ーInfinite Stratosー~Fill me your colors~   作:ecm

15 / 54

今更かもしれませんが、通算UA1万越え&お気に入り登録者数197人
ありがとうございますm(_ _)m
まだまだ拙い文ではありますが、全力で完結まで書き続ける所存です
これからもお付き合い頂ければ幸いです
それでは、本編をどうぞ


第十一話:宣言

 

――早朝6時――

 

いつもの時間帯に私は目を覚ました。

 

「……目覚めは微妙だな」

 

昨日の一件で私は逃げるように簪の前から去ってしまった。

 

あぁ、思い出せば思い出す程自分を殴りたくなる。

 

本当に想定外だったのだ、私が無意識で言ってまった言葉は。

 

(……考えるのを止めるか)

 

そうしよう、そう思い立って起き上がる。

 

「むにゃむにゃ……」

 

そしてチラリと視線を送ると、私の葛藤を余所にのほほんさんは幸せそうに眠っていた。

 

そして暫く時間が経ち、私は朝の支度を済ませた。

 

だが、のほほんさんの方を見てみると相変わずた寝たままだった。

 

「すぅ……すぅ……」

 

ふむ、本当に幸せそうに寝ているな。

 

だがな、と呟きながら私は一息入れて、何時もの様に布団を巻き上げる。

 

「今日も目覚めの良い朝だなっ」

「うにゃぁ!?」

 

のほほんさんは奇妙な悲鳴を上げて飛び起きた。

 

「おはよう、のほほんさん」

 

――はぁ……

 

そこ、溜息をつくな。

 

「……うぅ、おはよ~」

「さぁ、支度を済ませてくるといい、食堂に行くぞ」

「わかった~」

 

私の指示に従い、トテトテとのほほんさんは洗面所に向かっていった。

 

 

 

 

現在私達は食堂に向かう為に廊下を歩いている。

 

「あまっち~」

「なんだ?」

「もう少しまともな起こし方はないの~?」

「無いな」

 

寝起きの悪い者にはこれぐらいが丁度いい。断言しよう。

 

――そこで断言出来る貴方は一体何を根拠に言ってるのです

 

(孤児院での経験からだ)

 

あの頃は起こすのに苦労した奴が居たのでな。

 

――……さらりと重い発言をしないで下さい。発言に困ります

 

(気にするな、触れて欲しくない部分は言ってない)

 

――さいですか

 

「そこをなんとか~」

「しないな。残念無念また来年、だ」

「えぇ~って一年は長すぎだよぉ~」

 

のほほんさんは不満あり、と言った表情である。

まぁ、そうは言っても、何れは一夏と同室になるのだろうがな。

 

「君の寝起きを改善すれば良い話だ」

「うぅ……無理だよぉ~」

「泣き言を言うな」

「むぅ……あ、かんちゃんだ~」

 

そんな事を言いながらほほんさんは私を置いて曲がり角を曲がって行った。恐く、すぐそこに簪が居るのだろう、話し声が聞こえてきた。

 

「……行くか」

 

気まずいままでは後々支障をきたす。ならば、私から務めて普段通りに接しよう。

 

そう思って私は少しだけ歩みを早め、曲がり角を曲がった。そして曲がり切ると簪と目が合った。……正確には前髪越しに目が合った、ではあるがな。

 

――難儀なものですね

 

(そう、だろうか)

 

まぁ、今はどうでも良いことだが。

 

「あ……」

「おはよう」

「……おはよ」

 

簪は挨拶を返すと直ぐ視線を逸してしまった。

 

「ほぇ?」

 

その様子をのほほんさんは疑問符を浮かべていた。

 

……このままでは色々と面倒な事になる。

 

「さぁ、さっさと行くぞ」

 

私はそう言って先に進む事にした。

 

「あぁ~あまっち待ってぇ~」

「……待って」

 

先に歩いているが故に、後ろの様子は解らないが、二人分の足音が聞こえてるので恐く簪もついてきているのだろう。そして暫く歩くと食堂についた。

 

「あまっちーいきなりどうしたのー?」

「特に何も。強いて言えば朝食の時間が減るのは避けたい、と言ったところか」

 

のほほんさんの疑問に対し、私は最もらしい建前を口にする。

 

無論、それだけではないのだが、言うのははばかれる。

 

「さぁ、さっさと選んでしまおう」

「むぅ~~わかった~」

 

のほほんさんは納得がいっていない様子だが、私の言う事も一理ある、と判断したのか、渋々と食券を選び始めた。

 

