せめて、せめて一勝を   作:冬月 道斗

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どうも、まじ恋をプレイして流れを確認しながら書いてるんですが、やってて読み進めたくなってもう一話書いてしまいましたwww
なろうのオリジナルと合わせて日をまたいだから正確じゃないけど今日だけで一万字あげてしまったw

と言うことでよろしくお願いします。


第四話 舶来娘と代理決闘 前篇

あれはない。

 もう一度言おう。

 あ れ は な い。

 

 「フハハハハ!!!」

 

 「おおー、まるで遠山のようだ!」

 

 あの空間であれば化け物どもの武力すらもかわいく見えるんじゃないだろうか?

 信じたくないことに馬と人力車の上でイメージカラー金色の二人が騒いでいる。

 いくらKWAKAMIでもあんな光景が日常茶飯事になられては引っ越しを考えなくてはいけないかもしれない。

 そうやって心がどっかに行っている間に決闘が決まったようだ。

 一子ちゃんがやるみたいだから見に行ってみることにするとバンダナがトトカルチョをやっていた。

 彼は風間 翔一で、モモ先輩や椎名とよく一緒にいる風間ファミリーのリーダーだ。

 

 「あ、風間、あの金髪にかけたいんだけど上限幾ら?」

 

 「おお! 大きく張るねぇ、上限は一万までだよ。今んとこワン子有利だけどクリスでいいのかい?」

 

 「うん、それでいいよ、じゃあ一万円でお願い」

 

 儲けられそうなので買っておく。

 この直接戦闘のトトカルチョは正直ある程度以上の実力者にとって簡単に儲けられるのでいい収入源だ。

 特に今回は正直一子ちゃんにあんたバカなの? と聞きたくなるような形となっている。

 なにせ――

 

 「そこまで! 勝者クリス!!」

 

 あ、とりあえず賭けには勝ったな。

 

 「面白いわねクリス……、本気でやろうじゃない!!」

 

 一子ちゃんから外されるリストバンド、それは地面に落ちた時に大きな音が出る程度の重りであった。

 まぁ、あんなのつけてたら負けるよね。

 始まってから外してもその隙を許してくれるような相手じゃないし。

 もしあれがなければかけようとは思わなかったんだけどなー。

 あ、学長に拳骨された。

 換金してもらって教室に戻る途中になんか人さらいのような武神が見えた気がするが気にしないでおこう。

 あれのために只管腕を磨いていると思うとやるせない……。

 って、学長と喧嘩始めた!! ありがたく見ておこう。

 

 「うん、やっぱりもう少しだな。届かなくともきっと戦える……」

 

 

 

 

 そうして、貴重なある程度本気を出した武神話見ることができ、自分の積み重ねに間違いがなかったと確信できた日の夜、椎名からメールがあった。

 

 『キャップが転校生をメンバーに入れようとしてる。賛成されたから様子を見たけどそれならトラに入ってほしかったな……。因みに今日は大和に24回振られました』

 

 ……いつもながら反応に困るメールだ。

 そもそも一子ちゃんと椎名以外特に大きな面識がないから何て返していいかわかんないよ。

 

 『とりあえず諦めないでアタックあるのみだね。結婚式には呼んでくれると嬉しいな』

 

 と言うわけで直江には犠牲になってもらうことにしよう。

 

――この日、島津僚では友の応援を受けて行われた数割増しの濃厚なアタックを受けつつも、何とか貞操を死守した男がいたとか。

 

 

 ◆◇◆◇

 

 二連休を終えた月曜日である。

 昨日までの二連休、僕は七浜に行っていた。

 普段九鬼のバイトとして本社を襲撃するという仮想訓練をすることもあるのだが、暫らくは忙しいらしいので他のことをしていた。

 まぁ、あそこの執事トップであるヒューム・ヘルシング、ヒュームさんはスパルタなので近いうちに抜き打ちで打診が来るかもしれないと思っているのだが於いておいて。

 七浜にある公園にはなぜかジャーキーで相手をしてくれる、何ともお得な壁を越えたお姉さんがいるのだ。

 おかげで休日には非常に実りのある修練ができている。

 他にも松笠に行けば、竜鳴館と言う何とも変わった名前の高校で館長をしている生まれるのが遅すぎた竜や、それこそ川神院でルー先生――ルー・イーと言う川神学園で体育教師をやっている川神院の師範代――に時間を取ってもらったり、もっとお手軽なところでいえば板垣姉妹の次女辰子などと言うのもいる。

 おかしい、この近辺はどんな化け物の巣窟なんだろう?

