何かあったら感想に書き込んでくれるとありがたいです。
それでは本編をどうぞ。
とりあえず任務の為に、ちょっとした新装備を取り付けたOガンダムに乗って、地球に降下中です。
それにしても流石GN粒子。ちょっとフィールド張っただけで大気圏突入したのに、本体は何とも無いぜ!
『浮かれている場合か。予定されていたポイントまでは、残り2㎞をきったぞ』
そう此方に語りかけてきたのは、グラーべ・ヴィオレント。
現時点で俺が知るイノベイドの中では、師匠を除いて最もMSの操縦技術が高い人だ。
彼の強さは並ではなく、あんだけ地獄の訓練をした俺でも、彼との模擬戦の勝率は4割程度である。
とにかく正確な動きをするため、遠距離~中距離の戦いでは殆ど隙を見出すことが出来ない。
閑話休題
『あ、本当だ。それじゃグラーべさん。援護頼みます』
そう言って近くの岩場に機体を着陸させた俺は、ステルスモードを発動して、Oガンダムを外界から認識できないように隠した。
近くに、黒く塗装されたサダルスードに乗ったグラーべさんも降りてきて、同じ様にステルスモードになる。
今回実働部隊である戦艦“プトレマイオス”――――通称トレミーのメンバーに提示されたミッションは、この付近にある建設中のユニオンの基地を襲撃する事だった。
…とは言っても精々実戦テスト扱いの内容な為、この基地に配備されている機体はその殆どがリアルドであり、ハッキリ言ってガンダムを相手にするには役不足間が否めない。
むしろこのミッションの目的は、マイスターの皆さんに実戦での感覚を体験してもらおうっていう感じがするんだが、そこらへんどうなのだろうか?
一応フラッグが三機ほど配備されているらしいが……まあ、よっぽど油断しない限りはやられたりしないだろう。
「…なんか俺の出番無さそうだな……」
『その点については我慢しろ。第一お前の存在は本来、俺達以外には知られてはいけないのだぞ?』
「いや、それは分かっちゃいるんですけど…なんか、こう、ね」
…そう。そうなのである。実は俺の存在は師匠達以外で知っている人間は、ほぼ0に近い。
監視者の人達ですら俺のことを知らない、と言うのだから驚きもんである。
その理由は俺も分かってはいない。
なんでも師匠が言うには「君は計画を根底から破錠させる可能性がある」とのこと。
…おれ、そんな能力も権力も持っていないのですが…
と、そう俺が思い返していた時、
『…始まったぞ。十時の方向だ』
そう、グラーべさんから通信が入った。
慌てて十時の方向を望遠モニターで見やると、確かに若干攻防による爆風の様なものが見える。
『どうやらデュナメスとエクシアが先行して部隊を撹乱。その後サキエルが合流して基地を殲滅するというミッションプランのようだな』
サダルスードが回収したデータを元に、グラーべさんはそう推測した。
これが俺が師匠に言った条件、サダルスードを援護に持って来させるという事の理由である。
サダルスードは元々狙撃タイプのガンダムであるデュナメスのプロトタイプに当たる機体であり、同時に索敵能力がかなり強化されている。そのため、今回のようにかなり離れていても、かなりの情報が収集できる。
それにしても、
「サキエル、ねえ…」
と言いながら、俺は今回のミッションに参加するガンダムの中の一機のことを思い返していた。
ガンダムサキエル。
他の四機のガンダムが、近接格闘、狙撃または射撃戦、飛行形態による高機動戦闘、大火力の火器による殲滅にそれぞれ特化している中、このガンダムだけは武装の変更により、どんな戦法でも取れるオールラウンダー型だ。
一応他のガンダムと同じく、専用武器としてGNビーム薙刀と、シールドと兼用のGNアローという武器を装備することにはなっているが、それ以外の武器はビームライフルとビームサーベルだけと結構シンプルだ。つーか薙刀に至っては、最早ネタ武器でしかないような気がするし、GNアローに至ってはまだ開発中らしい。
…計画の発動までに間に合うんだろうか?GNアロー?
