それでは最後の置き土産www
3、2、1、バアアアアアンwwwww世界は終わりwwww
ィヤッホォォォォォオオウwwwwww』
『おやおやおやwww敵対ですかwwww
私平和主義なのですがねぇwwwwwww』
『かしこまりぃぃwwwまァ↑したああああああwwwwww↑↑』
『忠実に仕えるという点で私の右に出る者はおりません(キリッ』
こんなん笑うわ。どっかの原典と言いテラ子安が演じる型月は頭の螺子がぶっ飛びすぎだ。
アンデル先生が絶句して頭抱えてるよ。子安キャスター二人目だよ。
外見で真っ先に出てきたのはジョン・ゲイシーだけど安直すぎる。
アレと忠実なサーヴァントを結びつける時点で無理ゲー。
とりあえず、有力と思った候補は
・メフィストフェレス(生まれついてのサーヴァント)
・マッドハッター(最近のキャスター=物語な風潮)
・ケフカ(外見)
でしょうか。ぶっちゃけあのキャラツボったので普通に使いたいです。裏切られなきゃですが。
「ッ――」
何の脈絡も予兆もない、突発的な事態だった。
迷宮の床を突き破って現れる、謎の存在。
その全様を見るまでもなく、それがノートと匹敵、或いは超えるであろう未曾有の大災害であることが理解できた。
「アレって……」
『間違い、ありません。アルターエゴの最後の一人――』
見覚えのある巨大な腕を支点として、続け様に頭が、体が、もう一本の腕が突き出てくる。
初めてその顔を見る。幼げな少女だった。
衣服の代わりであるように全身に包帯を巻いた巨体。その包帯によって、左目は覆われている。
ところどころに自生した植物のようなものも相まって、雄大な山脈を思わせる。
自分の迷宮であることなど気にせず、というよりまるで知らないかのように平気で破壊をしながら、その姿を少しずつ現していく。
しかし、破壊された床はその都度修復されていく。
腰ほどまで出たところで修復した床に引っかかった。
「……ん」
腕で床を押すように、力を込める。
「んー……っ!」
「……」
……見たところ、下半身を引き出そうと苦心している。
脅威の塊、存在そのものが災厄と確信できる、恐ろしいまでの存在感。
それを発している巨大な少女が、じたばたともがいている。
「わっ」
何かの弾みで更に力が入ったらしく、一気に下半身を引き出した。
当然、体勢を崩して少女の体は勢いそのままに放り出されて――
「――――うわああああああっ!?」
体が浮く。メルトによって咄嗟に退避させられたらしい。
例によって赤い聖骸布が体に巻きついている。妙に使い勝手が良いのが複雑だ。
他のマスターたちもサーヴァントと共に避難している。
「ちょ、待っ――撤退撤退! ジナコさんプレスされるって!」
『やばっ……! 大丈夫、術式のラグは今までよりも短いから!』
今しがたサーヴァントを失っていたジナコも間一髪、帰還の術式によって転移した。
全員が避難したところに、少女が落ちてきた。
落下の阻害となる建物がまるで土塊のように呆気なく崩れていく。
戦場の中心に落ちた少女。その衝撃は、魔力の奔流を伴った地響きで伝わってくる。
「ッ、くっ……は」
「ハク!」
攻撃的な意思を含めたものではなかったらしい。
これほどの魔力、攻撃であれば一溜まりもない。幸いにして、腹を思い切り殴られた程度の衝撃だった。
「げほっ……! っ、だ……大、丈夫」
どうやら皆はより遠くに離れており、衝撃もそこまで強くなかったようだ。
腹を押さえつつ、現れた少女を見る。
全長は――分からない。近くに降り立ったノートと比較する限り、三十メートル近辺だろうか。
「――、い、たた……」
カズラと大して変わらない、幼さの残った声。
しかし、紡がれる言の葉そのものに力が篭っているように不可思議な反響を伴っている。
立ったとしても地面に着いてしまうであろう長い髪は無造作に放り投げられ、僕たちが立っているすぐ傍にまで伸びている。
痛みを堪えるように強く閉じられていた瞳。ようやく収まってきたらしく、それが開かれる。
「あ……」
目が合った。虚ろな瞳が、まっすぐ此方に向けられる。
驚いたようにパチパチと瞬きを繰り返している。此方から声を掛けた方が良いだろうか。
「えっ、と……こんにちは?」
「その出だしはどうなのかしら……」