 とまぁ、そんな感じで実力試しには事欠かない休日を過ごさせていただいているのだ。

 

 「高坂! 同じS組として此方の代わりに山猿たちに吠え面を書かせるのじゃ!!」

 

 ……何て、現実逃避をしているんだがなぁ……。

 同じクラスである不死川 心、選民思考に固まった、日本三大名家が一つ不死川家のご息女が吠えている。

 その家からの寄付で、指定制服ではなく着物を着て登校などと言う普通じゃない、のカテゴリーに入る少女だ。

 因みに三大名家の一つに綾小路家と言うのがあって、日本史の教師を務めていたりもするのだが、その教師も顔を白塗りにしているというエキセントリックな教師なのだがそれは置いておいて。

 

 「いや、なんで僕が……、そういうのは自分でやりなよ」

 

 心はその度が過ぎる選民思考のせいで、正直友達が少ない。

 そんな少女が、なんで名家でもない僕にそんなことを頼むかと言うと、

 

 「ホッホッホ、なぁに此方の代わりに同じく柔の道をゆくお前に討伐の栄誉を呉れてやるというのじゃ。喜ぶがよい!」

 

 こういうわけである。

 実は、腕を磨き続けているにつれて、渋川先生だけでは足りなくなり、いろんな方々に教えを乞うたのだ。

 その中の一人に、彼女の師もいて、僕が柔術を使えるというのがばれているのである。

 今では、もはや我流の面も強いので~~流、などとは名乗っていないのだが、同じ柔らの術を使うものとしてある程度懐かれているのだ。

 

 「いや、僕は基本、護身の術だからそういうのは勘弁してほしいんだけど」

 

 「何、遠慮することはないぞ。すでに申し込んできているのじゃ! しかも相手はF組みで一番強いであろうあのクリスじゃぞ! 久しぶりにお前の雅な技を見せるがよいのじゃ!」

 

 心いわく、僕のあの化け物と戦うために磨いた、力をできる限り排除した戦い方は雅で美しいらしく、僕の出自にしてはあり得ないほどに認めているらしい。

 それこそ名で呼び捨てることを良しとするくらいには、だ。

 

 「いや自分でやればいいじゃん。実際強いんだからさ」

 

 そう、彼女は普段バカにされたり、友人がいなかったり、侮りすぎて負け続けていたりするが、実際強い。

 それこそ、学園の生徒の中では僕とモモ先輩、あと前に見つけた刀もちの一年生くらいしか彼女には勝てないだろう。

 精神性が改善されればの話ではあるが。

 

 「うるさいのじゃ! 言ったであろう。お前のその雅な技が見たいとな。それでは行くぞ。……ほら、ついてくるのじゃ!」

 

 どうやら拒否権はないようだ。

 いや、断ろうと思えばいくらでも逃げれるのであるが、一応お世話になった人の愛弟子だ、少しくらいの手間は大目に見るべきかな。

 死合ってわけじゃないし……、と自分を慰めながら引きずられていく。

 

 「うおおおおお! S組を倒せ―! エリートどもに意地を見せてやるんだ!」

 

 「S組の生徒対F組の転入生クリスの決闘だよー! さあ張った張った。今の常クリス有利だ!」

 

 「クリスさーん! いつも俺らを見下す奴らを倒しちゃってくれー!」

 

 会場であるグラウンドについて帰りたくなった。

 なにこのアウェー感? 

 心が仕掛けたってだけでこれってもう半端ない、実際に戦う僕もちょっと傷つくんだが……。

 あ、見知った三人を見つけた。 

 

 「あ、井上、僕この空気の中戦わないといけないの? 変わってくれない?」

 

 「おう、相手はお前になるのか。まぁご愁傷様、頑張ってくれよな」

 

 「うえーい、トラー、8対1だってートラにかければ大儲けだねー」

 

 あ、ちょっとカチンときた。

 まだ相手が分かってないんだろう段階からこれって舐められ過ぎじゃないだろうか?

