学園黙示録〜転生者はプロの傭兵   作:i-pod男

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一週間ぶりの投稿です。お待たせしました。今週は予想の斜め上を行く量の課題がありましたのでそれらを全てこなすのに時間を割く事になりました。(汗+泣)では、どうぞ。ショッピングセンター脱出はまだもう少し先になります。


目覚めた時には・・・・

「僕を嘗めるな!!」

 

久々に訪れた俺の安眠を妨げたのは叫び声だった。腕時計を確認すると、眠ってから数時間しか経過していない。今度は一体何を仕出かしやがったんだ?

 

「あ”あ”っ、畜生痛ぇ!!ああああああ、クソッ、クソッ!!」

 

「うるせえんだよさっきから!!ぎゃーぎゃー、ぎゃーぎゃー、ゴジラの真似でもしてえのか、てめえは、ああ?!」

 

装備を再び身に付けると、叫び声がした方に向かう。見ると、避難していた市民の一人が刺された腹を抑えて、陸に引き上げられたカジキマグロの様にバタバタと暴れ回っていた。痛いかもしれないが、あれだけ叫べて動き回れるなら、命に別状は無さそうだ。

 

「は、は・・・あはは、あははははははははははは!!!」

 

そいつを刺したらしいガキは刃に血がべっとりと付着した果物ナイフを片手にその場から逃走した。

 

「田島!回り込んであのガキを止めろ!」

 

「はいよ!」

 

さっきの奴みたいに田島もナイフで刺して突破しようとしたが、あいつは柔道四段、合気道三段の実力者だ。刃物を持ったチンピラ以下のガキ位直ぐにどうとでもなる。走っていたからそのまま足を払って躓かせると、手首を攻めてナイフを落とさせた。腹這いに押さえ付け、腕を捩じ上げたまま引き摺って連れ戻す。

 

「あっぶねえ・・・・・」

 

俺はそのガキの頭を思いっきりはたいた。

 

「ふざけんなよ、てめえ!何をしようとしていたかは知らないが、ナイフ一本だけであの数の<奴ら>に挑むなんて自殺行為だ。次にこんなふざけた真似してみろ、屋上から蹴り落とすぞ?」

 

めそめそと泣き始めるそいつを尻目に、俺は小室達が集まっている所に向かった。俺が寝ている間に考えは纏まったのかね?

 

「やっと起きたわね。まあ、私も田島も三十分前位に起きたばっかりなんだけど。」

 

リカは既に装備を身につけており、防弾ベストを丁度付けていた。

 

「久々にベッドで眠れたよ。」

 

欠伸混じりに田島がそう零した。

 

「それで?プランは練れたのか?」

 

「はい。行ける所までは自転車で行こうと思います。ハンヴィーが駄目になってしまったので・・・・」

 

ハンヴィーが駄目になったか・・・・移動手段もまた微妙に遅いんだか遅くないんだか良く分からない物を使うし。

 

「俺達はここまで乗って来たトラックがある。裏口に止めてあるからまずそれを取りに行かなきゃならないが。全員が乗るのは無理だし危険だろうが、荷物を積み込むだけのスペースはあるぞ。身軽になれば移動スピードも上がる。荷物を全部入れるとしたら・・・・静香、ありす、後はあの中岡とか言う婦警ぐらいだろうな。出発は?」

 

「明日です。もしさっき彼が非常口を開いていたら今すぐに出る事になったんですけど、助かりました。ありがとうございます。」

 

「気にするな。」

 

さてと、爆弾を作って性能テストをしなきゃな。

 

「平野。化学薬品の混合で爆弾を作る。やるか?」

 

「はいよろこんでー!」

 

「居酒屋じゃないのよ、デブちん!」

 

目を輝かせる平野を高城が蹴り飛ばす。

 

「あうんっ!」

 

変な声を出して吹っ飛んだ平野を連れて二階の非常口の扉を開けた。ボトルを開く。蒸留酒の芳醇な香りがする。バーボンだ。ラベルが正しければ、ハーパーの101と言う上物らしい。中々にレアな物なので一口飲んだ。熱い塊が食道から胃の中に落ちて行くのを感じ、ほぼその直後に酩酊が波の様に押し寄せた。

 

「おぅふ・・・・良いね。美味いぜ。」

 

悪酔いしない程度の量を飲むと、その瓶の中にリチウムの単四電池を二本とチューブに入った歯磨き粉を半分投入し、素早く瓶を締めると、二秒程激しく振った。すぐにそれを全力で投げた。回転して放物線を描く瓶は偶然<奴ら>の頭に命中して・・・・・・爆発しなかった。

 

「あれ?」

 

暫く間を置いてもまだ爆発しない。やはり歯磨き粉じゃ無理があったか?

 

「失敗、ですね・・・・」

 

「ちょっと待ってろ。」

 

アレでは、確か・・・・今度はウィスキーが入ったボトルに電池を投げ入れ、九ミリ弾一発分の火薬も投入した。再びそれを激しくシェイク、そして投擲。

 

「やっぱ駄目ですって、これj」

 

だが、平野の言葉とは裏腹に瓶は数秒の間を置いて爆発した。半径一メートル以内にいた<奴ら>も二体程ガラスの破片を頭に食らって無惨に吹き飛ばされた。平野は目を輝かせ、あんぐりと口を開けたまま突っ立っていた。

 

「よし、実験成功だ。後はこれにさっきよりも大量の火薬をぶち込みゃ更に威力は上がる。」

 

爆発の音に反応して<奴ら>が数体その方向に向かって行く。爆竹や癇癪玉も同じ効果があるから、これで検証は出来た。

 

「すげぇ〜・・・・どこでこんなの知ったんですか?」

 

「ん?『21 Jump Street』だ。」

 

「はい?」

 

知らないのは無理も無いか。元々『この世界』で放映していたかどうかも分からない。あったとしても別のタイトルで放映されていただろうし。

 

「いや、知らねえなら別に良い。兎に角アイディアはそこから取ったって事だ。実際に上手く行くかどうかは半信半疑だったんだが、モロトブよりは使えると思うぞ?まあ、その分銃弾が減るが。」

 

「でも、別の手段があるってだけでも十分ですよ。爆薬なら投げればその方向に<奴ら>を引きつけられますし。まあ、問題はガラスの瓶じゃ何にもならないって事ですけど。さっきは偶々当たったみたいな物ですから。」

 

「ああ。ところで、一つ聞きたい。」

 

色々あったから聞くのを忘れていた。

 

「お前は何故そこまで銃の扱いに馴れてる?海外の射撃ツアーを二、三度経験しただけとは思えないんだが。」

 

「あ、実は、ブラックウォーターで一ヶ月の間使い方を教えてもらってました。こんな風に役に立つ日が来るなんて想像もしませんでしたけど。」

 

ブラックウォーター。旧名Xe Services LLC。1997年にSEALs所属の退役した軍人が設立した、俺が勤めていた様な民間軍事会社か。軍事サービスのみならず訓練サービスも提供する・・・・・成る程、レクチャーしたのは現役の傭兵か。道理で動き方が『学校臭くない』訳だ。同じ穴の狢とまでは行かなくても、ほぼ『同類』にして『同格』と見なしても問題は無さそうか。

 

「ぅし、遊びは終わりだ。戻って小室達に伝えろ。明日に出発するのは別に構わないが、やるのは早朝。夜明けと共に、ここを出る。後、遅れたら全員揃ってなくても置き去りにして行くとな。」

 


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