでもよければどうぞ!


EPISODE.6 Family Affair
第十三訓


★―第一反省室―

 

 ここは反省室、と呼ばれる部屋らしい。

 

 校則違反をした生徒や今の生徒会長の直井文人に逆らった者がここに入れられ、反省を強いられる。

 

 目下私も反省中なわけなのだけど……これだと反省のための隔離というにはいささかやりすぎね。

 

 部屋の中にあるのはトイレとベッドのみ。食事も学食のよりすっとマズいし……早く帰ってパフェ食べたいな。

 

 そんなことを考えていると、ふいに入口からわずかに光が差してきた。

 

『仲村ゆり。反省終了だ、出ろ』

 

 直井文人のいいなりの一般生徒がぶっきらぼうにそう言った。私が終わりってことは他のみんなもそろそろ終わったみたいね。

 

 ……その予想に違わず、外に出るとイライラした面持ちのみんなに会うことができた。

 

「やっほ、あなたたち。元気にしてた?」

 

日向「元気なもんかよ! メシはマズいしトイレから悪臭漂ってたしおまけにそんな所に三日も入れられてたんだぜ!?」

 

藤巻「やっと解放された……シャバの空気サイコー!」

 

大山「藤巻くん刑務所から出てきたんじゃないんだから……」

 

TK「shakin'breakin'out」

 

 反省室から解放され三日ぶりに外に出て、みんなが激しく愚痴をこぼす。

 

 部屋には多少の差はあったみたいだけど、やっぱりみんなも同じような部屋にいたのね。

 

高松「天使を失墜させれば私たちの楽園となるのではなかったのですか? この学校は……」

 

 上半身裸でポージングをしながら高松くんが訪ねてくる。はてしなく変態ね。

 

「あなたみたいな変態を楽園に解き放ったらそれこそ終わりじゃないのよ。てゆうか早く上着て」

 

★―第一連絡橋下 通路―

 

日向「何なんだあの連中は……」

 

野田「今度来たら天使同様返り討ちにしてくれる!」

 

 いまだに憤りを晴らせない男連中がブツブツ言い続けている。全く、もう終わったからいいじゃないのよ。むかつくけど。

 

「物騒なこと言わないで。一般生徒だから駄目よ……にしても変ね」

 

 そう、むかつくけど私たちが監禁されたのはそんなに問題じゃない。ご飯を抜かれても毒を盛られても私たちは死ぬわけじゃないから。

 

 問題はこんなことをする一般生徒がいる、ということだ。

 

「私たちにこんな形で反省を強いる生徒なんていなかった……」

 

 少なくとも天使が生徒会長として存在していた今までは。

 

日向「天使が抑止力になってたんじゃないのか?」

 

 日向くんの意見もわからないでもない……でも何か引っかかる。

 

 そもそも、あんな半ば拷問のようなやり方で反省させるNPCなんて存在するの?

 

「……NPCの行いは基本的には私たちのなすべき模範。だけど、その感情は人間と同じもの。どんな偏屈な奴がいたって不思議じゃないってこと……?」

 

松下「つまり……行き過ぎた奴もいる、ということだな?」

 

高松「それがあの生徒会長代理……」

 

日向「返り討ちができない分天使よか厄介だぜ……」

 

 ……今の日向くんの言うとおりだ。天使は我々の敵、だから私たちは彼女と闘っている。

 

 けど私たちは一般生徒に手は出さない。だから会長代理に攻撃はできない――

 

 ……都合がよすぎる。いくらなんでもここまで――

 

松下「どうする? ゆりっぺ」

 

 松下くんが意見を求めてくる。

 

 そんなこと聞かれても困る。実際今は打つ手が無いのが現状。どうしようもない……これなら天使とドンパチやってた方がずっとスムーズに事が運んだわ。だが、何かが――

 

ユイ「色仕掛けいきますか☆」

 

 黙れ頭パーこちとら今真剣な考え事してんだよ!! と思ったが彼女のメンタルのために心で留めていてやろう。

 

日向「お前のどこに色気があるんだよ?」

 

 …………

 

ユイ「なっ……んだと見たことあんのか!?」

 

 ………………

 

日向「上着越しでもじゅーぶん分かるわ」

 

 ……………………

 

ユイ「うっ……揉んだことあんのかコラ!? 絶妙な柔らかさなんじゃーい!!」

 

「黙れコラパー子テメーのナイ乳の話なんか聞きたくねぇんだよ! 折角序盤はクールに行こうとしてんのに台無しだわ!! 日向テメーもイチャコラなら別んとこでやれ!!!」

 

 こっちが心の中で留めておいたら調子に乗りやがって!!