 僕を指してじゃなくても腹が立つ。

 

 「うん、じゃあ限界まで僕にかけるといいよ、儲けさせてあげるからさ。ついでに俺の分も買っといてよ」

 

 「ほほーう、すごい自信ですね。相手はあの川神さんに勝ったクリスさんですよ? 大丈夫なんですか?」

 

 「うん、負ける気はないよ」

 

 「お、なら俺もかけさせてもらうかね。もし負けたら今度暴力ラジオの身代わりゲストになってもらうからな」

 

 「いいよ、その代わり儲けたらおごってね」

 

 「おおー、頑張れ―トラー」

 

 そう言って級友たちのもとを離れて中心地に向かっていく。

 

 「なんだ、高坂が相手なんだ」

 

 「ほー、イケメン優男か。クリス! たたんじまえ!!」

 

 「ガクト、嫉妬心抑えて、見苦しいよ」

 

 その途中F組みの直江 大和、島津 岳人、師岡 卓也に会った。

 

 「うん、このアウェー感に帰ろうと思ったけど、賭けの倍率聞いてちょっと思うところがあってね」

 

 「いや、不死川の引っ張ってくる奴ってだけで、お前のことを対象にしての結果じゃないぜ?」

 

 「まぁ、わかっていても俺様はクリス一択だけどな」

 

 「ちょ、ガクト、本人の前だってば」

 

 「はは、それじゃあ僕にかけた人をもうけさせるために頑張るかな?」

 

 「え? トラが相手なの? キャップ、トラに限界額で」

 

 「うーん、高坂君がやるのね。キャップ―、高坂君に3000円お願い」

 

 うん、僕がやるとわかったら椎名と一子ちゃんは賭けてくれるようだ。

 その様子に男三人は驚いたようだ。

 

 「え? 相手はクリスだぜ? 高坂ってそんなに強いのか? 京がそんなに強気で賭けるなんて。俺もうクリスに限界額賭けちゃったんだけど」

 

 ふむ、やはり直江もクリスが勝つと思っているのか。

 

 「ワン子も大丈夫なの? バイト代そんなに多くないのに賭けちゃって」

 

 一子ちゃんのお財布を心配して言う師岡、てか一子ちゃんにかけられたらますます負けられないな。

 うん、モモ先輩にまだ目はつけられたくなかったが、まぁ目処も立ってきたし少し頑張っちゃおう。

 

 「二人ともありがとう。期待しててね」

 

 なんだろう、ギャラリーが多い試合なんて初めてで少し興奮してくるかもしれない。

 Fの風間ファミリーの面々の騒ぎを背に人ごみの中心へ歩いていく。

 

 「ウム、競技は武器制限なし、時間無制限、直接戦闘と言うことだが相違ないな?」

 

 鞭を持った世界史教師、小島 梅子先生が、向かってくる僕を見て言う。

 

 「来たか! Fクラス代表、クリスティアーネ・フリードリヒだ。尋常に」

 

 そう言ってワッペンを出す。

 この川神学園には決闘システムと言うものがある。

 これは競技を問わず決着をつける際に、お互いのワッペンを重ねることで成立する、競い合いを推奨するこの学園を象徴するシステムだ。

 少し危険のある直接戦闘でさえ、教師の立会いの下許可されるのだ。

 

 ――ああ、思えば戦闘による決闘は初めてのことだし、少し楽しみだ。

 

 「S組、不本意ながら心の代理として戦うことになった高坂 虎綱だ。よろしく」

 

 ――まぁ、相手も弱くもないし何事も経験だ、糧にすることにしよう。

 

       二つのワッペンが、校庭の真ん中で重なり、決闘が成立した。




読んでいただきありがとうございます。
今回は気持ち心メインのつもりでしたがいかがでしたでしょうか?

この作品は一人称の練習も兼ねているのでよろしければ批評をお願いします。

三人称での練習としてなろうで「妖怪って厨二病の華だと思うんだ。」という作品も連載しているのでよろしければそちらの批評もよろしくお願いします。

ご意見ご感想お待ちしております。

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