バカとナイトと有頂天   作:俊海

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ドーモ。ドクシャ=サン。俊海です。
今回、いろんなネタを詰め込みまくってますので、ついてこれない人が多いかもしれません。
いろいろ独自設定があったりなかったりなんで、そこらへんも受け入れてくれると嬉しいです。

あと、もうタイトルでモロバレですが、ようやくあの男がこの小説に参戦しました。
私はこのキャラクターが好きなんで、ちょっとよいしょするかもです。
それではどうぞ。


第十二話 バカとナイトと汚い男

「そういえば坂本、次の目標だけど、相手はBクラスなの?」

 

「ああ、そうだ」

 

 

え?そうなんだ。

てっきり僕は一気にAクラスに攻め込むつもりだとばかり考えてたよ。

Cクラスで五分五分なら、Bクラスに攻めるのにもリスクがあると思うんだけど。

そんなことを頭に浮かべながら、僕は美波のお弁当を食べていた。

このハンバーグ、とっても美味しいなぁ

 

 

「だったらどうしてBクラスを狙うんだ?Aクラスが目標じゃなかったのか?」

 

「雄二はいきなりAクラスにビビってるのがバレてバックステッポで目の前の敵から逃げるような奴ではにいだろ?どうしてそうなるのか説明するのが必要不可欠。このままだと雄二の作戦が理解不能状態になり頭がおかしくなって死ぬ」

 

 

あれだけいきこんでた雄二が、安全策を取るとは思えない。

何かしらの意図がそこにあるはずだ。

ジャーマンポテトもなかなかなもんだ。

 

 

「正直に言うとだ」

 

 

雄二が神妙な面持ちになった。

ウインナー美味しい。

 

 

「今の俺たちの戦力じゃ、まともに戦ってAクラスに勝つのは相当確率が低いんだよ。せいぜい3%くらいだな」

 

「9%でいい」

 

「勝手に確率上げるなブロントさん」

 

 

真面目な顔が一瞬、ブロントさんの横槍で緩んだ。

それでも、すぐにまた元の真剣な眼差しに戻る。

ふう、ごちそうさまでした。

 

 

「俺が作戦を練って、明久達が高得点をとりつつ、全部が全部俺の策略通りにいってようやく勝てるような相手だ。一手見誤れば負けるのは俺達になる。そんなの確実な勝利とは言えないだろ?」

 

 

僕は、雄二が今どれだけすごいことを言っているのか分かった。

たとえ低くても勝つ確率があるってことは、雄二は正面から戦ってもAクラスに勝つ自信があるってことだ。

 

Aクラスの50人のうち、40人はまだいい。Bクラスよりも少し点数が高いだけの生徒ばかりだから。

でも、残り10人がヤバイ。特に代表をやっている霧島翔子さんは、この学年の中でトップの称号を持つ生徒だ。

代表を討ち取らなければ勝利にならない試召戦争において、その代表が倒すことができない相手だったら、僕達に勝ち目がないのが普通のはず。

 

だというのに、全てが万事うまくいけばAクラスに勝てると言っているんだ。

例えるなら、ノーコンで最低レベルのキャラを使ってラスボスを倒しに行くようなものだというのに。

それなのに、雄二はAクラスを『倒せる』と豪語している。

 

確かに姫路さんや、ブロントさんに、霊夢に魔理沙、士郎といったFクラスにふさわしくない戦力を持っている僕達だけど、それでもAクラスに対抗できるほどのものじゃない。

そんな戦力で、Aクラスに勝利することがどれだけ難しいことか。

雄二はもしかしたら、生まれてくる時代を間違えたのかもしれない。

多分、戦国時代とかに生まれてたら軍師として名を馳せてるんじゃないだろうか。

……そもそも、本人の戦闘力が高いから武将にもなれるのか?