 

ユイ「ぐはっ!! ナイ…………」

 

日向「別にイチャコラしてねーよ!!」

 

 私の怒号を聞き日向くんとパーはそれぞれの反応を見せた。うーん愉快愉快。やっぱこっちのほうがしっくりくるわね♪

 

 そんな私たちの目の間に、一つの缶ジュースが置かれた。

 

 缶にはこう書かれていた……いちご牛乳、と。

 

 置いた本人は、私たちが見慣れた天然パーマをしている。目は死んだ魚の――ってもうこれ以上濁せないわね、バレバレだもん。

 

 うちの戦線の先生、坂田銀時が手すりに腰掛けるようにしていかにもダルそうに立っていた。

 

日向「てっめ銀さん一人だけ逃げやがって!!」

 

銀時「だーから前に言ったろーが! お前らと先生である俺とでは信用のされ方が違ぇのー」

 

 銀さんは私たちをあざけるようにそう言う。

 

 直井文人が私たちを連行したとき、一人だけやつらの手を逃れて反省室行きにならなかったんだ。こんな女の子まで甘んじて罰を受けてるってのに何なのよコイツ!!

 

銀時「ま、これが大人の器用な生き方ってやつ?」

 

日向「直井にコビ売りまくって逃がしてもらった大人が何を言うか」

 

「アレけっさくだったわねー。指紋が無くなんじゃないかってくらいに手揉みするアンタの必死さって言ったら! ぷぷぷ」

 

銀時「大人ってのはな? 時にプライドを捨てて相手に尻尾振らないといけなかったりもするんだよ」

 

藤巻「それが大人だってんなら俺は大人になんかなりたくねぇ。一生高校生のままでいるぜ」

 

大山「ドヤ顔の所悪いんだけど、僕らこのまま行くと一生高校生だよ?」

 

 先生が戻ってきたからかな……私たちの空気が少し軽くなる。さっきまでのピリピリしたような雰囲気はどこに行ったのかしら。いるのといないのとでこんなに戦線の雰囲気に影響が出るなんて……何なのよこの人。何かこの人と話してると調子でないし……

 

銀時「いやーお前らがいない三日間幸せだったわ。仕事はしなくていいわ肩こりがとれるわ女子に告白され」

 

「いっぺん死ねやゴラァァァァァァァァアアァァ!!」

 

銀時「俺が何をしグふっはぁああぁぁぁぁ!!!!!」

 

椎名「あさはかなり……」

 

★―対天使用作戦本部―

 

 俺はさっき殴られた頬を抑え、目の前にいる俺の顔をこんなにした奴にイヤみたっぷりな視線を向けながら話を聞く。

 

 ってて……ったく折角三日間幸せだったってーのに。厄介なやつらが戻ってきちまったな。

 

高松「で、これからの活動はどうしますか?」

 

 服を着て一見まともな人に見えそうな高松が仲村に尋ねた。なぜこの何か非常時っぽい状況で最初にその質問をしないんだ馬鹿か。

 

ゆり「同感ね」

 

「久し振りで悪いが人の心を読むなというかサラッと流してるがすげぇなお前!! なんでもできんのな!!」

 

ゆり「あら、ごめんなさい」

 

「………………」

 

 仲村バーカアーホ間抜けビッチ。

 

ゆり「聞こえてるわよこの万年無気力男が! そっ……それに私はまだしっ……したことないわよ!!!」

 

「っちょ仲村さん!? 何をするかと思えばよりにもよって自分の経験カミングアウト!? 女の子がそんなこと言っちゃいけません!」

 

ゆり「っとにかく!」

 

 まだ顔が赤いままの仲村は崩れた空気をリセットするかのように目の前の机をドンッッと叩く。

 

「ワンピー」

 

ゆり「黙れ。みんな、試しにちょっと動いてみましょう。……とりあえず、それぞれ好き勝手に授業を受けてみて」

 

 校長室にいる全員に聞こえるように大きな声でそう言う仲村。

 

 その理屈で言ったら俺は好き勝手に授業をすればいいんだな? ラッキー面倒事が一つ減った!