と、目の前の戦場に動きがあった。
どうやらグラーべさんの予想は当たったようである。
実際、見ていたから分かるがあの後直ぐに赤と白の機体が戦闘に参加したのが分かった。
が。
「…う~ん……遠すぎてよく分からないぞ……?」
流石に戦場から離れ過ぎていた為か、基本的な能力しか持たないOガンダムでは本当に薄っすらとしか確認できない。
流石にこのまま此処に居ても意味が無いと判断して、近くによって行く事にした。
「グラーべさん。ちょっと此処からじゃよく見えないので、ギリギリのラインまで近づいてみます。なので万が一の場合は援護頼みます」
そう言ってOガンダムを戦場へ近づけていく。
グラーべさんが何か言おうとしていたが、私は何も見なかった事にして、ズンズンと近づいていく。
…ごめんなさいグラーべさん。後で何か奢りますから。
「おおお……こりゃ凄いな。実働部隊の名前は伊達じゃない…ってか?」
辿り着いたところで見た光景。
それは一種地獄絵図の様相を呈していた。
地面にはビームで身体の一部を抉られたリアルドが、死屍累々と横たわっており、一部の機体は何か鋭利な刃物で切られたかのように真っ二つになっている。
と、Oガンダムの頭上を通り過ぎる影が三つ。
その後姿から、おそらくこの基地に配備されていたフラッグだろう。
三機のフラッグはそのまま此方に気付かずに、少し離れたところに居る3機のガンダムへと向かっていった。
(…まあ、あれだけの腕があれば、高々フラッグ三機には早々やられたりしないだろう)
そう考えた俺は、Oガンダムの踵を返してさっきの所へ戻ろうとした。
が、次の瞬間、
ギャキィッ!!
と言う音が聞こえて、思わず振り返った。
其処では、何故か3機の内の一体の赤と白の機体―――確かサキエル、とか言ったっけ?―――がさっき見た三機のフラッグの内の一体と取っ組み合っており、動きを止められている。
さらにその後ろからはもう一機のフラッグがソニックブレイドを構えて、サキエルを串刺しにせんと突っ込んで行っていた。
エクシアとデュナメスに目を向けるも、残っていた他のリアルドに足止めされていて、とてもじゃないが援護は望めなさそうだ。
(…チッ!ああもう!!)
そう心の中で悪態を吐きながら、頭から追加装備の外套を被ったOガンダムの右手に持たせたビームピストルから光弾を発射して、突っ込もうとしていたフラッグの腕を、両方とも吹き飛ばす。
「すみませんグラーべさん!!万が一の事態が起こってしまったので、出来るだけ援護頼みます!!!」
突然のことに呆気に取られる三機を睨みながら、グラーべさんに通信を入れつつ、俺はOガンダムを其処に突っ込ませた。
「くっ!この…離せっ!」
慢心していた!
私はそう心の中で呟いた。
今回のミッションは、元々、このガンダムサキエルの最後の実戦テストとして実行されたものだった。
そのため、標的となった基地も、建設途中の戦力のあまり無い此処が選ばれていた。
それに配備されているのは殆どリアルドだけだったので、ガンダムであれば大丈夫、という根拠不明の自信があったというのもこんな事態に陥った原因かもしれない。
何とかしてフラッグの拘束から逃れようとするも、上手く腕を絡ませてきて、中々振り解けない。
(如何にかしなければ……!)
私がそう思った時だった。
突如として、サキエルのレーダーが背後から此方へと近づく何かを捉えた。
「今度は一体何…フラッグだと!?基地に配備されてた奴か!?」
しかも相手はソニックブレイドを構えて、此方を串刺しにせんと突撃してくるではないか!
他の二人―――刹那とロックオンを見るも、二人とも他の機体に足止めを食らっており、援護は期待できそうもない。
その間にもフラッグは此方へと迫ってきている。
何とかして拘束を外そうともがくが、一向に外れる様子は無い。
そうしている内に、背後のフラッグはもうあと少しという所まで来ていた。
―――…これまでか…
そう思い目を閉じる。
そもそもあの日家族が皆殺しにされた日から此処まで生き残ってこれたのが僥倖だったのだ。
今此処で殺られても、悔いはない。
(…いや、有るか)
自意識過剰かもしれないが、ここで私が殺られれば、少しとはいえ、やっと心を開いてくれた刹那やフェルト達に少なからずショックを与えてしまうかもしれない。
(…刹那、フェルト、ロックオン、ティエリア、アレルヤ……はまあいいか。(酷いよ!?)今何か聞こえたが無視して、クリス、リヒティ、スメラギさん、ラッセ、イアンさん、モレノさん…)
「みんな…ゴメン…」
そう言って私は目を閉じる。
…しかし何時まで経っても来るべき筈の痛みと衝撃が来ない。
怪訝に思って目を開けると其処には―――
私の身体に突き立てられる筈のソニックブレイドを持っていたフラッグの手が、
ピンク色の閃光に吹き飛ばされている光景だった。
(まさか此方の増援!?でも…一体誰が?)
