Fate/Meltout   作:けっぺん

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この短編の時間軸はNo Past.くらいのときです。
ローズと会って戻ったくらいのときからの分岐と思ってください。
あくまでも番外なので本編とは一切関係ありません。


chapter-5/ground.

 

 

『クリスマス・ムーン』

 

「おお、ジングルベル! おお、ジングルベル! 鈴がぁ鳴るぅぅぅうううううっ!」

「いや、そんなシャウトな歌だったっけ……」

 独自のアレンジが加わったガトーの歌に指摘をする。

 さて、普段一切の自重をせず、空気の読めない発言を繰り返すガトーであるが、今回は珍しく違う。

 ……いや、少し訂正。一切自重をしていない事は今も変わりはない。

 しかし、空気及び時期としては特に間違ってはいない。

 レオが言うには、今日はクリスマスらしい。

 月の裏側に来てから時間の流れが分からず、正確な日付も分からなかったが、どうやらレオは取り戻した記憶から経過した日付を計算していたとか。

 レオだけの証言では怪しいものだったが、ユリウスやダンさん、ラニも同じように計算していたようで、そのことから暫定として旧校舎は今日をクリスマスとしたのだ。

 この状況でそれが分かったところで、特に意味はない……筈だった。

 そんなほぼ全員の共通の見解を覆したのは、レオの鶴の一声。

 

 ――今日くらい、休憩をしましょう。旧校舎は今日一日、祭日とします。

 