 

 

 

「それで……はむっ……んぐ、何があったの?はむっ……」

「食べながら話すな」

「……お粗末」

 

のほほんさんが食べながら話してきたので、思わず突っ込んでしまう。

 

「むぅ……だったら~」

 

そう言ってのほほんさんは次々と朝食を口の中に放り込み始めた。そして口一杯にはいったそれを必死に咀嚼していた。

 

「……リスみたい」

 

簪が一言漏らす。

 

あぁ、私もリスないしハムスターに見えたよ。

 

そして、しばらく時間が経つと彼女の朝食が皿から消えた。

 

「っんぐ!?ん~!ん~!」

 

……どうやら最後の最後で喉に詰まったらしい。必死に水を探していた。

 

「……咖啡だが、飲むか?」

 

そう言って差し出してみると、のほほんさんは普段のおっとりとした行動からは見れないような俊敏さを見せて私から咖啡を奪い、一気に飲み始めた。

 

「今更だが一応言っておこう。それはブラックだ」

「……それは最初に言ってよぉ~~」

 

苦い物は余り好きではないのだろうか、凄く苦そうな表情を浮かべていた。

 

――貴方は鬼ですか

 

(こればっかりは断固否定させてもらう。飲み物を用意していないのが悪い)

 

――いやまぁ、そうなんですけどね

 

「君が急いで食べるから悪い」

「私も、そう思う」

「うぅ……にがいぃ~」

 

のほほんさんは暫くの間、舌をだして苦い苦いと呟いていた。

 

「まぁ、良いか」

「良くないよう~」

「そうか」

 

私はのほほんさんの言葉を流して残りの朝食を食べきった。

 

「それでー何があったのー?」

 

暫くしてのほほんさんは苦みから解放された様で、私達に尋ねてきた。

 

「特に何もないぞ」

「……うん」

「じゃぁ何でかんちゃんはあまっちを見ようとしないの?」

「そ、それは……」

 

そう言ってチラッと私の方を見て、そして直ぐに逸してしまった。今度は顔を赤くして、である。それでは何かあるのだと言っている様なものだ。

 

「……あまっちぃ~?」

 

のほほんさんはジト目で私の方を見てきた。

 

……拙い。非常に拙い。

 

――プランD、所謂ピンチですね

 

勝手に逆流してろ。

 

「悪いが、黙秘権を行使させてもらう」

「むぅ~~~~」

 

そう言うとのほほんさんは非常に不機嫌そうにしていた。

 

「ほ、本音?」

「ぶー、だ」

 

……どうやら相当ご立腹らしい。

 

「……どうすれば良いのだ」

「私だけ仲間外れは嫌だよ~」

 

そうは言ってもな……余り言いたくないのが本音だ。

 

「ど、どうすればいいのかな?」

 

羞恥心よりものほほんさんの機嫌を直す方が重要とみた簪が声を潜めて話しかけてきた。

 

「こればかりはな……」

 

私はそう答えるが、この会話の仕方がいけなかった。

 

「また二人だけの世界だぁ~~~!!」

 

そう言ってのほほんさんは席を立って何処かへ行ってしまった。

 

「……簪さん」

「な、何?」

「今までこういったことは?」

「……ないよ」

 

どうしたものか……ふむ。

 

――屋上に連れ出してみては?

 

(何をする気だ?)

 

――いえ、事情は話せなくても、要は彼女を除け者にしなければ良いのでしょう?と言うか、私が何かするんじゃなくて貴方がするんですけど

 

(まぁ、そうだな)

 

――ならお昼に屋上へ連れ出しましょう。それで3人で一杯会話をすれば良いだけです。何一つ抜け目はありません。簡単でしょう?

 

(そんなものか?)

 

――そんなもんです。一人ぼっちと言うのは寂しいもんですよ?

 

(……そうか。いや、そうだな。解った)

 

取り敢えず、一旦古鷹との会話を打ち切り、簪に話しかける。

 

「取り敢えず、昼は屋上に来てくれないだろうか?」

「どうして?」

「のほほんさんに事情を話すかどうかは置いといて、取り敢えずは機嫌を直してもらう」

「来てくれるかな……?」

「俺が連れ出す。良いだろうか?」

「……解った」

 

簪はこくりと頷いて同意してくれた。

 

「ではお昼に。後、昼食の方は俺が前に買っておいたモノを持ってくるから君は何も用意してなくてもいい」

「……解った。じゃあ、ね」

「あぁ、ではまた後で」

 

そう言って私はのほほんさんと自分の食器を片付け、食堂を後にした。

 

――そういえばMs.簪と普通に話せていましたね

 

(……そういえばそうだな)

 

まぁ、今は気まずさよりも重要な事があるからな。

 

 

 

 

――お昼前の授業中――

 

さて、結論から言おうか。まだ誘えていない。

 

取り敢えず話し掛けては見たのだが、事あるごとに顔を背けられたり、トイレに行く等と言ってSHR、各授業の10分休憩の時間に誘う事ができず、とうとうお昼休みになろうとしていた。

 

――どうしましょ?

