Fate/Meltout   作:けっぺん

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>ルックス E(おっぱい党調べ)

よろしい、ならば戦争だ。ルックスを胸囲格差だけでランク付けするなど笑止千万。胸しか見ていないなら左隣のいやし系聖女アイドルにでもさっさと移ってしまえ。リップageだけならまだ良いさ。リップだって大好きだ。だがな、メルトのランクにまで介入するのはいただけない。それはA.l.T.e.rのファンたる行いではなくれっきとしたメルトsageだ。二人揃って百パーセント愛せないならば今すぐファンクラブから出て行け。それが嫌なら俺を倒せ。おっぱい党何万人が相手だろうと構わない。俺は一人のA.l.T.e.rファンとして、メルトsageが許せない。ルックスというならば体全体のプロポーションでランクを付けるべきだ。お前たちはまだメルトのスタイルのパーフェクトさを理解していない。そも、ちっぱいの何が悪い。巨乳には夢が詰まっていて貧乳は夢を与えているって良く言うだろう。それぞれの良さがあるのだ。ちっぱい好きは否定しない。だが、それゆえにメルトのルックスにまで手を伸ばしてくるおっぱい党のやり方は許せないのだ。そろそろ自分が何を言いたいのか分からなくなってきたから止めて良いかな。型月エイプリルフールネタの感想とかは後書きに書いてると思います。それでは七章章末茶番どうぞ。


chapter-7/ground.

 

『並行世界間チャットルーム ~良妻の間~』

 

・嫁皇帝さんが入室しました。(00:59)

・良妻狐さんが入室しました。(01:00)

嫁皇帝:ぬ、来たかキャス狐(01:00)

良妻狐:あら、メルトさんはまだですか(01:01)

嫁皇帝:うむ。まったく、余を待たせるとは(01:01)

・雪融けさんが入室しました。(01:02)

雪融け:ちょっと遅れたかしら(01:02)

嫁皇帝:遅いぞメルトリリス、何をしていたのだ?(01:02)

雪融け:ちょっと問題が起きて、そっちを対処してたわ(01:02)

良妻狐:私の尾っぽみたいなものですかね? ウイルスが暴走したとか(01:02)

雪融け:分身だったらどんなに楽か。悪徳神父がまたやらかしたのよ(01:03)

良妻狐:あっ…(察し)(01:03)

嫁皇帝:それは何というか・・・災難だったな(01:03)

雪融け:まだ収まりきってないし、今夜はちょっと早めに落ちるわ(01:03)

嫁皇帝:まあ、仕方あるまい。良いだろう(01:04)

良妻狐:で、今はそっちのご主人に任せてるんですか?(01:04)

雪融け:ええ。ハクの甘さからして、収めるのはまず不可能ね(01:04)

良妻狐:メルトさんだったらどうするんです?(01:05)

雪融け:釈明の余地なくお仕置き空間へGOよ(01:05)

嫁皇帝:余でもそうするな(01:05)

良妻狐:何だかんだ、気が合いますねー。私もです(01:05)

雪融け:もう一週間くらい監禁させたいのに、ハクが止めるのよね(01:06)

雪融け:優しすぎるのが良いところなんだけど(01:06)

良妻狐:一丁前にノロケやがりますね(01:06)

嫁皇帝:奏者に惚れてた頃から随分変わったな(01:07)

雪融け:今となっては黒歴史よ(01:07)

嫁皇帝:む、それは聞き捨てならんぞ(01:07)

良妻狐:ご主人様にホの字だったのが悪い思い出だったと?(01:07)

雪融け:そうよ。ハクにはとても詳しく話せないわ(01:07)

嫁皇帝:奏者が馬鹿にされている気がするのだが(01:07)

雪融け:そもそも覚えてないのだから、馬鹿にしようもないのだけど(01:07)

嫁皇帝:あれだけやらかしておいて、完全に忘れたというのも許しがたいな(01:08)

良妻狐:禿同です。ご主人様の命まで狙っておきながら…(01:08)

雪融け:もう絶対ないから安心なさい。私はハク一筋だもの(01:08)

良妻狐:ゾッコンですねぇ…(01:08)