 

ゆり「あ、一般生徒の邪魔はあんまりしないように。……以上。解散」

 

 仲村がそう言うと戦線の連中は続々と校長室を出て行った。三日ぶりの学校を楽しみたいのか? ガキどもめ。

 

 さーってと、俺も厄介なことにならないうちに――

 

ゆり「先生! ちょっと待ちなさい」

 

 ……後ろを振り向くと――ってか振り向かんでもわかるか、この部屋にはもう俺と仲村しか残ってない。後ろで仲村が俺のことを呼び止めた。

 

 だーから早く帰りたかったのに……

 

「……何だよ、悪ぃがデートの誘いはまた今度な」

 

ゆり「別に誘ってなんか……って誘ったらデートしてくれるの!? ホントに!?」

 

 仲村が俺の一言に顔真っ赤にして身を乗り出して異常な食いつきを見せる。いちいち食いつくな冗談だよ。

 

ゆり「ってそうじゃなくて……コレ、あなたに持っておいてほしいの」

 

 そういって仲村がポケットから取り出したのは、いつも作戦で使ってるトランシーバーだった。これここじゃなかなか作れないもんなんじゃねーの……

 

「何で俺に? 言っとくがもしかしたら出ないかもだぞ? 居留守決め込むかもだぞ?」

 

ゆり「なんでもいいわよ。いいから持っておいて」

 

 俺は渋々仲村からトランシーバーを受け取り、懐にしまいこんだ。

 

ゆり「確かに渡したわよ……それじゃ」

 

「おう……あ。あと、仲村! 一つ忠告な」

 

 俺は校長室から出て行こうとする仲村を呼び止めた。そういや言っとかないといけないことがあったな……

 

ゆり「……何?」

 

「会長代理を探ろうとしてんなら、気をつけろよ?」

 

 仲村の表情が一瞬動く。やっぱ図星か。

 

 仲村は溜息を漏らし、少しバツの悪そうな笑みを浮かべながら再び俺に話しかけてくる。

 

ゆり「何よ、あなたの方こそ人の心読んでんじゃないわよ」

 

「俺がんなことできるように見えるか? それだけお前が分かりやすいだけだっての」

 

 それだけ言って俺は仲村を残し、校長室を後にする。

 

 最後に見た仲村の顔がちっとばっか嬉しそうだったのは、やっぱり気のせいじゃねーんだろーな……よっし、脳内保存完了っと。

 

 

 ――天使がもう動かない。夕べ、それは証明できた。

 

 ――残る問題は、生徒会長代理……撹乱しまくったらどう動く?

 

 ――厄介なヤツを引っ張り出してきちゃったわね。

 

★―学習棟A棟 教室―

 

 今、この教室には二種類の人間が存在していた。

 

 一つ目に該当する生徒は先生の話をしっかりと聞き、ノートをとったり問題を解いたり……中には眠ってる者もいるのだが、『授業を受けている』と解釈する分には何の問題もないだろう。

 

 二つ目の者は――

 

大山「…………!!」

 

 堂々と机の上にポテトチップスを出している彼のように、授業を受ける気がない者、だろう。

 

大山(すごいドキドキする……授業中にお菓子を食べるなんて!)

 

大山(い……いただきますっ!)

 

 ――パリッ。

 

大山(た、食べた……今! 食べた!!)

 

大山(僕授業中に堂々とお菓子食べちゃってるーなんて思い切ったことしちゃってるんだ!!)

 

 今現在、この少年のように授業を受ける気がない者はというと……

 

藤巻「通らばお入り……!!」

 

ひさ子「残念! リーチ、七対子……ドラドラ親満♪」

 

藤巻「なっ!? んだよくっそひさ子の一人ゆきじゃねぇかよ!!」

 

TK「Just wild heaven」

 

松下「女相手に何たる体たらく……!!」

 

 麻雀をしたり……

 

『うう………………』

 

『……………………』

 

野田「zzz……」

 

 他人の机の上で眠ったり…………

 

椎名「――――――――!」

 

 指先に定規やら箒やら鋏やらを乗せて落とさないようにしていたり……

 

高松「フン! フン! フン! フンン!!」

 

 床で黙々と腕立て伏せをしたり……

 

日向「バンッッ……違うな……パンっ! これだ!!」

 

 なぜかできもしない手合わせ錬成の練習をしたり……

 

ユイ「せんせートイレ!」

 

銀時「勝手に行けよ行ってもう戻ってくんな」

 

 一分ごとにトイレに行ったり……

 