まさかアレルヤか、ティエリアかと思ったが、次の瞬間フラッグに突っ込んできた影を見た瞬間、その疑問は解消した。
…厳密に言うと、全く別の質問に置き換わっただけなのだが。
突っ込んできたのは、茶色い影だった。
それは良く見ると、何か人型の物がマントを頭からすっぽりと被っている事が分かった。
大きさからそれはMSだという事は分かったが、問題は今これが撃ったであろうビームだ。
現状、世界中何処を探しても今の様なビームを撃てるのは、太陽炉を搭載したMS―――つまりガンダムしかありえない。
という事はこの機体はガンダムなのだろうか?
しかし一体誰が作った?
まさか私達の知らない所で、全く別のガンダムが製造されていたのだろうか?
頭の中が疑問で多い尽くされていく。
そんな私に聞きなれない声の人物が話しかけてきた。
『其処のガンダム。ボーっとしているなら邪魔だから撤退しろ。後は此方で終わらせておく』
『な、何を言っている?』
……いや、何をって…
「今ので分からなかったのか?簡単に言うと“そのままだと邪魔にしかならないから、他の二機と一緒に撤退しろ”と言ったんだ」
『な…!ふざけるな!私はまだ戦えるぞ!』
「喧しい。武器も何も無い状態で如何するつもりだ?」
ちょっと離れた所に、薙刀の柄っぽいのが突き刺さっているのが見えるが、あそこまで取りに行っていたら、また後ろから攻撃されかねないぞ。
そう思いながらも今突き飛ばしたフラッグと距離を取りながら、サキエルを雁字搦めにしていたフラッグの頭部をビームピストルで吹き飛ばす。
頭部を破壊されたことで慌てたのか、フラッグの拘束が少し緩まる。
その隙を突いて、サキエルはフラッグを蹴り飛ばし、一気に近づいて肘にマウントされていたビームサーベルで、フラッグを切り捨てた。
『武器ならコレがある』
そう言いながら、機体の前でビームサーベルを構えるサキエルのマイスター。
…とは言っても、射撃武器も何も無いのに、真面目にビームサーベルだけで戦うつもりなのだろうか?…だとしたらコイツどんな馬鹿だ?例えガンダムであっても、リニアライフルの集中砲火を食らったら、流石にタダでは済まないのだが。
(…う~ん…どう説得すべきか…)?
そう考えていると、さっきまでエクシアのほうに回っていたリアルドの数機が此方にやってきた。
どうやら機動戦で翻弄しようとしているらしく、全員が飛行形態のままだ。
…と、いう事はこいつらさっきまでエクシアと戦ってた時もこの状態だったのだろうか?
(…ま、あんまり関係ないか)
そう心の中で呟きながら、Oガンダムをリアルドの方へ飛ばす。
飛んでる途中で、先程フラッグが投げ捨てたのであろうリニアライフルがあったので、拾って左手にマウントし、牽制のつもりで一発撃ってみる。
案の定リアルドの編隊は、リニアライフルの球を避ける為に散開するが、その内の一角にサキエルがビームサーベルで切りかかり、2機を切り捨てた。
その後ろからリアルドがリニアライフルでサキエルを狙うが、それを見逃すような俺ではない。
「その行動はミスだ、リアルドのパイロット」
そう呟きながら、銃口をサキエルに向けていたリアルドに向かって、リニアライフルを発射する。
当たり所が悪かったのか、弾が直撃したリアルドは、そのまま爆散した。
『やるな!』
サキエルのパイロットから賞賛の声が掛けられるが、俺としてはこんな事位当たり前である。
こっちはお前らみたいにルーキーじゃないぞ?…あ、いや実戦自体は出た事無いから俺もルーキーか。
今迄模擬戦で相手をしてくれた人(及びデータ)の皆が皆(主に姉さんとか姉さんとか姉さんとか)確実に俺を殺しに来ていたので、いつの間にか実戦を経験したような気になっていた。
これはまずいから、後で直さないとなぁ……っと、今はそんな事考えている場合じゃなかったな。
「これくらいは当たり前だ。それよりもそっちにまた何機か行ったぞ?」
そう言ってサキエルの方へ向かおうとしていたリアルドの内3機を、ビームピストルから発射した光弾で火の玉へと変える。
撃ち落としたリアルドのパイロットに向けて心の中で念仏を唱えながら、こちらをスルーしてサキエルの方へ向かって行った残りのリアルドを見やる。
どうやら其方も既にサキエルが撃墜した後のようだ。
それを確認してから回りを見渡しても、敵機の姿は一体も確認できない。
(…終わった、か?)