嫁皇帝:仲良きことは美しきことだが・・・(01:09)

嫁皇帝:とは言っても、余と奏者の仲睦まじさには敵わぬがな!(01:09)

雪融け:は?(01:09)

良妻狐:は?(01:09)

嫁皇帝:なんだ、反論があると言うのか?(01:09)

雪融け:大ありよ。一番なんて私たちに決まってるじゃない(01:09)

良妻狐:はぁ…まったくこの人たちは…(01:09)

良妻狐:私とご主人様の仲は散々説明してさしあげたでしょうに(01:10)

良妻狐:それでも、勝ると言い張るのですか?(01:10)

雪融け:当たり前じゃないの。貴女たちに負けることは年月くらいよ(01:10)

嫁皇帝:ふ、積み重ねた時間こそが何よりの絆なのだ(01:11)

良妻狐:その通りですよ。ゆえに私とご主人様の絆こそが最強なのです(01:11)

雪融け:熟成しきってるのね。ビンテージかしら(01:11)

嫁皇帝:なんだ、嫉妬か?(01:12)

良妻狐:年月の差は決して埋められませんからねぇ…(01:12)

雪融け:貴女たちこそ妬んでるんじゃなくて?(01:12)

良妻狐:あらあら、一体全体貴女の何を妬んでいると?(01:12)

雪融け:何年経ってるか知らないけど、色々とレスなんじゃないの?(01:12)

良妻狐:面白いことを言いやがりますね(01:15)

雪融け:図星だったから三分も固まってたんでしょ(01:15)

良妻狐:いえいえ、ちょっとごしゅじnさまに呼ばれてただけでうよ(01:16)

雪融け:かなり動揺してるのは伝わったわ(01:16)

良妻狐:同様なんかしてませんよ?(01:16)

雪融け:いや、してるわよ。確実に(01:16)

良妻狐:あ…相変わらず嫌な性格してますね…(01:17)

雪融け:自覚はあるわ(01:17)

良妻狐:そんな性格で、よくそっちのご主人は付いていきますね(01:17)

雪融け:ハクは「それが良い」って言ってたわよ(01:18)

良妻狐:まさか、Mの気が?(01:18)

雪融け:認めてないけど間違いなくね(01:18)

良妻狐:それはまた…相性がよろしいようで(01:19)

雪融け:ええ、勿論。それでいて、頼り甲斐もあるの(01:19)

良妻狐:そして、貧乳好きと(01:19)

雪融け:…それ、どういう意味かしら(01:20)

良妻狐:貴女に惚れるくらいですし、そうではないんですか?(01:20)

雪融け:…今のところ、そういう不満はないけど(01:20)

良妻狐:殿方は惚れた女性に弱いものです(01:20)

良妻狐:奥ゆかしい殿方は不満を口に出さないんですよ(01:20)

雪融け:じゃあ、不満がある可能性もあるってこと?(01:20)

良妻狐:可能性はあります。殿方は大きな乳房に魅力を感じるものですし(01:21)

雪融け:…後で聞いてみるわ(01:21)

良妻狐:それが良いです。って、何かまた指南っぽくなってますね(01:21)

雪融け:まあ…その経験豊富さには感謝してるわよ(01:21)

嫁皇帝:何を言うか! 余と奏者の蜜月は永遠なのだぞ!(01:22)

雪融け:この十分間ずっと固まってたのかしら(01:22)

良妻狐:思いのほかダメージが大きかったんですね(01:22)

嫁皇帝:ちょっと俯瞰してただけだ! 別に、泣いてなどいなかったぞ!(01:23)

雪融け:…なんか、ごめんなさい(01:23)

良妻狐:何故か私まで罪悪感が沸いてくるのですが(01:24)

嫁皇帝:ともかく! そこまで言うならば明日にでも星馳せるが如くだ!(01:24)

良妻狐:私も、ちょっと本気出しますか。明日の夕餉はアレ増し増しです!(01:25)

雪融け:…なんというか、頑張りなさい(01:25)

雪融け:何か騒ぎも大きくなってきたし、私はそろそろ落ちるわ(01:25)

良妻狐:あら、そうですか。其方も頑張ってくださいね(01:25)