そう言われても困る。こちとら突然の状況に、頭が追いついていないのだ。
「……こんにちは」
おずおずと返ってきた。自分で口にして、再び驚いたように目を見開く。
「……こんにちは、こんにちは、こんにちは…………」
まるで初めて口にした言葉のように繰り返している巨大な少女に、ノートが歩み寄る。
その様子はあまりにも落ち着いていて、先程の動揺など微塵も感じさせない。
「良い塩梅です。此度ばかりは、問題児である貴女に感謝すべきでしょうか」
「あれ……のーと? どうして、そんなにぼろぼろなの?」
「気にしなくても良いことです。さて、センパイ、皆様方、紹介しましょう」
振り向いたその表情は、冷たかった。
落ち着いた、というレベルではない。
まるで別人になってしまったかのように、雰囲気そのものが変わっていた。
「彼女がこの階層の衛士、キングプロテア。先に進むには、彼女のSGが必要です」
「何、今度はその子を押し付けるつもり? それで逃げようったって、そうはいかないわよ」
「まさか、そんな筈ないでしょう。寧ろ、私はこの子を守る立場にあります」
言いながら、ノートは再び傘を体に仕舞いこむ。
明らかに宝具としてのランクは最上級、ノートの切り札となりえるであろうそれを何故か彼女は使おうとしない。
怪訝に思っていると、それを察したのかノートは微笑んだ。
「嫌いなのですよ、あの宝具。いざという時の使用に留めているのです」
その様子は、以前のものだった。
先程の、リセットされたような無表情はなんだったのだろうか。
「ゆえに、誇るべきです。私にあれを二度も使わせたのは」
手に握られるのは、一振りの大斧のみ。
そう、今は戦いの最中なのだ。しかし、そんな事をまるで知らないように、強大な存在感を放つ少女――プロテアは辺りを不思議そうに見渡しながら、体を起こす。
「……ここ、どこ?」
「貴女の迷宮。貴女の世界です。BBに咎められることもない。貴女の好きにできるのです」
そう教えられたプロテアは、目を輝かせる。
無垢で無邪気。正に子供の瞳。
だが、それ以上に感じられる嫌な予感が、安心感など決して抱かせない。
「わたしの、せかい」
呟いた少女の目が、もう一度此方に向けられた。
「……あいを、くれるの?」
「え……?」
首を傾げながらの問いの真意は、図りかねた。
「くれるん、だよね。さっきみたいに」
そっと、手が伸ばされる。
しかし、あくまでも「そっと」というのはプロテアの体躯での表現だ。
十分の一にも満たない僕からすれば、普通の攻撃と大差ないほどに素早い――!
「っ」
水のように広がった魔力で、その手が弾かれる。
メルトが足を振るっていた。止まった手を身ながらプロテアは、たちまち不機嫌そうな表情に変わった。
「……なんで?」
「……また、こういう系なのね。ハク、油断はしないで」
七階層、ローズのときのような迷惑を掛けるつもりはない。
メルトの忠告に頷き、プロテアの挙動を観察する。
相手がどう出てくるのか。ノートもプロテアの様子を見守っているらしく、戦闘態勢は取っていない。
「ハクは渡さないわ。諦めなさい」
「……ちょうだい」
「嫌」
「ちょうだい」
「嫌」
「ちょうだい」
「嫌」
不毛な、というより同じ単語が繰り返されるだけの口論が始まった。
凛やラニやユリウス、レオだけではない。アタランテや果てはリップまでもが溜息を吐いている。
『……白斗君、さっきって、何かあったの?』
「えっ」
そんな、何故かいつもよりトーンの低い白羽さんの問いで、時が止まったように二人が――というより、メルトが停止したことでプロテアも――止まる。
「……そういえば、先程キングプロテアは『さっきみたいに』と……」
「あー、まーた私たちが知らないところで粉掛けてたのね。本当に節操無しだこと」
「え……え!?」
何やら、またしてもあらぬ疑いを掛けられている。
こんな最後の戦いの最中に、だ。
第一、プロテアが現れたのはたった今ではないか。何かを出来る筈がない。
しかし、そんなことはお構いなしで敵ではなく味方から向けられる、決して心地の良くない視線。迷宮内だけでなく
「あ、あの……ハクトさん……?」
「ハク。そろそろ私も我慢の限界なのだけど」
ギリギリと腕を鳴らしながら。そして、コツコツと脚具で床を叩きながら。
何をした覚えもないのに、凄く怖い。
