アリアのアトリエ~ザールブルグの小さな錬金工房~ 作:テン!
春。
それは一年のうちで最も華やかな季節。
凍てつく冬の大地も穏やかな東風に吹かれ溶け行き、大地に透明な清流をもたらす。
草々は黒色の大地から緑の新芽を芽吹かせ、木々は我先にと枝を空へと伸ばす。
色とりどりの花々は人々の心を和ませ、長い冬に眠りについていた動物たちも寝ぼけ眼を開き、春の草原を駆け行く。
春。
美しき春。
命溢るる春。
だが、春の到来は何も良いことばかりではない。
冬の間冬眠をしていた猛獣たちも起きだし、人を襲うようになるし、雪に道が閉ざされ身動きがとれなかった盗賊団も活動を再開する。
目を覚ました彼らの目の前には、春の訪れでたっぷりと新芽を食んだ動物たちや、同じように冬の間にできなかったことを、と動き出した人間たちが、テーブルの上に並べられたごちそうのように広げられているのだ。
これで、彼らが襲わぬと甘えた考えをする奴がいようものか。
春、すべての命が芽吹く季節である同時に、戦いの始まりを告げる季節でもあるのだ。
シグザール王国王室騎士隊。
そこはまさしく戦場と化していた。
「おい、俺の槍はどこだ!!」
「すみません、こちらの品はどこに!?」
「聖騎士殿の鎧が破損しているぞ! 担当はどこのどいつだ!!」
「はやいとこ、今月の補充状況を書類で送ってくれ! 期限は今月末までだってことわかってんだろうな!!」
端々で怒声が響き、下っ端の兵士だけではなく、騎士の位階を持つ人間ですら書類や、武器や食料といった補充品を片手に廊下を走り回る。
雑然とした光景だが、これはすでに毎年の風物詩。
四月。春が到来してから少し、この国では騎士隊が主体となり、ザールブルグ周辺、及び去年特に魔物や盗賊の被害が多かった地域で、魔物や盗賊の討伐を行うのだ。
その準備のため、春になれば騎士団はどこもかしこも爆発的な忙しさとなる。
それでも年齢がいっているものはまだまだ余裕はあるが、今年入ったばかりの新兵や騎士の位階を賜ったばかりの若造には余裕など遠い彼方にあるものにすぎない。ただ、目の前に山積みされた仕事を手当たり次第にこなしていくしかないのだ。
去年聖騎士になったばかりの若き青年、ダグラス・マクレインもまたそうした仕事の嵐に追われている人間の一人である。
「嘘だろー!? なんでこんな時にフラムが不足してんだよ!!」
在庫物資の確認を命じられた彼は、倉庫で天を仰いでいた。
そのとなりでは、倉庫番らしき少年が肩を縮こませて怯えている。
「も、申し訳ございません! こ、こんな基本的な間違いをしてしまい……」
(まったくだ……!)
