◇5 とある魔術と科学にお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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解決?

「さて、ところでだDTSビアージオ」

「なんだ?」

「刻限のロザリオ云々はどうするんだ?」

「……これも神の使命、私がやらねばならないことだ」

「ちなみに具体的に何をするのか教えてくれよ」

 

 珱嗄とビアージオはDTSとDTSでない者でありながら、何か奇妙な絆で繋がった。故に、敵でありながら戦闘を起こす気は両者の中には無かった。

 故に、DTSの話が終わった今、珱嗄達は本題に戻ることした。刻限のロザリオの作り方を珱嗄はビアージオから聞き、そして腕を組んだ。そして言う。

 

「お前、いたいけな少女を廃人にして、DTSを誇れるのか?」

 

 ビアージオは頭をがつんと殴られた様な気分だった。確かにそうだ、DTSとはある意味、女と接点があまりない者ともいえる。なのに、その少しの接点まで失ってしまう行動を取っては、DTSは誇れないだろう。

 まして、存在すれば自分の孫か娘程の年齢のアニェーゼの脳味噌を掻き回すなどと、まずは人間としてありえない。普通なら狂気の沙汰で警察に入り、死刑にされるような所業であり、男としては全世界的に失格な話だ。

 

 私は、こんな私を目指したのではない………!!

 

「悪い、目が覚めたぞ。お前の言う通り、DTSを誇る為にはこんなことをしていけないな……私は敬虔なる神の信徒ではあるが、DTSも同じ位信じている……どちらも筋を通すには、ここで神に背いたとしても……致し方ない!!」

「うむ、それでこそDTSだ」

 

 なんだこいつら、バカなのかと思う会話ではあるが、大丈夫、珱嗄もそう思っている。正直、DTSってなんだよと思いながらビアージオを見ていた。でも、なんか話が進むに連れて目の前の男の価値観を変化させてしまったらしいということは理解している。

 正直、このままDTSで押し切れるのならそれでいいか、という感じだ。

 

「貴様……名前は何といったか」

「珱嗄さんです」

「珱嗄……良い名前だな……貴様に頼みがある……このアドリア海の女王を……破壊してくれ」

「魔術を解けばいいじゃないか」

 

 押し切れちゃった!

 

 珱嗄は内心苦笑しながら、言うと、ビアージオは確かにそうだな……となんだか妙にすっきりした表情で笑う。コイツの中では何が起こっているんだ。ある意味奇跡の現象が起こっているのではないだろうか?

 

 すると、ビアージオは魔術を解除し、女王艦隊及びアドリア海の女王を自壊させる。

 アニェーゼやアニェーゼの率いていたシスターたちは全員海へと落ちたが、全員海面に顔を出し、無事だ。珱嗄がビアージオを含めて全員を助けたからだ。岸へと引き上げると、そこには唖然とした顔でいざ戦陣を切ろうとしていた天草式や上条当麻達がいたが、珱嗄はシスターたちを全員彼らに押し付けた。

 

「お前、何をしたんだ?」

「DTSを誇らせた」

「あっは、全然分かんねぇ!」

 

 代表して建宮斎字が聞いてくるものの、珱嗄はそう言うしかなかった。それ以外、やったことはないからだ。DTSを誇らせたらなんか丸く収まった、というのが今回の珱嗄の感想だ。女王艦隊は自壊し、アドリア海の女王もその強大な形を消した。広い海には静かな波と風の音だけが、響いていた。

 

「えーと……そいつが黒幕か?」

「ああ、DTS……ビアージオだ」

「ビアージオ=ブゾーニ、DTSを誇る者である」

「こいつも何言ってるかわからねぇ……」

「まぁとにかく何とかなったって事で良いじゃん? アニェーゼ無事、その他シスター達も無事、ね?」

「結果だけ見ればそうなってやがる……なんだこれ……すっげぇ納得いかねぇのよ……!」

 

 建宮斎字、及び天草式の面々は全員同じような微妙な表情を浮かべていた。必死になんとかしようと意気込んでいた所で、勝手に事態が解決したのだ、それもそうだろう。しかもその解決方法がなんだ?

 

 DTSを誇らせた。

 

 アホかと思う。DTSとはなんだと思うし、分かった所で大した事のない単語なのだろうという想像もつく、一種の洗脳術でも施したのかと思った方がよっぽど納得がいく。というか、そうであってほしいと思っていた。

 

「とにかく、これで一件落着。ビアージオはローマ正教に送り返せばいいし、アニェーゼ達はイギリス清教で匿ってやりゃ良いだろ。ぐちゃぐちゃ言うなよ」

「………はぁ分かった、とりあえずはそういうことにしといてやるよ……解決したのはアンタだしな」

「ありがとう、建宮君。今度段ボールで段ボール送るよ」

「いらねぇよ!! 果てしなくいらねぇもんでいらねぇもん包んで送ってくんじゃねぇよ!!」

 

 建宮はそう言いながらビアージオ達を連れてどこかへ去って行く。

 

「……珱嗄、ありがとう」

「ああ、頑張れよ……DTSを誇れ」

「ああ、DTSを誇れ、私の座右の銘にするよ」

 

 ビアージオはそう言って珱嗄に背を向け、去って行った。珱嗄はその背中を見て、無表情で遠い眼をした。なにがどうなってこうなったんだろうと考えていた。

 

 後に残ったのは、オルソラ、インデックス、上条当麻、珱嗄の四人のみ。およそ30分程前まで一緒に歩いていたメンバーであるが、30分程前までの和気藹々とした空気は、そこにはなかった。

 

 

 

 


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