そんな意気込みで……ガチャを引くっ!
ホルス「うっす」
ロード「やあ」
から揚げ「うぃーwww」
ヨトゥン「ちゃお☆」
メロン「あ、どーもw」
うわあああああああああああああああああああああああああああホルスああああああああああああああああああああああああ
友人のサラスヴァティー率ぅああああああああああああああああああ
アルジュナも去り、この場には四人しか残っていない。
此方の損傷は少ないものではないが、迷宮を突破した訳ではないのだ。
『大事はありませんか? 特にランサーとメルトさん、お二人は宝具の雷撃をまともに受けていたでしょう』
「問題ない」
「結構厳しいけど……ま、大丈夫よ。ただ、ハク。回復お願いできるかしら」
「っ、メルトごめん!
ノートを撃退したことで緊張が解けていた。
メルトは雷の槍による攻撃を正面から受けている。ダメージを受けていて当たり前だ。
治療のコードキャストは傷を癒しこそすれど疲労感を和らげることはできない。
『臓腑を灼くセイレーン』で多少は傷を癒せても限界はある。
それに、どちらにしても攻撃の痛みによる精神的苦痛は回復できない。だからこそ、早くコードを掛けるべきだった。
「気にしないで。サーヴァントだもの、平気よ」
強気に笑うメルトだが、きっと少なからず無理をしていただろう。
今は迷宮攻略中だ、仕方ない。だが、旧校舎に戻ったら謝っておかなければ。
『では、お疲れとは思いますが引き続き迷宮探索をお願いします。ただ、サーヴァント戦になるようであれば一旦引き返しても構いません』
レオのそれは急いているようで、安全を重視している。
此方の体力状況をしっかり考えているのだろう。
「分かったわ。行きましょ、ハクト君」
「あぁ」
気を引き締めなおす。
ここからは迷宮探索に集中しなければ。
もうノートの襲撃はないだろう。不安な要素はまだあるが、とにかく進むしかない。
『左はただの宝箱、右はただの行き止まりッス。探索なんてマジ無意味。だから今すぐ帰りなさい』
そんな看板は、左右二手に分かれる道に忽然と立っていた。
迷宮に跡付けで設置されたものだ。どうやらこれは、ジナコの心が迷宮に反映されているようだ。
付近にはシールドも見えている。やはり、先に進むにはSGが必要だ。
「仕方ないわね。ジナコにも恥ずかしい思いをしてもらうしかないか」
……凛が迷宮に同行した理由は本当にノートを討伐するためなのだろうか。
どうも“辱める”側に立ちたいだけのような気がしてならない。
「……どうするの? 馬鹿正直に信じるなら、当たりのない道になるけど」
「ここまでは一本道だったし、どっちかは正解なのかな」
どちらかが間違っていて、そちらを進んでしまったとしても戻れば良い話なのだが。
問題は、どちらかに罠が仕掛けられている可能性。
それが取り返しのつかないものだった場合を考えると、やはり慎重に選択する必要がある。
「ジナコの腕で罠が仕掛けられるかって疑問もあるけど、注意は必要ね」
「宝箱って表現の辺り、左は怪しそうだけど」
確かにサクラ迷宮には自然発生したアイテムフォルダが存在する。
だが、それは表にもあった存在。宝箱と称する程のものでもないといえる。
「桜、この先の解析って出来るかな?」
『え? あ、はい。ちょっと確かめてみますね』
まぁ、こんな構造をしているのならば、そんな事は出来ないように設定されているんだろうが……
『カズラ、手伝ってください』
『分かりました。スキャン、開始……』
『……完了。シールドの先以外の構造は把握できました』
「えっ」
……まさか、出来たのか?
看板を立てて攻略を面倒にしている、と思わせておいてその実態は解析可能な迷宮。
そもそも、ジナコは解析可能だという点を把握しているのだろうか。
『センパイ、十階のマップ情報、送りますね』
「あ、あぁ……」
送られてきたマップ情報を確認する。
案の定、正解のルートは右。左には罠があるだろうと思っていたが、何も無いただの行き止まりだ。
「何これ……単純な嘘じゃない。こっちの攻略時間を延ばすことが目的かしら」
「そこまでジナコ=カリギリが企てているとも思えないが。いや、爪を隠した鷹という可能性もありうるか」
凛の予想が当たっているとすれば、早く進まなければならない。
幸い迷宮の情報も手に入った。これならば先に進むのに苦労はない。
「よし、急ごう。SGの手掛かりも見つけなきゃ」
進んでいくと、道中いくつも看板が立っていた。
『ここは敵が一種類だけの、退屈なダンジョンッス。だから今すぐ帰りなさい』
そんな看板の先から、エネミーのパターンが増えた。
道を塞ぐほどの巨体を持つエネミーもいたが、しかし戦闘能力は大した事はない。
三体目の巨体エネミーをランサーの槍が貫く。更に放出した炎でその体は完全に崩壊した。
中には戦闘を開始するとエネミーの形状が変化するというギミックもある。
これも、SGの手掛かりになるのだろうか……?