嫁皇帝:乙だ。健闘を祈るぞ(01:25)

雪融け:グッバイアルブレヒト、お休みなさい(01:26)

・雪融けさんが退室しました。(01:26)

良妻狐:どうします? 私たちはもう少しお話しますか?(01:26)

嫁皇帝:そうさな。明日の作戦会議でもするとしようか(01:27)

・AUOさんが入室しました。(01:27)

・良妻狐さんが退室しました。(01:27)

・嫁皇帝さんが退室しました。(01:27)

 

 

『KYO-NO WAKAME』

 

言峰

「AUO……一体何者なんだろうな。

 という訳で、随分久しぶりにやってきたこのコーナーだ。

 ナレーションは案の定私がお送りしていこう。

 私の台詞も地味に久しぶりだ。本編で絡んでくれないものか。

 まあ、次章は少しばかり登場するがな」

カレン

「影の薄いNPCも辛いものですね。

 どうも。重大な秘密が明らかになったカレンです」

言峰

「まったく、同じNPCでこの差か。

 いや、まあ、仕方ないが。この物語はCCCゆえにな。

 では今回も、我らが主が迷宮に赴いている間のワカメ君の様子を見ていこう」

先生

「コーナーの内容的に俺がいていいものだろうか。

 というか、初めて三人揃った訳だが」

言峰

「誰かしら仕掛け人になるようなコーナーだったからな。

 まあ、全員いるという事は特に必要がないという事だろう。

 では、見ていくとしようか」

 

ワカメ『……なんだよこれ』

エリザ『見て分からない? ドラクル・ディナー改よ』

ワカメ『……僕にどうしろと?』

エリザ『食べなさい。万全の状態でハクトに出したいの』

ワカメ『僕関係ないだろ! 自分で味見して工夫していけよ!』

エリザ『高貴なる竜の娘が自分で味見なんてする訳ないでしょ。だから貴方を味見役にしてあげたの。さあ、食べなさい』

ワカメ『いや、だけど、これ真っ赤……』

エリザ『食・べ・な・さい! 私の料理を味わえる光栄に喜び咽びながら味わいなさい!』

 

先生

「何をしてるんだアイツは。いや、何をされてるんだと言うべきか」

言峰

「料理の鍛錬は欠かしていないようだな。

 確かに、武の道には犠牲は付き物。彼もその礎になった訳だ」

カレン

「いつから料理はそんな物騒なものになったのですか。

 グルメ時代じゃあるまいし」

 

ワカメ『い、嫌だからな! 紫藤のリアクション見てたけど、常人に食えるものじゃないだろ!』

エリザ『ちょっと暴れないで! そこの……えっと、サーヴァント! このワカメ止めるの手伝いなさい!』

ライダー『アタシ? いや、一応アタシ、マスターだし? マスター守らないといけないって言うか』

ワカメ『だったらこの駄竜どっかにやってくれよ! 何で僕を助けようとしないんだよ!』

ライダー『面白いから』

ワカメ『それでもサーヴァントかよ! ちょ、止めろ! やーめーろーよー!』

エリザ『今よ! 喰らいなさい(物理)!』

ワカメ『むぐ……!?!?!?』

 

カレン

「この光景は間違っても地上波に流せませんよ。

 どうするんですかオンエア」

言峰

「どうにか編集するだろう。私は一切責任は負わん」

先生

「しかもまだ続きがあるのか。尺を考えろ、尺を」

 

ワカメ『……ぜぇ、ぜぇ……あ、危なかった』

ライダー『よく復活したじゃないか、シンジ。さすがはアタシのマスターだ』

エリザ『んー、やっぱり改良が必要ね。もうちょっと食材を増やした方が良いかしら』

ワカメ『そ……そういう問題じゃ』

エリザ『ハクトは日本人よね? じゃあ……ザザムシとか良さげじゃない! 早速調達よ、ドラクル・ディナー改二を今度こそハクトに食べさせてあげるんだから!』

ワカメ『……ざざむしって何だ?』

 