 

(それは私の台詞だ)

 

――いやまぁ、ねぇ?

 

(なんだそのねぇ?は)

 

偶にコイツは含みを持たせてくるから困る。

 

――いえいえこっちの話です……かくなる上は強硬手段ですよ旦那ぁ

 

(強硬手段?)

 

――えぇ、このまま行けばMs.本音の不機嫌さは加速するばかり。ならどうするべきか?答えは至って単純。無理やり連れ出すのです!

 

(何故そうなるのだ……)

 

――では、このままで良いと?

 

(それは困る)

 

――そうであればこそ、このまま手をこまねいているよりかはマシなはずです

 

(……むぅ)

 

私は悩む。

 

――私に良い考えがあります

 

(……聞こうか)

 

思いつかない以上、コイツに頼るしかないだろう。

 

――えぇ、先ずですね……

 

私は残りの時間を使って古鷹の提案を聞くのに集中した。

 

 

 

 

ところ変わって本音視点

 

(うぅ……嫌われちゃったかなぁ)

 

私はかんちゃんとあまっちがいい雰囲気なのを見てしまって思わず嫉妬してしまった。嫉妬しただけなら未だしも、一方的に拗ねて逃げてしまった。

 

そんな私を見て彼はどう思ったのだろう?良く、解らない。それに、SHRや休み時間にも話し掛けて来てくれたが、それを私は突っ撥ねてしまった。

 

(嫌われたくないよぉ……)

 

恋敵が現れるのは見越していたのに、それなのに醜く嫉妬してしまった。そしてつまらない意地を張ってしまった。

 

思考が混乱してしまう。

 

嫌われたくない。

 

もっと私を見て欲しい。

 

でも素直にそう言えない。

 

彼ともっと楽しく過ごしたい。

 

彼と他の皆でもっと楽しく過ごしたい。

 

でも彼が他の人と楽しくしているのは妬ける。

 

(……どうすればいいんだろう)

 

解らない。

 

解らない。

 

(うぅ……)

 

悩み多き少女は4時間目を悶々と過ごした。

 

 

 

 

さぁ、4時間目が終了した。遂にお昼の時間である。

 

 

私は以前買っておいた菓子パン等が入った鞄を下げ、のほほんさんの所へ向かう。

 

「のほほんさん」

「……」

 

相変わらず反応が無い……少し、困るな。

 

「……本音」

「ふぇ?」

 

いきなり名前で呼ばれた事に彼女は驚き、そして私の方を振り向いた。

 

「行くぞ」

「わわっ!?」

 

振り向いた彼女に対し、私はその手を取り、教室から連れ出す。

 

出るまでにクラスメイト達が驚いた様な表情をしていたが、まぁ気にしない。

 

そして暫く、手を取って歩き、人目のないとこまで行く。

 

――やりますよ?

 

(やるしか、ないのか)

 

――覚悟を決めて下さい

 

(……わかった)

 

私が古鷹と話し合い、決めた手段。それは――

 

「あ、あまっちどうし―――」

「すまん、罵りは後で聞こう」

「ほえ?……きゃっ」

 

私は彼女を片手で背中から腋の下に腕を回して支える。そしてもう片方の手で、腰または両足のひかがみの辺りを裏側から抱える。

 

所謂横抱きである。俗称は――――――――

 

――お姫様抱っこキタ━(゚∀゚)━!!

 

(喧しいっ!!)

 

そして顔文字を私のイメージに送りつけるな!

 

「はわわわわっ!?」

 

のほほんさんは、突然横抱きされたことに頭の理解が追いついてないようだ。

 

丁度いい、このまま屋上まで一気に行かせてもらおう。

 

そう思い、誰にも見つからないように全速力で駆け抜けた・

 

 

 

 

――屋上――

 

結果から言えば屋上にたどり着くまでに誰にも見つからずに済んだ。

 

だが、私はもうクタクタである。

 

(……本当にこれしかなかったのか?)

