突如現れた多数の巨大生物「巨人」の侵攻により、人類は存亡の危機に瀕する。生き残った人間達は、三重に築かれた巨大な城壁内側に生活圏を確保することで、一時的な安全を得ていた。しかし、城壁による平和を得てから約100年後。突如として現れた「超大型巨人」によりシガンシナ区の壁が破られ、多数の巨人が市街地に侵入。「ウォール・マリア」は放棄され、そこに暮らしていた住民達は難民として一段内側の「ウォール・ローゼ」内へ避難し生活を送っていた。
3つある兵団の中で「壁」の中で暮らす人類国家において唯一壁外に遠征する兵団「調査兵団」。その調査兵団の舎の中にある談話室では2人の人間が他愛のない会話をしていた。兵士長のリヴァイと分隊長であるハンジ・ゾエである。
「ねぇ、リヴァイ。つい先日面白い噂を聞いたんだ」
「噂ァ?くだらねぇな」
「いいじゃないか。ちょっとした話題の提供だよ。今現在は駐屯兵団、憲兵団、そしてわたしたちの調査兵団の3つの兵団があるけど実はもう1つ、極秘に設立された兵団があるらしいんだ。で、その兵団っていうのが―――」
場所が変わり、ここは破棄され巨人たちのテリトリーとなったウォール・マリア。人類が安心して住める場所ではなくなったこの場から逃げるように必死に走る女性が1人。着ているジャケットから調査兵団の人間である事が見て取れる。彼女は走りながらも手に持っている手帳へと何かを書き留めていた。
「ひッ……」
進行方向にある木の影から現れた巨人。反射的に後方へと退くと彼女の背中に衝撃が走る。どうやら木にぶつかったらしく、そのまま腰が抜けるように座り込んでしまう。息の荒い巨人の顔が数センチの所まで近づいている。このまま食われて死ぬ、だが屈しないと決意した矢先。
「う…う~…ユ…ミル…の…たみ……」
彼女のものではない声。溢れ出ている涙を拭うのも忘れて顔を上げると彼女から一歩さがり敬意を払うように頭を垂れる巨人の姿があった。
「…今…」
「ユミル…さま…よくぞ…」
「……」
衝撃的な出来事に彼女は言葉を忘れていた。しかし、手に持つペンだけは自然と動き手帳へと今起きた事実をしっかりと書き残していく。
「あ、あなた達は何?」
幾ばかりか冷静になった彼女は巨人へ問いかける。
「どこから来たの?」
「どうして私達を食べるの?」
応答はなく巨人の口から出るのはうめき声ばかり。
「どうして私達を食べる!? 何も食わなくても死なないお前達が!!…なぜだ!? お前らは無意味で無価値な肉塊だろ!!」
目の前で同僚が食われたことの怒り、得られない返事へのいらだちから自然と怒声を放つ。
「この世から消え失せろッ!!」
瞬間。空気が一変する。自らの顔を引きちぎる巨人の表情は怒りに満ちているように見える。その変わり様に冷静さを取り戻した彼女はその場から脱兎の如く走りだす。
「何…?何なの!?」
彼女の口から発せられるのは何故、何がという言葉ばかり。人間の足では巨人から逃げられる可能性はゼロに近い。しかしそれでも彼女は走る。
「ッッッ!?」
近づく巨人の足音に振り返った瞬間、下半身に締め付けるような圧力がかかる。
捕まった。自身の身体が巨人の口へと近づく。やはりここで食われて死ぬのかと思った瞬間――。
ブツンッ
重く鈍い切断音らしきものが聞こえた瞬間、締め付ける力がなくなり彼女の身体は地面へと投げ出される。
ズドンッ
続いて響く発砲音と何かが倒れる音。その銃声は兵団が保有する銃にしては大きく、大砲にしては小さかった。
彼女は閉じていた目を開く。視界に映るのは地面に倒れる巨人。そしてほの暗く青白い光を放つランタンを腰にぶら下げ、大きく無骨な拳銃らしき物を持った無表情の男だった。助かったと悟った彼女の意識が遠ざかる。この時、最後にみた彼女の景色は倒れ行く自分に急いで近づく慌てた彼の表情だった。
奴らは蒼い鬼火と共にやってくる
たとえその
たとえその
奴らは決して歩みを止めない
“
“
『
以上、第1弾「進撃の巨人」×「パンプキン・シザーズ」でした。ATTは秘密部隊って設定なのでどこで絡ませるか悩んだ結果、マミられたイルゼ・ラングナーさんを助けるという形でそこから調査兵団と合流という流れにしました。自分ではもうちょっと上手く書きたかったのですが、いかがだったでしょうか?意見、感想、誤字脱字の指摘等々あれば感想へお願いします!!