 

 

「じゃあBクラスに目標変更するのかしら?」

 

「えー、そんなのってないぜ。どうせならAクラスのやつらをぶっ飛ばしてやりたかったんだがなぁ」

 

「いいや、そんなことはない。Aクラスをやる」

 

「言ってることが矛盾しているような気がしますけど……」

 

 

雄二が何を言いたいのかわからない。

 

 

「クラス単位だったら部が悪いってんなら、俺達だけで勝負を終わらせるんだ」

 

「つまり……一騎打ちってことかのう?」

 

「でも、それって相手が乗ってくれなかったら実行できないじゃない」

 

 

確かに一騎打ちなら、まだ勝つ確率がある。

雄二は今でさえFクラスという不名誉極まりない教室に身をおいているけど、元は神童とまで言われた秀才だ。

本気で勉強さえすれば、霧島さんにも勝てるかもしれない。

けれど、美波が言ったように相手がそんなリスクの高い勝負を受けてくれるわけがないのも確か。

どうするんだろう。

 

 

「そのためにBクラスを利用するんだ。『一騎打ちに賛成してくれなかったら、Bクラスと戦争したあとに引き続いて勝負してもらうぞ』ってな」

 

「なるほどなというか鬼なる。追撃の試召戦争でAクラスの勝率のダメージが加速するわけだな。Bクラスとバリスタするのも『俺のシマで今のノーカンにしてやっても良いぞ。ま、俺はこのままゲームオーバーでもいいんだが?』と挑発するという生半可な論法では完 全 論 破できない理論武装で固めたFクラスに隙はなかった。それで勝手に家来になったBクラスをAクラスに差し向けて『このままでは連撃で俺たちの点数がマッハなんだが……』と絶望顔になるのを回避するためにも『いいぜ。かかってこいよ(震え声)』とAクラスに言わせる作戦か。お前えごいなINT500くらいあるんじゃね?」

 

「明久」

 

「『Bクラスに勝って、Aクラスと戦わせるように仕向けるんだな』」

 

「その通りだ。そうすればどっちに転んでも俺たちの勝ちがより磐石になる。連戦だったら五割で勝てるし、そうでなくても八割勝てる。できれば一騎打ちの方が嬉しいけどよ」

 

 

Aクラス相手には破格すぎる勝率だ。

多分、Bクラスが相手するのでも三割あれば高いほうじゃないだろうか。

 

 

「幸いなことに、こっちに姫路がいることは向こうにバレてねえし、その分Bクラスに勝てる確率も高くなってる。こりゃあ完全に風が来てるな。Dクラス戦での戦果がでかかった」

 

「あの戦争で目立ってたのはブロントさんだもんね。Bクラスはブロントさん一強だって勘違いしてくれるから戦うのが楽になるってことかな?」

 

 

その分、相手にプレッシャーを与える生徒もブロントさん一人になっちゃうっていうのがネックだけどね。

霊夢や魔理沙も点数は高いけど、あまり印象に残るような戦い方はしてなかったし、士郎は性格からか威圧感を与えられるようなキャラじゃない。

その点ブロントさんは、体はでかいし喋り方も特徴的、口を開けば相手を挑発する言葉のオンパレード。

これほど相手にとって忘れられない人間はいないよ。

 

 

「…………うん、まぁ『ブロントさん一強』ってところに目を瞑れば概ね正しいな」

 

「……自覚が無いとはここまで来ると病気と見分けがつかんのう」

 

「………………(コクコク)」

 

 

あれ?なんだか周りのみんなが変な目で僕を見ているよ?

なんだか何も知らない可愛そうな子供を見るような、そんな感じの視線が……

 

 

「それはともかく、Bクラスへの宣戦布告はどうする?できることなら慣れてる奴に任せたいんだが……」

 

「俺がやるます!」

 

「そうなると、自動的に僕も行かなくちゃいけなくなるじゃないか!」

 

 

絶対雄二はわかってて聞いてるだろ!

そんなにも僕に恨みがあるのか!?