『この先、隠し通路ばかりの迷路ッス。だから今すぐ帰りなさい』
これ見よがしに短い袋小路が多くありながら、隠し通路らしきものは一つも見つからない。
どころか、単純に直進すれば良いという単純な構造。
『この敵には絶対勝てないッス。だから今すぐ帰りなさい』
たった一体配置された敵は、メルトの一撃で消滅した。
今までと何ら変わりない、極普通のエネミーだ。
『この先、立ち入り禁止ッス。だから今すぐ帰りなさい』
「……これは」
「要するに、こっちに来いって事かしらね」
大体、この迷宮の仕掛けが分かってきた。
この看板の内容は嘘ばかりだ。Aと書いてあればB、Bと書いてあればA。逆に、騙される人がいるのかと言うほどの単純さ。
「ここにも……『ジナコさんは男の子なんで心配無用ッス』……大体分かってきたかもね」
「……うん」
ジナコのSGは大体想像がついた。
だが、何故そんな秘密が生まれたのだろうか……
『扉を開けるには【とうぞくのカギ】が必要ッス。だから今すぐ帰りなさい』
そんな看板と共に、道が塞がれている。
「鍵……?」
「鍵が無ければ扉は開かない、と虚言を張ってまで欲しい代物なのだろう。探してやったらどうだ?」
「いや、そういう解釈じゃないでしょ……」
欺瞞の通じないランサーの意外な天然ぶりに驚きつつも扉に手を掛けると、いとも簡単に開いた。
勿論、とうぞくのカギなるアイテムは所持していない。
しかし扉は開く。これが指し示すところ――SGも、確信が掴めてきた。
『中ボス様、全裸待機中。こいつヤバイ強いッス。だから今すぐ帰りなさい』
一昔前のスラングも交えて書かれた看板だが、その実態は先程と何ら変わりない。
戦闘開始と同時に姿を変えるエネミー。それも、道を塞ぐほどの巨体から小型エネミーへ。
メルトとランサー、二人で戦うまでもない。
どころか、凛の弾丸一発で半壊するほどの脆さ。
全体的にエネミーのレベルは二階層よりも低いだろう。
三階層はカズラが衛士であるという影響からかエネミーも皆無だったが、今回はエネミーのランクが全体的に低いようだ。
『直行、直進、ストレート。何でも素直が一番です。だから今すぐ直帰しなさい』
「……そんな事書いておきながら、ここにきて入り組んでるじゃないの」
凛の呆れ声の通り、その先はまさに迷路といった構造になっていた。
だが、此方は既に迷宮の把握が完了している。
進むことに問題はないが、今までの傾向からするとこの看板の記述は……
迷路を抜けた先に、また看板が一つ。
『この先には何もないッス。だから今すぐ帰りなさい』
だが、道は続いている。
何もないどころか、先に進む道はこれだけだ。
『あ、この先にBBの反応があります』
「ッ――!?」
「嘘っ、ランサー!」
『ええ、嘘です。ちょっと便乗してみました』
「この馬鹿会長は――!」
「……」
そんな、自重しないレオの暴走ぶりを久しぶりに感じながらも迷宮を進む。
そして、最後の看板が見えてきた――
『この先に足を踏み入れると、死ぬッス。これは本当ッス。忘れちゃいけない、残機は一つッス』
「――――」
思わず、その記述に息を呑んだ。
今までの看板とは違い、赤字で強調してある。
そして、道を塞ぐのは――
「これ、聖杯戦争の……」
聖杯戦争の敗者に訪れる死の運命。勝者と敗者を絶対的に隔てる壁が、存在していた。
「……」
まさか、本当なのか?
この壁が齎す結末は理解している。
五回戦、ユリウスとの戦いで、この壁を通った事がある。
その前後の記憶こそ何故か曖昧なものの、この壁は霊子体を焼き切るものの筈だ。
勝者の死こそ無いものの、勝敗自体が存在しない月の裏側ではどうなるか。
『その壁……解析が出来ません。聖杯戦争で使われるものと同一存在と思われます』
まさか、ここまで来て行き止まり……?