いや、まだ油断はできない。こういう時に限って油断している奴はやられるものなのだ。
実際に体験した事があるので、まだホッとする訳にはいかない。
「……グラーべさん?」
『確認してみたが、今の所、この付近に近づいて来るような機影は確認できないが…警戒するに越したことは無いだろう』
ですよね。
そう思いながらも、左手のリニアライフルはそのままに、右手のビームピストルを、Oガンダムに取り付けた“ちょっとした新装備”―――GNABC《アンチ・ビーム・コート》マントの裏側にあるラッチに取り付ける。
このGNABCマントは、俺が師匠に万が一の事を考えて提案した装備の一つだ。
見た目はただの馬鹿でかいマントだが、表面にGN粒子をコーティングする事によって、GNキャノン程度の威力の物なら、一回だけ完全に無効化できる、という代物だ。
勿論頭からスッポリと被れば、今回の様に一種の偽装としても使える。
……勿論実体兵器に対しても、ある程度は耐えられるぞ?
そしてマントの裏側には、幾つかのGNビームピストルをマウントする為のラッチも設置されている。
今回はこのような小規模な戦闘だったので、一丁しか持って来てはいなかったが、本来はここに合計六丁のビームピストルがマウントされる予定だ。
『どうやらもう大丈夫の様だな』
…おい?
何でお前はそんなに無防備でこっちに近づいて来るんだ?
普通もうちょっとは警戒したまんまだろう?
(……って、あ)
そんな事を考えていると、不意にサキエルの後ろで動く影があった。
先程サキエルが撃墜したリアルドの内の一機のようだ。
どうやらまだ息が有ったらしい。
せめて一矢報いようと、手に持ったリニアライフルの銃口を此方へと―――厳密にはサキエルへと―――向けている。
それを見た瞬間、迷う事無く左手のリニアライフルをそちらに向けて引き金を引く。
放たれた銃弾は、サキエルの頭部の真横すれすれを通りながら、リアルドの頭部ごとコックピットを貫く。
ジジジ…ドォォン!!
そんな音を立てて、リアルドが爆散する。
これで本当の意味で、今回の俺達の“敵”であったユニオンのMS部隊は全滅した。
同時に、左手のリニアライフルも弾が切れる。
……今無意識に引き金を引いたけれど、もしも弾が切れていたらどうなっていたんだろうか?
そう思い、今更ながら肌に鳥肌が立った。
(……あ、危なかったぁぁぁぁぁぁ!)
うん、まだまだ俺も未熟だな。うん、もっと修行しないとな。うん。
『な……あ…?』
不意に聞こえてきた声にハッとする。
どうやら向こうは今起きた事に対してちゃんと反応出来ていないようだ。
声の一つでも掛けるべきかと思ったが、そのときレーダーに此方に近づく光点を見つけた。
エクシアとデュナメスだ。
同時に脳裏に甦る師匠の言葉。
『あまり言いたくはないけど、君は計画を根底から破錠させる可能性がある。だから最悪でも、実働部隊と関わるのは、計画が始まってからにしてくれ。もしもこの言いつけを破ったらどうなるか……分かってるね?』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・ヤバイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ヤバイヤバイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!!!!!
おぉぉもいっっっっきし関わってしまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
やばい!マジでヤバイ!!こんまま帰ろう物なら一機に俺の命はレッドゾーンだ!
・・・・でもこのままここに居ても俺の命がレッドゾーンなのは明白!
下手をすれば何時の間にか取り付けられていた自爆装置が発動―――なんて事になりかねん!!
如何する!?如何すればいい!?如何すればいいのさ俺ぇぇぇぇぇぇ!!!!!?????
「ラ……」
『? ら?』
ラ………ラ……
「ライフカァァァァァァァドォォォォォォォォォ!!!!!!!!」
とりあえずあの後慌ててとある家系に代々伝わる戦術を使い、その場を有耶無耶にして、ひいこら言いながら、このミッションのために経済特区の日本のとあるマンションに作られたアジトに帰ってきてから、師匠に言われたのは次の一言だった。
『とりあえずペナルティとして、今度は第三世代のガンダムも含めた“
ぎゃーす
どうも雑炊です。
今回はオリキャラとオリガンダムを出してみましたが如何だったでしょうか?
因みに初投稿当時は戦闘の件だけで、10数回書き直しました。
…その結果がこれです。本当にすみません。
この機体の設定等は、そのうち詳しく書いた物を載せようと思います。
で、今回はGNABCマントについての説明を。
性能に関しては、要するにクロスボーンのABCマントのOO版と思ってくださって結構です。見た目もあんな感じ。ポンチョとは違います。以上!
ではまた次回