 

 

「どうして俺が行くのが明久も行くことになるって証拠だよ?嫌なら来なくてもいいんじゃよ?」

 

「僕が行かなかったら、誰がブロントさんの言葉を通訳するのさ……」

 

「だったら私が行くわよ?ブロントさんの言葉なら私だって分かるもの」

 

 

観念してついて行くことにしたら、霊夢が名乗り出た。

確かに、霊夢もブロントさんの言葉を使える人間ではあるけれど……

 

 

「だったら私でもいいってことだよな?ブロントさんのメイン舎弟の魔理沙さんにかかればお茶の子さいさいだぜ」

 

「そう?だったらブロントさん適当になんか長い文章を喋ってみてくれない?」

 

「やはり鼠より牛のほうがたよりにされていた。十二支を決める競走で牛はちゃんと集合時間にまにあったのだがちょうどはじまるらしくてお釈迦さまがきたみたいだった。猫は鼠にレんスは1月1日だと聞いていたので急いだが時すでに時間切れ『アワレにも猫が間に合わなそうだし、このままタイムアッポでいいんだが?』とお釈迦さまが言っていた。汚いなさすが鼠きたない。俺はこれで鼠がきらいになったなあもりにもひきょう過ぎるでしょう?もうここまででも十分に牛の勝ちは圧勝に決まったのだがさらに攻撃は続く、次は名前に注目するのだが鼠はただのひょろっとした弱そうな動物で鼠小僧というコソ泥の名前はあまりにも有名。しかし牛は尖った角が強くあの部分でさらに敵に致命的な致命傷を与えられる。名前も破壊力ばつ牛ンっぽいのでキングベヒんもスのパワーが宿ってそうで強い。どうやら龍も空へ飛んでいってしまったらしく『早くもどってくるべきそうするべき』と叫んでいるほかの動物のためにお釈迦さまが普通ならまだメンツ不足の時間でスタート宣言をすると 『もうスタートか!』『はやい!』『きた!スタート宣言きた!』『メインイベんトきた!』『これで勝つる!』と大歓迎状態だった。鹿はアワレにも角が折れてスタート前に暴れてしまってもうだめ。虎から『お前そこにいたのか……』ときたが馬も兎も誰が狙われているのかが分からないみたいでカカッっとダッシュしてった『人生ロストしたくないんです!hai!誰か後ろの猛獣止めテ!』と言うと襲いかかってきたので馬と兎の前に出て全速前進を何回かすると背中にのってた鼠についでゴールした『牛のおかげだ』『助かった、食べられるかと思ったよ』と、寝坊した猪がゴールしてないのも忘れてメンバーが牛のまわりに集まってきた。忘れられてる猪がかわいそうだった。普通なら鼠のズルをせめるのがぜいいんだろうが『お前が1番でもういいよ 俺が二番だけど』といって牛はゆるした(ここらへんの謙虚さが神聖さの秘訣)みんなとよrこびほめられたかったのでお釈迦さまに許してやるようにいったらそうとう感激したんだろうな、そうしたらそのままヒンドゥー教のシンぼるになった謙虚な牛がいた。ちなみに終わる頃にはプライドがズタズタにされた騙された猫がいたんだがネズミのあまりに卑劣なネガキャンに猫の怒りが有頂天になった。『いや今のハメでしょ?俺のシマじゃ今のノーカンだから』とねずみに抗議するも『聞こえてない』『何か言ったの?』『俺のログには何もないな』という返事。そこで猫も切れたんだろうなスキだらけだったので雷属性の左をジョーにヒットさせてやって『口で語るひまがあるなら手を出すべきだったな』と言ってKOした。自称レース一位は何がおこったのか分からずブザマにもプルプル足震えてそのまま倒れた。別の話になるが実はイタチもレースに参加してて牛の次にゴールまで到達していた事実英語で言うとノンフィクション。イタチは『いつでもバックステッポでゴールはできた、あの時ほかの動物が着いたときにも実は先にゴール出来た』とか言ってた。だがイタチは9位でもいいところを『12位でいい』と言ってほかの動物に順位を譲ってやっていた。謙虚だなー憧れちゃうなー。『俺は別に順位が欲しいわけではない。ここで一歩引くのが大人の醍醐味』と考えたイタチはほかのやつらがゴールするのを眺めていたらしいぞ?馬と羊がHPが近いのか同時にゴールしてたり、『一緒について行ってやる俺は優しいからな』と言って蛇となんか飛ぶながら到着する技で門を開けた龍、『マジでぶん殴りたくなるほどむかつくんで止めてもらえませんかねえ……?』『仏の顔を三度までという名セリフを知らないのかよ。マジでかなぐり捨てンぞ?』『おい、やめろ馬鹿。この喧嘩は早くも終了ですね。猿と犬が両方そなわると頭がおかしくなって死ぬ。今回のでそれが分かったよ>>犬猿感謝。間に俺が入ることでその問題は回避された』とか苦労してリアルではモンクタイプなのを示そうとしてる二匹を止める系の仕事があった鳥を見たあとゴールしようと思ったら、猪の突進でバラバラに引き裂かれて抜かされてしまったイタチがいた。『一瞬の油断が命取り』と悔しがったイタチは猫と深い悲しみに包まれて、想像を絶する悲しみが二匹を襲った。ここで無視する人がぜいいんだろうが菩薩は無視できなかった。お釈迦様に『お前らに二匹の悲しみの何がわかるってんだよ』と訴えたら「」確かになというか鬼なって、二匹に『干支に入るには時すでに時間切れ。だから別のものを奢ってやろう。俺は仏だからよ、これからは月の一日目のことを『つイタチ』と呼ぶし、一番小さい時間を『猫』の『ねこ』以外の読み方の『びょう』と呼ぶ』 そう言ってやると『やっと許しが出たか!』『封印がとけられた!』と二匹がもじもじしだして変な空間になったのでお釈迦様はミステリーを残す為笑顔になったと同時に家に帰ったが多分菩薩界で伝説になってる」

