色々とおかしい所があるかもしれませんが、楽しんで頂けたら幸いです。
それではどうぞ。
早いもので、俺が師匠と初遭遇してから数年が経っていた。
……話が飛びすぎだ?気にするな。俺は一切気にしない。というか気にしちゃいられない。
色々と面倒くさいから。
そんなこんなで俺が今何をしているのか、というと……
『こ…のっ!いい加減に当たりなさいよ!!』
「そんなの嫌に決まってるでしょ姉さん?っつうか姉さんって一々攻撃するときに、一瞬武器が震えるから攻撃が読み易いんだよ。その癖直したほうが良いよ?」
『んなっ!?あたしってそんな癖あったの!?』
「うんゴメン。今の全部嘘だわ」
『…………あんたねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!』
とまあ、こんな感じで絶賛姉さん―――ヒリング・ケアと模擬戦中である…っと
「はい、隙あり」
そう言いながら、俺は姉さんの乗る黒いアストレアのプロトGNソードによる、横薙ぎの攻撃を避けながら、Oガンダムのビームサーベルを横に振るった。
『っ!!!』
振るわれたビームサーベルは正確に相手の腹と腰の間に吸い込まれていき、次の瞬間バチッっという音と共に、アストレアが真っ二つになって爆散した。
と、同時にコックピットのモニターにシミュレーション終了の文字が浮かび、模擬戦が終わったことが告げられた。
「はい、これで35戦33勝1敗1分け。…そろそろ止めない?流石に腹減ってきたんだけど?」
『煩い!!もう一回。もう一回よ!大体なんで第二世代の機体が第一世代の、しかも素人が乗った機体に負けるのよ!?ありえないでしょ!?』
「いやもうそれはパイロットの腕の問題じゃ『何か言った?!』…いえ、何も」
『よーし、もう一戦いくわよ。今度こそ撃墜してあげるから覚悟しなさい?』
(…いやもうそれ死亡フラグの類だろ。)
そんなことを思ったが、口に出したら絶対後でまた面倒臭い事になるので、「はいはい」と言いながら流すことにした。
ヴンという音と共に再びシミュレーターが立ち上がる。
こっちの機体はさっきと同じOガンダム。
姉さんの機体は…
(…っ!)
次の瞬間、太い桜色のビームの奔流が此方に向かって飛んできた。
咄嗟に機体を傾けて、グレイズの要領でそれを避けることに成功した。
(……今の粒子ビームは…)
そう考えながら嫌な予感を抱きつつもビームが飛んできた方向を確認する。
其処には――――――
「―――ってやっぱりIガンダムかよ!姉さん汚ねぇぞ!それ下手したら第三世代とも対等に渡り合えるような機体じゃねえか!!」
『うっさい!それにこれなら流石のアンタでも勝てないでしょ!!』
「無茶苦茶だチクショウ!?」
そう言いながら右手のビームピストルを発射する。
向こうもそれは読んでいたのか、右に滑る様にしてビームを避けると、右手のGNバスターライフルの照準を此方に合わせてきた。
銃口からビームが発射される。
それを宙返りの要領で回避した俺は、OガンダムをIガンダムに突っ込ませる。
それを見た向こうも、バスターライフルでは不利と思ったのか、砲身を畳んで、代わりにビームサーベルをシールドから抜き放ち、同じようにこっちに突っ込んできた。
『今度こそあたしが勝ぁぁぁぁぁぁつ!!!』
「…んにゃろう。やれるもんならやってみろ細いドラム缶体型が!!何に乗っても無駄だって事を教えてやるよ!!!」
「『ぶっ飛ばす!!!!!!』」
「お疲れ様。中々面白い物を見せてもらったよ」
「そりゃどうも。お蔭でこっちは昼飯食うのが無駄に遅くなっちまった」
茶化してきた師匠に対応しながら、俺はお茶を片手に昼飯のおにぎり(具はおかかと梅干と焼きたらこ)を食べ始めた。
一応あの後の結果を説明しておくと、
Oガンダム
シールド破損・左腕中破・脚部スラスター小破・ビームピストル大破・頭部中破・左肩小破
エネルギー残量・10%
勝利
Iガンダム
シールド、両肩、右足、左腕、左足首、胸部大破・腰部、頭部小破・右腕小破
エネルギー残量・撃破の為0%
敗北
決め手・左腕と頭部を犠牲にした特攻
というわけで俺の勝ちと相成りました。
ヒリング姉さん?シミュレーターの中で真っ白になってましたが何か?