 セブンレイターも送られてきた。僕は本当の記憶を取り戻した。

 一刻も早く表側に戻らなければならない状況だが、たまには全体で休憩を挟むのも確かに正しいかもしれない。

 という訳で、旧校舎は一気にクリスマスモードに転換。生徒会は各々が準備をしているのだ。

 生徒会といっても、例外が二人だけいる。

「てっぺんのお星様はあたし(ありす)が付けるわ」

「いいよ。なら、わたしたちはモールを付けるね」

「じゃああたし(アリス)は雲……あれ? お姉ちゃん、雲は?」

「雲ならここだ。高いところに置くときは私が持ち上げてやろう」

 きょろきょろと辺りを見渡すアリスに、アタランテが綿の塊を手渡す。

 生徒会室の片隅に設置された、大きなクリスマスツリー。

 まだ未完成であるが、現状でも彩り豊かな飾りは気分を高揚させる。

 ツリーの飾りを担当しているのはありす、アリス、ジャックの三人。監督として、アタランテが面倒を見ている。

 どうやらBBの配下であった時からアタランテはジャックの面倒を見ていたらしい。

 この旧校舎に来てからはありすやアリスの世話もするようになっており、彼女が来てからありすとアリスが生徒会室に来る事があまりなくなったとレオが言っていた。

 ジャックは子供のサーヴァントとしては少し特殊な存在だが、そんな事は関係なく精神年齢の近さからかありす、アリスとすぐに仲良くなった。

 三人の手の届かない箇所の飾りをアタランテは三人の指示で付けている。

 結果として子供らしい、ある種理想的なツリーになっている。

「ハクトさん、図書室の方もお願いします」

「了解」

 僕とレオは校舎内の装飾をしている。

 簡単なプログラムであり、このくらいならば僕にも出来るので担当した仕事だ。

 レオも担当しているが……彼は総監督も兼任しており、それを理由にして地味にサボっている気もする。

 まあ、指摘はすまい。楽しむべきイベントなのだから、小言を言うのは野暮というものだろう。

『レオ、外の支度も終わった。確認は必要か?』

「ああ、兄さん。さすがの仕事の速さですね。ではハクトさんを向かわせます」

『分かった』

 図書室の装飾を終えた頃に掛かってきた通信は、ユリウスのものだ。

 ごく短い応答でそれは終了し、どうやら次の仕事が決まったらしい。

 最低限、その本人に確認くらいはしてほしいものだとも思ったが、まあ別に断るほどのものでもない。

「……という訳で、ハクトさん」

「外だったね。すぐ行ってくるよ」

 外――校庭では、ユリウスとダンさんが作業をしていた。

 その仕事の成果は、実のところ見に行くまでもない。

 この生徒会室の窓からでも十分に見れるからだ。

「わあ、雪だ雪! あたし(ありす)と同じ、真っ白よ!」

「おっ……と。ありす、先に星を付けてからにするのだ。ツリーが完成せんぞ」

 ツリーの頂点に付ける星を持ちながらはしゃぐありすを持ち上げていたアタランテが諭す。

 いつの間にか綿とモールでより完成に近付いていたツリーは、ありすが頂点に星を置くことでようやく完成した。

 下ろされたありすは完成した喜びもそこそこに窓の方に駆けていく。

 それに付いていくアリスとジャック。アタランテは苦笑しながら「元気なものだ……」と呟いた。

「ハクトさん?」

「ああ、ごめん」

 一応頼まれた仕事はやり遂げなければならない。

 必要性は薄いが、それでも直接その成果を見ておいた方が良いだろう。

 生徒会室を出て、階段を下りる。

「さすがだよ、コトミネ。購買だというのにこんなものまで仕入れているとはね」

「一店員として、年末商戦には力が入るものだ。でなければ、BBに感知されるギリギリの線にまで忍び込んで仕入れ活劇を繰り広げたりしないさ」

 外に出るために必ず通らなければならない購買の前には、何やら綺麗に装飾された箱が三つあった。

「キャスター、それは?」

「ん? ああ、ハクト君か。これはありすたちへのプレゼントだよ。クリスマスのムードならば、私も是非それに倣おうと思ってね」

「そして、私はそれを仕入れてきたということだ。君もどうかね。女子受けの良い品物も各種取り揃えているが」