 

「ごめんちょっと待って」

 

 

いや、これ日本語でも覚えられないよ。

干支のことについて話してるってことはわかるけど。

 

 

「ブロントさん干支のこと、よく知ってましたね。特にイタチの辺りなんて日本人でも知らない人いるんじゃないですか?」

 

「私も知らなかったぜ。知ってる人すごいなー憧れちゃうなー」

 

 

このふたりは普通に理解している……だと……?

僕よりもやはり、この二人の方が……

 

 

「で、いまブロントさんはなんて言ってたんだ?」

 

「聞けばわかるでしょ?」

 

「なんて言ったも何も、そのままの意味に決まってるぜ」

 

「だめだこいつら……早く何とかしないと……」

 

 

あ、ダメだ。

ブロントさんの言葉と普通の日本語の区別ができてない。

これじゃあ通訳ができないじゃないか。

 

 

「今のは『干支でネズミは猫を騙して、バレないように牛の背中に乗って一位をかっさらった。で、牛はそれについては許したけれど、猫は怒ってネズミを殴った。イタチはあとの動物に順位を譲ってたら猪に最後の席を取られて悔しがった。で、その二人が似たような境遇でシンパシーを感じてたら菩薩様が可哀想に思ってお釈迦様に頼んで、月の初日のことを『ついたち』ってイタチの名前からとって、一番小さい時間の単位を『びょう』って猫の訓読みからとった』って話だね。そのレースのあいだのこともいくつか話してたけど、有名なところが多いから割愛したよ」

 

「よし、ついてけ」

 

「仕方ないよね……」

 

「大丈夫だぞ明久、俺もついてくから……」

 

 

そう言って、肩にポンッと手を置いてくる士郎。

本当に、士郎はどうしてこんなにおおらかな心をもっていられるのかがわからない。

というか、これだったらDクラスの時と変わらないような……

 

 

「今度は大丈夫だ。殴られる心配はない、俺が保証する」

 

「そりゃ、ブロントさんがいたら僕たちには被害は出ないだろうけどさ」

 

「そうじゃない、そもそも殴ってくることがないんだ」

 

 

何を根拠にそんなことを言うんだろう。

Dクラスよりもひどい暴力を受ける気がするのに。

 

 

「なぜなら、Bクラスは美少年好きや美少女好きが多いらしい」

 

「そっか、それなら確かに大丈夫だね」

 

 

ブロントさんに士郎、霊夢に魔理沙、綺麗どころが揃ってるもんね。

雄二の言ってることが正しかったら、彼らを攻撃することはないだろう。

……って、ちょっと待て!