思わず悪態が口をついて出そうになったが、それを意思の力で抑えこむ。
倉庫番の仕事には不審人物が倉庫に侵入しないよう見張るだけではなく、保管された物資の管理も含まれる。
消費されたもの、補充されたものを逐一記録し、今倉庫に何がどれくらい残っているのか、不足はないか、物資に不足があれば補充を上役に届け出るのも倉庫番を任された人間の大切な業務の一つだ。
しかし、今回その報告が為されなかった。
結果、魔物の討伐において使用されるフラムと呼ばれる爆弾が、通常よりもはるかに少ない数しか在庫が残っていなかったのだ。
数の計算を間違えたのか、報告を忘れていたのか。
どちらにせよ、もはや理由は関係ない。四月の討伐期間を控えた今の時期に、最も使用率が高く、そしてそれゆえに最も重要な物資が不足している。
早急に、どこからか補充しなければならない。
事情を知らないものからすれば、「足りないのなら補填すればいいだけではないか」と思うかもしれないが、これはそう簡単にいく問題でもない。
三月と九月は、一年のうちで最もフラムが品薄となる季節だからだ。
それに伴い、フランの値段も上がっている。通常の二、三倍の値がつくことすらざらにある。
いくらヴィント国王の指導のもと、資金が潤沢にある騎士隊とはいえ無駄に使って良い金があるわけではない。
こんな馬鹿げたことに大金を浪費するわけにはいかないのだ。
本当は、あまりにも厄介な問題を引き起こしてくれた目の前の少年を、感情のままに怒鳴り散らしてやりたい。
やりたいが……。
「いいから、とりあえずお前はエンデルク隊長を呼んでこい」
「エンデルク隊長、ですか……?」
「そうだ。はやくしろ」
「は、はい!!」
低い低い、押し殺したような声で命じると、その兵士は全速力で倉庫を飛び出していった。
その後姿を見送り、ダグラスは額に手を当て天を仰いだ。
見えるのは、薄汚れた倉庫の天井。ぽつりぽつりと斑点状にできている天井のシミが、なんとも陰鬱だ。
つい眉根にしわが寄ってしまう。
(ああ、嫌な予感しかしねぇ……)
ダグラスは聖騎士という地位についているとはいえ、騎士隊で働き始めてまだ一年と少ししか経っていない。
聖騎士は、シグザール王国における騎士の最高峰である。本来なら文武に優れた騎士の中の騎士、シグザール王国が誇る精鋭中の精鋭のみしか選ばれない地位なのだが、ダグラスは「唯一シグザール王国最強の男であるエンデルクと剣の腕で渡り合うことができる」という、エンデルクを除いた他の聖騎士すら追随を許さない武勇で、聖騎士の証たる蒼い鎧を着ることを許された。
そして武張った益荒男の宿命か、彼は書類畑の仕事を大変苦手としていた。
今回の備品の確認とて、騎士隊の仕事に慣れるために命じられたものであって、本来の業務ではない。彼自身の責任ではまったくないが、失態の当事者の一人として事件の渦中に巻き込まれてしまった。
ダグラスの第六感はビンビンと警鐘を鳴らしていたのだが、逃れるすべは最初からない。
残念なことに彼の予感は、的中してしまうのであった。
ティーカップを傾けると、口の中いっぱいにハーブの独特かつ爽やかな香りが広がる。
少し鼻から抜けるようなツンとした感覚があるが、アリアはこれが嫌いではない。ただ、人によってはこれが苦手な者もいるので、ザールブルグではお手軽な飲み物なのに常飲している人は少ない。
味は極めて単純。
少しの酸味と渋味。少し甘みがあったほうがおいしいかな、という味である。
肩口にかけた長い黒髪の三つ編みを揺らして、アリアは首を傾げた。
「お味はいかがですか、ユリアーネさん」
アリアが尋ねたのは彼女の前に座って、同じようにお茶を飲む金髪の少女。
白の錬金服がなんとも初々しいユリアーネという名の少女である。
ユリアーネは少しその麗しい顔を顰めて、言葉を吟味しながら口を開いた。
「あ、あの、なかなか独特で個性的なお味ですわね!」
「すみません、苦手なら苦手と素直に言っていただいて大丈夫ですから」
正直、その残念そうな顔で評価は一発で分かる。
「そうですね。正直に言いますと香りが少し強すぎですわ。普通のミスティカティーだと、ここまで鼻にくることもありませんし……。味も雑味がありますわ。ミスティカの香気がなければ、
(そこまで違うか……)
ミスティカの葉から直接淹れただけのお茶と、ミスティカの葉をガッシュの木炭やヘーベル湖の水を使って淹れあげた最高級のお茶、ミスティカティーとは味も香りも何もかも違うとは聞いていたが、ここまではっきり違うと断言されるほどとは思ってはいなかった。
ミスティカの葉を調合してみたので、ミスティカティーとどれだけ違うのか一度聞いてみたかったのだが、利き茶を依頼したユリアーネには悪いことをしたと思う。
これではまずいものを飲ませただけではないか。
「すみません。まさかミスティカティーとそこまで違っているとは思ってもいなくて……。いえ、これは言い訳ですね。下手なものを飲ませて申し訳ありません」
「いえ、そんな、謝っていただかなくても……っ。これはこれで味がありますし!」
そこで必死にフォローされるのも、それはそれでくるものがあるのだが、それは黙っておく。
「ありがとうございます。そう言っていただけると助かります。ですが、やはり他のだれかに味の評価をしてもらいたいですね」
「そうですわね。
「それはそれで得がたい分析なのですがね」
さて、誰に頼もうか。
のんびりと知り合いの顔をアリアが思い浮かべていた時だった。
ドンドンドンドンッ!!