銀時「ったく……いいかー? BLEACHの『何……だと!?』の数を計算する問題はテストに出るぞーノート取っとけー」

 

 先生ですらこんな有様だ。真剣に話を聞きノートを取っている生徒たちが可哀想に思えてくる。

 

ユイ「…………よっし、せんせートイレー!!」

 

銀時「勝手に行けって言ってるよねってかお前違う学年だろーが何でここにいんのおかしくない?」

 

 ………………58、59、一分。

 

ユイ「…………うむ。せんせートイレー!!!」

 

銀時「お前わざとだろ? ぜってーわざとだろ!?」

 

 …………………………一分。

 

ユイ「せんせートイ」

 

銀時「一生トイレに行けない体にしてやろーかアァァァァアアァァァァ!?」

 

 激しくブチギれた先生がピンク頭の生徒に掴みかかる。自分だって全力でふざけてただろうに。

 

 生徒たちの空気が一瞬凍りついたが、それとほぼ同時に教室のドアが勢いよく開けられる音が響く。

 

直井「そこまでだ貴様ら!」

 

 教室に生徒会長代理、直井文人が入ってきたのだ。

 

 教室を安心とも不安とも取れない矛盾した空気が包み込む。まじめに授業を受けている生徒にとってはこいつらを追っ払ってくれて清々する。がその反面、この生徒会長代理……かなり評判が悪いのだ。前生徒会長の立華奏よりずっと規則に厳しく、噂では校則違反すると監禁されるとも聞いたことがある。

 

日向「うお、来たな……直井文人サマが」

 

直井「他のクラスの先生から騒がしいと苦情があって来てみれば……また貴様らか。これはどういうことですか先生?」

 

 直井文人は先生に質問をする。先生相手だというのに控える様子は全く無く、これはむしろ見下しているようにも見えた。

 

銀時「あん? 勘違いだろなんにもねーよ」

 

ユイ「ぐ……ぐるじーぜんぜー!」

 

直井「女子生徒に掴みかかり今にも殴りそうな男が言うような台詞じゃありませんね。ある意味天晴れです」

 

銀時「褒めても何もでねーぞ」

 

直井「えぇそうですね。出たとしても大したものは期待できなさそうだ……おい」

 

 直井文人は一緒に連れてきた生徒に命令する。こいつらを連行しろ、と。

 

直井「先生……二度目はありませんよ?」

 

 直井文人に命令された生徒が先生を含む授業を妨害した生徒を捕まえにかかる。

 

藤巻「うおやっべ失せるぞ!!」

 

TK「I'll be back」

 

銀時「あーばよー! とっつぁーん!!」

 

 だが、これに捕まる彼らではないようで、まるで煙のようにすぐにどこかへと消えて行ってしまった。

 

 直井文人は黙ったまま黒板を見つめる。そんな直井を見て、彼の手下たちに言い知れぬ緊張感が走った。

 

 『捕まえろ』と言われて取り逃がしてしまったのだ。この人なら絶対に何か罰を与える。彼らはおびえながら直井文人の次の言葉を待った。

 

 しかし、当の直井本人から出た言葉は、それとは全く関係のないものだった。

 

直井「女子生徒に暴行を加え、その上授業放棄とは……もう逃げられませんよ? 先生……」

 

 直井文人は、まるで自分の思い通りになって嬉しい気持ちを隠したような、見た目だけとてもさわやかな笑みを浮かべた。

 

 彼以外、まだこの笑顔の裏の感情を知る者はいないだろう。

 

 

★―次回予告―

 

「はい、じゃー次回は――」

 

日向「待て待て待てい!! 俺の扱いヒドすぎんだろ! セリフ少ないしあれじゃ完全にただのイタイハガレンマニアじゃねぇか!」

 

「あーもうっせーな。今に始まったことじゃないだろ?」

 

日向「ついさっき始まったことだわ!!」

 

「はい、じゃー来週のAngel beats! FULLMETAL AHOCHEMISTは」

 

日向「違いますから! アホケミストって何だ!? 第十四訓、EPISODE.6 Family Affair その2だから!!」

 

「FULLMETAL AHOCHEMIST!!」

 

日向「アイキャッチ入れんな!!」

 

 お楽しみにね!




これからしばらく更新は休みます。

憎き夏休みの宿題と闘わねば……

九月に入ったらまた更新できると思います。

それでは(  ̄▽ ̄)ノシ

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