言峰

「ざざむしとはケラの幼虫だ。珍味として一部の地方で食されているらしい」

先生

「ああ、虫嫌いは決して某百科事典のページを開くんじゃないぞ。

 そこまででもない作者も一瞬停止したからな」

カレン

「そしてまた続く、と」

 

ワカメ『あー……まだ喉がイガイガする。これは流石に、紫藤に忠告してやった方が……』

メルト『まーだしらぬー、けしきーのなかで……あら、シンジじゃない』

ワカメ『ん? ああ、お前か。どうしたんだよ、一人で』

メルト『購買にフィギュアを予約に行くのよ。ジャックの八分の一が出るみたいだから』

ワカメ『……あ、そう。なんでサーヴァントのフィギュアが出てるんだ?』

メルト『さあ? 並行世界に英雄やらを萌えの対象にする未来に生きた世界でもあるんでしょ。ところで、密林の商品名に何故少年探偵の名前が入っているのかしら』

ワカメ『知らないよそんなの……そうだ、お前に――正確にはお前のマスターにだけど、言っておかないとならない事があるんだ』

メルト『何かしら? ハクはまだ休んでるわよ?』

ワカメ『だったら忠告しといてやれよ。エリザベートの奴、また料理してるぞ』

メルト『げ……まだやる気なのあのデミドラゴン……助かったわシンジ。ハクに警戒するよう言ってこなきゃ』

ワカメ『あ、ああ……それじゃあ』

メルト『っと、忘れてたわ。フィギュアの予約よろしく。ちゃんとやってなかったら溶かすわよ』

ワカメ『なっ……なんで僕がやらなきゃ……って、もういないしっ!』

 

言峰

「まあ、私はあの場にいないので予約など出来ないがな。

 ワカメ君は本当に苦労人だな。HAHAHA」

カレン

「見ていて飽きませんね、あの少年の振り回されっぷりは。

 外道神父に賛同する訳ではありませんが」

先生

「こいつらは本当に……

 こんな奴らに目を付けられて、アイツも不幸なものだ。

 せめて今回はここで終わってやるか」

カレン

「あら、そうですか。

 五倍くらいやっても良いものを」

言峰

「ほう、その程度とは。似非修道女は存外慈悲深いようだ。

 私であればあの少年を鍛えるべく、十倍は試練を与えてやるが」

カレン

「では、十五倍で。

 うじ虫神父に負けるのは何となく不愉快です」

言峰

「ならば私は二十倍で行こう」

カレン

「それなら……」

言峰

「いやいや……」

先生

「一生やってろ。次に行くぞ」

 

ワカメ『ところで――闇のカプさばはどうなったんですかねぇ!?』

 

先生

「申し訳程度のエイプリルフール要素だな」

 

 

『アンデル先生出張講義 サーヴァントの事聞いてみた』

 

「さて、読者諸君、毎度お馴染みアンデルセンだ。よく分からんが三回目だ。

 この講義ではサーヴァントについて綴る。予めここにFate/EXTRA materialがある。真名は分かっているぞ。

 初めに言っておくがこれはFate/EXTRA CCCで俺が章毎に語るアレほど掘り下げていない。

 まぁそれは作者の頭とかメタ的理由だが。文句や抗議は作者宛に送りつけてほしい。

 と、前回と全く同じテンプレで始めさせていただく。では今回の題目はこれだ」

 

・バーサーカー(赤)

・ランサー(赤)

・セイバー(白)

 

「分かってると思うが、マッスルの方ではないぞ。

 あいつは今頃、P稼業に勤しんでいることだろう。

 さて、では手早く始めるとしよう」

 

『バーサーカー ~裏切りの星に生まれた反骨の将~』

「バーサーカーはラニ=Ⅷと契約したサーヴァントだ。

 その真名は呂布奉先。三国志にその名を輝かせる裏切りの将だ。

 彼の人生は裏切りに塗れたものだった。そして、それを可能にする武功も十分に持っている。

 事実、三国志において呂布奉先は最強とされている。大抵の登場作品群で最高クラスの性能を持っているのも頷けるな。

 軍神蚩尤に準えて作られた方天画戟は、ありとあらゆる攻撃方法に対応している。

 そして、呂布しか駆ることの出来なかった名馬、赤兎の存在。更に、彼の象徴でもある裏切り行為。

 これらの事から、狂戦士だけでなく槍兵、弓兵、騎乗兵、暗殺者の適性もある。広く武芸を極めた戦士であった訳だ。

 当然普通のマスターであれば裏切られて終わりだろうが、どうやらラニ=Ⅷには信頼を抱いているようだな。

 その理由は生前の妻、貂蝉の面影を見たから――理性のある他のクラスでも、裏切っていたかは怪しいな」

 