 

――えぇそうですとも

 

(これでダメだったら貴様を折る)

 

――いや、だから大丈夫ですって

 

(その変わり、私の安寧は失われた)

 

――それは尊い犠牲であイタタタタッ!?!?

 

(ほう、どういう原理かが知らんが痛みは感じるようだな)

 

――一体何を……

 

(なに、体罰を行使可能かどうかを確認しただけだ)

 

――おうふ……

 

「……疲れてる様に見えるけど、どうしたの?」

 

どうやら簪が約束通り屋上に来た様だ。

 

「……お昼まで無視をされてしまってな。仕方なく強硬手段に出てしまった」

 

疲れているのはその代償だ、と私は言う。

 

「強硬手段?」

「あぁ、のほほんさんを横抱きにして、な。お陰で疲れた」

「お、お姫様抱っこ……」

 

まぁ、横抱きは色々と恥ずかしいからな。

 

――なんで貴方は横抱きに拘るんですかねぇ?素直にお姫様抱っこと言えば良いのでは?

 

(だが断る)

 

――左様ですか

 

「反省も後悔もしている。だが、この方法しか思いつかなかった」

 

正確には思いついたのは古鷹、ではあるが。

 

――実行したのは貴方ですけどね

 

(解っている)

 

「あぅあぅ……」

 

私はそう言ってチラリ、と視線をのほほんさんに向けると、未だ混乱していた。

 

「……意外に節操なし?」

「聞き捨てならない台詞を聞いた様な気がするな」

「気のせい、だよ」

「なら、良いのだが」

 

――意外にぼくねイダダダダ!?!?!

 

取り敢えず古鷹を黙らせる。

 

「のほほんさん」

「な、何~?」

「どうして、避けた?」

「……」

 

彼女は黙っていた。私は言葉を続ける

 

「確かに君を除け者にしたかもしれない」

 

だが、と続けて

 

「意図した事では無いのは理解して欲しい」

「……じゃぁ、何で教えてくれないの?」

「どう、説明しようか」

「……私に、任せて欲しい」

 

私が悩んでいると、簪かエスケープを出してくれた。

 

「……頼めるか?」

「うん……その代わり、少し席を外して欲しい」

「わかった」

 

私は簪の提案を受け入れ、一度この場から去った。

 

 

 

 

椿が去ったのを確認した簪は本音の方へ振り向いた。

 

「本音」

「かんちゃん……」

「昨日合った事、全部教える」

 

簪は語り始めた、昨日別れた後、彼が広間に居たことを

 

自分がアセンブルに悩んでいたことを

 

自分の趣味を話した事を

 

そして彼が言った一言を

 

「私はとても嬉しかった」

 

簪は頬に熱を感じながら続ける。

 

「『君のヒーローだ』って言ってくれて」

 

本音はそれを黙って聞いていた。

 

「私は胸の高鳴りが止まらなかった。今も、あの人を見れば胸が高鳴る」

 

簪は其処で一息を付いた。

 

「寝るまでの間、起きてから、そして授業中もこの胸が高鳴りが何なのかが気になったけど、漸く解った気がする。ううん、本音の様子を見て、解った」

 

私は――

 

「あの人の事が、好き」

 

簪は言い切った。

 

「本音は、好き?」

「……うん」

「じゃぁ本音は私の一番の親友で、恋敵だね」

「うん、かんちゃんは私の一番の親友で、恋敵」

「負けないよ?」

「私だって負けないよ~」

 

本音は以前の雰囲気を取り戻した。

 

「けどねー」

「どうしたの?」

「うん、何であまっちは名前で呼んだり呼ばなかったりするんだろ?」

「そう言えば私も呼び捨てにされたりされなかったりする」

「でも聞こうとするとはぐらかされるんだよねぇ~」

「そう、だね」

 

本音と簪はその事に疑問を抱いていた。

 

「今聞けば答えてくれるかな~?」

「……多分、はぐらかされると思う」

 

椿は状況を不利と見るとはぐらかし、そして逃げる癖があった。主に一夏弄りで。恐く、今回も取って付けた理由をだしてはぐらかしてくるだろう。

 

「う~ん……あっそうだ!」

「どうしたの?」

「今度ねぇ~オリムーの記念パーティーがあるんだ~」

「記念パーティー?」

「うん、オリムーのクラス代表決定記念パーティーだよ~

「そう、なんだ」

「それでね、その後で聞けばいいんだよ~」

「解った」

 

簪は本音の提案に頷いた。

 

「じゃぁ、そろそろ呼びに行こう?」

「わかった~」

 

二人は揃って椿の元へ向かっていった。

 

 

 

 

私は現在、階段に座って、彼女達の会話が終わるのを待っている。

 

――さてさて、どう転びますかねぇ?