 どうやら、キャスターはありすたちへのプレゼントを買いに来たようだ。

 ジャックが来て以来、キャスターは彼女に対しても良く面倒を見ている。

 何故彼がサクラメントを持っているのかという疑問は置いておくとして、問題は言峰だ。

 先程年末商戦がどうのと言っていたが、その言葉に偽りなくいつもより張り切っているように見える。

 普段はジャンクフードやら文房具やらが置いてある棚には所狭しと“らしい”品物が陳列されている。

 赤と青、対照的な二つの色がメインとなっているパッケージのゲームソフト。

 色とりどりな列車と金色のターミナル。どうやら合体したり変形したりするようだ。

 赤を基調とした猫のようなキャラクターのぬいぐるみ。

 羽の生えた輪の中に星という飾りが先端についた、桃色のステッキ。

 そして「目玉商品」と銘打たれた本。どうやらシリーズものの最終巻らしい。「邪竜と聖女」……何故売ってるのだろう。

 その他、大小さまざまな品物。大して人数もいない旧校舎だというのに、ここまで仕入れる必要はあるのだろうか。

「……じゃあ、一つだけ」

 多くの品物の中からとりあえず、一つを選出した。

「毎度ありがとう。50000smになります――あたため」

「ません」

 随分と値が張る気もするが、言峰は偽りを吐かないAIだ。まあ妥当な値段なのだろう。

 料金を渡す際言峰が舌打ちした気もするが、きっとそれも気のせいだ。

「それでキャスター。プレゼントは持ち帰りか? 個室への配送サービスも行っているが」

「ああ、直接手渡すよ。今日一日、私はあの子達のサンタクロースとなろう。それに、コトミネに任せていたら子供たちの手に渡る頃には年が明けてしまいそうだ」

「ふふふ、違いない」

「否定をしない辺り、本当に性質が悪いな」

 談笑を始める二人。妙な組み合わせではあるが、意外と仲が良いのかもしれない。

「君はどうする? 個室に転送しておくかね?」

「そうですね――まだ仕事もありますし、お願いします。今すぐに」

「了解した。遅れたら――」

「今すぐに、お願いします」

 何かまた言おうとしたようだが、それを阻止して念を押しておく。

 プレゼントはメルトへのちょっとしたサプライズ。AIなのに勘の鋭い言峰ならば察しただろう。

 ならば、遅れるようなことはない筈だ。ちなみに――プレゼントの内容は一切描写しない。購買の商品棚に収まる程度のもので各自、自由に想像してほしい。

 さて、これ以上ここで時間を潰すわけにもいかない。そろそろ仕事に戻らなければ。

「じゃあ、これで」

 話を続ける二人から離れ、昇降口から外に出る。

「む、来たか。随分と遅れていたようだが、何かあったか?」

「ごめん、ユリウス、ダンさん。特に何もないよ」

「そうか。全体的に準備は順調なようだな」

 二人の成果は、見事なものだった。

「教会があれば、儂は職務を辞退していたのだが。そういった意味では、月の裏側でこの日を迎えられて良かったかも知れんな」

「神様への祈りならいつもしてるだろ? こういうのは楽しむだけ楽しんで、いつもやってることは後回しで良いんだよ」

「そういうものか。まあ、年甲斐にもなく心が躍っているのは否定せんが」

 ユリウス、セイバー、ダンさん、アーチャーは自身が施した細工から逃れるように昇降口前に避難していた。

 それでもある程度、自身たちで感触等を確認していたのか肩が薄らと白くなっている。

「凄いな……冷たいし、ちゃんと溶けるのか」

「本格的に作れとレオの達しでな。あまりこういったことは得意ではないが」

「特に不自然な箇所はない。上々な仕上がりだ」

 セイバーの言葉にユリウスは頷く。

 確かに、二人の仕事の成果には、たった一言も文句の付けようがない。

 一面の雪景色。それに、今まで色の一切変わらなかった夕焼け空は夜空へと変貌している。

「うん、問題ないよ。戻ろう。そろそろ凛たちの準備も終わる筈だし」

 凛たち――というか、生徒会の女性陣全員は後一つの仕事に取り掛かっている。

 何故かメルトもそちらに向かっているが……大丈夫だろうか。

 

 