「ごめん、アリアいる!? エリーなんだけど、ちょっといいかな!?」
長閑な午後の時間をぶち壊すように、激しくアトリエの扉が叩かれる。
声の主には聞き覚えがある。
これはおそらく、同じアトリエ生であるエリーの声だ。
何か急ぎの用事かと、ユリアーネに断りを入れて扉を開いた。
「どうした、エリー?」
「いたー!! よかったー、いてくれなきゃどうしようかと思ったよ……」
扉を開けると、心の底から安堵した様子で、エリーが立っていた。
何か用事かと尋ねると、息せきって語りはじめた。
「あ、あの。ごめん、こんなこと頼むのはダメだって思うんだけど、もう頼めるのアリアくらいしかいなくて……」
「どうどう、ちょっと落ち着きなさい。ユリアーネさん、申し訳ないがミスティカのお茶を一杯淹れていただけないか?」
「わかりましたわ」
客人を顎で使うのは申し訳ないが、今はエリーを落ち着かせるほうが先だ。
ユリアーネも心得たもので、お茶は飲みやすいように少しぬるめに淹れてあった。
「あ、お客様いたんだ。ご、ごめん。お邪魔だったかな……」
「変に遠慮する前に、これでも飲んで少し落ち着きなさい」
「うん、ありがとうアリア」
素直にミスティカの葉で淹れたお茶を口に含むエリー。
ミスティカの香りにはリラックス効果があるので、混乱している人や慌てている人に最適なのだ。
エリーもまた少し落ち着いてきたのか、ホッとした様子でお茶を飲んでいる。
「それで、今日は一体どうしたんだ?」
「うん、あのね、ちょっと協力してほしいことがあって……」
そしてエリーはぽつりぽつりと、語りはじめた。
それが、これからひと月続く修羅場の始まりであった。
「フラムの調合依頼、だと……? この時期に?」
「まあ…………」
エリーが協力を依頼してきたのは、フラムという爆弾の調合であった。
しかも依頼の量が多い。ひと月でフラム三十個というとんでもない個数が依頼されている。
ただ依頼の量が多いからか報酬はかなり破格だ。
通常の買取価格よりも、三割ほど割増されている。
しかしながら、依頼の時期が悪い上に依頼期間があまりにも短すぎる。
はっきり言って、この量をひと月でしかも一人でこなすのは物理的に不可能だ。
今は三月の初旬。
奇しくも、騎士隊で討伐隊が編成されるひと月前であった。
「討伐隊をあてにしていたから、カノーネ岩をまだ採りに行っていないのが痛いな。まだフラムを調合してもいないし……」
「あ、やっぱりアリアも? あたしも同じ。前にヴィラント山に行って逃げ帰ってきたことがあるから、今回は時期を見て行くつもりだったんだ」
というより、失敗したとはいえ一度ヴィラント山に挑戦したのか。
あまりの無謀さに、まじまじとアリアはエリーの顔を見つめてしまう。
「だ、大胆な方ですわね……」
「よく行ったものだな」
「えへへ、討伐隊があるってこと前は知らなくて……」
ヴィラント山はザールブルグの周辺にある採取地の中でもとびっきり危険な難所である。
魔物も強くそのうえ多く、足元も悪い。
だが、このヴィラント山では、カノーネ岩やコメートの原石、そして固いうえに軽く、武器を作る上で最高の鉱石と名高いグラセン鉱石といったたくさんの鉱物を採ることができる。
危険だが、それ以上の見返りを見込める場所でもあるのだ。
話は変わるが、フラムの材料の一つに「燃える砂」と呼ばれるものがある。これはカノーネ岩という名の可燃性の岩石を慎重にすり潰し、岩石の状態よりも燃えやすくなおかつ他のものに加工しやすく調合したものだ。