 

(知らん)

 

――希望的観測は?

 

(するつもりは無い)

 

捕らぬ狸の皮算用は御免被る。

 

――何ともつまらない回答ですね

 

(抜かせ、私は堅実なだけだ)

 

――そうですかね?随分と博打をしてる様にも見受けられますが

 

(それは大体お前のせいだろう)

 

――貴方がしでかしたこともありますが?それもつい最近

 

(……不可抗力だ)

 

――まぁ、今回はそういう事にしておきましょう。さぁ、彼女達が来ますよ

 

古鷹に言われて耳を澄ますと、足音が二人分聞こえてきた。

 

「あまっち~」

 

そして二人が駆け寄ってきた。

 

「簪さん」

「大丈夫、ちゃんと説明した」

 

そうか、それは良かった。

 

――そうですねぇ

 

「なら、後は昼食にしよう」

「そう言えばあまっちは色々と冷蔵庫に入れてたよね~」

「あぁ。だが、偶に君は勝手に食べていたよな?」

 

主に菓子パンを。

 

「さ、さぁ何のことかわかんないなぁ~?」

「言い訳しない」

「あうっ」

 

のほほんさんはひゅ~ひゅ~と口笛を吹いていたが、取り敢えず頭に軽く手刀を喰らわせた。

 

「ごめんさい~」

「それでよろしい。では行こうか」

「うん!」

「解った」

 

その後、3人で会話を交えながら昼休みを過ごした。

 

 

 

――???――

 

薄い霧が立ち込める中、とある男女が会話をしていた。

 

「――という事ですが、どう思います?」

「んーとねっ、それはその人のじごーじとくだと思うの!」

 

少女は男が言った何かに同意した。

 

「いやはや、私は”彼”を見ているととてももどかしいですよ」

「アハハっ、なんかおじいちゃんみたいだね」

「失礼ですねぇ、貴方は」

「ホントのことだもーん」

 

――アハハッ

 

――フフッ

 

少女は屈託のない笑顔で、男は少し困り顔で笑い合う。

 

「まぁ、何れにせよ、”彼”と貴方が出会うのは近いかもしれませんね」

「それは楽しみ!」

 

少女は彼、と呼ばれた人物に会えるのを嬉しそうにしていた。

 

「おやおや、”彼”は人気者ですねぇ、少し妬けます」

 

男はしみじみ呟く。

 

「フツーは人気がでてもおかしくないよ」

「そうですかねぇ?」

「そうだよ!」

 

少女は断言した。一体何を根拠にそう判断したのだろうか。

 

「根拠は?」

「お兄様の話だと、すごく優しくて、いい人だから!」

「本当に嫉妬しますねぇ」

「お兄様も十分人気があると思うよ!」

「思う、では若干傷つきますよ」

 

お兄様、と呼ばれた男は少しだけ不満顔をした。

 

「文句が多い!」

「はいはい、そうですかそうですかっと」

「返事は100回でいいんだよ!」

「会話より長い返事ってどうなんですかねぇ?」

「アハハっ!気にしない気にしない!」

「全く……」

 

男は少しだけ疲れた表情を浮かべた。

 

「ねぇねぇお兄様」

「なんです?」

「もっと、色んなこと教えて欲しいな!」

「勿論ですよ、時間ならたっぷりあります」

「お兄様のお話は面白いから楽しみ!」

「それは嬉しいですね――っと、その前にレイディ」

「なぁに?」

 

レイディと呼ばれた少女は疑問符を浮かべながら首を傾げる。

 

「聞いて起きたかったのですが、貴方は”彼女”をどう思っています?」

「お姉様の事?」

「私達の、ではありませんよ?」

 

どうやら彼らには姉がいるらしい。

 

「ん~、とってもいい人だよ!」

「気に入りましたか?」

「うん!」

「それは良かった。では、ここからは私が見聞きしたちょっとだけ面白いお話をしましょう」

「わくわく!」

 

レイディは男の話に期待していた。

 

「さて、つい先日の事なんですが―――――――」

 

そして其処から先は男の語る声と少女の笑い声が辺に響いた。




どうだったでしょうか?
次回もお楽しみにしていただければ幸いです

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。