「焼き上がりました。ラニさん、画像通りに飾りつけ、お願いしますね」

「任せてください。一ミリもズレ無く仕上げて見せます」

「い、いえ……そこまで几帳面にならなくても……」

「私に任された以上、完璧にこなすのが当然です……ところで、このサンタクロースの砂糖菓子には意味が?」

 生徒会に所属する女性陣は現在、ある種最重要と言っても良い仕事に取り掛かっている。

「チキンも焼き上がったわ。シラハ、そっちはどう?」

「ばっちり。もうすぐ出来上がるよ」

 即ち――料理。クリスマスという日があるのならばパーティが行われるのは必然であり、パーティがあるならば料理が並ぶのは必然なのだ。

「カズラ、凄いじゃない。上手なのは和食だけじゃないのね」

「ふふ。見た目で判断するのは良くありませんよ。料理スキルは和洋関係なく発揮されるのです」

「ってか、カレンも料理出来るのね」

「健康管理AIですから。サクラが出来ることならば、最低限わたしも出来ます」

 サクラ、リン、ラニ、シラハ、カズラ、カレン。

 五人はそれぞれの役割を分担して、早いペースで料理を仕上げている。

 この分ならば、定めた時間内に余裕を持って終われそう――だけれど、一つだけどうしても気になるところがある。

「……リップ。シラハって、料理出来たの?」

「そ、そうみたい……やってるの、全然見たことないのに……」

 そう。シラハが料理が出来るという点だ。

 それも、最低限ではない。サクラやカズラ、とまではいかないけど、リンに匹敵する程度にはそつなくこなせている。

「えー、私だってこのくらいは出来るよ」

 聞こえていたらしく、最後の仕上げに取り掛かっていたシラハが不満げに言ってくる。

 その姿に、正直言いようの無い不安を感じた。

 シラハが最後の砦だった。

 リップは論外としても、シラハさえ……であれば私も少なからず安心出来るというのに……

 これまでの調理工程は全部見ていたし、基礎やら何やらも覚えたつもり。

 でも、如何に知識を付けたとて埋められない穴がある。

「……手さえ自由なら良いのに」

 そう。ご存知かもしれないけど、私は手が自由に動かない。

 というよりは、全体的に神経が通ってないんだけど。手――指先はその中でも最たるもので、何かに触れている事を感じることさえ出来ない。

 これはデメリットにしかならない。

 ハクに触れていても分からないし、今みたいな絶好の機会に料理に挑戦することさえも出来ない。

 口惜しい。やっぱり、ハクも料理が作れた方が良いと思ってるのかしら。

「……その必要はないと思うが」

「え?」

 私たちと同じく、調理を見ていたランサーが唐突に口を開いた。

「あの男はお前の特性を知っていて尚好いているのだろう。ならば、無理をしてまで料理を覚える必要はないのではないか?」

「……そういう問題じゃないのよね」

 まあ、融通が効かないというかお堅いところのあるランサーだし、分からないのも無理はないけれど。

「リップ、貴女は?」

「……カレーくらいなら」

 負けてる。まさか、あの腕で料理が出来るなんて……

 出任せかもしれないけど、本当だった場合立つ瀬がない。

 今回はもう仕方ないとして、どうにかしないと。

 感覚はなくても物を持つことは出来るし、練習すれば料理の一つくらい、出来るようになるかしら。

 カズラ辺りに頼むのは……癪だけど、黙っていてくれそうだし……

「――よしっ、完成ね! 皆、生徒会室に戻るわよ」

 と、考えている間に完成したみたいね。

 とりあえず、ハクのところに帰りましょう。向こうも仕事が終わった頃でしょうしね。

 

 