ハク「先生、彼はどんな英雄なんですか?」

 

「自身を理解し、他者を理解している。戦力や武力というより、器を見る天賦の才を持っている男だ。

 彼は自身の器を完全に把握し、その上で他者の器も把握し、自身が仕えるに相応しくないと判断する。

 それが裏切りの正体、呂布奉先という存在を最も理解しているのは他でもない彼自身だ。

 呂布奉先の器が巨大なことは分かっている。だが、それは決して王の器ではない。

 呂布奉先を征すべき、大いなる器を持つ主君が見つからない。故に裏切る。主を見つけることを出来ずに放浪する孤独の星。

 悲しいものだな。御する騎手がいないために、自身で手綱を握るしかない。

 あの地に生まれるべきではなかった、場違いな武人だ」

 

バーサーカー「■■■■■■――――ッ!」

 

「……何を言っているのか分からんな。

 呂布奉先は最後まで、自身が仕えるべき王の器を探し続けた存在だった。

 だが、同時に強い我欲も持っている。自身を超える武将などいないと確信を持っていた。

 それは紛れもない事実だったのだが、この性質が彼の反骨精神を増長させていたのだろうな。

 例え謙虚な姿勢であっても自身の器を理解している以上、騎手を見つけることは難しいか。

 そんな彼だが、軍師陳宮の合理性には気を許していたらしい。

 自身を一振りの矛として、戦術に用いた彼を、呂布奉先は非常に高く買っていたのだな」

 

バーサーカー「■■■■■■■■■■――――――ッ!」

 

「……語りづらいんだが。どうにかしてくれ。

 この場に呼ぶなら、狂化は外すべきだろうに」

 

 

『ランサー ~請い手に遍く理想を叶える施しの英雄~』

「この作品において、遠坂 凛が契約したサーヴァント。

 インドの巨大叙事詩『マハーバーラタ』に謳われる大英雄カルナがその正体だ。

 その生涯は、終始不幸と陰謀に付き纏われた。世界の伝説を紐解いても彼を超えた悲劇の英雄はそう見当たらないだろう。

 太陽神の子として生まれた彼は、不死を齎す黄金の鎧を纏っていた。

 これが彼の誇りであり、唯一の父との繋がりだった。

 しかし、神の子としての力を持っていてもカーストの底辺に属した身分は大きすぎる枷だった。

 それが異父兄弟であるパーンダヴァの兄弟との溝を深めていくことになる。

 戦いは避けられぬ運命。そして、その運命は何処までもカルナを追い込んでいく。

 鎧を剥がされ、激痛の中生身で戦いに赴いた彼は、それでも同じ位を持つ大英雄相手に善戦した。

 決着を付けたのは、またも悲劇だ。重要な局面で作用する呪いが、勝敗を明確に隔てた。

 正にアルジュナと正反対。アルジュナが全てを手に入れた勝利者なら、カルナは何一つ手に入れられなかった敗北者だ」

 

ハク「先生、彼はどんな英雄なんですか?」

 

「英雄に普通の人格などあろう筈もないが、その中でもカルナは一線を画しているな。

 あらゆる物事を「それもあり」と判断する。善も悪も、彼の前では全て等価値に映るのだ。

 それぞれには、それぞれの良さがある。彼に善の理念は分からないし、悪の理念も分からない。

 価値の高低はなく、全ての色は同じ。故に彼は、自身の中に重視すべきものを持たない。

 故に、人を見る目は全くないというべきか。それが彼の、何よりの長所でもある。

 聖杯戦争においては、マスターの望みを叶えることだけを目的とし、マスターの槍に徹する。

 そして、その実力では全てのサーヴァントの中でも最上位に位置する。

 自身の意見を通したい高飛車なマスターにはこの上なく理想的なサーヴァントだな。

 まあ、そんな器ではどうせ大したところまで勝ち進めないだろうが」

 