カノーネ岩はヴィラント山や、その周辺といったあまりにも調達が難しい場所にしか豊富にないため、このザールブルグでは一つ銀貨二百五十枚という暴利で売られている。
つまり、フラムを調合するためにはヴィラント山に行きカノーネ岩を調達するか、一つ二百五十枚という金を払い手に入れるか、そのどちらかしかない。
そのカノーネ岩が比較的楽に調達できる期間が、ザールブルグには一年のうちで二度ある。
それは四月と十月。王室騎士隊から討伐隊が編成されたあとひと月、この間は盗賊や魔物がザールブルグ全土から激減し、比較的楽に旅や採集活動を行うことのできるひと月なのだ。
アカデミーの学生、特にアトリエ生にとってそのひと月は千金に値する。ヴィラント山に魔物の心配をすることなく足を踏み入れ、そこの地に眠るたくさんの鉱物を採って帰ってくることができるのだ。
アトリエ生であるアリアやエリーにとって、四月や九月を狙って特に危険度の高い場所に赴くことは当然のたしなみと言えた。
だが今回エリーが依頼された仕事をこなすためには、もうすぐやってくる四月という安全期間までにヴィラント山という最も危険な場所に赴き、カノーネ岩を手に入れる必要がある。
一体どこのどいつがこんなたわけた依頼を頼んだんだ。
エリーが言うには、まだ依頼を正式に受けてはいないらしいが、これは相手に対して怒ってもいいほどだ。さすがに、アカデミーに入学して一年も経たない学生に、そのうえこの時期に頼む依頼ではない。
「うん、いつも護衛をしてくれるダグラスに頼まれて……。今度の討伐隊編成の準備でかなりの量がいるらしくて。どう考えも一人じゃ無理な量だし、ダグラスも出来る限りたくさんの錬金術士に協力を依頼して欲しいって……」
「ダグラス? まさか、あのダグラス・マクレインか?」
「うん、その人。なんでも王室騎士隊のフラムが不足してるってことで、あたしのところにもってきたらしくて……」
その言葉がエリーの口から出た瞬間、言ってくれて助かった、とアリアは無表情の鉄仮面の下で、人知れず安堵した。
ダグラス・マクレインの名前が出てきた時点で予想できていたことだったが、やはり王室騎士隊からの依頼か。
まだ正式には引き受けていないということだったので、断ることも視野に入れていたのだが、これは断れない。というより、断ってくれなくて助かった。
自分たちの去就が、王室騎士隊の今後にも関わってくるのだ。ザールブルグで生きる以上、出来る限り協力をしていくしか道はない。彼らの失態は、ザールブルグの治安に直接関わってくるのだ。
もしまかり間違って、今回の討伐隊が失敗をすれば、四月のご褒美期間がなくなることも考えうる。
それに、発想を逆転すればこれは良い機会だ。これ以上おいしいコネもない。王室騎士隊とのコネなんぞ、望んでも得られないものだ。それが手に入ると考えれば、この依頼がアリアのもとに来たことはものすごい幸運ではないだろうか。
依頼自体は軽く修羅場になることも考えなければならないが、エリーと協力し合えばできないことはない。大変ではあるが、この依頼は受けの一択だ。
「これは断れない」
「うん、ダグラスは無理なら言ってもらって構わないって言ってくれたけど、いつもお世話になっているからあたしも断りたくなくて……」
「あの、エリーさんでしたか、そちらではありませんわ」