『メリークリスマス!』

 生徒会メンバー全員が揃ってから、パーティは始まった。

 他のマスターたちにも声を掛けたのだが、何だかんだ理由があるらしく来ることはない。

 そんな訳で、生徒会にありすたちを加えたかたちでの特に纏まりのない食事会のようになっている。

「メルトも食べる?」

「え……ええ」

 手が不自由で食べづらいだろうメルトに食べさせる役目は当然ながら僕が担っている。

 いつか、個室の件では恥ずかしさがあったが、記憶を取り戻した今では別にそんな気はない。

 料理の量は、旧校舎の全員が集まることを想定していたからかかなり多い。

 マスターたちだけでなくサーヴァントたちの分も作られているため彼らも適当な料理を摘んでいる。

「これは……是非とも、王に食してもらいたいものです……!」

 特に高揚しているらしいガウェインは現代の食事に感嘆している。

「ふむ……素晴らしいな。オレの時代とはまた違う」

「ああ。口に合わないかもしれんと思ったが、そんな事はなかったか」

 鎧を纏ったランサーとセイバーが食事をとっているのはどこかシュールに感じるが、楽しんでいるようだし気にしないようにしよう。

「メルト、どう?」

「えぇ……美味しいわ」

 まぁ、僕が感想を聞くのも変かもしれないが。

「……ところで、ハクト君?」

「ん、何?」

 そんな中、凛から声を掛けられる。

 気づくと、何故か皆が此方を見ていた。

「なんで、メルトちゃんを膝に乗せてるの?」

 白羽さんの問いは凛のものを引き継いだようで、凛も頷いていた。

 この場にそぐわないとか、そういう理由だろうか。

「なんでって……メルトに食べさせやすいし」

「ず、ずるいっ、メルト、私も……」

「イヤ」

 ずるいって……リップも白羽さんに食べさせてもらっているし、同じ状況だと思うのだが……

「……まあ、今日くらいは良いでしょう。今日くらいは」

「ちっ……」

 何故か溜息を吐きながら、ラニが言う。

 カレンが赤い布を取り出しかけていた気もするが、きっと気のせいだ。

 間違いない。あんなものが二枚もある訳がない。

「んぐ、ん……っ!」

「ジャック、大丈夫?」

あたし(ありす)、ケチャップがついてるわ」

「ははは、落ち着いて食べなさい。料理は逃げないよ」

 皆、思い思いに楽しんでいる。

 これで、明日以降も頑張ることが出来る――表に向けて、また迷宮を攻略する日々が始まるのだ。

 だから、今日は全力で楽しもう。

『って、一向に来ないと思ったら……パーティ? パーティ!? 何してるんですかセンパイたち!』

 とその時、どこかから声が聞こえてきた。

『ノート! この際構いません、倫理とかルールとか普段の制約とか全部抜きにして私を転送しなさい!』

本気(マジ)ですか……まあ、構いませんけど。でしたら、皆ご一緒に』

 そんな、明らかに聞き覚えのある声が一旦途切れると生徒会室に何かが転移してきた。

「はーい! BBちゃん、登場です!」

「お邪魔しますわ」

「お招きいただきありがとうございます」

「こんばんは。メリークリスマスだよ」

「せんぱい、ここにいるの?」

「私も来たわ! パーティにアイドルが来るのは必然よねっ!」

 BB、ノート、ヴァイオレット、ローズ、プロテア、エリザベート。

 プロテアは小さな穴から目だけを覗かせているような状態だ。

「……」

「桜属性大集合ですね」

「お、お母様! 何しに来たんですか!」

 焦った様子のカズラだが、BBには一切の動揺が見られない。

「皆さんがパーティをしているようなので、からかいに来ただけです」

「どうせなので、参加させていただければと」

 頭を下げるノート。全員で顔を見合わせ、どうするべきか、と無言の話し合いが始まる。

「…………まあ、AIは嘘を吐かないらしいですし、良いでしょう」

 レオの決定は全員共通の見解だ。

 というより、断って更に厄介を呼ぶよりは大人しくしてて貰った方が良いだろうということだが。

「会長さんの許可も得られたし、遠慮な――」

 どこか嬉しそうなBBの視線が此方に向けられた。

「……センパイ? なんでメルトを膝に乗せてるんですか?」

「あらあら……また自分から地雷を……」

「まったく、また面倒ごとになりそうです……」

「センパイ、ボクの前でそんな事するなんて、何考えてるの? その女ごとお仕置きされたいのかな? かなあ?」

「せんぱい……わたしも……」

「しゅ、主役の席だっていうのなら、私が代わってあげても」

「イヤ」

 ……ああ。

 最善の手を打ったつもりだが、それでも僕限定で厄介なことになっている。

 何故僕だけ……そんな事を考えながら、目を閉じる。

 この良く分からない危機を逃れて、これより先を楽しむにはどうすればいいか。

 現実逃避気味な思考に、自然と自嘲の笑みが浮かぶ。

「……めりーくりすます」

 呟かれた言葉は、霊子の海に消えていった。

 

 

「……で、シンジさんクン、参加しなくて良かったッスか?」

「……良いんだよ」

「素直じゃないねえ。今からでも一言言えば、参加させてくれると思うよ?」

「仲間、大事ダヨ?」

「うるさい。ってか、なんでお前もいるんだよ」

「妻とて彼らに遠慮したのだ。ここに来るのは必然だろう――妻よ、ここは罠を仕掛けようぞ」

「ゥゥ……」

「そうッスね。まあ、この部屋貸してやってるんだし、文句は言わずにクエ進めるッスよ」

「ってかライダー。お前結構上手いな。ダメージ喰らってないし」

「ヘイト貰ってないだけだけどねぇ。まあ、サーヴァント唯一のプレイヤーとして、無様な真似はしないよ」

「まったく……狭い部屋に集まってゲームなんて、こんなクリスマス、まるで非リアじゃないか。ほら、尻尾切ったぞ」

「非リアも非リアッスよ。まあそれでも、向こうの連中が何かしら手を回すだろうけど――ほら、料理来たッス」

「……まあ、食ってやるか。せっかくくれたんだしな」

「あ、天鱗出た。落し物でも出たし、良くでるものなのかい?」

「……センサーを越える幸運ッスね」

 

 

「む、終わったか。随分賑わっていたな。束の間の安息か」

「あらあらまあまあ。アンデルセンも参加したかったのではなくて?」

「それはお前にも言えることだろう毒婦め……まあ良い、終わらせるぞ」

「お二人を呼ばないんですか?」

「あのサクラーズのど真ん中に飛び込む勇気など持ち合わせていない。令呪でも使うか?」

「そんなリスクの高い締め方だったらいいです……では、終わらせるとしますか」

「ああ。キアラ、お前が二人の代役だ。先に行け」

「はい。では、六章章末でまた。ぐっばいあるぶれひと……お付き合いいただき、感謝します。まあ、私は次回の章末には参加しないでしょうけど」

「ご苦労だったな。毎日冷え込みが厳しいだろう。年末年始の忙しさもある。体を壊すなよ」




中枢での話かと思った? 残念! カオスでした!
とりあえず、生存組(+キアラ)でのお話となりました。
全員最低一言は喋ってる……よね?
という訳で、皆様、メリークリスマスです。この短編をプレゼントというカタチにしたいと思います。

次回からは六章。
さてさて、誰が衛士になる事やら……

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