ランサー「ふむ。それが悲壮の人生で培った見聞か。あらゆる人間を見て現実を語る物語を紡いできただけのことはある」

 

「……と、悪気のない嫌味を真正直にぶつけてくるのも、カルナの人格によるものだ。

 彼に欺瞞は通用しない。その瞳に捉えられた瞬間には、深みまでを理解されている。

 そして口から発される言葉は意図せずして槍のような鋭さを持つ。

 欺瞞を切り捨て、虚飾を払い、率直さを極めた彼の言葉は人の本質を正確に突いてしまう。

 相手が隠していたい事をズバリ口に出してしまう訳だ。

 だからこそ、敵を作りやすい。聖人然とした性質ゆえに核心を突く悪人に見える。

 処世術をまったく知らないんだ。いや、学ぼうとしなかったというべきか。

 生涯潔癖を貫いたカルナは、英雄譚の影に隠れる弱者の価値を問う機会に恵まれていた。

 故に培われた、どんな英雄とも違う異質な価値観。それがカルナの人格を形作っている」

 

ランサー「……自覚はないが、お前がいうならそうなのだろう。処世術か、今後の課題だな」

 

「とはいっても方法が分からんだろうがな。お前は多分、そのままで良いだろうよ」

 

 

『セイバー ~主君に誉れを捧げる太陽の騎士~』

「レオナルド・B・ハーウェイと契約したのがセイバーだ。

 真名はガウェイン。かの円卓の騎士の一人であり、アーサー王の片腕とまで言われた太陽の騎士だ。

 太陽の騎士と呼ばれる所以は聖者の数字と聖剣ガラティーンにある。

 太陽が昇っている間、力が三倍に跳ね上がる特性。そして、太陽の聖剣とされるガラティーン。

 アーサー王が月を象徴する騎士であれば、ガウェインは太陽を象徴する騎士。

 王の影とされる彼は、実力も円卓最強に名高いランスロットに次ぐと言われている。

 聖者の数字の加護下であれば、アーサー王にも勝る力を持つ。

 忠節の騎士であった彼だが、ランスロットに兄弟を殺された恨みを忘れることが出来なかった。

 その私怨が、最後までランスロットとの敵対に繋がり、あろう事かアーサー王の戦死にまで繋がってしまう。

 彼が全てを許していれば、ランスロットはカムランの丘に馳せ参じていたかもしれない。

 モードレットら反乱軍にアーサー王が討ち滅ぼされることもなかったかもしれない。

 そんな後悔が、サーヴァントとしてのガウェインを成り立たせている」

 

ハク「先生、彼はどんな英雄なんですか?」

 

「全てを主に捧げた騎士。私情を挟まず、王に采配を委ねた忠実な剣。

 主の決定こそが彼の決定であり、異を唱えるどころか意見を述べもしない。

 主君に対して是としか答えない筋金入りのイエスマンだ。

 物事から目を背ける人間は幾らでもいよう。だが、自分から目を閉じて、何があっても開こうとしない堅物はそうそういない。

 こいつはそれに該当する。盲目的なまでの忠誠心はいっそ意地にも見える。

 忠実でいたい忠実でいたいと駄々をこねる子供のようだ。完成された騎士とは皮肉にしか聞こえん。

 そこまで意固地になるのは、生前の後悔ゆえか。

 自分のしょうもない私情が王を没落に導いた。だから今度は、私情の一切を取り払おう。

 極端なんだ。真反対に行動すれば成功するとも限らないだろうに」

 

ガウェイン「……随分と回る舌をお持ちだ。王に仕えるのが騎士の喜び。それは貴方には分かるまい」

 

「ああ、分からんさ。だからこれは全て俺の主観だ。元々そういうコーナーだしな。

 このようにガウェインは主に仕えることを至上としている。

 揺るぎない盲信。正に飼い犬だな。いっそ清々しいまでに我を殺した徹底さだ。

 何を思っていようと口には出さない。主への助言すら駄目だと思っている。

 それでは真に忠誠とは到底言えないと思うがな。その辺りの価値観は、俺には分からんが。

 不器用な男だと思うぞ。主との正しい関係を築くことが出来ないのだな。

 いや、見事なまでの忠義の騎士だ。まったく面白みがない。とてもじゃないが、お前を題材に物語など書けよう筈もないな」

 