「僕は……別に何も……」
「プロテアは嘘を吐く機能は持ってませんよ」
弁解しようと思っていたところを、黙っていたノートが余計な火種を放り込む。
「……あいを、ちょうだい。もういっかい……ううん、なんどでも、なんどでも」
そしてプロテアがそれを助長するように火種を着火する。
期待するように目を輝かせているのにどこか罪悪感が沸く。
念を押すようだが――僕は決して、何もしていない。
『ハクトさん……貴方は、本当に……』
カズラまでもが、その戦列に加わる。
一体何故、こうなってしまったのだろうか。
つい数分前は、激しい戦いの最中だった筈なのに。
ある意味では、戦闘中よりも遥かに、この空間の居心地が悪い。
「桜……」
『あの、紫藤さん。ここぞという時にまでフラグを立てるのは……』
「……」
良心だろう桜に助けを求めた結果、状況がより悪化した。
どうしよう。まずは、誤解を解かなければ。
「えっと……プロテア」
『おや、フラグを確固たるものにしようと』
「ちょっとカレン黙って」
これ以上話をややこしくしたくはない。より面倒な方向に持っていこうとしたカレンを封殺する。
「プロテア。ちょっと良いかな?」
「どうしたの?」
「さっきって、何時の事なんだ?」
『しかも忘れるって』
ああ、もう。どうして外野から妨害が入るのか。
僕自身が忘れているという可能性も確かにゼロではないが、そうだとしてもプロテアしか真実を知らない以上聞くほかないのだ。
「……わすれちゃったの?」
至極残念そうに聞いてくるプロテア。
頷くと、その表情はより曇った。覚えのない出来事に、胸が痛む。
どうか、彼女の勘違いであってほしい。そう思いながら、回答を待った。
「さっき…………『こんにちは』って」
「……は?」
再び、世界が固まった。
先程とは、違ったかたちで。
「……どういう事?」
「いや、僕に聞かれても……」
よく分からないが……プロテアのいう「愛」とは、挨拶の事?
「もっと、ほしい。ここはわたしのせかいだもん。くれるんだよね、せんぱい?」
身を乗り出すように少しずつ近付きながら、微笑むプロテア。
つまりは……どういう事なのだろう。
「ローズとは違った意味で厄介ね、この子……」
自身の世界を絶対のものとして、目を閉じた愛に殉じていたローズマリー。
本来は同じBBであるためか、精神性は何処か似通っている。
だが、明確に違う――いや、ローズに勝るがゆえに別次元に在る何か。
ローズ以上に大きくて、閉じた、規格外に完成された世界。
「のーと」
「はい、何でしょう」
その瞳が、目下の姉妹に向けられる。
「じゆうに、していいの?」
「はい。この迷宮は、その為に用意されたものです」
無邪気な問いに、ノートは答える。
「せんぱいは、あいをくれる?」
「はい。貴女の世界は、貴女の思い通りに動くでしょう」
続く問いに、トーンを崩さぬままに答える。
「まわりにいるのは――じゃまもの?」
続け様の三度目の問いに、僅かに口角を上げて、答える。
「――はい。愛を求める貴女の、阻害になりましょう」
「ッ――」
構える。全員が戦闘態勢を取り、その様子を見て、プロテアの笑みが消える。
「アサシン、行けますか?」
「……うん。まだまだ、いけるよ」
傷の治癒に専念していたジャックが再び建物の陰に隠れる。
こちらの戦う姿勢を見て取ってか、ノートも斧を振り上げる。
その様子には傷だらけになり消耗した影響どころか、ダメージすら感じさせない。
「じゃまものがたくさん。ぜんぶたおせば、せんぱいはあいをくれるんだね」
自分が至った答えを確信し、それ以外の一切など存在しない。
そんな、完全な自己世界を作る少女。
彼女を、どう理解すればいいのだろうか。
ここからは戦うだけではない。プロテアの心を理解して、SGを取らなければならないのだ。
しかも、ノートに加えてここからは、プロテアも戦うのだろう。
「さて。仕切りなおしです。始めましょう、センパイ」
規格外の二人を相手にした、第二局面が始まった。
ネタを挟まないと死んじゃう病。
シリアスを続けようと思ったのですがやっぱ無理です。
遂に本格登場したプロテアさん。没エゴの一人である、巨大少女です。
狐尾に影響されているのはご愛嬌。出来るだけ本作特有の良さを出したいところ。