 

 

「それって、要は僕が集中攻撃されるってことじゃないの!?」

 

「チッ!気づきやがったか!」

 

「しかも確信犯だと!?くきぃー!殺す!殺し切るーっ!!」

 

「お前不細工だもんな……」

 

「しみじみ言うなよ、失礼な!あの二人には劣るけど、僕だって365度どこからどう見ても美少年じゃないか!」

 

 

流石に美少年までは言いすぎだけど、不快感を与えるほどではないと信じたい。

まぁ確実にほかの人に比べると明らかに見劣りするけどさ!

 

 

「……5度多いですよ?」

 

「実質5度ね」

 

「二人なんて嫌いだ!」

 

 

姫路さんと美波からの連携攻撃で僕のHPが真っ赤に染まる。

もうやめて!僕のライフはゼロよ!

ちょっと間違っただけでここまで言われるなんてっ!

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、明久?今からどこに行くんだ?」

 

「あれ、須川君。どうしてこんなところに?」

 

 

宣戦布告するために、Bクラスへと向かう途中、なぜか肩で息をしながら走っている須川君がいた。

霊烏路さんとお昼ご飯を食べてたんじゃないの?

 

 

「……もしかして霊烏路さんから逃げてたとか?そんなわけないよねー」

 

「その通りだ!ちょっと明久、匿え!」

 

「え、ちょっ!?」

 

 

言い残すと同時に、僕たちの後ろの物陰に隠れた。

一体何で逃げてるんだろう。

 

 

「須川~?どこに隠れてるの~?」

 

「あ、あれ?霊烏路さん奇遇だね?」

 

「…………?あれ?君誰だっけ?」

 

「あー須川君のクラスメイトだけど……」

 

「だったら須川の居場所知ってる!?」

 

「ご、ごめん、ちょっとわからないなー?」

 

 

須川君の名前を出しただけで、すっごい食いついてくるんだけどこの子。

どうしてこうなったんだ須川君。

 

 

「そっかー、じゃあ他のところも探してくるよ。じゃあねー!」

 

「あ、あはははは……」

 

 

適当に笑いながら手を振り返す。

……うん、あの子アホの子だ。

 

 

「行ったか……」

 

「あ、あの須川君?なんで逃げてるの?」

 

「あー……なんていうか」

 

「うん」

 

「ズボン脱がされそうになった」

 

「…………それなんてエロゲ?」

 

「ちっげーよ!そういうのじゃねーよ!つーか俺あいつのことをそういう目で見れねーからな!?なんつーかガキを見守る保母さんレベルの母性の塊でもってあいつのこと見てるからな!?そもそもどうしてあの馬鹿女はこんなふうに育ったんだ!?保護者出てこいよ!成長する方向間違ってんじゃねーかよ!なんなの?あいつの親はどんだけあいつを純粋培養して育ててきたわけ?セ○みたく培養液に浸して成長させてんのか!?Drゲ○か!?あいつの親はDr○ロか!?お望み通り対男性に対しての戦闘力は高いけど、いろんなやつの情報が欠如してんじゃねーか!!もっと真面目に情報収集させてから成長させろやァァァァァァ!!」

 

 

なんだか、須川君が霊烏路さんのお父さんみたくなっているような気がする。

そんなことより、どういう状況になったらズボンを脱がされるなんてことが起きるのかが今の僕にはわからない。

 

 

「で、どうしてああなったわけ?いくらなんでもその言葉だけじゃ理解できないんだけど」

 

「ああ、それは――」

 