そう思った矢先、
「……はぁ」
一つ溜息を吐いて、メルトは何の躊躇いも無くその壁を潜り抜けた。
「ッ――! メル――」
「大丈夫よ。分かってるでしょ? これまでの迷宮の仕掛けと照らし合わせなさい」
メルトが通った瞬間、壁は消えた。
何かをした様子はない。ただ、壁を通っただけ。
つまり、何の仕掛けも施されていなかったという事。
「……驚かせないでよ」
「確かに、確信があっても告げるべきだろう。お前のマスターも気が気でないようだが」
「っ」
ランサーに指摘され、内心の動揺を自覚する。
メルトが目に見えた死に足を踏み入れた――その事実への驚愕は決して少ないものではない。
「ご、ごめんなさいハク! 驚かすつもりじゃ……!」
「う、ううん、大丈夫……でも、本当にそんな理由で……?」
真実とは思えない。
今までの看板が全部嘘だったからといって、これも嘘とは限らない。
だから、考えなく通るのはやはり軽率だと思うのだが……
「あ……えっと……解析よ。私の蜜を流し込んで瞬間的に壁を解析したの」
そんな事が……果たして可能なのだろうか。
メルトの能力、メルトウイルスは失われているものの、ドレインのスキルは失われていない。
それの応用によって解析のようなものも使用できるのかもしれないが、僅かな間が気になる。
嘘を吐いているとは思えないし、信じようと思うが先に言ってほしかったという思いはあった。
「確信があったなら良いけど……次は一言言ってほしい」
「……えぇ」
「さ、良いから行きましょ。きっとこの先にジナコがいるわ」
若干傷心した様子のメルトに気を遣いながら進む。
どうやら、これが最後の仕掛けだったらしい。
最後まで嘘だらけの迷宮。その衛士は、怯えながら此方を迎えた。
「あ、あわわわわ……」
「……ジナコ」
「人違いッス! 勘違いッス! ボクはジナコの双子の妹のジメコさんッス! いつもジナコがお世話になってるッスー!」
苦しい言い訳をするジナコ――どうやら、SGに間違いはないようだ。
「ジナコ、苦しいわよ。散々嘘っぱちな看板立てといてそれはないでしょ」
「う……立てたくて立てた訳じゃないッスよ! ジナコさんは
「……だったら、SGを渡してくれないか?」
ジナコが自分の意思で衛士をしているのではないのだったら、カズラと同じくSGを渡してくれる筈だ。
だが――
「だ、駄目ッス! ギブアップしたら試合終了ッス! 第一、ボクはジナコの中でも一番社交性に満ちたジナコなのです。ここから先のジナコーズはどれもこれも恥ずかしさの化身。どうしてもここで食い止めたいのです」
切実に告げてくるジナコ。
確かに、今までの傾向からして真に隠しておきたいSGほど後半の階の核となりやすい。
ジナコもそれは同じなのだろう。
「大体、SGって何スか? 辛いッスか? 知らないものを渡したりは出来ないッス」
「さすがにそれは虫が良すぎる、というものですがね」
素知らぬふりをするジナコに茶々を入れたのはアルジュナだった。
先程の共闘とは違う。今度こそ敵として――ジナコのサーヴァントとして傍に立っている。
しかし、ジナコは決して望んでいないといった表情になる。
「……呼んでないッスよ、アルジュナさん」
「呼ばれてませんよ。それが何か」
和やかな笑みでアルジュナはジナコを流す。
「じゃーなんでここに来たッスか。ハクトさんたち追っ払ってくれるッスか?」
「仰せとあらば。理由としては、ジナコが聊か不真面目すぎると思いまして」
「不真面目? ど、どこがッスか! ジナコさんはいつでも真面目百パーセントッスよ!」
「彼らは目的のため、命を懸けて迷宮に挑んでいます。相応の覚悟で応じなければ無礼であると思いませんか?」
アルジュナの言い分にジナコは一歩後ずさる。
「第一、この迷宮もただただ余計でしかない。急造で仕掛けも虚言の塊。だったらまだ、何もしない方がどちらに対しても親切でしょう」
「どちらって、ハクトさんたちはともかくもう片方は誰ッスか?」
「勿論私ですが」
「ぐはっ、酷いッスこのサーヴァント。一体どっちの味方ッスか!?」
「出来る限りジナコの味方でいたいと思っていますよ」
「いたい!? 違うって事じゃないッスか!」
ギャーギャーと騒ぐジナコを、アルジュナは涼しい顔で対応している。
精神的にはジナコの味方とは言い難い――そういう事なのだろうか。
「と、とにかく! マハー何たらの偉大な英雄なんでしょ!? だったらあいつらやっつけてよ!」
ジナコの言葉で、アルジュナの瞳が此方に向けられる。
「……良いでしょう。厄介の詫びです。せめて最後に、私の矢を馳走しましょう」
「っ」
アルジュナの左手に巨大な弓が出現する。
まさか、ここで早くも戦う事になるなんて。
戦慄する僕たちを尻目に、紫電の槍を顕現させたランサーが前に出る。
雷と炎。凄まじい二つの大英雄の視線がぶつかり合った。
天然カルナさんは書いてて楽しい。
ジナコを鷹に例えるのは後にも先にも多分ここだけです。
そういえば、ゴーカイジャー見終わりました。AUOの「ファイナルウェーブ!」が好きすぎます。
今までのロボットでは想像もつかないゴーカイオーのスタイリッシュさには度肝を抜かれました。
ただ、大いなる力を手に入れる度に劣化していく合体ェ…
ハリケンゴーカイオーまでならまぁ…ですけどゴーオンゴーカイオーは……
それ以外は面白かったです。今までのスーパー戦隊シリーズの中でも評価が高いだけの事はありますね。
予告は無いですけど茶番も独り言もありませんが、何か。