というかそもそもあの人は本来味方とのコンビネーション攻撃で、本領を発揮するタイプの人なので、実は単体での戦闘能力はあまり高くは無い。精々ヒクサーさんとどっこいどっこい位だろう。
……とは言っても、常人と比べたら遥かに高いんだけどな。
「それにしても君の成長には目を見張るものがあるね。数ヶ月前までは、僕達の内の誰にも勝てなかったのに、いつの間にかほぼ互角以上の戦いが出来る様になってきている」
「誰の所為でこうなったと思ってるんだ?毎日毎日あんな鬼畜な条件下で訓練させやがって。大体なんだ?Iガンダムと第二世代ガンダム全部、各百機ずつ、Oガンダム一機だけで全滅させろとか。お蔭で大体のガンダムタイプとの戦闘方法が徹底的に身体に染み付いたわ」
ホントにあれはつらかった。何せ一回撃墜される度に全種ノルマ10機追加されるから、全然終わらなくて泣きそうになった。お蔭で強くはなれたけど、もう一度やれ、とか言われたら絶対拒否する。
「フフフ…だが、それのお蔭で此処まで強くなれているんだ。あまり邪険にすることは無いと思うけど?」
「るっさいわ師匠。…まあ、一応結構感謝はしてるよ」
それ、どっちの意味だい?、と言いながら、再び瞳を金色に変えて正面を見据える師匠―――リボンズ・アルマーク。
彼がこうなっているのは、大体は他のイノベイドとヴェーダを介してリンクしているか、もしくはヴェーダ自体とリンクしているかだ。
(…暇になったな、昼飯も食い終わったし…)
そう考えた俺はその場を立ち上がり、自室に戻ろうとする。
すると師匠に呼び止められた。
「ああ、そうだ。実はそろそろテストも兼ねて君にミッションをやって貰おうと思うんだけど」
「…は?」
そう言って俺は身構えた。
この人がこうやって突然何か言い出すのは、俺に対して何か悪巧みを思いついた事に他ならない。
絶対に碌でも無い事に決まっている。
すると師匠は苦笑しながらこう言ってきた。
「そう身構えないで欲しいな。なに、わざわざ戦場に行け、という訳ではないよ。実は近じか実行部隊が地上で最後の実戦テストを行うらしいから、その監視に行ってきて貰いたいだけだよ。勿論君の判断で戦闘に介入してもいい。ただし前にも言ったように、介入する際には実働部隊のマイスター達とはあまり関わらないようにしてくれ」
どうかな?、と言ってこちらを見据えてくる師匠。
それにしても実行部隊か…どんな奴らか見てくるのも面白そうだな……でもなぁ…
そんな風に考えに考え抜いて俺が出した答えは―――――
「…分かった。行ってくる。その代わり一つ条件がある」
「…随分と彼に肩入れしているね、リボンズ」
そう言って僕に言い寄って来たのは、塩基配列パターン0988タイプのイノベイドであるリジェネ・レジェッタだった。
「そうかな?僕としては、あまり肩入れしているつもりは無いんだけどね」
そう言って再びヴェーダとのリンクに戻る。
しかし彼はそのまま話を続けた。
「君からしてみれば、ね。だが僕らから見てみれば、君は彼にかなり肩入れしているようにしか見えないよ?どうして彼にあそこまでするんだい?彼は人間だよ?僕らとは違って、何も特殊な能力も持ってないし、脳量子波だって使えないただの平凡な人間だ。君があそこまでする理由は無いと思うけど?」
…ああ、成程。まったく、君と言う“人間”は……
「何の能力も無い、か。これを見ても君はそんなことが言えるかい?」
そう言って彼にあるデータを手渡す。
彼は怪訝そうにデータを見るが、だんだんとその顔は驚愕に染まっていった。
それは此処最近の彼の模擬戦のデータともう一つ。
全てを見終わって絶句している彼に僕はこう言い放った。
「僕は彼の機体に“あの”GNドライブを搭載しようと思う」
それを聞いたリジェネの顔が今度こそ固まる。
少しの沈黙の後、彼は恐る恐る口を開いた。
「そ、そんな……それは…君は、本気でそれを言っているのかいリボンズ?」
「ああ、本気だよ」
そう言いながら、僕は彼に向き直ってはっきりとこう言った。
「だってその方が面白そうじゃないか」
さあ、見せてもらおう、アムロ・レイ。君が本物なのかどうか、確かめさせて貰おう。
リジェネの手から毀れた数枚の書類。その中の一枚にはこう書いてあった。
『アムロ・レイ
身体の一部の細胞が、人間ともイノベイドとも似つかないものに変異していることが確認。
検査の結果、細胞個々がそれぞれ極微量ながら脳量子波に近い波をを発していることが確認。
同時に本細胞は緩やかなペースではあるものの、当人の身体全体に広がっていることが前回の結果と比較することで確認。
以上の結果より、検査対象の身体はその一部に関しては全く別の生命体になっている事が予想され、近い将来、完全なレベルで全く別の存在へと変化する事も予想される』
どうも、雑炊です。
何かネタが大量に降りてきたので、当分こっちばっかになりそうです。
因みにキャラが何人か変かもしれませんが、もし「此処はこうだろ」というのがありましたら、どしどし送ってください。
出来るだけ直していこうと思います。
それではまた次回。