ガウェイン「元より、依頼するつもりもありません。私に対する批評は結構だ。早く終わらせてもらいたい」

 

「言われずとも。お前を語るにはありきたりすぎて言葉が出てこない」

 

「今回はこんなところだ。

 EXTRA編までの登場サーヴァントはこれで終了だな。救世者? 誰だそれは。

 残るサーヴァントも少ない。どうにか終わることができそうだ。

 ちなみに――アルターエゴの批評は予定していない。悪しからず」

 

 

先生「アイツらはどうやらいなくなったようだな」

メルト「そうみたいね。流石に後半にまで出張ってくることは避けてほしいわ」

ハク「出番が終わったら終わったで散々な扱いだなぁ……」

先生「まあ、茶番だしそういうものだ。さて、残りの茶番も二回。そう考えると、どうにも感慨深いな」

メルト「最後まで来ると、どうももう少し長引かせたいと思うようになるわね」

先生「それでも完結する喜びには変えられん。では、終わるとするぞ」

ハク「それじゃあ、八章章末でまた」

メルト「グッバイアルブレヒト。お付き合いいただき感謝するわ」

先生「ご苦労だったな。年度の初めという事もあり慌しい者もいるだろう。無理をしすぎるなよ」

 

 

 

 

メルト「で、何でこんなに遅くなったのかしら?」

先生「ちょっと昔馴染みの性悪のところに行っていた。最後の最後にようやくまともに語りだしたから戻ってきたんだ」

ハク「ああ、あれか……そういえば、何時の間にメルトはアイドルに?」

メルト「せっかくの芸能関係のお祭りに私がいないのは考えられないもの。サラスヴァティー的に」

ハク「A.l.T.e.rは今回の活躍はなかったけど……」

メルト「ツイッターとかやった方が良かったかしら」

ハク「もしくは、ファンクラブHPをワサビに占拠させるとか」

先生「去年と同じようなこと言ってるな」

メルト「まあともかく、インペリアル・ローマはアレで大分傾いたし、あそこに居ても仕事は入ってこないでしょうね」

ハク「……というと?」

メルト「自立するわ。月を融かすアマリリスアイドル『A.l.T.e.r-S』として」

先生「ああ、あくまでネタを利用したネタだ。読者諸君は真に受けないように」

メルト「そうと決まれば、早速仕事を取りに行くわ。アイドル稼業に勤しむわよ、マネージャー」

ハク「え? 何、僕?」

メルト「そうよ。さあ休んでいる暇はないわハク、出撃よ。ニキニキと張り切って、ゴーゴーよ」

ハク「ちょ、待っ、色々混ざりすぎ……メル――」

先生「……まあ、エイプリルフールネタは前書き後書きに散々書いているだろうし、茶番でのネタはこの辺りで良いか。今回の短編は終わりだ、改めて、ご苦労だった」




今年の型月はツイッターでしたね。
絶え間なく更新される企画だったため、PCとiPhone一日中動員させて張り付いてました。
やはりツイッターは時間を空けると追いつくのが困難ですね。寝不足です。
というか、ネタが多すぎて感想が書ききれません。とりあえず、スパPの一連のくだりで死ぬほど笑いました。
そして、インペリアル・ローマネタで一番ツボだったのがYARIOです。
もう何か色々じわじわ来すぎて他が頭に入ってこないレベル。フラガトマト食べたい。
絶対誰かがSS書きそうと確信があります。というか誰か書いてください。
ところで……後一つアカウント残ってません? 何があるんです?

あ、今回の短編はエイプリルフール前に書き終えたものなので、ちょっと改稿しただけでエイプリルネタは控えめです。
チャットルームも、アイドルネタ入れても良かったですねえ……
そんな訳で次回から八章です。いよいよ佳境に入ってくる物語、お付き合いいただければ幸いです。

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