 

 

~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

『近いんだよ。なんでそんなに男に対して無防備なんだよオメー。発情期って言葉に顔を赤くしてたやつと同じ人間と思えないんですけど。男の性欲を持て余させて楽しいのか。テメービッチかコノヤロー』

 

『???友達なんだからいいじゃん。私だって女友達とこうやって抱き合ったりするけど?』

 

『抱きつくんじゃねェェェェェェェェ!!あ、みなさん違いますからァァァァァァ!!!この子ちょっと知恵遅れなだけなんです!!ちょっと可愛そうな子なんです!!つーかいつ友達になった!?お前とのあいだに友情が芽生えるシーンなんて無かったきがするんですけど!?どっちかっつーと敵意が芽生えそうなんだけど!?』

 

『うーん……私中学は女子校だったからよく分かんないんだよね。やっぱり変なのかな?』

 

『変すぎるわァァァァァァ!!もっと女子なら慎み深く行動しなさい!そんなのお父さんは許しませんからね!』

 

『須川はお父さんじゃないよ?』

 

『知ってるわんなこたァァァ!!テメー本当に突っ込みどころしかねえなぁ!?何だよ!?去年だって男子と触れ合うことあっただろーが!よくお前無事な体でいられたな!?』

 

『んー、私と話してると自分がバカになったのかと勘違いしそうになるし疲れるって言われたかな』

 

『自覚があるなら直せバカヤロー』

 

『でも、須川はちゃんと私の話を聞いてくれるよね?だったら須川はいいやつだよ!だから私も友達になりたいなっ』

 

『……それだけで良い人だなんて、てめーの方こそ人が良いなぁおい』

 

『そんなに褒めないでよ』

 

『褒めてねーよ。まあ、なんだ……話し相手ぐらいにはなってやっから、今度からは拉致とかすんな』

 

『はーい!こうして話せる友達ができて嬉しいな♪どんな人も私の話の途中で無視し始めるんだもん。そしたら『もうお前は黙っててくれ』とか『頼むからおとなしくしててくれ』って言われるし、ちゃんと言葉を返してくれる須川ってすごいんだね!』

 

『……は?』

 

『そんなんだから、ぜーんぜん友達がいなかったんだ!女友達だって片手で数えるくらいしか今までにいなかったし、男友達は初めてだね!イエーイ!』

 

『(つまりコイツは、友達と過ごしたことが少ないからあんな過剰なスキンシップを……)』

 

『小学校の時はねー、男の子と遊んでたら男の子からも女の子からも避けられたりしちゃって大変だったんだから!』

 

『……………………グスッ』

 

『あれ?須川、泣いてる?』

 

『え?何が?』

 

『今、完全に涙が流れてた気がするんだけど。……大丈夫?お腹痛いの?』

 

『え?何言ってんの?泣いてねーよ、何も、ホラ』

 

『なにか悲しいことでもあったの?ヨシヨシしてあげようか?』

 

『だから泣いてないって言ってんじゃん!これはアレだよ、ちょっと花粉症で涙が出たみたいな?断じて泣いてないからね』

 

『いや、でも……』

 

『泣いてねーって言ってんだろうがァァァァ!そんなにお前は俺を泣かしたいか!!あーわかったっ!泣いたってことにしといてやるよ!泣いてないけどね!ホントは!』

 

『いや完全に泣いてるよね?ちょっと目が赤いよ?』

 

『いい加減にしろよぉぉっ!お前ェェ!泣いてないって泣いた本人が言ってんだから泣いてねーことでいいだろうがァァ!!』

 

『あー!今認めた!』

 

『あのさァ、お前さァ、ホントにさァ………空気を読めよ。ここは流せよ。ここは泣いてないカンジにしとこうよ。俺メッチャカッコ悪いじゃん。完全にお前に興味ない素振りしてたじゃん。そんな奴が話聞いただけで泣くとかおかしいじゃん。肝心のお前は笑ってるじゃん。平気そうにしてるじゃん。メッチャ変じゃん!!』

