◇5 とある魔術と科学にお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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こんな大覇星祭

 

 珱嗄side

 

 

 あの後、変態をコロコロして喫茶店に戻った所、感謝の品として今回のお代を全額無料にしてくれた。どうやら、この喫茶店は利益を求める物ではなく、ただのお楽しみとしてやっているらしい。まぁ、お嬢様達は普段の毎月振り込まれる奨学金で十分潤った生活を送っているのだ、今更お金を必要とはしていないのだろう。女子中学生にそこまで贅沢させるのはどうかと思うけれど。

 

 さて、そういうわけで無料となった食事代の件を知った島風沙耶ちゃんは、これでもかとばかりにシーザーサラダを喰らった。喰らい尽くした。お嬢様達がせかせかとシーザーサラダを運んでいるなか、味わいつつも早々とサラダを口に放り込む彼女の姿は、中々危機迫るモノがあった。

 結果的にはもう材料がありませんと言われて、ようやくストップが掛かったくらいだ。

 まぁ、中々満足したようで、島風ちゃんは上機嫌で席を立ったのだった。喫茶店を出る時、改めて頭を上品に下げて来たので、常盤台の女生徒達には苦笑しつつも手を軽くふっておいた。

 

「で、これからどうするんだ? あんなごちゃごちゃがあったからもう日も暮れるけど」

「あ……はい、門限があるので私達はこれで帰りますね」

「今何時だっけ?」

「16時45分だよ、沙耶ちゃん」

「や、やばっ、門限まであと15分じゃないっ!? 早く帰ろ、美紀ちゃっ………長峰ぇ!!」

 

 島風ちゃんのメッキが剥がれて来ている。慌てて美紀ちゃんの事を美紀ちゃんと呼ぼうとして、俺をチラ見しながら言い直した。にっこり笑っている美紀ちゃんが手の中で何かやった。

 

「ひゃうんっ……!!」

「うん、そうだね沙耶ちゃん。帰ろっか」

「う……ぅんっ……! か、かえるぅ……」

「それではお兄さん、また」

「おー程々にな」

 

 そう言って、ニコニコ笑う美紀ちゃんと足をプルプルと振るわせている島風ちゃんは、夕焼けの中去って行った。完全に上下関係が定まってしまっているな、アレは。女王様(笑)はやっぱり本物の女王には勝てなかったようだ。

 

「さて……俺もそろそろ帰るか。久々にアイテムの拠点に行こうかな?」

 

 俺はそう呟いて、あの幼き覇者達とは反対方向へと踵を返し、帰路に着くのだった。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 アイテムの拠点に戻ってきた時、そこにはフレンダちゃんだけが居た。ベッドの上でうつ伏せに寝っ転がり、黒いストッキングに包まれた自称脚線美である両足を、パタパタと動かしながら雑誌を読んでいる。服装は普段着より大分ラフな格好で、結構暇しているみたいだ。

 俺が入ってきた時、ちらっと此方を一瞥したが、直ぐに雑誌に視線を戻した。

 

「フレンダちゃんだけか?」

「そうよー……麦野は鮭弁買いに行ったし、絹旗と滝壺は簡単な任務に行ったからね……結局、私はこうして暇を持て余してるって訳よ」

「へぇ……大覇星祭でも回ってくればいいのに」

「それでもいいんだけどぉ……結局、動くのはかったるい訳よ」

「わはは、自慢の脚線美の崩壊は近いな」

「うぐっ……!」

 

 フレンダちゃんは俺の言葉に言葉を詰まらせていた。

 確かに、フレンダちゃんは外人の血を引いているのか小柄ながらも整ったスタイルをしている。サラサラで金糸の様な金髪や外人特有の白い肌、小柄であるからか胸はそう大きくは無いけれど、ささやかな膨らみが確かにある。ウエストが細いので、数字よりも大分大きく見えるだろう。そして、自慢するだけあるすらっと伸びた脚は綺麗なラインを描いている。容姿だけでいえば、同年代でも上位に位置する美少女といえるかもしれないな。

 

 でもまぁ、それも怠惰な生活を送ってれば直ぐに崩れる。女性のボディスタイルというのは崩れやすく、戻しにくい。呼吸一つとってもエネルギー消費の激しい男性に対して、エネルギーを体内に蓄えておける女性は食べ過ぎるだけで過分にエネルギーを溜めこんでしてしまうからね。

 太りにくい体質の女性っていうのはきっと、エネルギー消費が男性寄りな体質ということなのかもしれないね。

 

「そうそうフレンダちゃん、はいコレお土産」

「何それ?」

「たこ焼き、焼きそば、わたあめ、りんご飴、焼きとうもろこし、イカ焼き、フランクフルト、等々です」

「太らせる気満々じゃない!? というかどっから取りだした訳よ!?」

 

 とりあえず、島風ちゃん達と共に買いまわった商品をテーブルの上に置いた。結構時間が経っているが温度は買った時のままだ。ご都合主義って奴だね。

 

「食べないのか?」

「………………………食べる」

 

 フレンダちゃんはソースやかつお節の匂いに負けて、ぐぐぐと唸りながらたこ焼きに手を伸ばすのだった。

 

 

 

 






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