「ふぇ?」
どうやら事の大きさをまったく理解していなかったらしく、ただ知り合いが困っているから依頼を引き受けたようとしただけらしい。
だが、断らなかっただけで十分すぎる。
「安心しろ、今回の依頼は私も全力で協力させていただこう」
「本当!? ありがとうアリア!!」
飛び上がらんばかりに喜ぶエリー。
だが、ここで喜んでばかりもいられない。
「喜んでばかりもいられないぞ、エリー。そうと決めたらさっそく動き始めなくてはな」
「うん、わかった! 採取と調合だね」
「あと、できるだけ私達以外の人員も集めたい。ユリアーネ、もし手が空いていた……」
「ご安心くださいませ。
ただ、講義がありますので、それがない日に限りますが、と釘を差されるが、それは予測の範囲内だ。
ユリアーネは寮生なのだから、アカデミー生であるアリアやエリーほど自由に時間を使うことはできない。
「エリーは誰かあてはあるか?」
「うん、アイゼルとノルディス。実はもう頼んであるんだ。……けど、二人だとヴィラント山の採取は無理って言われたから……」
「ああ、だから私のところに来たのか。良い判断だ。褒めてあげよう」
「うん! ありがとう!」
同級生の同い年にほめられてそんなに嬉しいものだろうかとアリアは疑問に思うが、そこは心の片隅に棚上げする。
「それにしてもエリーさん、アイゼルさんやノルディスさんと知り合いだったのですね」
「うん! ユリアーネ、でよかったっけ? 二人はもう大切な友達だよ」
「
「うーん、そんなものなの? 私の場合は……。あ、そういえば、ノルディスが直接アトリエまで来たんだった。アイゼルもノルディスと一緒にいたら仲良くなったんだよ」
「……ノルディスさんが?」
「うん!」
ユリアーネもエリーも相性は悪くないようだ。
問題なく話している二人の姿を見て、アリアは人知れず胸をなでおろした。
これなら一緒に仕事をすることになっても支障は無さそうだ。
期間はひと月。その間に全てをこなさなくてはならない。
採取・調合、採取には護衛も必要だし、調合には新しい機材もいるかもしれない。
参考書も新しいものが必要だ。
(報酬の前借りはできるだろうか……)
それも視野に入れておいたほうが良いだろう。
正直、かなり支出の多い依頼だ。
だが、それ以上に実入りの多い仕事でもある。無理をすることにはなるが、その分見返りは多いのだ。
(まずは調合レシピの確認。材料の調達ルートの選定。ああ、あと護衛も雇わなくては)
なんともやるべきことが多いことだ。
だがこれも仕方がない。今アリアがやるべきことは、一つ一つ自らの仕事をこなしていくことだ。
「さて、ではさっそくお仕事を始めるとしようか」
初めての共同作業、そしておそらく初めての修羅場に突入する依頼だ。
しっかりと経験を自分の血肉にしなくては。
「まずは、みんなでレシピの確認か。模写をする時間はないから参考書を買わなくては、な」
さっそく大きな支出だ。
だがこれも必要経費のうちだ。
「さて、さっそく行くとするか。ユリアーネ、エリー」
アリアが呼びかければ、談笑をしていた二人が彼女へと振り向く。
「最初は購買部に行こう」
「うん!」
「レシピの確認ですわね、わかりましたわ」
心得たようにユリアーネとエリーは頷いた。
うららかの春の日差しの下、三人の少女は共に同じ道を歩いて行く。
彼女たちの後ろで東風が暖かな風を運んでいった。