 

『変じゃないよ?男の子だって泣きたい時くらいあるんでしょ?いいじゃんそんなの』

 

『ヤベーよ、俺ちょっと振り向けねーよ。笑ってない?お前笑ってない?大丈夫?』

 

『そんなに泣いてるのごまかしたいの?』

 

『ああ……なんていうか恥ずかしいとかじゃなくてなんかこう……死にたい』

 

『それじゃあちょっとこっち向いて?』

 

『何しでかす気だブフゥッ!?』

 

『これで涙が分かんなくなったよね!』

 

『いきなり顔面にジュースをぶっかけんじゃねェェェェェェ!!!何してくれてんだお前は!?服がビショビショじゃねーか!この濡れた服で午後の授業受けさせるつもりかお前!!あとなんかベトベトする!うわーなんかネチャネチャする!気持ち悪い!』

 

『しょうがないなぁ。その服クリーニングに出してあげるから許してよ』

 

『どーしてかな?どーして俺が悪い方向に持ってかれてんのかな?どっからどう見てもお前が悪いよな?どう考えても俺は悪くねえよな!?』

 

『じゃ、その服脱いで。着たままなのも気持ち悪いでしょ?』

 

『…………いやいや、制服脱いだら全裸じゃねーか。そんなのもしかしなくても大惨事じゃねーか。俺別に見られて興奮するようなキャラじゃねーし。脱げば脱ぐほど速くなるようなキャラでもないから。そんなキャストオフして変態仮面みたくなんねーから。いや待てよおい、ちょっとマジで近寄んな。何脱がせようとしてんだ。ちょっと先生ー!!ここに痴女がいます!!助けて!うわっ、なにこいつ力強い!?』

 

『観念して服を脱いでよ!』

 

『クソッ!こうなったら最後の策を、ひとつだけ残った策を使うしかねえ!』

 

『たったひとつだけ?何それ?』

 

『足を使うんだ』

 

『足?足なんかどうするの?』

 

『逃げるんだよォ!どけーッ!ヤジ馬どもーッ!』

 

『あっ!逃げるなー!!』

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

「ってな感じでな」

 

「須川君もげろ」

 

「須川もげるべき。死にたくないならもげるべき」

 

「須川もげた方がいいんじゃない?」

 

「須川もげろだぜ」

 

「そりゃあ災難だったな」

 

 

あれ、一人だけ違うことを言ってる奴がいる。

 

 

「……お前らがそういう反応をするのはわかってた。俺も一週間前だったら同じこと言ってただろうし」

 

「そう気を落とすなって。いつかいいことあるさ」

 

「あーあ、あれで中身が大人だったらなぁ……」

 

 

士郎だけが須川くんを慰めてる。

多分、今の須川君の苦労を理解できるのは士郎だけなんだろうなぁ。

僕には理解できないけど、ブロントさんもそうっぽいね。

 

 

「お前ら、そういえばどこに行くんだっけ?」

 

「Bクラスに宣戦布告しに行くところだよ」

 

「あー、確か根本が代表だっけか」

 

「根本って、あの根本恭二?」

 

「ああ」

 

 

根本恭二はとにかく評判が悪い男だ。

なんでもカンニングの常連で、目的のためなら手段を選ばないらしく、スポーツの試合をするときは対戦相手に一服盛るとか、喧嘩するときは刃物を装備するのが当然とか、プラスのイメージが全くない。

それでも、多分『あの男子生徒』ほどは卑怯でもないし汚くはないらしいけど。

なんというか、小悪党って感じの汚さが根本にはある。

 

 

「汚い人間か……ほむ」

 

「どうしたのブロントさん?」

 

「……いあ、昔の友人に俺に対して鬼の首みたいに粘着する汚い奴がいたのだよ。そいつのことをちょとわずかに思い出してな」

 

 

意外だ。

ブロントさんが汚いことをするような人と友達だったなんて。

やっぱり不良関係だったんだろうか。

 

 

「汚い奴だが別に嫌いではにいという意見。「」確かになと思うくらい汚い奴だが、あいつのそもももの行動原理はメイン盾になること。仲間を守るために自ら泥をかぶりに行く姿は思考のナイトの俺も見事な仕事だと関心はするがどこもおかしくはないな」

 

「そっか、いつか会えるといいね」

 

 

多分、ブロントさんにとってはその友達は一番気兼ねなくいられる相手だったんだろう。

そうでもなかったら、悪口を言いながらも穏やかな顔をしていられるわけもないし。

 

 

「なんか俺も流れで付いてきちまったけど、よかったのか?」

 

「うん、最悪犠牲sy……ゲフンゲフン、仲間が多いと心強いよね!」

 

「今なんて言おうとしたか言ってみ?怒らないから、先生怒らないから」

 

 

それは間違いなく怒るって言ってるのと同じ意味じゃなかったっけ。

須川君の言葉を華麗にスルーして、最悪の場合の生贄も用意したし、もうなにも怖くない!

 

 

「失礼しま――」

 

「下がれ明久!」

 

 

Bクラスに入ろうとして、ブロントさんに後ろに引っ張られた。

そして、僕と入れ替わるように前に躍り出たブロントさんは、さっき使っていたドカベンを前に突き出す。

遅れて、そのドカベンに何かがぶつかって、金属音のようなものが響いた。

その飛んできたものは――

 

 

「し、手裏剣!?」

 

「アイエエエ!スリケン!?スリケンナンデ!?」

 

 

どこからのアンブッシュだ!?

アイサツもなしに攻撃してくるなんて、スゴイスツレイ!

だけど、アイサツ前のアンブッシュは一回だけのはず、僕は詳しいんだ。

そうしないものはムラハチにされて実際やばい、ニンジャのイクサにおいてアイサツは絶対の礼儀だ。

古事記にもそう書かれている。

 

 

「き、汚いぞ根本!いきなり攻撃してくるだなんて!」

 

「それはどちかというと大間違い。前を見てみるべきそうすべき」

 

 

言われて目の前を見ると、恐るべきバランス感覚で腕組みして机の上に直立するは黒の装束。

根本はこんな不思議な格好はしない。

この衣装は、根本なんかよりももっと汚い『あの生徒』のものだ。

 

 

「根本かと思ったか!?俺だよ!!」

 

「の、ノブオ!?」

 

 

その生徒の名前は笠松ノブオ、文月学園で最も汚い人間だと評される男子生徒。

誰よりも汚く、陸上部でもないのに全男子生徒の中でトップクラスの瞬足を持ち、いつも黒い装束を着ていることで有名。

あまりに特徴的すぎるため、ムッツリーニと同じように通称の方が知れ渡っているほど。

 

 

「ドーモ。ブロント=サン。笠松ノブオです」

 

「……ドーモ。ノブオ=サン。ブロントです」

 

「俺からのアイサツを受け止めてくれるとはさすがナイト様だ。俺だったら全部避けてるけどよ。攻撃を喰らうなんて効率的じゃねえしなぁ」

 

「避けてたら後ろのやつらがあたってしまっている事実、英語で言うとサクリファイスエスケープ。そんなことしたら俺のナイトとしての生き方を曲げることになるんですわ?お?」

 

「こんなところで再会するとは嬉しい限りだぜ。これでまた、お前とどっちがメイン盾にふさわしいか決着をつけられるってもんよ」

 

「は?もう勝負ついてるから。お前は俺の足元にも及ばない貧弱一般人。忍者とかただの雑魚だしあまり強そうでない、ナイトが強いのは確定的に明らかなんだが?」

 

「そう言ってられるのもこれまでだ。この戦争で、俺がお前なんかよりも盾として格上だって証明してやる!例え、どんな手を使ってもなあ!」

 

 

笠松ノブオ、またの名を――

 

 

「汚いなさすが忍者きたない!」

 

「汚いは褒め言葉だ!」

 

 

――汚い忍者と言う。


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